流ながれる

流ながれる
監督かんとく	成瀬なるせ巳喜男みきお
脚本きゃくほん	田中たなか澄江すみえ; 井手いで俊郎としお
製作せいさく	藤本ふじもと真澄ますみ
出演しゅつえん者しゃ	田中たなか絹代きぬよ; 山田やまだ五十鈴いすず; 高峰たかみね秀子ひでこ
音楽おんがく	斎藤さいとう一郎いちろう
撮影さつえい	玉井たまい正夫まさお
編集へんしゅう	大井おおい英えい史し
配給はいきゅう	東宝とうほう
公開こうかい	1956年ねん11月20日にち
上映じょうえい時間じかん	117分ふん
製作せいさく国こく	日本にっぽん
言語げんご	日本語にほんご
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流ながれる
作者さくしゃ	幸田こうだ文あや
言語げんご	日本にっぽん
ジャンル	長編ちょうへん小説しょうせつ
発表はっぴょう形態けいたい	雑誌ざっし掲載けいさい
初出しょしゅつ情報じょうほう
初出しょしゅつ	本文ほんぶん参照さんしょう
刊本かんぽん情報じょうほう
刊行かんこう	本文ほんぶん参照さんしょう
受賞じゅしょう
	新潮社しんちょうしゃ文学ぶんがく賞しょう、日本にっぽん芸術げいじゅつ院いん賞しょう
	ウィキポータル文学ぶんがくポータル書物しょもつ
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『流ながれる』（ながれる）は、1955年ねんに雑誌ざっし『新潮しんちょう』に連載れんさいされ、翌年よくねん出版しゅっぱんされた幸田こうだ文あやの小説しょうせつ^[1]。1954年ねんにデビューした幸田こうだの、作家さっかとしての名声めいせいを確立かくりつした傑作けっさくである。自身じしんの体験たいけんを踏ふまえて、華はなやかな花柳かりゅう界かいと零落れいらくする芸者げいしゃ置屋おきやの内実ないじつを描えがききった作品さくひん^[2]。第だい3回かい新潮社しんちょうしゃ文学ぶんがく賞しょう^[3]と第だい13回かい日本にっぽん芸術げいじゅつ院いん賞しょう^[4]を受賞じゅしょうした。ラジオ、テレビ、舞台ぶたいで上演じょうえんされ、また成瀬なるせ巳喜男みきお監督かんとくで映画えいが化かもされた^[5]^[6]^[7]。

小説しょうせつ

物語ものがたりと主おもな登場とうじょう人物じんぶつ

戦後せんごまもないある年としの師走しわす、川かわ沿ぞいの芸者げいしゃ置屋おきや「蔦つたの家いえ」には、老練ろうれんで芸げい達者たっしゃな主人しゅじんと、彼女かのじょの娘むすめの勝代かつよ、姪めいの米子よなごとその娘むすめの不ふ二に子しが住すんでいた。通かよいの芸者げいしゃは最盛さいせい期きには7人にんいたが、今いまは染しみ香が、なゝ子こ、蔦つた次じの3人にんである。しばらく前まえまでいた雪ゆき丸まるは旦那だんなを持もって出でて行いき、なみ江えは借金しゃっきんを踏ふみ倒たおして失踪しっそうしてしまった。そのなみ江えの叔父おじの鋸山のこぎりやま (千葉ちばの鋸山のこぎりやまの石工せっこう)、主人しゅじんの姉あねで米子よなごの母親ははおやの鬼子母神きしもじん（下谷しもたにの鬼子母神きしもじんに住すんでいる高利貸こうりかし）などが頻繁ひんぱんに出入でいりしている。そうした「くろうと」の世界せかいに、「しろうと」である中年ちゅうねんの後家ごけ、梨花りかが住すみ込こみ女中じょちゅうとして勤つとめ始はじめた。「梨花りか」は言いいにくいからと主人しゅじんに「お春はる」と呼よばれるようになる。華はなやかな花柳かりゅう界かいの様々さまざまな出来事できごとが梨花りかの眼めを通とおして淀よどみなく語かたられていくが、梨花りかは大おおみそかに風邪かぜをこじらせ、従姉じゅうしの家いえで静養せいようした。七草ななくさ明あけには回復かいふくして蔦つたの家いえに戻もどり、再ふたたび日常にちじょうが始はじまるが、蔦つたの家いえの凋落ちょうらくは日ひに日ひに明あきらかになっていく。川向かわむこうの料亭りょうていの女将おかみなんどりや、秘書ひしょ役やくの男性だんせい佐伯さいきなどが新あらたに登場とうじょうし、主人しゅじん一家いっかや芸者げいしゃたちの人間にんげん模様もようが赤裸々せきららに綴つづられる^[8]。

背景はいけい

1904年ねん (明治めいじ37) 東京とうきょう府ふ南みなみ葛飾かつしか郡ぐん寺島てらしま村むら（現在げんざいの東京とうきょう都と墨田すみだ区く東向島ひがしむこうじま）に生うまれた幸田こうだ文ぶんは、6歳さいで実母じつぼを亡なくし、継母けいぼはリュウマチがあったため、早はやくから家事かじを行おこなっていた。24歳さいで結婚けっこんし翌年よくねん娘むすめを生うむが、34歳さいの時ときに離婚りこんし娘むすめと共ともに実家じっかへ戻もどった。父ちち・幸田こうだ露伴ろはんから文学ぶんがくの手てほどきを受うけていたが、1947年ねん (昭和しょうわ22) 父ちちが亡なくなると、父ちちの思おもい出でなどを文章ぶんしょうに綴つづり発表はっぴょうしていた。1951年ねん (昭和しょうわ26) 職しょく探さがしをして11月に台東たいとう区く柳橋やなぎはしの芸者げいしゃ置屋おきや「藤ふじさがみ」に住すみ込こみの女中じょちゅうになる。しかし12月下旬げじゅんに体調たいちょうを崩くずし、翌よく1月がつに自宅じたくに戻もどり2カ月かげつ余あまり床ゆかに臥ふせった^[9]。

『流ながれる』ではこうした自身じしんの体験たいけんを軸じくに、幼おさないころから親したしんだ隅田川すみだがわ沿ぞいの風景ふうけいと町並まちなみ、人々ひとびとの暮くらしぶりを背景はいけいにして物語ものがたりが進すすんでいく。幸田こうだ文ぶんは父親ちちおやに関かんする文章ぶんしょうを綴つづっているが、「親おやの血ちだの、筋すじだのといわれると息いきが詰つまって、なにかやたらと謀反むほん気きがおき、何処どこか別べつのところで安気あんきな呼吸こきゅうがしたく、若気わかげのいたりで勤つとめ口ぐちをさがしたのが、川かわを下くだったそこだった」と後のちに記しるしている^[10]。

タイトルの「流ながれる」について作者さくしゃは、「しあはせになつてあちらの方ほうへ遠とおく離はなれて行いくのを見送みおくりつてゐること」のように思おもわれる、と書かいている^[11]。また幼おさないころから川かわに親したしんでいた作者さくしゃは、川かわにかかる橋はしの手前てまえでいつも止とまって周まわりの景色けしきを眺ながめており、「水みずは流ながれるし、橋はしは通つうじるし、「流ながれる」とは題だいしたけれど、橋はし手前てまえのあの、ふとためらふ心しんには強つよく惹ひかれてゐる」とも書かいている^[12]。

発表はっぴょう・出版しゅっぱん年譜ねんぷ

『幸田こうだ文ぶん全集ぜんしゅう第だい23巻かん』所収しょしゅう「著作ちょさく年表ねんぴょう」^[13]及および国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかんNDL-Onlineより編集へんしゅう。

1955年ねん (昭和しょうわ30年ねん) 1月がつ～12月がつ「流ながれる」の題名だいめいで『新潮しんちょう』に11回かいに渡わたり連載れんさい。
1956年ねん (昭和しょうわ31年ねん)
- 2月がつ新潮社しんちょうしゃから単行本たんこうぼん『流ながれる』刊行かんこう。NDL
- 11月新潮しんちょう小説しょうせつ文庫ぶんこ『流ながれる』刊行かんこう。NDL
1957年ねん (昭和しょうわ32年ねん) 12月がつ新潮しんちょう文庫ぶんこ『流ながれる』刊行かんこう。NDL
1958年ねん (昭和しょうわ33年ねん) 以降いこう1988年ねん (昭和しょうわ63年ねん) までの間あいだに、新潮社しんちょうしゃ、中央公論社ちゅうおうこうろんしゃ、筑摩書房ちくましょぼう、角川書店かどかわしょてん、講談社こうだんしゃ、文芸春秋ぶんげいしゅんじゅう、小学館しょうがくかん各社かくしゃが刊行かんこうした文学ぶんがく全集ぜんしゅうに「流ながれる」は所収しょしゅうされた。
1989年ねん (平成へいせい元年がんねん) 10月がつ埼玉さいたま福祉ふくし会かい『流ながれる』 (大だい活字かつじ本ほんシリーズ) 刊行かんこう。NDL
1993年ねん (平成へいせい5年ねん) 6月がつ新潮社しんちょうしゃから新装しんそう版ばん『流ながれる』刊行かんこう。NDL
1995年ねん (平成へいせい7年ねん) 4月がつ岩波書店いわなみしょてん『幸田こうだ文ぶん全集ぜんしゅう第だい5巻かん』に「流ながれる」所収しょしゅう。NDL
2009年ねん (平成へいせい21年ねん) 8月がつ扶桑社ふそうしゃ『文学ぶんがくの器うつわ : 現代げんだい作家さっかと語かたる昭和しょうわ文学ぶんがくの光芒こうぼう』に「流ながれる」所収しょしゅう。NDL
2010年ねん (平成へいせい22年ねん) 12月がつ無双むそう舎しゃ『おとなの国語こくご : 桜さくらの森もりの満開まんかいの下した・他た : 名作めいさく超ちょう訳わけエロチカ』に「流ながれる」所収しょしゅう。NDL
2019年ねん (平成へいせい31年ねん) 3月がつ六ろく花はな出版しゅっぱん『〈新編しんぺん〉日本にっぽん女性じょせい文学ぶんがく全集ぜんしゅう 8』に「流ながれる」所収しょしゅう。NDL

上演じょうえん史し

『幸田こうだ文ぶん全集ぜんしゅう第だい23巻かん』所収しょしゅう「年譜ねんぷ」^[5]より編集へんしゅう。

1956年ねん2月がつ、朝日放送あさひほうそう「パンドラタイム」で4回かいに渡わたりラジオ放送ほうそうされた。出演しゅつえんは山本やまもと安英やすえ、水谷みずたに八重子やえこ、岸田きしだ今日子きょうこ、杉村すぎむら春子はるこ、荒木あらき道子みちこ、東山ひがしやま千栄子ちえこ、中村なかむら伸郎のぶお他た^[14]。
1957年ねん2月がつ、新橋しんばし演舞えんぶ場じょうで新派しんぱ大だい合同ごうどう二に月がつ公演こうえんとして『流ながれる』が上演じょうえんされた。脚本きゃくほん・演出えんしゅつは飯沢いいざわ匡ただし、出演しゅつえんは花柳はなやぎ章太郎しょうたろう、水谷みずたに八重子やえこ他ほか^[11]。
1958年ねん1月がつ、NHKラジオ第だい二に放送ほうそうで「新年しんねん特集とくしゅう」として『流ながれる』が放送ほうそうされた。出演しゅつえんは加藤かとう幸子さちこ、杉村すぎむら春子はるこ、奈良岡ならおか朋子ともこ他た。
1961年ねん2月がつ、東京とうきょうテレビでテレビドラマ『流ながれる』が放映ほうえいされた。出演しゅつえんは乙羽おとわ信子のぶこ、岸田きしだ今日子きょうこ他た。

小説しょうせつ・上演じょうえん史しの脚注きゃくちゅう

^ 『幸田こうだ文ぶん全集ぜんしゅう第だい23巻かん』岩波書店いわなみしょてん、1997.2、pp544, 567-571
^ 「流ながれる」『日本にっぽん文芸ぶんげい鑑賞かんしょう事典じてん近代きんだい名作めいさく1017選せんへの招待しょうたい第だい16巻かん（昭和しょうわ26〜30年ねん）』 pp.247-258、ぎょうせい、1987年ねん
^ 文学ぶんがく賞しょうの世界せかい 2020年ねん6月がつ7日にち閲覧えつらん。
^ 日本にっぽん藝術げいじゅつ院いん賞しょう受賞じゅしょう者しゃ一覧いちらん 2020年ねん6月がつ7日にち閲覧えつらん。
^ ^a ^b 『幸田こうだ文ぶん全集ぜんしゅう第だい23巻かん』pp508-516
^ 「〈流ながれる〉を観みる」『幸田こうだ文ぶん全集ぜんしゅう第だい7巻かん』岩波書店いわなみしょてん、1995.6、pp283-284。初出しょしゅつは1956年ねん11月発行はっこうの新聞しんぶん
^ 「〈流ながれる〉原作げんさく者しゃのことば」『幸田こうだ文ぶん全集ぜんしゅう第だい7巻かん』pp285-286。初出しょしゅつは1956年ねん11月発行はっこうの東宝とうほう映画えいが『流ながれる』宣伝せんでんパンフレット
^ 幸田こうだ文あや『流ながれる』 (新潮社しんちょうしゃ、1956) より編集へんしゅう。
^ 『幸田こうだ文ぶん全集ぜんしゅう第だい23巻かん』pp489-507
^ 「流ながれる」『幸田こうだ文ぶん全集ぜんしゅう第だい19巻かん』、岩波書店いわなみしょてん、1996.6、pp208-212。初出しょしゅつは1970年ねん5月がつ28日にち朝日新聞あさひしんぶん
^ ^a ^b 「流ながれるといふことば」『幸田こうだ文ぶん全集ぜんしゅう第だい8巻かん』、岩波書店いわなみしょてん、1995.7、pp174-175。初出しょしゅつは1957年ねん2月がつ6日にち発行はっこうの新橋しんばし演舞えんぶ場じょうパンフレット
^ 「〈流ながれる〉著者ちょしゃのことば」『幸田こうだ文ぶん全集ぜんしゅう第だい7巻かん』p282。初出しょしゅつは1956年ねん11月がつ刊かんの新潮社しんちょうしゃ小説しょうせつ文庫ぶんこ『流ながれる』表紙ひょうしカバー折おり返かえし掲載けいさいの文ぶん
^ 『幸田こうだ文ぶん全集ぜんしゅう第だい23巻かん』pp543-659
^ 「〈流ながれる〉を聴きく」『幸田こうだ文ぶん全集ぜんしゅう第だい7巻かん』pp279－281。初出しょしゅつは1956年ねん11月11日にち朝日放送あさひほうそう刊かん『ABC』

映画えいが

『流ながれる』は、1956年ねんに公開こうかいされた日本にっぽん映画えいが。製作せいさく、配給はいきゅうは東宝とうほう。モノクロ、スタンダード。　

企画きかく・制作せいさく

ストーリーはほぼ原作げんさくのまま受うけ継つがれている。

この時期じきの成瀬なるせは、前年ぜんねんに公開こうかいされた『浮雲うきぐも』でキャリアの頂点ちょうてんを極きわめていた。他たの作品さくひんでも見みられる、女性じょせいを中心ちゅうしんに人物じんぶつを情感じょうかん豊ゆたかにリアルに描えがく手腕しゅわんは、本ほん作さくでも遺憾いかんなく発揮はっきされた。特とくに本ほん作さくでは、大勢おおぜいの登場とうじょう人物じんぶつそれぞれに明確めいかくな個性こせいを色付いろづけしており、キャスト連れんの迫真はくしんの演技えんぎと相あいまって肉にく厚あつで豪華ごうかな作品さくひんとなっている。

キャストには田中たなか絹代きぬよ、山田やまだ五十鈴いすず、高峰たかみね秀子ひでこという日本にっぽん映画えいが界さかいを代表だいひょうする名めい女優じょゆうを三さん枚まい看板かんばんに擁ようし、岡田おかだ茉莉子まりこ、杉村すぎむら春子はるこ、中北なかきた千枝子ちえこ、賀が原はら夏子なつこらが脇わきを固かためた。さらに日本にっぽん映画えいが史上しじょう初はつのスター女優じょゆうで、当時とうじ既すでに一線いっせんを退しりぞいていた栗島くりしますみ子こが特別とくべつ出演しゅつえんを果はたし、強烈きょうれつな存在そんざい感かんを見みせる重厚じゅうこうな演技えんぎで往時おうじのファンを歓喜かんきさせた。花柳かりゅう界かいという舞台ぶたい設定せっていと合あわせて正まさに「女性じょせいオールスター映画えいが」とも呼よぶべき絢爛けんらん豪華ごうかな顔かおぶれとなっている。男優だんゆうでは宮口みやぐち精二せいじ、加か東大とうだい介かい、仲谷なかたに昇のぼる、佐田さた豊ゆたからが出演しゅつえんしている。スタッフにおいても「成瀬なるせ組ぐみ」の名めいスタッフが結集けっしゅうし、成瀬なるせ映画えいがの真髄しんずいを究きわめた作品さくひんとなっている。

あらすじ

大おおきな川かわの畔ほとりにある置屋おきや「つたの屋や」に新あたらしい女中じょちゅうがやってきた。梨花りかという名なのその女性じょせいは、女おんな主人しゅじんつた奴やつに気きに入いられる。懸命けんめいに「つたの屋や」に尽つくす梨花りかだが、当家とうけには落魄らくはくの臭においが立たち込こめていた。

キャスト

梨花りか（お春はる）：田中たなか絹代きぬよ
つた奴やつ：山田やまだ五十鈴いすず
勝代かつよ：高峰たかみね秀子ひでこ
なな子こ：岡田おかだ茉莉子まりこ
染しみ香が：杉村すぎむら春子はるこ
お浜はま：栗島くりしますみ子こ（特別とくべつ出演しゅつえん）
米子よなご：中北なかきた千枝子ちえこ
高木たかぎ：加か東大とうだい介かい
不ふ二に子し（米子よなごの娘むすめ）：松山まつやまなつ子こ
おとよ：賀が原はら夏子なつこ
なみ江え：泉いずみ千代ちよ
なみ江えの伯父おじ：宮口みやぐち精二せいじ
佐伯さえき（お浜はまの甥おい）：仲谷なかたに昇のぼる
いろどり：南みなみ美江みえ
村松むらまつ：竜りゅう岡おか晋すすむ
白はく雅みやび（中華ちゅうか料理りょうり店てん）：大村おおむら千せん吉きち
医者いしゃ：中村なかむら伸郎のぶお
つる本ほんの女中じょちゅう：音羽おとわ久米子くめこ
乾物かんぶつ屋や主人しゅじん：上田うえだ吉二郎きちじろう
巡査じゅんさ：松尾まつお文人もんと
車屋くるまや：佐田さた豊ゆたか
呉服ごふく屋や：堤つつみ康久やすひさ
：鉄てつ一郎いちろう
乾物かんぶつ屋や店員てんいん：河辺かわべ昌義まさよし
果物くだもの屋や店員てんいん：平凡へいぼん太郎たろう
料亭りょうていの女中じょちゅう：江幡えはた秀子ひでこ
：上野うえの明美あけみ
寿司すし屋やの出前でまえ持もち：加藤かとう茂雄しげお（クレジット表記ひょうき無なし）

スタッフ

製作せいさく：藤本ふじもと真澄ますみ
原作げんさく：幸田こうだ文あや
脚本きゃくほん：田中たなか澄江すみえ、井手いで俊郎としお
音楽おんがく：斎藤さいとう一郎いちろう
撮影さつえい：玉井たまい正夫まさお
美術びじゅつ：中古ちゅうこ智さとし
録音ろくおん：三さん上長じょうちょう七なな郎ろう
照明しょうめい：石井いしい長四郎ちょうしろう
編集へんしゅう：大井おおい英えい史し
チーフ助監督じょかんとく：川西かわにし正義まさよし
製作せいさく担当たんとう者しゃ：島田しまだ武治たけはる
衣裳いしょう考証こうしょう：岩田いわた専太郎せんたろう
清元きよもと指導しどう：清元きよもと梅吉うめきち
特殊とくしゅ撮影さつえい：東宝とうほう技術ぎじゅつ部ぶ
現像げんぞう：光ひかり映うつ新しん社しゃ
監督かんとく：成瀬なるせ巳喜男みきお

エピソード

成瀬なるせからのたっての願ねがいで、19年ねんぶりに映画えいがに登場とうじょうした栗島くりしますみ子こは、撮影さつえいの合間あいまにも大だい女優じょゆうの貫禄かんろくを見みせつけ、成瀬なるせのことを「ミキちゃん」と呼よんでいた。栗島くりしまが「あたしはミキちゃんを信用しんようして来きてんだから。」と、セリフを一切いっさい覚おぼえず現場げんば入いりした事ことは語かたり草ぐさになっている。なお映画えいが界かいへのデビューは成瀬なるせ（の監督かんとくデビュー）が1930年ねん、栗島くりしまが1921年ねんで、年齢ねんれいも栗島くりしまが3歳さい上じょう。

参考さんこう文献ぶんけん

川本かわもと三郎さぶろう「2 消きえゆく芸者げいしゃの美うつくしさ」「3 金きんをめぐる物語ものがたり」『成瀬なるせ巳喜男みきお映画えいがの面影おもかげ』新潮しんちょう選書せんしょ、2014年ねん、ISBN 9784106037603

外部がいぶリンク

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[1] 『幸田こうだ文ぶん全集ぜんしゅう第だい23巻かん』岩波書店いわなみしょてん、1997.2、pp544, 567-571

[2] 「流ながれる」『日本にっぽん文芸ぶんげい鑑賞かんしょう事典じてん近代きんだい名作めいさく1017選せんへの招待しょうたい第だい16巻かん（昭和しょうわ26〜30年ねん）』 pp.247-258、ぎょうせい、1987年ねん

[3] 文学ぶんがく賞しょうの世界せかい 2020年ねん6月がつ7日にち閲覧えつらん。

[4] 日本にっぽん藝術げいじゅつ院いん賞しょう受賞じゅしょう者しゃ一覧いちらん 2020年ねん6月がつ7日にち閲覧えつらん。

[#1-5] 『幸田こうだ文ぶん全集ぜんしゅう第だい23巻かん』pp508-516

[6] 「〈流ながれる〉を観みる」『幸田こうだ文ぶん全集ぜんしゅう第だい7巻かん』岩波書店いわなみしょてん、1995.6、pp283-284。初出しょしゅつは1956年ねん11月発行はっこうの新聞しんぶん

[7] 「〈流ながれる〉原作げんさく者しゃのことば」『幸田こうだ文ぶん全集ぜんしゅう第だい7巻かん』pp285-286。初出しょしゅつは1956年ねん11月発行はっこうの東宝とうほう映画えいが『流ながれる』宣伝せんでんパンフレット

[8] 幸田こうだ文あや『流ながれる』 (新潮社しんちょうしゃ、1956) より編集へんしゅう。

[9] 『幸田こうだ文ぶん全集ぜんしゅう第だい23巻かん』pp489-507

[10] 「流ながれる」『幸田こうだ文ぶん全集ぜんしゅう第だい19巻かん』、岩波書店いわなみしょてん、1996.6、pp208-212。初出しょしゅつは1970年ねん5月がつ28日にち朝日新聞あさひしんぶん

[:0-11] 「流ながれるといふことば」『幸田こうだ文ぶん全集ぜんしゅう第だい8巻かん』、岩波書店いわなみしょてん、1995.7、pp174-175。初出しょしゅつは1957年ねん2月がつ6日にち発行はっこうの新橋しんばし演舞えんぶ場じょうパンフレット

[12] 「〈流ながれる〉著者ちょしゃのことば」『幸田こうだ文ぶん全集ぜんしゅう第だい7巻かん』p282。初出しょしゅつは1956年ねん11月がつ刊かんの新潮社しんちょうしゃ小説しょうせつ文庫ぶんこ『流ながれる』表紙ひょうしカバー折おり返かえし掲載けいさいの文ぶん

[13] 『幸田こうだ文ぶん全集ぜんしゅう第だい23巻かん』pp543-659

[14] 「〈流ながれる〉を聴きく」『幸田こうだ文ぶん全集ぜんしゅう第だい7巻かん』pp279－281。初出しょしゅつは1956年ねん11月11日にち朝日放送あさひほうそう刊かん『ABC』

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表ひょう話はなし編へん歴れき成瀬なるせ巳喜男みきお監督かんとく作品さくひん
1930年代ねんだい	チャンバラ夫婦ふうふ（1930年ねん）純情じゅんじょう（1930年ねん）押切おしきり新婚しんこん記き（1930年ねん）不景気ふけいき時代じだい（1930年ねん）愛あいは力ちからだ（1931年ねん）ねえ興奮こうふんしちゃいやよ（1931年ねん）二に階かいの悲鳴ひめい（1931年ねん）腰辨こしべん頑張がんばれ（1931年ねん）浮気うわきは汽車きしゃに乗のって（1931年ねん）髭ひげの力ちから（1931年ねん）隣となりの屋根やねの下した（1931年ねん）女おんなは袂たもとを御ご用心ようじん（1932年ねん）青空あおぞらに泣なく（1932年ねん）偉えらくなれ（1932年ねん）蝕むしばめる春はる（1932年ねん）チョコレートガール（1932年ねん）生なさぬ仲なか（1932年ねん）菓子かしのある東京とうきょう風景ふうけい（1932年ねん）君きみと別わかれて（1933年ねん）夜よごとの夢ゆめ（1933年ねん）僕ぼくの丸髷まるまげ（1933年ねん）双眸そうぼう（1933年ねん）謹賀きんが新年しんねん（1933年ねん）限かぎりなき鋪道ほどう（1934年ねん）乙女おとめごゝろ三さん人にん姉妹しまい（1935年ねん）女優じょゆうと詩人しじん（1935年ねん）二人ふたり妻つま妻つまよ薔薇ばらのやうに（1935年ねん）サーカス五ご人組にんぐみ（1935年ねん）噂うわさの娘むすめ（1935年ねん）桃中軒とうちゅうけん雲右衛門くもえもん（1936年ねん）君きみと行いく路みち（1936年ねん）朝あさの並木なみき路ろ（1936年ねん）女人にょにん哀愁あいしゅう（1937年ねん）雪崩なだれ（1937年ねん）禍福かふく前まえ篇へん（1937年ねん）禍福かふく後ご篇へん（1937年ねん）鶴づる八はち鶴次郎つるじろう（1938年ねん）はたらく一家いっか（1939年ねん）まごころ（1939年ねん）
1940年代ねんだい	旅役者たびやくしゃ（1940年ねん）なつかしの顔かお（1941年ねん）上海しゃんはいの月つき（1941年ねん）秀子ひでこの車掌しゃしょうさん（1941年ねん）母ははは死しなず（1942年ねん）歌うた行燈あんどん（1943年ねん）愉たのしき哉人生せい（1944年ねん）芝居しばい道どう（1944年ねん）勝利しょうりの日ひまで（1945年ねん）三さん十じゅう三さん間あいだ堂どう通とおし矢や物語ものがたり（1945年ねん）浦島うらしま太郎たろうの後裔こうえい（1946年ねん）俺おれもお前まえも（1946年ねん）四よっつの恋こいの物語ものがたり第だい2話わ（1947年ねん）春はるの目めざめ（1947年ねん）不良ふりょう少女しょうじょ（1949年ねん）
1950年代ねんだい	石いし中ちゅう先生せんせい行状ぎょうじょう記き（1950年ねん）怒いかりの街まち（1950年ねん）白しろい野獣やじゅう（1950年ねん）薔薇ばら合戦かっせん（1950年ねん）銀座ぎんざ化粧けしょう（1951年ねん）舞姫まいひめ（1951年ねん）めし（1951年ねん）お国くにと五平ごへい（1951年ねん）おかあさん（1952年ねん）稲妻いなづま（1952年ねん）夫婦ふうふ（1953年ねん）妻つま（1953年ねん）あにいもうと（1953年ねん）山やまの音おと（1954年ねん）晩ばん菊きく（1954年ねん）浮雲うきぐも（1955年ねん）くちづけ（1955年ねん）驟雨しゅうう（1956年ねん）妻つまの心しん（1956年ねん）流ながれる（1956年ねん）あらくれ（1957年ねん）杏あんずっ子こ（1958年ねん）鰯雲いわしぐも（1958年ねん）コタンの口笛くちぶえ（1959年ねん）
1960年代ねんだい	女おんなが階段かいだんを上のぼる時とき（1960年ねん）娘むすめ・妻つま・母はは（1960年ねん）夜よるの流ながれ（1960年ねん）秋あき立たちぬ（1960年ねん）妻つまとして女おんなとして（1961年ねん）女おんなの座ざ（1962年ねん）放浪ほうろう記き（1962年ねん）女おんなの歴史れきし（1963年ねん）乱みだれる（1964年ねん）女おんなの中なかにいる他人たにん（1966年ねん）ひき逃にげ（1966年ねん）乱みだれ雲くも（1967年ねん）