夜よるの流ながれ

夜よるの流ながれ
監督かんとく	成瀬なるせ巳喜男みきお、川島かわしま雄三ゆうぞう
脚本きゃくほん	井手いで俊郎としお、松山まつやま善よし三さん
製作せいさく	藤本ふじもと真澄ますみ
出演しゅつえん者しゃ	司つかさ葉子ようこ; 山田やまだ五十鈴いすず
音楽おんがく	斎藤さいとう一郎いちろう
撮影さつえい	安本やすもと淳あつし、飯村いいむら正ただし
編集へんしゅう	大井おおい英えい史し
配給はいきゅう	東宝とうほう
公開こうかい	1960年ねん7月がつ12日にち
上映じょうえい時間じかん	111分ふん
製作せいさく国こく	日本にっぽん
言語げんご	日本語にほんご
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『夜よるの流ながれ』（よるのながれ）は、1960年ねん公開こうかいの成瀬なるせ巳喜男みきお・川島かわしま雄三ゆうぞう共同きょうどう監督かんとくによる日本にっぽん映画えいが。成瀬なるせの作品さくひん「流ながれる」と似にた花柳かりゅう界かいを舞台ぶたいとしたオリジナル脚本きゃくほん作品さくひん。「浮雲うきぐも」の成瀬なるせ巳喜男みきおが「幕末ばくまつ太陽たいよう傳でん」の川島かわしま雄三ゆうぞうとタッグを組くんで共同きょうどう監督かんとくした作品さくひん。プロデューサーの金子かねこ正ただし且の回想かいそうによれば、藤本ふじもと真澄ますみが成瀬なるせを慕したっていた川島かわしまに共同きょうどう監督かんとくを発案はつあんした。撮影さつえいは「娘むすめ・妻つま・母はは」と「秋あき立たちぬ」の間あいだで行おこなわれ、二人ふたりは、セットでの撮影さつえいは成瀬なるせ、ロケでの撮影さつえいは川島かわしまと分担ぶんたんし、撮影さつえい・美術びじゅつ・照明しょうめいも各々おのおのに二に人にんずつ用意よういし、ロケとセットで役者やくしゃがかぶらないように気きを付つけながら急いそいで撮どり、編集へんしゅうとダビングは二人ふたりが立たち会あったという^[1]。

あらすじ[編集へんしゅう]

料亭りょうてい「藤ふじむら」の雇やとわれ女将おかみ綾あや（山田やまだ五十鈴いすず）は苦労くろうして一人ひとり娘むすめの美也子みやこ（司つかさ葉子ようこ）を大学だいがくにまで進すすませた。「藤ふじむら」のパトロン園田そのだ浩ひろし一郎いちろう（志村しむら喬たかし）は綾あやにい寄いよっているが、綾あやは靡なびかない。美也子みやこと園田そのだの娘むすめ忍にん（白川しらかわ由美ゆみ）は大学だいがくの友人ゆうじん同士どうしであった。美也子みやこと忍にんは「藤ふじむら」に出入でいりする芸妓げいぎたちとも親したしかった。美也子みやこは板前いたまえの五十嵐いがらし（三橋みつはし達也たつや）にひそかに思おもいを寄よせていたが、五十嵐いがらしは綾あやと関係かんけいを持もっており、五十嵐いがらしはそのことで悩なやんでいた。芸妓げいぎの一花ひとはな（草笛くさぶえ光子こうし）は有能ゆうのうな呉服ごふく屋や滝口たきぐち（宝田たからだ明あきら）と新しん生活せいかつを始はじめようとしていたが、別居べっきょ中ちゅうの夫おっと野崎のさき（北村きたむら和夫かずお）につきまとわれていた。ひょんなことから、母はは綾あやと五十嵐いがらしの関係かんけいを知しった美也子みやこは衝撃しょうげきを受うけ、五十嵐いがらしは綾あやとの関係かんけいを断たとうとするが、綾あやが逆上ぎゃくじょうする。これがきっかけとなって綾あやは園田そのだから切きられることになる。夫おっとと縁えんを切きって滝口たきぐちと暮くらし始はじめる一花ひとはなにも悲劇ひげきが訪おとずれ、美也子みやこは母ははとの生活せいかつのために芸妓げいぎになる決意けついをするが、母はは綾あやは自分じぶんのもとを去さった五十嵐いがらしを追おって一人ひとりで出でていく。

キャスト[編集へんしゅう]

藤村ふじむら美也子みやこ：司つかさ葉子ようこ
藤村ふじむら綾あや：山田やまだ五十鈴いすず
滝口たきぐち速そく太ふとし：宝田たからだ明あきら
五十嵐いがらし力つとむ：三橋みつはし達也たつや
園田そのだ忍しのぶ：白川しらかわ由美ゆみ
金きむ太郎たろう：水谷みずたに良重よしえ
一花ひとはな：草笛くさぶえ光子こうし
あけみ：星ほし由里子ゆりこ
万里ばんり：横山よこやま道代みちよ
紅子べにこ：市原いちはら悦子えつこ
小町こまち：北川きたがわ町子まちこ
川津かわづ志満しま：三さん益えき愛子あいこ
村上むらかみ弥生やよい：越路こしじ吹雪ふぶき
園田そのだ浩ひろし一郎いちろう：志村しむら喬たかし
野崎のさき：北村きたむら和夫かずお
英会話えいかいわ講師こうし：岡田おかだ真澄ますみ

スタッフ[編集へんしゅう]

製作せいさく:藤本ふじもと真澄ますみ
監督かんとく: 成瀬なるせ巳喜男みきお、川島かわしま雄三ゆうぞう
監督かんとく助手じょしゅ: 野の長瀬ながせ三さん摩ま地ち、錦織にしきおり正信まさのぶ
脚本きゃくほん:井手いで俊郎としお、松山まつやま善よし三さん
撮影さつえい:安本やすもと淳あつし、飯村いいむら正ただし
音楽おんがく:斎藤さいとう一郎いちろう
美術びじゅつ:松山まつやま崇たかし、北きた辰雄たつお
録音ろくおん:藤ふじ好こう昌生まさお、保坂ほさか有明ありあけ
照明しょうめい:石井いしい長四郎ちょうしろう、高島たかしま利雄としお
編集へんしゅう:大井おおい英えい史し
現像げんぞう:東洋とうよう現像げんぞう所しょ

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

^ 田中たなか, p. 54.

　参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

田中たなか真澄ますみ、木全きまた公彦きみひこ、阿部あべ嘉昭よしあき、丹野たんの達弥たつや『映画えいが読本とくほん　成瀬なるせ巳喜男みきお　透すきとおるメロドラマの波なみ光こうよ』フィルムアート社しゃ、1995年ねん。ISBN 4845995395。

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]

[FOOTNOTE田中54-1] 田中たなか, p. 54.

[1]

表ひょう話はなし編へん歴れき成瀬なるせ巳喜男みきお監督かんとく作品さくひん
1930年代ねんだい	チャンバラ夫婦ふうふ（1930年ねん）純情じゅんじょう（1930年ねん）押切おしきり新婚しんこん記き（1930年ねん）不景気ふけいき時代じだい（1930年ねん）愛あいは力ちからだ（1931年ねん）ねえ興奮こうふんしちゃいやよ（1931年ねん）二に階かいの悲鳴ひめい（1931年ねん）腰辨こしべん頑張がんばれ（1931年ねん）浮気うわきは汽車きしゃに乗のって（1931年ねん）髭ひげの力ちから（1931年ねん）隣となりの屋根やねの下した（1931年ねん）女おんなは袂たもとを御ご用心ようじん（1932年ねん）青空あおぞらに泣なく（1932年ねん）偉えらくなれ（1932年ねん）蝕むしばめる春はる（1932年ねん）チョコレートガール（1932年ねん）生なさぬ仲なか（1932年ねん）菓子かしのある東京とうきょう風景ふうけい（1932年ねん）君きみと別わかれて（1933年ねん）夜よごとの夢ゆめ（1933年ねん）僕ぼくの丸髷まるまげ（1933年ねん）双眸そうぼう（1933年ねん）謹賀きんが新年しんねん（1933年ねん）限かぎりなき鋪道ほどう（1934年ねん）乙女おとめごゝろ三さん人にん姉妹しまい（1935年ねん）女優じょゆうと詩人しじん（1935年ねん）二人ふたり妻つま妻つまよ薔薇ばらのやうに（1935年ねん）サーカス五ご人組にんぐみ（1935年ねん）噂うわさの娘むすめ（1935年ねん）桃中軒とうちゅうけん雲右衛門くもえもん（1936年ねん）君きみと行いく路みち（1936年ねん）朝あさの並木なみき路ろ（1936年ねん）女人にょにん哀愁あいしゅう（1937年ねん）雪崩なだれ（1937年ねん）禍福かふく前まえ篇へん（1937年ねん）禍福かふく後ご篇へん（1937年ねん）鶴づる八はち鶴次郎つるじろう（1938年ねん）はたらく一家いっか（1939年ねん）まごころ（1939年ねん）
1940年代ねんだい	旅役者たびやくしゃ（1940年ねん）なつかしの顔かお（1941年ねん）上海しゃんはいの月つき（1941年ねん）秀子ひでこの車掌しゃしょうさん（1941年ねん）母ははは死しなず（1942年ねん）歌うた行燈あんどん（1943年ねん）愉たのしき哉人生せい（1944年ねん）芝居しばい道どう（1944年ねん）勝利しょうりの日ひまで（1945年ねん）三さん十じゅう三さん間あいだ堂どう通とおし矢や物語ものがたり（1945年ねん）浦島うらしま太郎たろうの後裔こうえい（1946年ねん）俺おれもお前まえも（1946年ねん）四よっつの恋こいの物語ものがたり第だい2話わ（1947年ねん）春はるの目めざめ（1947年ねん）不良ふりょう少女しょうじょ（1949年ねん）
1950年代ねんだい	石いし中ちゅう先生せんせい行状ぎょうじょう記き（1950年ねん）怒いかりの街まち（1950年ねん）白しろい野獣やじゅう（1950年ねん）薔薇ばら合戦かっせん（1950年ねん）銀座ぎんざ化粧けしょう（1951年ねん）舞姫まいひめ（1951年ねん）めし（1951年ねん）お国くにと五平ごへい（1951年ねん）おかあさん（1952年ねん）稲妻いなづま（1952年ねん）夫婦ふうふ（1953年ねん）妻つま（1953年ねん）あにいもうと（1953年ねん）山やまの音おと（1954年ねん）晩ばん菊きく（1954年ねん）浮雲うきぐも（1955年ねん）くちづけ（1955年ねん）驟雨しゅうう（1956年ねん）妻つまの心しん（1956年ねん）流ながれる（1956年ねん）あらくれ（1957年ねん）杏あんずっ子こ（1958年ねん）鰯雲いわしぐも（1958年ねん）コタンの口笛くちぶえ（1959年ねん）
1960年代ねんだい	女おんなが階段かいだんを上のぼる時とき（1960年ねん）娘むすめ・妻つま・母はは（1960年ねん）夜よるの流ながれ（1960年ねん）秋あき立たちぬ（1960年ねん）妻つまとして女おんなとして（1961年ねん）女おんなの座ざ（1962年ねん）放浪ほうろう記き（1962年ねん）女おんなの歴史れきし（1963年ねん）乱みだれる（1964年ねん）女おんなの中なかにいる他人たにん（1966年ねん）ひき逃にげ（1966年ねん）乱みだれ雲くも（1967年ねん）

表ひょう話はなし編へん歴れき川島かわしま雄三ゆうぞう監督かんとく作品さくひん
1940年代ねんだい	ニコニコ大会たいかい追ついひつ追ついはれつ（1946)
1950年代ねんだい	女優じょゆうと名めい探偵たんてい（1950) とんかつ大将たいしょう（1952) こんな私わたしじゃなかったに（1952) 新しん東京とうきょう行進曲こうしんきょく（1953) 東京とうきょうマダムと大阪おおさか夫人ふじん（1953) 真実しんじつ一路いちろ（1954) 風船ふうせん（1956) 洲崎すざきパラダイス赤信号あかしんごう（1956) わが町まち（1956) 飢うえる魂たましい（1956) 続ぞく・飢うえる魂たましい（1956) 幕末ばくまつ太陽たいよう傳でん（1957) 暖簾のれん（1958) グラマ島とうの誘惑ゆうわく（1959) 貸間かしまあり（1959)
1960年代ねんだい	人ひとも歩あるけば（1960) 夜よるの流ながれ（1960) 赤坂あかさかの姉妹しまいより夜よるの肌はだ (1960) 特急とっきゅうにっぽん（1961) 女おんなは二に度ど生うまれる（1961) 花影はなかげ（1961) 雁かりの寺てら（1962) 青あおべか物語ものがたり（1962) 箱根山はこねやま（1962) しとやかな獣しし（1962) 喜劇きげきとんかつ一いち代だい（1963) イチかバチか（1963)