藤原ふじわら道みち兼けん

凡例はんれい 藤原ふじわら 道みち兼けん
時代じだい	平安へいあん時代じだい中期ちゅうき
生誕せいたん	応おう和わ元年がんねん（961年ねん）
死没しぼつ	長ちょう徳いさお元年がんねん5月8日にち（995年ねん6月8日にち）
別名べつめい	粟田あわた殿どの、二条殿にじょうでん、町尻まちじり殿でん、粟田あわた関白かんぱく、七なな日にち関白かんぱく
官位かんい	正せい二に位い、関白かんぱく、右大臣うだいじん 贈おく正せい一いち位い、太政大臣だじょうだいじん
主君しゅくん	円融天皇えんゆうてんのう→花山はなやま天皇てんのう→一条天皇いちじょうてんのう
氏族しぞく	藤原ふじわら北きた家か九きゅう条じょう流りゅう
父母ちちはは	父ちち：藤原ふじわら兼けん家か、母はは：藤原ふじわら時じ姫ひめ
兄弟きょうだい	道隆みちたか、超ちょう子こ、道みち綱つな、道みち綱つな母はは養女ようじょ、道みち兼けん、詮かい子こ、道義どうぎ、道長みちなが、綏子、兼けん俊しゅん
妻つま	藤原ふじわら遠とお量りょう娘むすめ、藤原ふじわら繁子しげこ（藤原ふじわら師し輔娘むすめ）、藤原ふじわら国光くにみつ娘むすめ
子こ	福ぶく足あし君くん、尊子たかこ、兼けん隆たかし、兼けん綱つな、兼けん信しん、二条殿にじょうでん御方おかた、典侍てんじ

藤原ふじわら 道みち兼けん（ふじわら の みちかね）は、平安へいあん時代じだい中期ちゅうきの公卿くぎょう。藤原ふじわら北きた家か、摂政せっしょう関白かんぱく太政大臣だじょうだいじん・藤原ふじわら兼けん家かの三男さんなん。官位かんいは正せい二に位い・関白かんぱく右大臣うだいじん、贈おく正せい一いち位い・太政大臣だじょうだいじん。

概要がいよう

寛和ひろかず2年ねん（986年ねん）外孫そとまごの春宮とうぐう・懐ふところ仁じん親王しんのうの即位そくいを願ねがう父ちち・藤原ふじわら兼けん家かの意いを受うけて、蔵人くろうどとして近侍きんじしていた花山はなやま天皇てんのうを唆そそのかして出家しゅっけ・退位たいいさせる（寛和ひろかずの変へん）。代かわって懐ふところ仁じん親王しんのうが践祚せんそ（一条天皇いちじょうてんのう）すると外祖父がいそふの兼けん家かは摂政せっしょうとなり、道みち兼けんも栄達えいたつした。兼けん家かが没ぼっすると長兄ちょうけい・道隆みちたかが関白かんぱくとなり、道みち兼けんは摂関せっかんを継つぐことはできなかったが、内大臣ないだいじん次ついで右大臣うだいじんの高官こうかんに昇のぼった。長ちょう徳いさお元年がんねん（995年ねん）道隆みちたかの病死びょうし後ご、道みち兼けんが関白かんぱくに就任しゅうにん。就任しゅうにんの数日すうじつ後ごに病没びょうぼつしたため、七なな日にち関白かんぱくとも呼よばれる。

経歴けいれき

円融えんゆう朝ちょうの天てん延のべ3年ねん（975年ねん）叙爵じょしゃくし、天元てんげん2年ねん（979年ねん）侍従じじゅうに任官にんかんする。永観えいかん2年ねん（984年ねん）正月しょうがつに五ご位い蔵人くろうどに補ほせられると、8月がつに新あらたに花山はなやま天皇てんのうが践祚せんそするも道みち兼けんは引ひき続つづき蔵人くろうどを務つとめるとともに、10月には左ひだり少しょう弁べんも兼かねた。

花山はなやま朝あさでは外戚がいせき（叔父おじ）である権けん中納言ちゅうなごん・藤原ふじわら義よし懐ふところが天皇てんのうを補佐ほさして朝政ちょうせいを領りょう導しるべ。一方いっぽうで、春宮とうぐうには道みち兼けんの同母どうぼ妹いもうと・藤原ふじわら詮かい子こ所生しょせいの懐ふところ仁じん親王しんのうが立たてられており、道みち兼けんの父ちちである右大臣うだいじん・藤原ふじわら兼けん家かは外孫そとまごである懐ふところ仁じん親王しんのうの早期そうきの即位そくいを望のぞんでいた。花山はなやま天皇てんのうは情緒じょうちょ的てきな性格せいかくで、寵愛ちょうあいしていた女御にょうご・藤原ふじわら忯子が没ぼっすると深ふかく嘆なげき、思おもい悩なやむようになった。蔵人くろうどとして近侍きんじしていた道みち兼けんは元もと慶寺けいじ（花はな山寺やまでら）の厳いむ久ひさと共ともに仏ふつの教おしえを説とき、出家しゅっけを勧すすめた。道みち兼けんも出家しゅっけすることを約束やくそくすると天皇てんのうもその気きになってしまう。

寛和ひろかず2年ねん（986年ねん）6月がつ23日にち丑うしの刻こく、道みち兼けんは花山はなやま天皇てんのうを密ひそかに内裏だいりから連つれ出だす。道みち兼けんは天皇てんのうが途中とちゅうで足あしを止とめようとするのをかき口説くどき、何なにとか山科やましなの元もと慶寺けいじまで連つれてきた。天皇てんのうは厳いむ久ひさに戒を受うけて剃髪ていはつした。ところが、道みち兼けんは「父ちちに出家しゅっけ前まえの姿すがたを一目いちもく見みせ、出家しゅっけすることを告つげた後のちに必かならずこちらに戻もどってきます」と言いうや、寺てらから立たち去さってしまった。天皇てんのうは騙だまされたと知しるが既すでに手遅ておくれで、宮中きゅうちゅうでは兼けん家かと兄あに・道隆みちたかが新帝しんてい践祚せんその準備じゅんびを手早てばやく済すませていた。翌朝よくあさ、義よし懐ふところと権けん左ひだり中ちゅう弁べん・藤原ふじわら惟おもんみ成なりが元もと慶寺けいじに駆かけつけるが、出家しゅっけした天皇てんのうの姿すがたを見みて絶望ぜつぼうし、彼かれらも出家しゅっけした（寛和ひろかずの変へん）。

幼おさない懐ふところ仁じん親王しんのうが践祚せんそ（一条天皇いちじょうてんのう）すると、外祖父がいそふの兼けん家かは摂政せっしょうに就任しゅうにん。功労こうろう者しゃの道みち兼けんも同日どうじつ中ちゅうに蔵人くろうど頭あたまに任にんじられ、7月がつに従したがえ四よん位い下か・参議さんぎ、10月には従したがえ三さん位い・権けん中納言ちゅうなごん、11月に正せい三さん位いに叙任じょにんされるなど急速きゅうそくに昇進しょうしんを果はたす。翌よく永えい延のべ元年がんねん（987年ねん）先任せんにん中納言ちゅうなごんの源みなもと重光しげみつ・源みなもと保光やすみつ・藤原ふじわら公こう季きを超こえて従したがえ二に位いに叙じょせられ、永えい祚元年がんねん（989年ねん）には同おなじく先任せんにん中納言ちゅうなごんの藤原ふじわら顕あらわ光こうを超こえて正せい二に位い・権けん大納言だいなごんに進すすんだ。

正せい暦こよみ元年がんねん（990年ねん）藤原ふじわら兼けん家かが病やまいに伏ふして没ぼっすると、後任こうにんの関白かんぱくには長兄ちょうけい・道隆みちたかが任にんじられる。兼けん家かが側近そっきんたちに後継こうけい者しゃを相談そうだんした際さい、藤原ふじわら有ゆう国こくは一条天皇いちじょうてんのう践祚せんその功こうを理由りゆうに道みち兼けんを推挙すいきょしたが、平ひら惟おもんみ仲なかや多た米国べいこく平たいらが道隆みちたかを推挙すいきょしたため、兼けん家かは惟おもんみ仲なからの意見いけんを採用さいようしたという（『江こう談だん抄しょう』）。これに対たいして道みち兼けんは、父ちちへの功こうがあったのだから当然とうぜんに自分じぶんが関白かんぱくを継つぐべきだと望のぞんでいたところ、道隆みちたかが後継こうけいに選えらばれたことを甚はなはだ憎にくみ、父ちちの喪中もちゅうにもかかわらず客きゃくを集あつめては遊興ゆうきょうに耽ふけったとの話はなしが伝つたわっている（『大だい鏡かがみ』）。

しかし、道隆みちたか執政しっせい下かでも道みち兼けんの昇進しょうしんは続つづき、正せい暦こよみ2年ねん（991年ねん）内大臣ないだいじん、正せい暦こよみ5年ねん（994年ねん）右大臣うだいじんへと進すすんだ。

長ちょう徳いさお元年がんねん（995年ねん）関白かんぱく・道隆みちたかは重おもい病やまいに伏ふし、後継こうけいの関白かんぱくに嫡男ちゃくなんの内大臣ないだいじん・藤原伊周ふじわらのこれちかを望のぞむが許ゆるされず、4月がつ10日とおかに没ぼっした。半月はんつきほどの摂関せっかん不在ふざいを経へて、4月がつ27日にちに道みち兼けんは関白かんぱく宣下せんげを受うける。ところが、ほどなく道みち兼けんは病やまいになり、5月8日にちに没ぼっした。享年きょうねん35。在任ざいにん期間きかんはわずか10日とおかばかりであり、世よに「七なな日にち関白かんぱく」と呼よばれた。死後しご、正せい一いち位い太政大臣だじょうだいじんを追贈ついぞうされた。病やまい中ちゅうの道みち兼けんが関白かんぱくに任にんじられた背景はいけいには、「関白かんぱくは兄弟きょうだい順じゅんに」という先例せんれいを作つくって道みち兼けんの次つぎに道長みちながを関白かんぱくにしたいとする皇太后こうたいごう詮かい子この関与かんよがあったとする見方みかたがある。

なお、この4月がつから5月がつにかけては道隆みちたか・道みち兼けん兄弟きょうだいのほか、左大臣さだいじんの源みなもと重信しげのぶ、大納言だいなごんの藤原ふじわら済わたる時とき・藤原ふじわら朝光ともみつ・藤原ふじわら道みち頼よりゆき、中納言ちゅうなごんの源みなもと保光やすみつ・源みなもと伊い陟のぼると8人にんの議ぎ政官せいかんが病死びょうししている。正せい暦こよみ4年ねん（993年ねん）頃ごろから太宰府だざいふでは疱瘡ほうそうが大だい流行りゅうこうしており、正せい暦こよみ5年ねん頃ごろからは全国ぜんこく的てきな大だい流行りゅうこうとなっていた。一条天皇いちじょうてんのうも罹患りかんしており、道隆みちたかを除のぞく公卿くぎょうらの死因しいんも疱瘡ほうそうが原因げんいんと見みられている。『栄花物語えいがものがたり』では病気びょうきにはふれず、伊い周しゅうの外祖父がいそふ高階たかしな成忠しげただによる呪詛じゅそがほのめかされている。

道みち兼けんの関白かんぱくの時期じきは短みじかかったが、一いち度どだけ陣じん定じょうが開催かいさいされている。また、家いえ司しの藤原ふじわら有ゆう国こくが危篤きとくとなった道みち兼けんに対たいして、後任こうにんの関白かんぱくを指名しめいした譲状ゆずりじょうを書かくよう勧すすめたが、関白かんぱくは譲状ゆずりじょうを書かくものではないとして道みち兼けんは拒否きょひしたという（『江こう談だん抄しょう』）。

人物じんぶつ

『栄花物語えいがものがたり』では、道みち兼けんの容姿ようしは「顔色かおいろが悪わるく毛深けぶかく醜みにくかった」と酷評こくひょうされている。また、性格せいかくについて『大だい鏡かがみ』では「非常ひじょうに冷酷れいこくで、人々ひとびとから恐おそれられていた」と記しるしている他ほか、面倒めんどうで意地いじが悪わるく、長幼ちょうようの順序じゅんじょもわきまえずに、兄あにの道隆みちたかをいつも諭さとしているようなところがあったとされている。さらに素行そこうも悪わるく、「よづかぬ御事おんこと｣で､多おおくの｢よからぬ御事おんこと」をなしていたと記しるしている。『栄花物語えいがものがたり』においても心中しんちゅうのは老獪ろうかいで恐おそろしいぐらいの人間にんげんであるとされている。

一方いっぽうで『栄花物語えいがものがたり』では道長みちながと親したしく、道隆みちたかの葬儀そうぎに行いかなかった道長みちながが、道みち兼けんの死しの際さいには非常ひじょうに悲かなしんで葬儀そうぎに赴おもむいたと記しるしている。また『栄花物語えいがものがたり』は例外れいがい的てきに花山はなやま天皇てんのうの出家しゅっけに道みち兼けんを始はじめたとした兼けん家か一家いっかが関与かんよしたという記述きじゅつがない。

61歳さい没ぼつの父ちち・兼けん家か、62歳さい没ぼつの弟おとうと・道長みちながが和歌わかを多おおく残のこしている一方いっぽう、34歳さい没ぼつの道みち兼けんは若年じゃくねんで死ししたこともあり、生前せいぜんの歌うたは『後こう拾遺しゅうい和歌集わかしゅう』と『続ぞく古今ここん和歌集わかしゅう』に収録しゅうろくされた二に首しゅを含ふくめて三さん首しゅが現存げんそんするのみとされている。一方いっぽうで道みち兼けんの周囲しゅういには多おおくの歌人かじんがおり、藤原ふじわら実方じつかた・藤原公任ふじわらのきんとう・藤原ふじわら相しょう如・源みなもと兼けん澄きよしらは道みち兼けんの屋敷やしきに伺候しこうしてたびたび歌うたを詠よんでいた。道みち兼けんは風雅ふうがをつくした粟田あわた山荘さんそうに歌人かじんを集あつめ、歌うた題だいを出だして歌うたを詠よませることも多おおかった。

官かん歴れき

『公卿くぎょう補任ほにん』による。

• 天てん延のべ3年ねん（975年ねん） 正月しょうがつ7日にち：従したがえ五ご位い下か（冷泉れいせん院いん御給ごきゅう）
• 天元てんげん2年ねん（979年ねん） 12月2日にち：侍従じじゅう
• 天元てんげん3年ねん（980年ねん） 日付ひづけ不ふ詳しょう：昇殿しょうでん
• 天元てんげん6年ねん（983年ねん） 正月しょうがつ27日にち：弾正だんじょう少しょう弼
• 永観えいかん2年ねん（984年ねん） 正月しょうがつ10日にち：五ご位い蔵人くろうど。8月25日にち：従したがえ五ご位い上じょう（冷泉れいせん院いん御給ごきゅう）。8月27日にち：五ご位い蔵人くろうど（花山はなやま天皇てんのう践祚せんそ）。10月10日にち：正せい五ご位い下か（東宮とうぐう御給ごきゅう）。10月30日にち：左ひだり少しょう弁べん
• 寛和ひろかず2年ねん（986年ねん） 6月がつ23日にち：蔵人くろうど頭あたま（譲位じょうい日び）。7月5日にち：従したがえ四よん位い下か（立后りっこう日び）。7月16日にち：右みぎ近衛このえ権けん中将ちゅうじょう。7月がつ20日はつか：参議さんぎ、右みぎ近衛このえ中将ちゅうじょう如元。8月13日にち：兼けん美作みさく権守ごんもり。10月15日にち：従したがえ三さん位い、権けん中納言ちゅうなごん。11月22日にち：正せい三さん位い
• 寛和ひろかず3年ねん（987年ねん） 11月11日にち：従したがえ二に位い（去さ8月がつ石せき清水しみず行幸ぎょうこう行事ぎょうじ賞しょう）
• 永えい祚元年がんねん（989年ねん） 2月がつ23日にち：権けん大納言だいなごん。3月4日にち：兼けん皇太后こうたいごう宮みや大夫たいふ（皇太后こうたいごう・藤原ふじわら詮かい子こ）。4月5日にち：正せい二に位い（春日しゅんじつ行幸ぎょうこう行事ぎょうじ賞しょう）
• 永えい祚2年ねん（990年ねん） 6月がつ1日にち：兼けん右みぎ近衛このえ大将たいしょう。7月2日にち：服ふく解かい（父ちち）
• 正せい暦こよみ2年ねん（991年ねん） 9月がつ7日にち：内大臣ないだいじん。9月9日にち：右みぎ近衛このえ大将たいしょう如元
• 正せい暦こよみ5年ねん（994年ねん） 8月がつ28日にち：右大臣うだいじん。9月7日にち：右みぎ近衛このえ大将たいしょう如元
• 長ちょう徳いさお元年がんねん（995年ねん） 4月がつ27日にち：関白かんぱく。4月28日にち：藤原ふじわら氏し長者ちょうじゃ。5月2日にち：申さる慶賀けいが。5月8日にち：薨去こうきょ。5月25日にち：贈おく太政大臣だじょうだいじん正せい一いち位い

系譜けいふ

• 父ちち：藤原ふじわら兼けん家か
• 母はは：藤原ふじわら時じ姫ひめ（藤原ふじわら中正ちゅうせいの娘むすめ）
• 正妻せいさい：藤原ふじわら遠とお量りょうの娘むすめ - のち藤原ふじわら顕あらわ光こう室しつ
  • 長男ちょうなん：福ぶく足あし君くん（?-989）
  • 二男じなん：藤原ふじわら兼けん隆たかし（985-1053）（母ははは藤原ふじわら国光くにみつの娘むすめとも）
  • 三男さんなん：藤原ふじわら兼けん綱つな（988-1058）（母ははは藤原ふじわら国光くにみつの娘むすめとも）
  • 四男よつお：藤原ふじわら兼けん信しん
  • 次女じじょ：二条殿にじょうでん御方おかた - 藤原ふじわら威たけし子こ女房にょうぼう
• 妻つま：藤原ふじわら繁子しげこ - 藤原ふじわら師し輔の娘むすめ、のち平ひら惟おもんみ仲なか室しつ
  • 長女ちょうじょ：藤原ふじわら尊子たかこ（984-1022） - 一条天皇いちじょうてんのう女御にょうご、のち藤原ふじわら通とおる任にん室しつ
• 生母せいぼ不明ふめいの子女しじょ
  • 女子じょし：典侍てんじ（?-1012）

略りゃく系けい

〈藤原ふじわら北きた家か道どう兼けん流りゅう〉

　　　　 道みち兼けん
　　　　  ┣━━━┳━━━┓
　　　　 兼けん隆たかし　　兼けん綱つな　　兼けん信しん
　　　　  ┃  
　　　　 兼房かねふさ
　　　　  ┃  
　　　　 宗円そうえん（宇都宮うつのみや氏し）

道みち兼けんの子こ・兼けん隆たかしよりのちに公卿くぎょうになった者ものはなく、『大だい鏡かがみ』では公家くげとしては語かたるべき子孫しそんがいないことが記しるされている。『尊卑そんぴ分脈ぶんみゃく』や「宇都宮うつのみや系図けいず」によれば、下野げや国こくの豪族ごうぞく宇都宮うつのみや氏しは兼けん隆たかしの孫まご藤原ふじわら宗はじめ円えんの子孫しそんであると称しょうしている。宗円そうえんは『中ちゅう右記うき』にある三井寺みいでらの僧そうに比定ひていする研究けんきゅうがあるが、彼かれについては道長みちながの孫まご藤原ふじわら俊しゅん家かの子こであるという意見いけんもある。

関連かんれん作品さくひん

テレビドラマ

• 『光ひかる君きみへ』（2024年ねん、NHK大河たいがドラマ、演えんじ：玉置たまき玲れい央ひさし）

参考さんこう文献ぶんけん

• 徳とく植うえ俊之としゆき「藤原ふじわら道みち兼けんとその周辺しゅうへん : 『拾遺しゅうい和歌集わかしゅう』前夜ぜんやにおける歌人かじんの動静どうせいをめぐって」『横浜国大よこはまこくだい国語こくご研究けんきゅう』第だい17-18巻かん、横浜国立大学よこはまこくりつだいがく国語こくご国文こくぶん学会がっかい、2000年ねん、ISSN 02881489、NAID 110000248627。 
• 川田かわた康幸やすゆき「『栄花物語えいがものがたり』に於おける粟田あわた関白かんぱく道どう兼けん像ぞう : その成立せいりつの基盤きばん」『信州豊南女子短期大学しんしゅうほうなんじょしたんきだいがく紀要きよう』第だい3巻かん、信州豊南女子短期大学しんしゅうほうなんじょしたんきだいがく、1986年ねん、ISSN 02897644、NAID 120005294959。 
• 野口のぐち実みのる「下野しもの宇都宮うつのみや氏しの成立せいりつと、その平家へいけ政権せいけん下かにおける存在そんざい形態けいたい」『研究けんきゅう紀要きよう』第だい26巻かん、京都女子大学きょうとじょしだいがく宗教しゅうきょう・文化ぶんか研究所けんきゅうじょ、2013年ねん、ISSN 09149988、NAID 120005284973。 
• 川田かわた康幸やすゆき「『栄花物語えいがものがたり』に於おける道みち兼けん女おんな・二条殿にじょうでんの御方おかたに対たいする叙述じょじゅつ態度たいど」『信州豊南女子短期大学しんしゅうほうなんじょしたんきだいがく紀要きよう』第だい4巻かん、信州豊南女子短期大学しんしゅうほうなんじょしたんきだいがく、1987年ねん、ISSN 02897644、NAID 120005294968。 
• 深澤ふかざわ瞳ひとみ「『栄花物語えいがものがたり』の高階たかしな成忠しげただの「祈いのり」考こう--道みち兼けん・道長みちながへの呪詛じゅそ」『大だい妻つま国文こくぶん』第だい37巻かん、東京とうきょう : 大妻女子大学おおつまじょしだいがく国文こくぶん学会がっかい、2006年ねん、ISSN 02870819、NAID 110004436598。 
• 北山きたやま円まどか正ただし「正せい暦こよみ・長ちょう徳いさおの疫癘えきれい」『神戸女子大学こうべじょしだいがく文学部ぶんがくぶ紀要きよう』第だい55巻かん、神戸女子大学こうべじょしだいがく、2022年ねん、ISSN 13415913。