もりやぶはなれ

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(しゅはり)は、日本にっぽん茶道さどう武道ぶどうなどの芸道げいどう芸術げいじゅつにおける師弟してい関係かんけいありかたひとつであり、それらの修業しゅうぎょうにおける過程かていしめしたもの。

日本にっぽんにおいて芸事げいごと文化ぶんか発展はってん進化しんかしてきた創造そうぞうてき過程かていのベースとなっている思想しそうで、そのプロセスを「まもり」「やぶ」「はなれ」の3段階だんかいあらわしている。

詳細しょうさい[編集へんしゅう]

千利休せんのりきゅう
もりやぶはなれもとづいた平成へいせい中村なかむら

もとは千利休せんのりきゅうくんをまとめた『利休りきゅう道歌どうか』にある、「規矩きく作法さほう もりくしてやぶるともはなれるるとてもほんを忘るな」を引用いんようしたものとされている。

修業しゅうぎょうさいして、まずは師匠ししょうからおそわったかた徹底的てっていてきに「まもる」ところから修業しゅうぎょうはじまる。師匠ししょうおしえにしたがって修業しゅうぎょう鍛錬たんれんみそのかたにつけたものは、師匠ししょうかたはもちろん流派りゅうはかたなどもふくめそれらと自分じぶんとをらしわせて研究けんきゅうすることにより、自分じぶんったよりいとおもわれるかた模索もさくためすことで既存きそんかたを「やぶる」ことができるようになる。さらに鍛錬たんれん修業しゅうぎょうかさね、かつておそわった師匠ししょうかた自分じぶん自身じしん見出みいだしたかた双方そうほう精通せいつうしそのうえ立脚りっきゃくした個人こじんは、自分じぶん自身じしんとそのわざについてよく理解りかいしているため既存きそんかたとらわれることなく、わばかたから「はなれ」て自在じざいとなることができる。このようにしてあらたな流派りゅうはまれるのである。

ほんを忘るな」とあるとおり、おしえをやぶはなれたとしても根源こんげん精神せいしん見失みうしなってはならないということが重要じゅうようであり、基本きほんかた会得えとくしないままにいきなり個性こせい独創どくそうせいもとめるのはいわゆる「形無かたなし」である。ちゃくなりきょうは「かたがある人間にんげんかたやぶると『型破かたやぶり』、かたがない人間にんげんかたやぶったら『形無かたなし』」とかたっており、これはじゅうはち代目だいめ中村なかむら勘三郎かんざぶろう座右ざゆうめいかたがあるから型破かたやぶり、かたければ形無かたなし」としてもられる。

個人こじんのスキルをあらわすため、茶道さどう武道ぶどう芸術げいじゅつとう、あるいはスポーツや仕事しごと等々とうとうにおいて様々さまざま成長せいちょうのプロセスにもちいることが出来でき以下いかのようにてはめることができる。

  • もり支援しえんのもとに作業さぎょう遂行すいこうできる(半人前はんにんまえ)。 ~ 自律じりつてき作業さぎょう遂行すいこうできる(1人前にんまえ)。
  • やぶ作業さぎょう分析ぶんせき改善かいぜん改良かいりょうできる(1.5人前にんまえ)。
  • はなれあらたな知識ちしき技術ぎじゅつ)を開発かいはつできる(創造そうぞうしゃ)。
れい落語らくご
  • もり古典こてん落語らくご忠実ちゅうじつ表現ひょうげんすることができる。
  • やぶ古典こてん落語らくごをより面白おもしろくアレンジすることができる、あるいはよりわかりやすく表現ひょうげんすることができる。
  • はなれ経験けいけんかし新作しんさく落語らくごつくることができる。あるいは、落語らくごから進化しんかしたあらたな芸風げいふうつくることができる。

転用てんよう[編集へんしゅう]

IT業界ぎょうかいでのスキル評価ひょうか組込くみこみスキル標準ひょうじゅんもちいたれい)。

IT業界ぎょうかいでは、もりやぶはなれもちいて技術ぎじゅつしゃ個人こじんのスキルを組込くみこみスキル標準ひょうじゅんなどで評価ひょうかすることがある。

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • 藤原ふじわらりょうさんもりやぶはなれ思想しそうスボすぼル・マガジン社るまがじんしゃ、1993ねんISBN 4-583-03074-6 
  • 独立どくりつ行政ぎょうせい法人ほうじん 情報処理じょうほうしょり推進すいしん機構きこう ソフトウェア・エンジニアリング・センター『新版しんぱん 組込くみこみスキル標準ひょうじゅん ETSS概説がいせつしょしょうおよげしゃ、2009ねんISBN 978-4-7981-2132-1 

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]