宍戸ししど隆たかし忠ただし

凡例はんれい 宍戸ししど隆たかし忠ただし
時代じだい	戦国せんごく時代じだい
生誕せいたん	不ふ詳しょう
死没しぼつ	不ふ詳しょう
改名かいめい	宍戸ししど隆たかし忠ただし→末すえ兼けん隆りゅう忠ただし
別名べつめい	弥四郎やしろう（通称つうしょう）
戒名かいみょう	欽恭院いん殿どの花はな渓けい道どう実じつ禅定ぜんじょう門もん
墓所はかしょ	理り窓まど院いん（広島ひろしま県けん安芸あき高田たかだ市し甲田こうた町まち）
主君しゅくん	宍戸ししど元もと源みなもと→隆りゅう家か
氏族しぞく	藤原ふじわら北きた家か道みち兼けん流りゅう八田はった氏し族ぞく宍戸ししど氏し
父母ちちはは	父ちち：宍戸ししど元もと源みなもと、母はは：坂さか広明ひろあきの娘むすめ
兄弟きょうだい	元もと家いえ、隆りゅう忠ただし、女おんな（吉川よしかわ興きょう経けい正室せいしつ）、 女おんな（乃美のみ隆たかし興きょう室しつ）、女おんな（粟屋あわや孝俊たかとし室しつ）
妻つま	正室せいしつ：長和おさわ家俊いえとしの娘むすめ
子こ	女おんな（宍戸ししど知とも綱つな室しつ）、女おんな（井原いはら元良げんりょう継室けいしつ）

宍戸ししど 隆たかし忠ただし（ししど たかただ）は、戦国せんごく時代じだいの武将ぶしょう。安芸あき国こくの国人くにびと領主りょうしゅ・宍戸ししど氏しの一族いちぞくで、当主とうしゅ・宍戸ししど元もと源みなもとの次男じなん。安芸あき国こく高田たかだ郡ぐん甲立こうたち村むら末すえ兼けん郷さとを領りょうしたことから末すえ兼けん隆りゅう忠ただしとも名乗なのった。なお、当時とうじの文書ぶんしょにおいて苗字みょうじの「宍戸ししど」は、「完かん戸ど」または「鹿戸しかと」（読よみはいずれも「ししど」）と表記ひょうきされている。

生涯しょうがい

安芸あき国こくの五龍ごりゅう城じょうを本拠ほんきょとした国人くにびと領主りょうしゅ・宍戸ししど氏しの当主とうしゅである宍戸ししど元もと源みなもとの次男じなんとして生うまれる。元服げんぷくに際さいしては、大内おおうち義隆よしたかより偏へん諱いみなを受うけて隆りゅう忠ただしと名乗なのり、後のちに安芸あき国こく高田たかだ郡ぐん上甲立かみこうたち末まつ兼けん郷さとを領りょうして、苗字みょうじを末すえ兼けんと改あらためた。

農政のうせいに優すぐれており、また、たたら製鉄せいてつを盛さかんにし、父ちちの元もと源みなもとを補佐ほさして領内りょうないの統治とうちに尽つくしたとされる。

隆りゅう忠ただしの最期さいごについては、後世こうせいの系図けいずによると、享とおる禄ろく2年ねん（1529年ねん）2月がつ14日にちに隆りゅう忠ただしについて家臣かしんの讒言ざんげんを受うけた甥おいの宍戸ししど隆たかし家かによって殺害さつがいされたと記しるされており、元禄げんろく16年ねん（1703年ねん）に宍戸ししど就延の命いのちを受うけた等々力とどりき正ただし識が編纂へんさんした『宍戸ししど記き』には、殺害さつがいされた隆りゅう忠ただしの祟たたりによって隆たかし家かが眼め病びょうを患わずらったが、隆りゅう忠ただしの霊れいに謝罪しゃざいして剣けん大明神だいみょうじん（後のちに宍戸ししど大明神だいみょうじん）として祠ほこらったことで眼め病びょうが治癒ちゆしたとの伝承でんしょうが記しるされている。隆りゅう忠ただし殺害さつがい事件じけんについては確たしかな史料しりょうで確認かくにんすることはできないが、元もと亀かめ3年ねん（1572年ねん）3月3日にちから3月5日にちにかけて、毛利もうり輝元てるもとの依頼いらいを受うけた吉田よしだ兼けん右みぎが吉田よしだ祇園ぎおん社しゃ（現在げんざいの清きよし神社じんじゃ）の内陣ないじんにおいて神道しんとう行事ぎょうじを行おこなった際さいに、合あわせて非業ひごうの死しを遂とげた大内おおうち義隆よしたか、大内おおうち義長よしなが、陶とう晴賢はるかた、内藤ないとう隆たかし世よ、和智わち誠まこと春はる、柚ゆず谷たに元もと家いえ、井上いのうえ就兼の亡魂ぼうこんを神かみとして祀まつり、隆りゅう忠ただしのことと思おもわれる「宍戸ししど家か亡魂ぼうこん四よん郎ろう」を祀まつる「剣けん宮みや」「宍戸ししど若宮わかみや」を勧請かんじょうしていることから、隆りゅう忠ただしが非業ひごうの死しを遂とげていること自体じたいは事実じじつと考かんがえられている。ただし、天文てんもん13年ねん（1544年ねん）から天文てんもん14年ねん（1545年ねん）頃ごろまで隆りゅう忠ただしの活動かつどうが見みられることから、その時期じきについては系図けいずに記しるされた享とおる禄ろく2年ねん（1529年ねん）ではなく、天文てんもん10年代ねんだい中頃なかごろ以降いこうである。

隆りゅう忠夫ただお妻つまの墓所はかしょは、現在げんざいの広島ひろしま県けん安芸あき高田たかだ市し甲田こうた町まち上甲立かみこうたちにある理り窓まど院いんの裏手うらてに存在そんざいし、昭和しょうわ44年ねん（1969年ねん）4月がつに高田たかだ郡ぐん吉田よしだ町まち（現在げんざいの安芸あき高田たかだ市し）の史跡しせきとして指定していされた。

参考さんこう文献ぶんけん

• 防長新聞社ぼうちょうしんぶんしゃ山口やまぐち支社ししゃ編へん 編へん『近世きんせい防ぼう長ちょう諸家しょか系図けいず綜覧そうらん』三坂みさか圭けい治ち監修かんしゅう、防長新聞社ぼうちょうしんぶんしゃ、1966年ねん3月がつ。 NCID BN07835639。OCLC 703821998。全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:73004060。 国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかんデジタルコレクション
  • 復刻ふっこく版ばん 田村たむら哲夫てつお編修へんしゅう 編へん「一門いちもん三さん丘おか宍戸ししど家か」『近世きんせい防ぼう長ちょう諸家しょか系図けいず綜覧そうらん』三坂みさか圭けい治ち監修かんしゅう（復刻ふっこく版ばん）、マツノ書店しょてん、1980年ねん11月。 NCID BN0189824X。OCLC 674504899。全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:81035962。 
• 安芸あき高田たかだ市し歴史れきし民俗みんぞく博物館はくぶつかん『宍戸ししど隆たかし家か生誕せいたん500年ねん記念きねん 安芸あき宍戸ししど氏し～毛利もうり一族いちぞく、四よん本ほん目めの矢や～』、2018年ねん11月。
  • 秋山あきやま伸しん隆たかし「戦国せんごく期きの宍戸ししど氏しと毛利もうり氏し」『宍戸ししど隆たかし家か生誕せいたん500年ねん記念きねん 安芸あき宍戸ししど氏し～毛利もうり一族いちぞく、四よん本ほん目めの矢や～』収録しゅうろく、2018年ねん11月。
• 舘たて鼻はな誠まこと「石塔せきとうから読よみ解とく理り窓まど院いんと安芸あき宍戸ししど家か―芸北げいほくにおける花崗岩かこうがんおよび石灰岩せっかいがん石塔せきとうの検討けんとう―」『日本体育大学にほんたいいくだいがく紀要きよう』第だい49号ごう、2020年ねん。