姉崎あねざき正治しょうじ

姉崎あねざき 正治しょうじ（あねさき　まさはる）

人物じんぶつ情報じょうほう
別名べつめい	姉崎あねざき 潮風しおかぜ（筆名ひつめい） 姉あね嵜 正治しょうじ（異体いたい字じ）
生誕せいたん	(1873-07-25) 1873年ねん7月がつ25日にち 日本にっぽん京都きょうと府ふ
死没しぼつ	1949年ねん7月がつ23日にち(1949-07-23)（75歳さい）
出身しゅっしん校こう	東京とうきょう帝国ていこく大学だいがく
学問がくもん
研究けんきゅう分野ぶんや	宗教しゅうきょう学がく
研究けんきゅう機関きかん	東京とうきょう帝国ていこく大学だいがく
学位がくい	文学ぶんがく博士はかせ

姉崎あねざき 正治しょうじ（あねさき まさはる、1873年ねん〈明治めいじ6年ねん〉7月がつ25日にち - 1949年ねん〈昭和しょうわ24年ねん〉7月がつ23日にち）は、日本にっぽんの宗教しゅうきょう学者がくしゃ、著作ちょさく家か。

『帝国ていこく文学ぶんがく』共同きょうどう創刊そうかん者しゃ、東京とうきょう帝国ていこく大学だいがく宗教しゅうきょう学がく講座こうざ初代しょだい教授きょうじゅ、日本にっぽん宗教しゅうきょう学会がっかい初代しょだい会長かいちょう、無所属むしょぞく倶楽部くらぶ所属しょぞくの貴族きぞく院いん帝国ていこく学士がくし院いん会員かいいん議員ぎいん。号ごうは潮風しおかぜ（ちょうふう）。

経歴けいれき

京都きょうと府ふ生うまれ。父ちちは桂かつら宮家みやけに仕つかえる士族しぞくであった。少年しょうねん期きに仏教ぶっきょう活動かつどう家か平井ひらい金三きんぞうの仏教ぶっきょう系けい英学えいがく塾じゅくオリエンタルホールで英語えいごを学まなぶ。第だい三さん高等こうとう中学校ちゅうがっこうを経へて、1893年ねん、東京とうきょう帝国ていこく大学だいがく哲学てつがく科かに入学にゅうがく。井上いのうえ哲次郎てつじろう、ケーベルについて学まなぶ。1896年ねん、同どう大学だいがく同どう学科がっかを卒業そつぎょうした。

1897年ねんには哲学てつがく館かん（東洋大学とうようだいがく）で「比較ひかく宗教しゅうきょう学がく」を担当たんとう、講義こうぎし、前後ぜんごして、浄土じょうど高等こうとう学院がくいん（大正大学たいしょうだいがく）、東京とうきょう専門せんもん学校がっこう（早稲田大学わせだだいがく）でも講義こうぎを開始かいしした。1900年ねんより三さん年間ねんかん、ドイツ・イギリス・インドに留学りゅうがく。ドイツではパウル・ドイセン、ヘルマン・オルデンベルク、アルブレヒト・ヴェーバー、イギリスではトーマス・ウィリアム・リス・デイヴィッズに東洋とうよう学がくを学まなぶ。1903年ねん、帰国きこく。

1904年ねん、東京とうきょう帝国ていこく大学だいがく教授きょうじゅとなる。1905年ねんには同どう大学だいがく神道しんとう、仏教ぶっきょう、基督教きりすときょうの三さん教きょうの宗教しゅうきょう家か懇談こんだん会かいを主催しゅさいする。また、諸しょ宗教しゅうきょうの相互そうご理解りかいと協力きょうりょく組織そしきの帰一きいつ協会きょうかいにも尽力じんりょくする。ジャパン・レビューにも寄稿きこうした。1914年ねん前後ぜんこう、服部はっとり宇之吉きちとともにハーバード大学だいがくに招聘しょうへいされ、後ごのハーバード燕つばめ京きょう図書館としょかんの蔵書ぞうしょとなる和書わしょを寄贈きぞうした。1923年ねんから1934年ねんには、東京とうきょう帝国ていこく大学だいがく図書館としょかん長ちょうを務つとめ、関東大震災かんとうだいしんさいの被害ひがいに遭あった図書館としょかんの復興ふっこうに尽力じんりょくした。

1933年ねんには、宮中きゅうちゅうの講こう書しょ始はじめの控ひかえに選えらばれ、1935年ねんには正式せいしきに選えらばれた。同年どうねん1月がつ28日にち、昭和しょうわ天皇てんのうに「十じゅう七なな條じょう憲法けんぽうの外国がいこく語ご譯文やくぶん」と題だいして洋書ようしょの進講しんこうを行おこなった。

1939年ねん（昭和しょうわ14年ねん）7月がつ22日にち、補欠ほけつ選挙せんきょで貴族きぞく院いん帝国ていこく学士がくし院いん会員かいいん議員ぎいんに互選ごせんされ、無所属むしょぞく倶楽部くらぶに所属しょぞくし1947年ねん（昭和しょうわ22年ねん）5月がつ2日にちの貴族きぞく院いん廃止はいしまで在任ざいにんした。1949年ねん、脳溢血のういっけつのため死去しきょ。墓所はかしょは鎌倉かまくら市し妙みょう本寺ほんじ。

人物じんぶつ

• 宗教しゅうきょう学者がくしゃとして神道しんとう・インド宗教しゅうきょう（仏教ぶっきょう）・キリスト教きりすときょう・新しん宗教しゅうきょうを研究けんきゅうした。東京とうきょう帝国ていこく大学だいがく宗教しゅうきょう学がく講座こうざ（現げん・宗教しゅうきょう学がく研究けんきゅう室しつ）を開設かいせつ、同どう初代しょだい教授きょうじゅとして日本にっぽんの宗教しゅうきょう学がくの発展はってんの基礎きそを築きずいた。東京大学とうきょうだいがく宗教しゅうきょう学がく研究けんきゅう室しつには、彼かれの写真しゃしんが今いまも飾かざられている。
• 学問がくもん研究けんきゅうの分野ぶんやだけではなく、文人ぶんじんとしても優すぐれた才能さいのうを持もち、帝みかど大だい在学ざいがく中ちゅうには高山樗牛たかやまちょぎゅうらと『帝国ていこく文学ぶんがく』を創刊そうかんした。高山こうざんの死後しご、笹川ささかわ臨風りんぷうとともに『樗ぶな牛うし全集ぜんしゅう』を編集へんしゅうした。盛岡もりおか中学校ちゅうがっこう在学ざいがく中ちゅうの石川いしかわ啄木たくぼくと交流こうりゅうがあり、自みずからの主宰しゅさいする雑誌ざっし『時代じだい思潮しちょう』に啄木たくぼくの詩しを載のせた。ベルリン大学だいがく留学りゅうがく中ちゅうにリヒャルト・ワーグナーの楽劇がくげきに魅みせられ、明治めいじ末期まっきに知識ちしき人じんたちの間あいだにワーグナー・ブームを巻まき起おこした。
• 号ごうの嘲あざけ風ふう（とうふう）は、豆腐とうふ売うりの掛かけ声ごえを聞きいて思おもいついたという。

栄典えいてん

• 1918年ねん（大正たいしょう7年ねん）6月がつ29日にち - 勲くん三さん等とう瑞宝章ずいほうしょう
• 1928年ねん：レジオンドヌール勲章くんしょう受章じゅしょう。

著作ちょさく

単たん著ちょ（日本語にほんご）

• 『印度いんど宗教しゅうきょう史し』 井上いのうえ哲次郎てつじろう校閲こうえつ 金港きんこう堂どう書籍しょせき、1897年ねん
• 『印度いんど宗教しゅうきょう史し考こう:全ちょん』 井上いのうえ哲次郎てつじろう校閲こうえつ 金港きんこう堂どう書籍しょせき、1898年ねん
• 『佛教ぶっきょう聖典せいてん史論しろん』 経世けいせい書院しょいん、1899年ねん
• 『宗教しゅうきょう學がく概論がいろん』 東京とうきょう専門せんもん学校がっこう出版しゅっぱん部ぶ、1900年ねん
• 『上世じょうせい印度いんど宗教しゅうきょう史し』 博文ひろぶみ館かん、1900年ねん
• 『現身うつせみ佛ほとけと法ほう身み佛ほとけ』 有朋ありとも館かん、1904年ねん
• 『復活ふっかつの曙光しょこう』 有朋ありとも館かん、1904年ねん
• 『國運こくうんと信仰しんこう』 弘道こうどう館かん、1906年ねん
• 『花はなつみ日記にっき』 博文ひろぶみ館かん、1909年ねん
• 『根本こんぽん佛教ぶっきょう』 博文ひろぶみ館かん、1910年ねん
• 『宗教しゅうきょうと教育きょういく』 博文ひろぶみ館かん、1912年ねん
• 『法華經ほけきょうの行者ぎょうじゃ日蓮にちれん』 博文ひろぶみ館かん、1916年ねん
• 『大戰たいせんと戰後せんごの新しん局面きょくめん』 博文ひろぶみ館かん、1917年ねん
• 『交戰こうせん國民こくみんの心理しんり状態じょうたい』 博文ひろぶみ館かん、1917年ねん
• 『解説かいせつ要よう本ほん法華經ほけきょうの行者ぎょうじゃ日蓮にちれん』 博文ひろぶみ館かん、1917年ねん
• 『新しん時代じだいの宗教しゅうきょう』 博文ひろぶみ館かん、1918年ねん
• 『現代げんだい青年せいねんの宗教しゅうきょう心しん』 博文ひろぶみ館かん、1918年ねん
• 『社會しゃかい問題もんだいと教育きょういく問題もんだい』 博文ひろぶみ館かん、1918年ねん
• 『世界せかい文明ぶんめいの新しん紀元きげん』 博文ひろぶみ館かん、1919年ねん
• 『宗教しゅうきょう生活せいかつと社會しゃかい問題もんだい』 通俗つうぞく大だい學會がっかい、1919年ねん
• 『社會しゃかいの動搖どうようと精神せいしん的てき覺醒かくせい』 博文ひろぶみ館かん、1920年ねん
• 『少年しょうねん裁判さいばん及監視し制度せいど』 博文ひろぶみ館かん、1922年ねん
• 『物質ぶっしつ文化ぶんかより精神せいしん文化ぶんかへ』 世界せかい思潮しちょう研究けんきゅう会かい、1922年ねん
• 『切支丹きりしたん宗門しゅうもんの迫害はくがいと潜伏せんぷく』 同文どうぶん館かん、1925年ねん
• 『現身うつせみ佛ほとけと法ほう身み佛ほとけ』 前川まえかわ文榮ふみえ閣かく、1925年ねん
• 『切支丹きりしたん禁制きんせいの終末しゅうまつ』 同文どうぶん館かん、1926年ねん

単たん著ちょ（英語えいご）

• 『The four Buddhist āgamas in Chinese : a concordance of thier parts and of the corresponding counterparts in the Pāli nikāyas 』 ケリー&ウォルシュ、1908年ねん
• 『Religious history of Japan : an outline with two appendices on the textual history of the Buddhist scriptures』 1907年ねん初版しょはん
• 『Nichiren:the buddhist prophet』 ハーバード大学だいがく出版しゅっぱん局きょく、1916年ねん
• 『The religious and social problems of the Orient : four lectures given at the University of California under the auspices of the Earl Foundation, Pacific School of Religion』 マクミラン出版しゅっぱん社しゃ、1923年ねん

共編きょうへん

• 『高山樗牛たかやまちょぎゅう全集ぜんしゅう』 齋藤さいとう信しん策さく共編きょうへん 博文ひろぶみ館かん、1904年ねん 増補ぞうほ版ばん、1916年ねん
• 『樗ぶな牛うし全集ぜんしゅう:改訂かいてい註釋ちゅうしゃく』 笹川ささかわ種たね郎ろう共編きょうへん 博文ひろぶみ館かん、1925年ねん

翻訳ほんやく

• エドゥアルト・フォン・ハルトマン『宗教しゅうきょう哲學てつがく』（Religion des Geistes ） 博文ひろぶみ館かん、1898年ねん
• アルトゥル・ショーペンハウアー『意志いしと現げん識としての世界せかい』（Die Welt als Wille und Vorstellung ） 博文ひろぶみ館かん、1910年ねん
• ルイージ・ルツァツチ『信教しんきょうの自由じゆうと學問がくもんの獨立どくりつ』（Liberti di conscienza e di scienza : studi storici del diritto constituzionale） 鈴木すずき宗忠むねただ共ども訳やく 大同だいどう館かん、1915年ねん ※原著げんちょはイタリア語ごであるがこれはドイツ語ご版はんを翻訳ほんやくしたものである。
• ジョージ・アダムス『理想りそう主義しゅぎと現代げんだい文化ぶんか』 （Idealism and the Modern Age） 博文ひろぶみ館かん、1921年ねん

参考さんこう文献ぶんけん

• 『貴族きぞく院いん要覧ようらん（丙へい）』昭和しょうわ21年ねん12月がつ増ぞう訂てい、貴族きぞく院いん事務じむ局きょく、1947年ねん。
• 衆議院しゅうぎいん・参議院さんぎいん編へん『議会ぎかい制度せいど百ひゃく年ねん史し - 貴族きぞく院いん・参議院さんぎいん議員ぎいん名鑑めいかん』大蔵省おおくらしょう印刷いんさつ局きょく、1990年ねん。

関連かんれん項目こうもく

• アルトゥル・ショーペンハウアー
  • 意志いしと現げん識としての世界せかい
• 高山樗牛たかやまちょぎゅう
• パウル・ドイセン
• 花はなまつり - 言葉ことばの起源きげんとされる、1901年ねんにベルリンで催もよおされた「Blumen Fest（ブルーメンフェスト）」の発起人ほっきにんの一人ひとり。

外部がいぶリンク

• 姉崎あねざき正治しょうじ集しゅう　解説かいせつ（著者ちょしゃ：高橋たかはし原げん） - ウェイバックマシン（2009年ねん7月がつ31日にちアーカイブ分ぶん）

公職こうしょく
先代せんだい 和田わだ万吉まんきち	東京とうきょう帝国ていこく大学だいがく附属ふぞく図書館としょかん長ちょう 1923年ねん - 1934年ねん	次代じだい 高柳たかやなぎ賢三けんぞう
学がく職しょく
先代せんだい （新設しんせつ）	日本にっぽん宗教しゅうきょう学会がっかい会長かいちょう 1930年ねん - 1949年ねん	次代じだい 岸本きしもと英夫ひでお
その他たの役職やくしょく
先代せんだい 今沢いまざわ慈海	日本にっぽん図書館としょかん協会きょうかい専務せんむ理事りじ 1926年ねん	次代じだい 今井いまい貫一かんいち 理事りじ長ちょう