官話かんわ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
官話かんわ方言ほうげんから転送てんそう
官話かんわ
官話かんわ/かん
官話かんわ
漢字かんじかれた
左側ひだりがわ簡体字かんたいじ中国ちゅうごく右側みぎがわ繁体字はんたいじ中国ちゅうごく
はなされるくに 中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく
地域ちいき 中国ちゅうごく東北とうほく華北かほく西北せいほく西南せいなんこう一帯いったい
話者わしゃすう だいいち言語げんご: 885,000,000 にん[1]
そう話者わしゃ: 1,365,053,177 にん[2]
話者わしゃすう順位じゅんい 1
言語げんご系統けいとう
初期しょき形式けいしき
言語げんごコード
ISO 639-1 zh
ISO 639-2 chi (B)
zho (T)
ISO 639-3 cmn
テンプレートを表示ひょうじ
官話かんわ
繁体字はんたいじ 官話かんわ
簡体字かんたいじ かん
漢語かんご拼音Guānhuà
発音はつおん記号きごう
標準ひょうじゅん中国語ちゅうごくご
漢語かんご拼音Guānhuà
北方ほっぽうばなし
繁体字はんたいじ 北方ほっぽうばなし
簡体字かんたいじ 北方ほっぽう
漢語かんご拼音Běifānghuà
発音はつおん記号きごう
標準ひょうじゅん中国語ちゅうごくご
漢語かんご拼音Běifānghuà

官話かんわ(かんわ)は、中国ちゅうごく方言ほうげん区分くぶんひとつ。名称めいしょう公用こうようであり、ふるくから中国ちゅうごく政治せいじ経済けいざい文化ぶんか中心ちゅうしんがこの方言ほうげん使用しよう地域ちいきにあり、政官せいかんかい使つかわれたことに由来ゆらいする。白話はくわ小説しょうせつもちいられ、きん現代げんだいにおける標準ひょうじゅん中国語ちゅうごくごである国語こくご普通ふつうばなしはな基礎きそとなった。官話かんわ方言ほうげん北方ほっぽう方言ほうげん北方ほっぽうばなしなどともばれる。使用しよう地域ちいき南方なんぽう地域ちいきにまでおよぶため、「きた」とすることに異議いぎとなえられることもある。欧米おうべいではマンダリン(Mandarin)とばれる。

地域ちいき[編集へんしゅう]

中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくにおける官話かんわ方言ほうげん下位かい方言ほうげん分布ぶんぷ

官話かんわ方言ほうげん代表だいひょうは、北京ぺきん天津てんしん東北とうほく西安しーあん成都せいと南京なんきんあげしゅうなどである。中国ちゅうごく東北とうほく華北かほく西南せいなんこう一帯いったいひろ範囲はんいおよんでおり、その使用しようりつかん民族みんぞく人口じんこうの73%をめる。ただし、山西さんせいしょう中心ちゅうしんはなされ、ふとし原語げんご代表だいひょうとするすすむ方言ほうげんすすむ)は独立どくりつしただい方言ほうげんとすべきであるとの意見いけんがある。下位かい方言ほうげんこう方言ほうげん下江しもえ官話かんわ)については方言ほうげんふくめるべきであるとの意見いけんもある。これは官話かんわ方言ほうげんでは消滅しょうめつした入声にっしょう音節おんせつまつ子音しいん閉鎖へいさおんのもの)があるためである。

官話かんわはさらに4だい下位かい方言ほうげん区分くぶんされる。

  1. 華北かほく東北とうほく方言ほうげん北京ぺきん官話かんわ東北とうほく官話かんわ冀魯官話かんわにかわりょう官話かんわ)- 北京ぺきん天津てんしん黒竜江こくりゅうこうしょう吉林きつりんしょう遼寧りょうねいしょう河北かほくしょう河南かなんしょう山東さんとうしょううちこうむふる一部いちぶ
  2. 西北せいほく方言ほうげん中原なかはら官話かんわらんぎん官話かんわ) - 陝西せんせいしょう甘粛かんせいしょう全域ぜんいき山西さんせいしょう青海あおみしょうやすしなつうちこうむふる一部いちぶおよび中央ちゅうおうアジアのドンガンじん居住きょじゅう
  3. 西南せいなん方言ほうげん西南せいなん官話かんわ) - 重慶たーちん四川しせんしょう雲南うんなんしょうしゅうしょう湖北こほくしょうだい部分ぶぶん広西ひろせしょう西北せいほく湖南こなんしょう西北せいほく
  4. こう方言ほうげんこう淮官ばなし) - 安徽あんきしょう江蘇ちぁんすーしょう長江ながえ以北いほく地域ちいき(ただし、じょしゅう蚌埠のぞく)、江蘇ちぁんすーしょう鎮江以西いせいから江西えにししょうきゅう以東いとうにいたるまでの長江ちょうこう南岸なんがん地域ちいき

歴史れきし[編集へんしゅう]

共通きょうつう[編集へんしゅう]

中国ちゅうごく歴代れきだい王朝おうちょうにおいては、ふるくから政治せいじてき共通きょうつうもうけられていたとかんがえられている。しゅうだい使つかっていた共通きょうつうは「雅言がげん」とばれていて、かんだいにもがれてあるいは「通語つうご」としょうされている、「つう」は共通きょうつうとし、ひろ通用つうようする意味いみ

官話かんわばれるのは、17世紀せいき華南かなん渡来とらいした宣教師せんきょうしが、土着どちゃく言語げんごのほかに官署かんしょはなされている公用こうようがあることに気付きづき、これを官僚かんりょうマンダリン Mandarin)の言語げんごんだことに由来ゆらいする。当時とうじ規範きはんとなったのは南京なんきんおともとづく南京なんきん官話かんわであった。きよしだい北京ぺきん首都しゅとであったため、官話かんわ中心ちゅうしん徐々じょじょ北京ぺきんおんもとにした北京ぺきん官話かんわへとうつっていった。しんだい官話かんわ政策せいさくは、雍正提議ていぎされ、福建ふっけんしょうには「せいおと書院しょいん」とばれる官話かんわおとまな書院しょいんもうけられ、広東かんとんしょうには民間みんかんの粤秀書院しょいんなどを支援しえんして官話かんわ教育きょういくになわせた。教科書きょうかしょとして『せいおとよう』『せいおと咀華』などがつくられている。

からし革命かくめいによる中華民国ちゅうかみんこく成立せいりつ前後ぜんごして、官話かんわ国語こくごあらためられた。国語こくご運動うんどう白話はくわぶん運動うんどうがおこり、北京ぺきんおん標準ひょうじゅんとすることがさだめられるなど、現代げんだい標準ひょうじゅん中国語ちゅうごくご規範きはんととのっていった。中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくは、北京ぺきんおん北方ほっぽう方言ほうげん官話かんわ方言ほうげん語彙ごい現代げんだい白話はくわぶん文法ぶんぽう標準ひょうじゅんとする「普通ふつうばなし」を共通きょうつうとし、その普及ふきゅうはか政策せいさくすすめている。

まんしゅう流入りゅうにゅう[編集へんしゅう]

きよしあさやく300ねん支配しはいあいだはぐくまれた北京ぺきん官話かんわには、支配しはい民族みんぞくであるまんしゅう民族みんぞく言語げんごまんしゅう語彙ごいいくつかふくまれている。これらはおも宮廷きゅうてい使用しようされたものであるが、「そち洒脱しゃだつである)」[3]などは現在げんざい一般いっぱん普及ふきゅうしている。

普通ふつうばなしではこれらまんしゅう語彙ごい排除はいじょされている。このてんではオスマン帝国ていこくオスマントルコ関係かんけいている。

方言ほうげん言語げんご[編集へんしゅう]

官話かんわ上記じょうきのように本来ほんらい官僚かんりょう共通きょうつう意味いみであるが、現在げんざい方言ほうげんめい言語げんごめいとして使つかわれることがある。この場合ばあい、「〜方言ほうげん」というわりに「〜官話かんわ」ということがある。

特徴とくちょう[編集へんしゅう]

  • こすおと - だい部分ぶぶん南方なんぽう官話かんわ西南せいなん官話かんわこう官話かんわ併称へいしょう)に歯茎はぐきおんs, ʦ, ʦʰそりしたおんʂ, ʐ, ʈʂ, ʈʂʰ区別くべつ存在そんざいしないが、北方ほっぽう官話かんわ西南せいなん官話かんわこう淮官ばなし以外いがい官話かんわかく意味いみ北方ほっぽうばなし)に存在そんざいする。
  • はないんはは - 西南せいなん官話かんわ以外いがい[m]はなく、[n]合流ごうりゅうしている。北方ほっぽう官話かんわ[n][ŋ]区別くべつはあるが、南方みなかた官話かんわ区別くべつしない。
  • 入声にっしょう - およそ半数はんすう以上いじょう南方なんぽう官話かんわにはのこる。
  • 声調せいちょう - 一般いっぱんてきよっつであるが、みっつやいつつの地域ちいきもある。

参照さんしょう項目こうもく[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ Top 100 Languages by Population - First Language Speakers
  2. ^ Top Ten Internet Languages - World Internet Statistics
  3. ^ すきでん智彦ともひこしんだいにおける言語げんご接触せっしょく」『岩手大学いわてだいがく人文じんぶん社会しゃかい科学かがく創立そうりつ40周年しゅうねん記念きねん国際こくさいシンポジウム報告ほうこくしょ』、岩手大学いわてだいがく人文じんぶん社会しゃかい科学かがく、2019ねん3がつ、47-58ぺーじNAID 120006705874 

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • 戦後せんご初期しょき日本にっぽんにおける中国ちゅうごく研究けんきゅう基礎きそ資料しりょうきん現代げんだい資料しりょう刊行かんこうかいNCID BC0739716X 

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]