(Translated by https://www.hiragana.jp/)
宇宙機のドッキングおよび係留 - Wikipedia コンテンツにスキップ

宇宙うちゅうのドッキングおよび係留けいりゅう

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ISSにドッキングするため慣性飛行して接近するプログレス補給船 カナダ製のロボットアームで係留されようとするドラゴン補給船
ISSにドッキングするため慣性かんせい飛行ひこうして接近せっきんするプログレス補給ほきゅうせん
カナダせいのロボットアームで係留けいりゅうされようとするドラゴン補給ほきゅうせん

宇宙うちゅうのドッキングおよび係留けいりゅううちゅうきのドッキングおよびけいりゅうは、がいして2宇宙うちゅう結合けつごうのことを意味いみする。この結合けつごうとは一時いちじてきなものから、宇宙うちゅうステーション区画くかく結合けつごうのように恒久こうきゅうてきなものまである。

ドッキングとは、とく慣性かんせい飛行ひこうしている2宇宙うちゅう結合けつごう意味いみする[1][2][3][4]。これにたい係留けいりゅう (berthing) は、みずかうごくことのない区画くかくまたは機体きたいを、ロボットアームを使用しようしてもう1宇宙うちゅう結合けつごう配置はいちさせる操作そうさのことである[1][3][4]一方いっぽうはな場合ばあいにおいては、ロボットアームによる作業さぎょう現在げんざいのところ手作業てさぎょう困難こんなんともなうものであるため、緊急きんきゅう乗員じょういん迅速じんそく退避たいひさせるような状況じょうきょうにはてきさないとされている[5]

ドッキングの状態じょうたい[編集へんしゅう]

ドッキングおよび係留けいりゅう結合けつごう状態じょうたいには、「ソフト (暫定ざんていてき)」なものと「ハード (確定かくていてき)」なものがある。一般いっぱんてきにドッキングの操作そうさは、宇宙うちゅうみずからのドッキング装置そうち目標もくひょう機体きたいのものと接触せっしょくさせ、がねをかける「暫定ざんていてきドッキング」から開始かいしされる。暫定ざんていてき接続せつぞく状態じょうたい確保かくほされ双方そうほう宇宙うちゅうあずかされると、「確定かくていてきドッキング」の段階だんかいすすむことができる。ドッキング装置そうち双方そうほう気密きみつ確保かくほし「確定かくていてき」な状態じょうたいになれば、内部ないぶハッチを安全あんぜんけて搭乗とうじょういん貨物かもつ移動いどうできるようになる。

有人ゆうじん宇宙船うちゅうせんのドッキング[編集へんしゅう]

雌雄しゆうがた[編集へんしゅう]

ドッキングおよび係留けいりゅう機構きこうは、機構きこうのどの部分ぶぶん使つかって結合けつごうするかによって、無性むしょうがた有性ゆうせいがたかれる。初期しょき宇宙うちゅう結合けつごう装置そうちは、すべて有性ゆうせいがたのものだった。有性ゆうせいがたとは、結合けつごうする双方そうほう機体きたいがそれぞれ独特どくとく形状けいじょう (『ゆうがたと『めすがた) をち、ドッキングの過程かていにおいて特定とくてい役割やくわりたすという設計せっけいのもので[2]、その役割やくわり交代こうたいすることはできない。さらにゆうゆうめすめすなど、おながたのものは結合けつごうできない。

対照たいしょうてき無性むしょうがたのドッキング (またのちには無性むしょうがた係留けいりゅう) では、双方そうほう機体きたい同型どうけい接合せつごうつ。無性むしょうがた結合けつごうでは接合せつごう単一たんいつ形状けいじょうしかなく、それぞれは自身じしん複製ふくせい結合けつごうすることになる。これによりすべての2宇宙うちゅうあいだ救出きゅうしゅつ作業さぎょう共同きょうどう作業さぎょうができるようになるのはもちろんのこと、機構きこうてき段階だんかいにおける冗長じょうちょうせい (役割やくわり互換ごかんせい) をつことが可能かのうになる。また柔軟じゅうなん飛行ひこう計画けいかくてたり、特殊とくしゅ飛行ひこうをするさい分析ぶんせき訓練くんれん手間てまはぶくことが可能かのうになる[2]

機構きこうおよび系統けいとうのリスト[編集へんしゅう]

画像がぞう 名称めいしょう 方式ほうしき 内部ないぶ移動いどう 注記ちゅうき 形式けいしき
ジェミニ
ドッキング機構きこう
ドッキング 不可能ふかのう ジェミニ宇宙船うちゅうせん (能動のうどう) とアジェナ標的ひょうてき (受動じゅどう) とのドッキングを可能かのうにした。 有性ゆうせいがた
アポロ
ドッキング機構きこう
ドッキング 可能かのう アポロ司令しれい機械きかいせん (能動のうどう) とアポロがつ着陸ちゃくりくせん [6](受動じゅどう) および宇宙うちゅうステーションスカイラブ (受動じゅどう) とのドッキングを可能かのうにした。アポロ・ソユーズテスト計画けいかくでは、ソビエト連邦れんぽうソユーズ7K-TM宇宙船うちゅうせんとドッキングするための接続せつぞく (受動じゅどう) との結合けつごう使用しようされた。移動いどうトンネルの内径ないけいは81センチメートル[7][8] 有性ゆうせいがた
初期しょきがたさがせはり誘導ゆうどうしき
ドッキング機構きこう
(ソ連それん)
ドッキング 不可能ふかのう 初期しょきがたソユーズ「さがせはり誘導ゆうどうしき」ドッキング装置そうちは、ソ連それん宇宙うちゅうステーション計画けいかく準備じゅんびのための技術ぎじゅつてきデータを取得しゅとくする目的もくてきで、ソユーズのだいいち世代せだい7K-OKで1966ねんから1970ねんまで使用しようされた。そこでられたデータはその、ソユーズを改造かいぞうした (当初とうしょソ連それん有人ゆうじんがつ旅行りょこう計画けいかくのために開発かいはつされたものだった) 宇宙うちゅうステーション搬送はんそう使用しようされた[1]

2無人むじんのソユーズによるはつのドッキング (宇宙うちゅう飛行ひこう歴史れきしにおいて、はじめておこなわれた完全かんぜん無人むじんのドッキング) は、1967ねん10月30にちコスモス186ごうと188ごう飛行ひこうおこなわれた。

有性ゆうせいがた
Kontakt
ドッキング機構きこう
ドッキング 不可能ふかのう ソ連それんつき飛行ひこう計画けいかくで、つき周回しゅうかい7K-LOK (能動のうどう) と着陸ちゃくりくせんLK (受動じゅどう) のドッキングで使用しようされる予定よていだった[9] 有性ゆうせいがた
現行げんこうがたさがせはり誘導ゆうどうしき
ドッキング機構きこう
(ロシア)
ドッキング 可能かのう 現行げんこうのロシアしきドッキング機構きこうである「ソユーズさがせはり誘導ゆうどうしきドッキング機構きこうサリュート1がた」は、1971ねん実用じつようされた。

この装置そうちはロシアでは「Sistema Stykovki i Vnutrennego Perekhoda (SSVP)」とばれ、その意味いみするところは「ドッキングおよび内部ないぶ移動いどうのための機構きこう」である[10]。はじめて使用しようされたのはソユーズ10ごうおよびソユーズ11ごう飛行ひこうのときのことで、サリュート1ごうとのあいだ宇宙うちゅう開発かいはつ史上しじょうはつとなる宇宙うちゅうステーションとのドッキングがおこなわれた[1]。この装置そうちはその1980年代ねんだい中頃なかごろ改良かいりょうされ、宇宙うちゅうステーションミールに20トンもの区画くかく結合けつごうできるようになった[10]内部ないぶには内径ないけい80センチメートルの円形えんけい経路けいろがある[3][4][10]

さがせはり誘導ゆうどうしき機構きこうでは、ソユーズ、プログレス補給ほきゅうせん欧州おうしゅう補給ほきゅうなどのさがせはり宇宙うちゅうが、サリュートやミール、国際こくさい宇宙うちゅうステーション (International Space Station, ISS) などに設置せっちされている誘導ゆうどう接続せつぞくこう結合けつごうする。現在げんざい使用しようされている装置そうちはSSVP-G4000とばれ、ISSのズヴェズダピアースミニ・リサーチ・モジュール1ミニ・リサーチ・モジュール2の4カ所かしょ区画くかく設置せっちされている[10]。またさがせはり誘導ゆうどうしき機構きこうは、ISSではじめてげられた区画くかくであるザーリャとミニ・リサーチ・モジュール1との接合せつごうにも使用しようされている[1]

有性ゆうせいがた
無性むしょうがた
ドッキング機構きこう
ドッキング 可能かのう アポロ・ソユーズテスト計画けいかくで、アメリカがわのドッキングよう区画くかくとソユーズ7K-TMのあいだ使用しようされた。そのアメリカがわソ連それんがわ若干じゃっかん設計せっけい変更へんこうはあったが、互換ごかんせい維持いじされた。 無性むしょうがた
APAS-89 ドッキング 可能かのう ミール (クリスタル区画くかく[9][11]およびドッキング区画くかく)、ソユーズTM-16[9][11]ブラン使用しようされた (ブランは計画けいかくのみ)[11]移動いどうようトンネルの内径ないけいは80センチメートル[1][3][4] 無性むしょうがた
(ソユーズTM-16)
有性ゆうせいがた
(クリスタル[12]
ミールドッキング区画くかく[13])
APAS-95 ドッキング 可能かのう スペースシャトル[11]、ISS (ザーリャ、あずかあつ結合けつごう接続せつぞく) で使用しようされる。移動いどうようトンネルの内径ないけいは80センチメートル[1][3][4]製造せいぞうしゃRKKエネルギア本質ほんしつてきにはAPAS-89とおなじものとされている[11] 無性むしょうがた
(シャトルおよびPMA-1[1])
有性ゆうせいがた
(PMA-2およびPMA-3)[1]
ふくごうがた
ドッキング機構きこう
ドッキング 可能かのう ふくあい」の名称めいしょうは、さがせはり誘導ゆうどうしき暫定ざんていてきドッキング機構きこうと、APAS-95の確定かくていてきドッキングのための周縁しゅうえんわせたことに由来ゆらいする。ロシアではSSVP-M8000の名称めいしょう実用じつようされている[10]

ISSではズヴェズダとザーリャ、およびピアースとミニ・リサーチ・モジュール2の、2カ所かしょ結合けつごう使用しようされている[1]

有性ゆうせいがた
共通きょうつう結合けつごう機構きこう 係留けいりゅう 可能かのう ISSのUSセグメント (ロシア以外いがい区画くかく) および多目的たもくてき補給ほきゅうモジュール宇宙うちゅうステーション補給ほきゅうHTV (こうのとり)ドラゴン補給ほきゅうせん [14]シグナス補給ほきゅうせん使用しようされる。標準ひょうじゅんてき共通きょうつう結合けつごう機構きこうかくまる正方形せいほうけい移動いどうようトンネルをち、そのはばは130センチメートルである[4]。シグナスは小型こがたのハッチを使用しようしているため、移動いどうようトンネルは形状けいじょうおなじだがはばは94センチメートルとちいさくなっている[15] 有性ゆうせいがた
中国ちゅうごくしき
ドッキング機構きこう
ドッキング 可能かのう かみぶね宇宙船うちゅうせんで、かみぶね8ごうからはじまる天宮てんぐう1ごう宇宙うちゅうステーションとのドッキング飛行ひこう使用しようされた。中国ちゅうごくのドッキング機構きこうはロシアのAPAS-89とAPAS-95をもとにしており、「ほとんどクローンではないか」とものもいる[1]が、一方いっぽう中国ちゅうごく両者りょうしゃとの類似るいじせいはないと主張しゅちょうしている[16]移動いどうようトンネルの内径ないけいは80センチメートル[17][18]

天宮てんぐう1ごうはじめて使用しようされ、将来しょうらいてき中国ちゅうごく宇宙うちゅうステーション計画けいかく補給ほきゅうせん使用しようされる予定よてい

無性むしょうがた
(かみぶね)
有性ゆうせいがた
(天宮てんぐう1ごう)
NASAドッキング機構きこう ドッキングおよび係留けいりゅう 可能かのう 国際こくさいドッキング接続せつぞくおよび将来しょうらいてきなアメリカの搭乗とうじょう使用しようされる。国際こくさい標準ひょうじゅんドッキング機構きこう基準きじゅん適合てきごう移動いどうようトンネルの内径ないけいは80センチメートル[19] 無性むしょうがた
(商業しょうぎょう宇宙船うちゅうせん
オリオン)
有性ゆうせいがた
(IDA)
国際こくさいてき係留けいりゅうおよび
ドッキング機構きこう
(欧州おうしゅう)
ドッキングおよび係留けいりゅう 可能かのう ヨーロッパのドッキング機構きこうは、大小だいしょう宇宙うちゅうにドッキングや係留けいりゅう能力のうりょくたせるべく計画けいかくされている。

国際こくさいてき係留けいりゅうおよびドッキング機構きこう (International Berthing and Docking Mechanism, IBDM) は国際こくさい標準ひょうじゅんドッキング機構きこう[19]適合てきごうするよう設計せっけいされており、したがって将来しょうらいてきにISSのアメリカがわ設置せっちされる国際こくさいドッキング接続せつぞく互換ごかんせいたせるようになっている[20]移動いどうよう経路けいろ内径ないけいは80センチメートル[19]

アメリカの民間みんかん企業きぎょうシエラ・ネヴァダ・コーポレーション開発かいはつしているドリームチェイサーさい使用しよう可能かのう小型こがた宇宙船うちゅうせんで、ISSに飛行ひこうおよび乗組のりくみいんおくむかえするための候補こうほとされている。欧州おうしゅう宇宙うちゅう機関きかんは、ISSに飛行ひこうするこの新型しんがたがIBDMを搭載とうさいする可能かのうせいがあるとして、シエラしゃ協力きょうりょく開始かいしした[21]

無性むしょうがた

接続せつぞく[編集へんしゅう]

ドッキングあるいは係留けいりゅう接続せつぞくは、ある形式けいしきのドッキングまたは係留けいりゅうのための接続せつぞくを、ことなる形式けいしき接続せつぞく連結れんけつさせることを容易よういにするための機械きかいてきまたは電気でんき機械きかいてき装置そうちである。この接続せつぞく理論りろんてきには「ドッキング – ドッキングがた」「ドッキング – 係留けいりゅうがた」「係留けいりゅう係留けいりゅうがた」の3種類しゅるいがありるが、今日きょうまでに宇宙うちゅう空間くうかん配置はいちされたのは最初さいしょの2種類しゅるいのみである。これまでにげられたものあるいは今後こんごげられる予定よてい接続せつぞくは、以下いかのとおりである:

  • ASTPドッキング区画くかく:アメリカのさがせはり誘導ゆうどうしき装置そうち (アポロドッキング機構きこう) をAPAS-75に結合けつごうさせるもの。1975ねんのアポロ・ソユーズテスト飛行ひこう製造せいぞうされた。
  • あずかあつ結合けつごう接続せつぞく (Pressurized Mating Adapter, PMA):現行げんこう共通きょうつう結合けつごう機構きこうをAPAS-95に結合けつごうさせるもの。ISSには3接続せつぞくされており、PMA-1およびPMA-2は1998ねんにスペースシャトルSTS-88で、PMA-3は2000ねんSTS-92げられた。
  • 国際こくさいドッキング接続せつぞく (International Docking Adapter, IDA)[22]:APAS-95をNASAドッキング機構きこう結合けつごうさせるもの。ISSのハーモニー区画くかく設置せっちされた2カ所かしょのPMAに、それぞれ1のIDAが配置はいちされる予定よていである[23]。IDA-1はスペースXしゃのCRS-7で発射はっしゃされハーモニーの前部ぜんぶPMAにりつけられる予定よていだったが、発射はっしゃ失敗しっぱいわった[22][24]。IDA-2は同社どうしゃのCRS-9でげられ、ハーモニーの上部じょうぶPMAに接続せつぞくされる予定よていである[22][24]。この接続せつぞくは、ISSの国際こくさい共同きょうどう委員いいんかいこころみでさだめられたドッキングのための基準きじゅんである、国際こくさいドッキング機構きこう標準ひょうじゅん適合てきごうするものになる[25]

無人むじん宇宙うちゅうのドッキング[編集へんしゅう]

350871main s125e011810 hires full (cropped&rotated)
2009ねんハッブル宇宙うちゅう望遠鏡ぼうえんきょうりつけられた暫定ざんていてき把持はじ機構きこう (Soft-Capture Mechanism, SCM)。SCMにより、NASAドッキング機構きこう搭載とうさいする有人ゆうじん無人むじん双方そうほうがハッブルとドッキングすることを可能かのうになった。

宇宙うちゅう飛行ひこう歴史れきしにおける最初さいしょの50年間ねんかんにおいて、ドッキングおよび係留けいりゅう飛行ひこう計画けいかくおも目的もくてきのほとんどは飛行ひこう移送いそう宇宙うちゅうステーションの建設けんせつおよび補給ほきゅう、そしてそれらの飛行ひこうのための試験しけんであった (れいコスモス186ごうと188ごうのドッキング)。したがって、一般いっぱんてきにその飛行ひこう計画けいかく参加さんかしている宇宙うちゅうすくなくとも1は「有人ゆうじん」であり、目標もくひょうとされる機体きたいは (たとえば宇宙うちゅうステーションやつき着陸ちゃくりくせんのように) あずかされた居住きょじゅう可能かのう空間くうかんっていた。例外れいがいは (たとえば無人むじんサリュート7ごうにドッキングしたコスモス1443ごうやプログレス23ごう、あるいは無人むじん宇宙うちゅうステーションミールにドッキングしたプログレスM1-5のような) ソ連それん少数しょうすう完全かんぜん無人むじん飛行ひこう計画けいかくのみであった。にはハッブル宇宙うちゅう望遠鏡ぼうえんきょうの5かいにわたる補修ほしゅう計画けいかくにおいて、有人ゆうじんのスペースシャトルがハッブルを係留けいりゅうした飛行ひこうなどが例外れいがいとしてげられる。

しかしながら2015ねん以降いこう経費けいひ削減さくげん重視じゅうしするおおくの無人むじん商業しょうぎょう衛星えいせいによるドッキング計画けいかくはじまることにより、この状況じょうきょうおおきくわることになる。2011ねん初頭しょとうには商業しょうぎょう軌道きどう輸送ゆそうサービスおこなう2つの企業きぎょうが、無人むじん宇宙うちゅう自動じどうまたは遠隔えんかく操作そうさ補給ほきゅうおこなう、新型しんがた無人むじん宇宙うちゅう補給ほきゅう開発かいはつする計画けいかく発表はっぴょうした。特筆とくひつすべきなのは、それらの補給ほきゅうはどちらも、ドッキングあるいは宇宙うちゅう空間くうかん補給ほきゅうされることを前提ぜんてい設計せっけいされたものではない衛星えいせい結合けつごうすることを目標もくひょうにしているということである。

これらのビジネスモデルの運用うんようは、初期しょき段階だんかいでは原則げんそくてき対地たいち同期どうき軌道きどうちか軌道きどう周回しゅうかいすることになるが、おおきなデルタV軌道きどう変更へんこうをするような飛行ひこう見込みこまれている[26]

2007ねんのオービタル・エキスプレス (Orbital Express) 計画けいかくでは、2無人むじん衛星えいせいとドッキングすることが要求ようきゅうされる新型しんがた商業しょうぎょう衛星えいせい補給ほきゅう飛行ひこうについて、すでに2しゃ公表こうひょうしている。オービタル・エキスプレスはアメリカ政府せいふによりすすめられている計画けいかくで、軌道きどうじょう燃料ねんりょう補給ほきゅうしたり部分ぶぶん系統けいとう補充ほじゅうするよう根本こんぽんから設計せっけいされている2衛星えいせい使用しようし、宇宙うちゅう空間くうかん衛星えいせい補給ほきゅう作業さぎょうおこなうことを試験しけんするものである。

  • 宇宙うちゅうインフラサービス (Space Infrastructure Servicing, SIS) はカナダ航空こうくう宇宙うちゅう企業きぎょうマクドナルドしゃ (MacDonald, Dettwiler and Associates) によって開発かいはつされた宇宙うちゅうで、対地たいち同期どうき軌道きどうにある通信つうしん衛星えいせいのための小規模しょうきぼ宇宙うちゅう燃料ねんりょう貯蔵庫ちょぞうことして運用うんようされる。インテルサットしゃ最初さいしょ実証じっしょう衛星えいせい共同きょうどう出資しゅっししゃであり、その衛星えいせい目標もくひょうにすることが契約けいやく必要ひつよう条件じょうけんとなっている。発射はっしゃは2015ねんごろを目標もくひょうとしている[27][28]
  • 飛行ひこう延長えんちょう (Mission Extension Vehicle, MEV)[29]は、航空こうくう宇宙うちゅう企業きぎょうのUSスペースしゃアライアント・テックシステムズしゃが50たい50の出資しゅっしをしている合弁ごうべん企業きぎょうであるヴィヴィサット (ViviSat) しゃによって開発かいはつされた宇宙うちゅうで、宇宙うちゅう空間くうかんにおける小規模しょうきぼ衛星えいせいさい補給ほきゅうとして機能きのうする[26]。MEVはドッキングはするが燃料ねんりょううつえはおこなわず、それよりも目標もくひょう衛星えいせい姿勢しせい制御せいぎょ能力のうりょくあたえるため、自身じしん姿勢しせい制御せいぎょシステム使用しようする予定よていである[26]

SISとMEVはそれぞれことなるドッキング技術ぎじゅつもちいることになる。SISがアポジキックモーター周囲しゅういにリングじょうのアタッチメントをける[30]一方いっぽうで、MEVはいくらか一般いっぱんてきな、キックモーターのノズルのなかさがせはり挿入そうにゅうする方式ほうしきもちいる[26]

無人むじんドッキングのための装置そうちりつけられた宇宙うちゅうもっと有名ゆうめいなものは、ハッブル宇宙うちゅう望遠鏡ぼうえんきょうである。2009ねんのシャトルSTS-125飛行ひこうでは、望遠鏡ぼうえんきょう本体ほんたい後部こうぶ暫定ざんていてき把持はじ機構きこう (Soft-Capture Mechanism, SCM) が設置せっちされた。SCMは寿命じゅみょうむかえたハッブルが軌道きどう離脱りだつするさい無人むじん宇宙うちゅうあずかあつなしのドッキングをするときに使用しようされることになっている。またSCMはオリオンとドッキングする可能かのうせいそなえるため、NASAドッキング機構きこう接続せつぞく互換ごかんせいつように設計せっけいされている[31]。 SCMはランデブーや把持はじ機構きこう複雑ふくざつさを、ハッブルをシャトルで把持はじ補修ほしゅうした5かいにわたる飛行ひこう使用しようされたものと比較ひかくし、大幅おおはば減少げんしょうさせることになる[よう出典しゅってん]。NDSはAPAS-95の機構きこう若干じゃっかん類似るいじせいびてはいるが、互換ごかんせいっていない[32]

協力きょうりょくてきドッキング[編集へんしゅう]

協力きょうりょくてき」とは、一般いっぱんてき意味いみにおける「協力きょうりょくてきではない」ということではなく、ある宇宙うちゅうがそれ自体じたいによる能動のうどうてき機体きたい制御せいぎょけておらず、また宇宙うちゅう捕獲ほかくされることにみずか積極せっきょくてき協力きょうりょくする状態じょうたいにないということを意味いみする。操作そうさ可能かのう姿勢しせい制御せいぎょ装置そうちたない宇宙うちゅう (または宇宙うちゅう飛行ひこうするほか人工じんこう物体ぶったい) とのドッキングは、目的もくてきがその物体ぶったい回収かいしゅうするためであったり、あるいは制御せいぎょされた大気圏たいきけんさい突入とつにゅうはじめるためであるにしても、ときとして実行じっこうする価値かちつものである。協力きょうりょくてき宇宙うちゅうとのドッキングの技術ぎじゅつ理論りろんについては、これまでにいくつかの提案ていあんされている[33]。しかしながら機能きのう停止ていしおちいった宇宙うちゅうステーション、サリュート7ごう補修ほしゅうしたソユーズT-13飛行ひこうという唯一ゆいいつ例外れいがいのぞき、宇宙うちゅう飛行ひこうのこれまでの50ねん歴史れきしにおいてすべての宇宙うちゅうのドッキングは、2006ねん現在げんざいいたるまで関連かんれんする双方そうほう宇宙うちゅうがどちらも操縦そうじゅうされ、自動じどうもしくは遠隔えんかく操作そうさ制御せいぎょされているという状況じょうきょうなか達成たっせいされてきた[33]。だが2007ねんおこなわれたある試験しけん飛行ひこうでは、制御せいぎょされた宇宙うちゅうのロボットアームを使用しようし、協力きょうりょくてき衛星えいせい把持はじするというはつ実験じっけんおこなわれた[34]協力きょうりょくてき衛星えいせい自律じりつてき捕獲ほかくする付加ふかてき飛行ひこう計画けいかく維持いじするための研究けんきゅうおよび具体ぐたい作業さぎょうは、今後こんごすう年間ねんかんつづけられる[35][36]

宇宙うちゅうステーションサリュート7ごう回収かいしゅう計画けいかく[編集へんしゅう]

1978年発行のソ連の郵便切手に描かれるウラジーミル・ジャニベコフ船長 (左) とオレグ・マカロフ飛行士 (右) サリュート6号の飛行を記念した切手に描かれるヴィクトル・サヴィヌイフ博士とウラジーミル・コワリョーノク
1978ねん発行はっこうソ連それん郵便ゆうびん切手きってえがかれるウラジーミル・ジャニベコフ船長せんちょう (ひだり) とオレグ・マカロフ飛行ひこう (みぎ)
サリュート6ごう飛行ひこう記念きねんした切手きってえがかれるヴィクトル・サヴィヌイフ博士はかせウラジーミル・コワリョーノク

作家さっかのデヴィッド・ポートリー (David S. F. Portree) は、史上しじょう10番目ばんめ宇宙うちゅうステーションであるサリュート7ごうソユーズT-13のドッキングを「宇宙うちゅう空間くうかんでの修理しゅうり歴史れきしにおいてもっと印象いんしょうてき偉業いぎょうのひとつ」としてえがいている[9]太陽たいよう電池でんち遠隔えんかく装置そうち故障こしょうしたことにより、サリュートは管制かんせいセンターに異常いじょう発生はっせいしたことを報告ほうこくできないまま自動じどう飛行ひこうつづけていた。1985ねん2がつ通常つうじょう電池でんちざんりょうきると、突如とつじょとしてステーションからの通信つうしんがとだえた。これによりその飛行ひこうのスケジュールがおおきく支障ししょうをきたしたため、ロシアの軍人ぐんじんウラジーミル・ジャニベコフ [37]工学こうがく航空こうくう機関きかんヴィクトル・サヴィヌイフ [38]応急おうきゅう修理しゅうりかうことがめいじられた。

ソ連それん時代じだいふくむロシアのすべての宇宙うちゅうステーションは、自動じどうのランデブーおよびドッキングシステムを採用さいようしている。これはIGLAを搭載とうさいしていたサリュート1ごうから、クルス搭載とうさいする現在げんざいのISSのロシア区画くかくいたるまで継続けいぞくしている。T-13の飛行ひこうらは、サリュート7ごうがランデブーに必要ひつようなレーダー電波でんぱや、遠隔えんかく測定そくていのための情報じょうほう一切いっさい発信はっしんしていないことを確認かくにんした。さらに接近せっきんして回転かいてんするサリュートを外部がいぶから観察かんさつした結果けっか携帯けいたいしきのレーザー距離きょり測定そくてい使用しようして接近せっきんすることを決断けつだんした。

ジャニベコフは、サリュートの前部ぜんぶドッキング装置そうち目標もくひょうさだめた。機体きたい操作そうさしサリュートの回転かいてんにソユーズを同期どうきさせ、暫定ざんていてきなドッキングに成功せいこうする。その確定かくていてきドッキング状態じょうたい確保かくほすると、かれらはステーションの電気でんき系統けいとうがすべて停止ていししていることを確認かくにんした。ハッチをけるのに先立さきだち、ジャニベコフとサヴィヌイフが船内せんない空気くうきをサンプリングすると、なに異常いじょう確認かくにんされなかった。りょう毛皮けがわ裏地うらじのついた防寒ぼうかんつつんで酷寒こっかんのサリュートに侵入しんにゅうし、修理しゅうり開始かいしした。1週間しゅうかん以内いないにシステムは動作どうさ回復かいふくし、無人むじん補給ほきゅうせんがドッキングできるまでになった。ただし船内せんない空気くうき正常せいじょうもどるまでには、さらに2ヶ月かげつちかくかかった[9]

協力きょうりょくてき宇宙うちゅう飛行ひこうたいへの無人むじんドッキング[編集へんしゅう]

オービタル・エキスプレス:アストロ (ASTRO, ひだり) とネクストサット (NEXTSat, みぎ)。2007ねん

協力きょうりょくてきランデブーと捕獲ほかく技術ぎじゅつはすでに理論りろんされており、オービタル・エキスプレス (Orbital Express) 衛星えいせい実験じっけんでは、軌道きどうじょう無人むじん宇宙うちゅうとドッキングすることに成功せいこうしている[34]

この問題もんだい解決かいけつするための代表だいひょうてき方法ほうほうには、2つの段階だんかいがある。だい1段階だんかいでは、目標もくひょうとする宇宙うちゅうとの相対そうたい速度そくどがゼロになるまで、追跡ついせきするほうの宇宙うちゅうにおいて姿勢しせい制御せいぎょ軌道きどう変更へんこうおこなわれる。だい2段階だんかいでは、通常つうじょう協力きょうりょくてき宇宙うちゅうとのあいだおこなわれるのとおなじドッキング操作そうさ開始かいしされる。この場合ばあい双方そうほう宇宙うちゅう規格きかくされたドッキング装置そうち装備そうびしていることが前提ぜんていとなっている [39]

NASAはすでに、自動じどう自律じりつランデブーとドッキングとはなにであるかということを定義ていぎしている。それによれば、「人間にんげんによるコントロールから独立どくりつし、またのバックアップもなく飛行ひこうしている2宇宙うちゅうをランデブーおよびドッキングさせる能力のうりょく」のことで、センサー、ソフトウェア、リアルタイムの軌道きどう追跡ついせき機体きたい制御せいぎょなどの技術ぎじゅつてき進歩しんぽが、その課題かだいなかでもとく要求ようきゅうされるものである。またそれは「軌道きどうじょうでの燃料ねんりょう貯蔵ちょぞう補給ほきゅうのような能力のうりょく最終さいしゅうてき到達とうたつ目標もくひょう」であり、飛行ひこう必要ひつよう部品ぶひんてたりする惑星わくせいあいだ飛行ひこうのような複雑ふくざつ任務にんむ遂行すいこうするじょうでも必要ひつよう不可欠ふかけつ技術ぎじゅつである[40]

自動じどう自律じりつランデブーおよびドッキング (The Automated/Autonomous Rendezvous & Docking Vehicle, ARDV) は、NASAが一般いっぱん公募こうぼした宇宙うちゅう開発かいはつ研究けんきゅう課題かだいセンテニアル・チャレンジのひとつであり、はやくも2014ねんか2015ねんには飛行ひこうする。この計画けいかくにおけるNASAの重要じゅうよう目標もくひょうのひとつは、自動じどうランデブーおよびドッキングの技術ぎじゅつ発達はったつさせ、それを実証じっしょうすることである。2010ねん検討けんとうでは、接近せっきん作業さぎょうようレーザーセンサーの開発かいはつ計画けいかく重要じゅうよう課題かだいのひとつとしてさだめられた。このセンサーは、協力きょうりょくてき機体きたいたいして1キロメートルから1メートルまでの距離きょり使用しようされる。また協力きょうりょくてき衛星えいせいたいするドッキング機構きこう開発かいはつも、そのような自律じりつてき飛行ひこう成功せいこうさせるためのきわめて重要じゅうよう要素ようそであるとされている[40]

協力きょうりょくてき宇宙うちゅう飛行ひこうたい捕獲ほかくおよびそれとの連結れんけつは、2010ねん発表はっぴょうされたNASAの「遠隔えんかく操作そうさロボットおよび自律じりつてきシステムにかんするロードマップ」においても、さい重要じゅうよう技術ぎじゅつ課題かだいとして定義ていぎされている [41]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c d e f g h i j k ISS Interface Mechanisms and their Heritage”. Houstan, Texas: Boeing (2011ねん1がつ1にち). 2015ねん3がつ31にち閲覧えつらん。 “ドッキングは、接近せっきんしてくるある1宇宙うちゅう宇宙うちゅうとランデブーをし、接合せつごう部分ぶぶん機器きき整列せいれつさせわせるための制御せいぎょされた衝突しょうとつ軌道きどう飛行ひこうするさい発生はっせいする。宇宙うちゅうのドッキングの手順てじゅんは、一般いっぱんてきに「ソフト・キャプチャー (やわらかい捕獲ほかく)」とばれる作業さぎょうからはいり、つぎ負荷ふか減衰げんすいさせる段階だんかいつづき、最後さいご両機りょうき気密きみつてき結合けつごう達成たっせいさせる。これにたい係留けいりゅうでは、接近せっきんする宇宙うちゅうがロボット・アームで把持はじされ (つかまれ)、その結合けつごう装置そうち静止せいししているほうの宇宙うちゅう結合けつごう装置そうちちかづけられる。そのあとに捕獲ほかく工程こうていうつり、強制きょうせいてき宇宙うちゅう整列せいれつさせ構造こうぞうてき結合けつごうさせる。”
  2. ^ a b c International Docking Standardization” (PDF). NASA. p. 15 (2009ねん3がつ17にち). 2011ねん3がつ4にち閲覧えつらん。 “ドッキング:2分離ぶんりした慣性かんせい移動いどうする宇宙うちゅう結合けつごうまたは一体化いったいか
  3. ^ a b c d e Fehse, Wigbert (2003). 宇宙うちゅう自動じどうされたランデブーとドッキング. Cambridge, UK: Cambridge University Press. ISBN 0521824923 
  4. ^ a b c d e f Advanced Docking/Berthing System - NASA Seal Workshop” (PDF). NASA. p. 15 (2004ねん11月4にち). 2011ねん9がつ22にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2011ねん3がつ4にち閲覧えつらん。 “係留けいりゅうは、みずかうごくことのない区画くかくまたは機体きたいを、遠隔えんかく操作そうさシステムを使用しようして結合けつごう部分ぶぶん配置はいちさせる操作そうさのことである。ドッキングでは、宇宙うちゅうみずからの推進すいしん装置そうち使用しようして結合けつごう部分ぶぶん移動いどうする。”
  5. ^ http://www.nasaspaceflight.com/2015/02/astronauts-spacewalk-re-wire-iss-commercial-crew/
  6. ^ History of U.S. Docking Systems (10/05/2010) Archived 2011ねん5がつ24にち, at the Wayback Machine.
  7. ^ Apllo 9 Press Kit”. NASA. pp. 43 (1969ねん2がつ23にち). 2015ねん3がつ17にち閲覧えつらん。 “トンネルの内径ないけいは81センチメートルで、飛行ひこう宇宙うちゅうふくあずかされた状態じょうたいあるいはされていない状態じょうたい着用ちゃくようし、司令しれいせん着陸ちゃくりくせんあいだ移動いどうするために使用しようされた。”
  8. ^ Harland, David (2011). Apollo 12 - On the Ocean of Storms: On the Ocean of Storms. New York: Springer. pp. 138 
  9. ^ a b c d e Portree, David (1995ねん3がつ). “Mir Hardware Heritage”. NASA. 2009ねん8がつ3にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2011ねん12月11にち閲覧えつらん
  10. ^ a b c d e Docking Systems”. RussianSpaceWeb.com. 2012ねん9がつ2にち閲覧えつらん
  11. ^ a b c d e Bart Hendrickx & Bert Vis (2007). Energiya-Buran: The Soviet Space Shuttle. Chichester, UK: Praxis Publishing Ltd. pp. 379–381. ISBN 978-0-387-69848-9. https://books.google.co.jp/books?id=VRb1yAGVWNsC&dq=%22APAS-95%22+nasa&source=gbs_navlinks_s&redir_esc=y&hl=ja. "ソ連それんばんスペースシャトルとばれるブラン宇宙うちゅうステーションにけて飛行ひこうする場合ばあいには、貨物かもつしつ前方ぜんぽうにドッキング装置そうち搭載とうさいすることになっていた。装置そうち直径ちょっけい2.55メートルの球状きゅうじょう直径ちょっけい2.2メートルの円筒えんとうがたのトンネルをりつけた形状けいじょうをしており、またトンネルのさきには1975ねんのアポロ・ソユーズテスト飛行ひこうのためにNPO Energiyaによって開発かいはつされたAPAS-75の改良かいりょうがたである、APAS-89無性むしょうがたドッキング装置そうち設置せっちされていた (Page 141)。この計画けいかく無人むじんのブランをミールにけて発射はっしゃし、クリスタル区画くかくのAPAS-89ドッキング装置そうち結合けつごうさせるというものであった (Page 246)。1980年代ねんだい後半こうはんには、NPO EnergiyaはAPAS-89を搭載とうさいした3のソユーズ宇宙船うちゅうせん (製造せいぞう番号ばんごう101、102、103) を製造せいぞうするよう命令めいれいされていた (Page 246)。101号機ごうきはソユーズTM-16として1993ねん1がつ発射はっしゃされ、ゲンナジー・マナコフおよびアレクサンドル・ポレシチュークりょう飛行ひこうをミールにおくった。APAS-89を搭載とうさいしたソユーズとしては、TM-16はクリスタル区画くかくとドッキングした唯一ゆいいつ機体きたいであった。ソユーズ「救出きゅうしゅつせん」として一部いちぶてられた102号機ごうきと103号機ごうきはそのさがせはりドッキング装置そうち搭載とうさいした通常つうじょうのソユーズにあらためられ、あらたに製造せいぞう番号ばんごうあたえられた (Page 249)。NASAはスペースシャトルのミールへの飛行ひこう支援しえんするため、軌道きどうせんドッキング機構きこう(Orbiter Docking System, ODS) の開発かいはつ1992ねん7がつ開始かいしした。ODSはシャトルの貨物かもつしつ最前さいぜん搭載とうさいされ、気密きみつしつ支持しじ構造こうぞう、APASで構成こうせいされていた。このうち気密きみつしつ支持しじ構造こうぞうはロックウェルしゃ製造せいぞうされたが、APASはRKK Energiyaが製作せいさくした。EnergiyaにおけるシャトルようAPASの製造せいぞう番号ばんごうはAPAS-95だったが、これはブランようのAPAS-89と本質ほんしつてきにはおなじものだった。ODSはそのISSようのものではわずかに改良かいりょうされたが、APASの部分ぶぶん変更へんこうされなかった (Page 380)。" 
  12. ^ Kristall module (77KST) at a glance”. 2016ねん3がつ16にち閲覧えつらん
  13. ^ Space Shuttle Mission STS-74 Press Kit”. NASA. 2011ねん12月28にち閲覧えつらん。 “アトランティスは、上下じょうげ多目的たもくてき無性むしょうがたのドッキング装置そうち搭載とうさいしたロシアせいのドッキング区画くかくはこぶことになる。”
  14. ^ Tests of new Dragon systems to begin minutes after launch, Stephen Clark, Spaceflight Now, 2012-05-21, accessed 2012-050-22.
  15. ^ Cygnus Pressurized Cargo Module Completes Proof-Pressure Testing”. Orbital Sciences (2010ねん8がつ). 2013ねん4がつ17にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2015ねん3がつ16にち閲覧えつらん。 “シグナスのあずかあつ貨物かもつ区画くかく現行げんこうのISSのUSセグメントのハッチと酷似こくじしているが、はばは37インチでISSの50インチのものより若干じゃっかんちいさくなっている。”
  16. ^ China’s First Space Station Module Readies for Liftoff”. Space News (2012ねん8がつ1にち). 2012ねん9がつ3にち閲覧えつらん
  17. ^ Differences between Shenzhou-8 and Shenzhou-7”. CCTV (2011ねん10がつ31にち). 2015ねん3がつ17にち閲覧えつらん。 “かみぶね8ごう天宮てんぐう1ごう内径ないけい800ミリの円筒えんとうがた経路けいろむすばれるだろう。”
  18. ^ Clark, Stephen (2012ねん6がつ18にち). “Chinese astronauts open door on orbiting research lab”. Spaceflight Now. 2015ねん3がつ17にち閲覧えつらん。 “けいは31インチのせま通路つうろただよいながら天宮てんぐう1ごうなかみちびかれていった”
  19. ^ a b c International Docking System Standard (Rev. C ed.). (November 20, 2013). オリジナルの2013ねん12月16にち時点じてんにおけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20131216200055/http://internationaldockingstandard.com/download/IDSS_IDD_Rev_C_11_22_13_FINAL.pdf 
  20. ^ Status of Human Exploration and Operations Mission Directorate (HEO)”. NASA (2013ねん7がつ29にち). 2014ねん3がつ19にち閲覧えつらん
  21. ^ QinetiQ Space Wins ESA Contract for International Berthing Docking Mechanism”. http://spaceref.biz/company/qinetiq-space-wins-esa-contract-for-international-berthing-docking-mechanism.html. 2016ねん3がつ18にち閲覧えつらん
  22. ^ a b c Hartman, Dan (2012ねん7がつ23にち). “International Space Station Program Status”. NASA. 2012ねん8がつ10日とおか閲覧えつらん
  23. ^ Lupo, Chris (2010ねん6がつ14にち). “NDS Configuration and RequirementsChanges since Nov 2010”. NASA. 2011ねん8がつ14にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2011ねん8がつ22にち閲覧えつらん
  24. ^ a b Hartman, Daniel (2014ねん7がつ). “Status of the ISS USOS”. NASA Advisory Council HEOMD Committee. 2014ねん10がつ26にち閲覧えつらん
  25. ^ Bayt, Rob (2011ねん7がつ26にち). “Commercial Crew Program: Key Drving Requirments Walkthrough”. NASA. 2012ねん3がつ28にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2011ねん7がつ27にち閲覧えつらん
  26. ^ a b c d Morring, Frank, Jr. (2011ねん3がつ22にち). “An End To Space Trash?”. Aviation Week. http://www.aviationweek.com/aw/generic/story.jsp?id=news/awst/2011/03/21/AW_03_21_2011_p23-297586.xml&headline=An%20End%20to%20Space%20Trash?&channel=awst 2011ねん3がつ21にち閲覧えつらん. "USスペースしゃとアライアント・テックシステムズしゃが50たい50の出資しゅっしをする新規しんき合弁ごうべん企業きぎょうViviSatしゃは、衛星えいせいさい補給ほきゅう商用しょうよう開発かいはつしている。この機体きたいはMDAのように目標もくひょう衛星えいせいおなじprobe-in-the-kick-motorを使つかって接触せっしょくするが、燃料ねんりょう補給ほきゅうおこなわない。わりにこの機体きたいあたらしい燃料ねんりょうタンクとなり、目標もくひょう衛星えいせい姿勢しせい制御せいぎょ能力のうりょくあたえるために自身じしん推進すいしん使用しようする。...ViviSatの構想こうそうはMDAほどすすんではいない。...燃料ねんりょうきた衛星えいせい寿命じゅみょうばすことにくわえ、同社どうしゃはAEHF-1衛星えいせいのように燃料ねんりょう搭載とうさいした宇宙うちゅうてい軌道きどうでドッキングし、ただしい軌道きどうせるために自身じしんのロケットと燃料ねんりょう使つかって救済きゅうさいし、その目標もくひょう移動いどうすることもできた。" 
  27. ^ Intelsat Picks MacDonald, Dettwiler and Associates Ltd. for Satellite Servicing”. press release. CNW Group. 2011ねん3がつ15にち閲覧えつらん。 “MDAは宇宙うちゅうインフラサービス (Space Infrastructure Servicing, "SIS") の機体きたい対地たいち同機どうきてい軌道きどうげることを計画けいかくしており、そこで追加ついか燃料ねんりょう軌道きどう修正しゅうせいまたはその補修ほしゅう必要ひつようとしている商用しょうようあるいは政府せいふ衛星えいせいたいし、補給ほきゅうおこなうことになる。...MDAとインテルサットは、双方そうほう計画けいかく実行じっこう段階だんかい認可にんかするまえに、今後こんご6ヶ月かげつあいだ詳細しょうさい必要ひつよう条件じょうけんめるべく協力きょうりょくする。はつさい補給ほきゅう飛行ひこうは、実行じっこう段階だんかい開始かいし以降いこう3ねんはん可能かのうになる予定よていである。...この合意ごういにおいてMDAからインテルサットに供給きょうきゅうされる補給ほきゅうは、2おく8000まんあめりかドル以上いじょう価値かちがある。”
  28. ^ de Selding, Peter B. (2011ねん3がつ14にち). “Intelsat Signs Up for Satellite Refueling Service”. Space News. http://www.spacenews.com/satellite_telecom/intelsat-signs-for-satellite-refueling-service.html 2011ねん3がつ15にち閲覧えつらん. "もしMDAの機体きたい計画けいかくどおりに機能きのうすれば、インテルサットはMDAに総額そうがくで2おくドルほどを支払しはらうことになる。これは4から5衛星えいせいが、それぞれ200キログラムちかくの燃料ねんりょう補給ほきゅうされることを仮定かていしている。" 
  29. ^ ViviSat Corporate Overview”. company website. ViviSat. 2011ねん3がつ28にち閲覧えつらん
  30. ^ de Selding, Peter B. (2011ねん3がつ18にち). “Intelsat Signs Up for MDA’s Satellite Refueling Service”. Space News. オリジナルの2012ねん3がつ21にち時点じてんにおけるアーカイブ。. https://archive.is/20120321160118/http://www.sbv.spacenews.com/satellite_telecom/110318intelsat-signs-for-mdas-satellite-refueling-service.html 2011ねん3がつ20日はつか閲覧えつらん. "燃料ねんりょう供給きょうきゅうには40種類しゅるい以上いじょうもの方法ほうほうがあり ... SISは現在げんざい静止せいし軌道きどうじょうにある衛星えいせい搭載とうさいされている燃料ねんりょう系統けいとうの、75パーセントをけるのに十分じゅうぶん機器ききはこぶことになる。... MDAはSISの補給ほきゅう発射はっしゃする。その機体きたいはインテルサットの衛星えいせいとランデブーしドッキングし、自身じしん衛星えいせいのアポジ・ブーストモーターの周囲しゅういにあるリングにりつけられる。地上ちじょうのスタッフに操作そうさされながら、SISのロボットアームはアポジ・モーターのノズルをとおして衛星えいせい燃料ねんりょうキャップをさがて、まわける。SIS契約けいやくしたりょう燃料ねんりょう補給ほきゅうえると、キャップを飛行ひこうかう。... この計画けいかくではすうじゅうもの衛星えいせい燃料ねんりょうさい補給ほきゅうするため、SISに把持はじされる交換こうかんよう燃料ねんりょうかん使用しようされる。ビジネスのかぎは、MDAが期限きげん年内ねんないにどれだけの燃料ねんりょうかんげられるかにかかっている。これらの燃料ねんりょうかんはSISの機体きたいよりも十分じゅうぶんかるいため、経費けいひ十分じゅうぶんやすくなる。" 
  31. ^ NASA (2008ねん). “The Soft Capture and Rendezvous System”. NASA. 2009ねん5がつ22にち閲覧えつらん
  32. ^ Parma, George (2011ねん5がつ20日はつか). “Overview of the NASA Docking System and the International Docking System Standard”. NASA. 2011ねん10がつ15にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2012ねん4がつ11にち閲覧えつらん
  33. ^ a b Ma, Zhanhua; Ma, Ou and Shashikanth, Banavara (October 2006). “Optimal Control for Spacecraft to Rendezvous with a Tumbling Satellite in a Close Range”. Proceedings of the 2006 IEEE/RSJ International Conference on Intelligent Robots and Systems: 4109–4114. オリジナルの2013ねん6がつ5にち時点じてんにおけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20130605184656/http://mae.nmsu.edu/~oma/Papers/Paper_Optimal_Ctrl_IROS06.pdf 2011ねん8がつ9にち閲覧えつらん. "軌道きどうじょうにある衛星えいせい補給ほきゅうするうえにおいてもっともやりがいのある課題かだいのひとつは、回転かいてん運動うんどうをしている衛星えいせいのように協力きょうりょくてき衛星えいせいとランデブーし、それを捕獲ほかくすることである。" 
  34. ^ a b Clark, Stephen (2007ねん7がつ4にち). “In-space satellite servicing tests come to an end”. Spaceflight Now. http://spaceflightnow.com/news/n0707/04orbitalexpress/ 2014ねん3がつ20日はつか閲覧えつらん 
  35. ^ Xu, Wenfu (September 2010). “Autonomous rendezvous and robotic capturing of non-cooperative target in space”. Robotica 28 (5): 705–718. doi:10.1017/S0263574709990397. http://journals.cambridge.org/action/displayAbstract?fromPage=online&aid=7871150&fileId=S0263574709990397 2014ねん11月16にち閲覧えつらん. 
  36. ^ Yoshida, Kazuya (2004). “Dynamics, control and impedance matching for robotic capture of a non-cooperative satellite”. Advanced Robotics 18: 175–198. doi:10.1163/156855304322758015. http://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1163/156855304322758015#.VGjL1sl5UyM. 
  37. ^ Dzhanibekov”. Astronautix.com. 2013ねん8がつ5にち閲覧えつらん
  38. ^ Savinykh”. Astronautix.com. 2013ねん8がつ5にち閲覧えつらん
  39. ^ Optimal Control of Rendezvous and Docking with a Non-Cooperative Satellite”. New Mexico State University. 2013ねん6がつ5にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2011ねん7がつ9にち閲覧えつらん。 “現在げんざい研究けんきゅうのほとんどと過去かこおこなわれたすべての飛行ひこうは、非常ひじょう協力きょうりょくてき衛星えいせいのみを捕獲ほかくすることを目標もくひょうにしていた。将来しょうらいてきには、宇宙うちゅう空間くうかん回転かいてんしていたり捕獲ほかくされることを前提ぜんてい設計せっけいされていないような、協力きょうりょくてき衛星えいせい把持はじする必要ひつようてくるかもしれない。
  40. ^ a b Tooley, Craig (2010ねん5がつ25にち). “A New Space Enterprise of Exploration”. NASA. 2012ねん6がつ25にち閲覧えつらん
  41. ^ Ambrose, Rob (2010ねん11月). “Robotics, Tele-Robotics and Autonomous systems Roadmap (Draft)”. NASA. 2012ねん6がつ25にち閲覧えつらん。 “ロボット宇宙うちゅうのためのよりちいさな共通きょうつうドッキング機構きこうも、それらの機構きこう捕獲ほかく能力のうりょくないにあるロボット宇宙うちゅうとの自律じりつてきランデブーおよびドッキングを可能かのうにするために必要ひつようとされている。地球ちきゅう周回しゅうかいてい軌道きどうえる探査たんさ飛行ひこうのために使用しようされる大型おおがた宇宙うちゅうやロケットのてには、現在げんざい使用しようされあるいは開発かいはつされているあらゆるドッキング機構きこうえる、これまでにない把持はじ能力のうりょくあたらしい機構きこう要求ようきゅうされる。把持はじ装置そうちやドッキング機構きこうのような捕獲ほかくされるための手段しゅだんたない協力きょうりょくてき目標もくひょうの、自律じりつロボットによる把持はじ開発かいはつ試験しけんが、衛星えいせい補給ほきゅう救出きゅうしゅつ支援しえんするために必要ひつようとされている。

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]