宝島たからじま (雑誌ざっし)

宝島たからじま
刊行かんこう頻度ひんど	月刊げっかん → 隔週かくしゅう刊かん → 週刊しゅうかん
発売はつばい国こく	日本にっぽん
言語げんご	日本語にほんご
出版しゅっぱん社しゃ	晶文社しょうぶんしゃ・JICC出版しゅっぱん局きょく・宝島社たからじましゃ
編集へんしゅう長ちょう	富樫とかし 生せい
刊行かんこう期間きかん	1973年ねん7月がつ10日とおか - 2015年ねん8月がつ25日にち
ウェブサイト	https://tkj.jp/takarajima/

『宝島たからじま』（たからじま）は、宝島社たからじましゃから発行はっこうされていた看板かんばん雑誌ざっし。

1973年ねん7月がつ10日とおかに晶文社しょうぶんしゃより『WonderLand（ワンダーランド）』として創刊そうかん。1970年代ねんだいのサブカル文化ぶんかの一翼いちよくを担になった。休刊きゅうかんに至いたるまでに何なん度どもの雑誌ざっし自体じたいのコンセプトの変更へんこう（リニューアル）を経へた。創刊そうかん時じの誌し名めい『WonderLand』は、休刊きゅうかんに至いたるまで同誌どうしの英えい題だいとして使つかわれていた。休刊きゅうかん時点じてんでは「タブーに斬きり込こむ知的ちてき探求たんきゅうマガジン」というキャッチコピーの下した、アングラ情報じょうほうを含ふくむ情報じょうほう誌しとなっていた。休刊きゅうかん時じ編集へんしゅう長ちょうは富樫とがし生せい。

この雑誌ざっしから『別冊べっさつ宝島たからじま』や『別冊べっさつ宝島たからじまReal』、『VOW』といったムック本ほんなどが誕生たんじょうしていった。

歴史れきし・概要がいよう

10年ねんごとにコンセプトを変かえ、アンダーグラウンド→サブカルチャー→アダルト→ビジネス誌し→アングラ情報じょうほう誌しと、これまで全まったく異ことなるジャンルを横断おうだんし、それまでの読者どくしゃを切きり捨すててでもエポックメイキングな誌面しめんを作つくり出だしてきた。

1970年代ねんだい

1973年ねん、晶文社しょうぶんしゃより『ワンダーランド』が、音楽おんがく&カルチャー雑誌ざっしという形かたちで植草うえくさ甚一じんいちらの手てによって世よに出だされた（創刊そうかん号ごうの特集とくしゅうはキャロルであった）。これは企画きかく当初とうしょ、アメリカの雑誌ざっし『ローリング・ストーン』の日本にっぽん版ばんを創刊そうかんする予定よていで準備じゅんびしてきたものが、版権はんけん取得しゅとくが不調ふちょうに終おわったため、別べつ雑誌ざっしとして内容ないよう・誌し名めいを新あらたにして発行はっこうされるに至いたった、というもの。

創刊そうかん号ごうからすでに通信つうしんコーナーとして「VOW」は存在そんざいしていた。3号ごう目めで誌し名めいを『宝島たからじま』と変更へんこうし（これも権利けんり上じょうの問題もんだいによる変更へんこう）、翌年よくねんの6号ごうをもって一旦いったん休刊きゅうかんするが、その後ご版権はんけんはJICC出版しゅっぱん局きょくに移うつって1974年ねん6月がつに復刊ふっかんを遂とげる。グラフ誌し大だいだった判はん型がたは以後いごB6判ばんのポケットサイズに、翌年よくねん1月がつ号ごうからは紙質かみしつも、オイルショックによる折おりからの紙かみ不足ふそくを反映はんえいして、ザラ紙しとなる（1977年ねん5月がつ号ごうまで。以後いごはA5判ばん。紙質かみしつも回復かいふく）。復刊ふっかん時じの発行はっこう部数ぶすうは7000部ぶ。カリスマ的てきな編集へんしゅう者しゃによって先鋭せんえい化かされ、『宝島たからじま』はマイナー志向しこうの超ちょうカルト的てきサブカルチャー雑誌ざっしとして確立かくりつされてゆくが、ドラッグや精神せいしん文化ぶんか特集とくしゅうなど、そのマニアックさ故ゆえに部数ぶすうは伸のび悩なやんだ。発行はっこう部数ぶすうが5000部ぶ程度ていどのこともあった。

1980年代ねんだい

落おち込こんだ部数ぶすうを回復かいふくさせ、危機ききを切きり抜ぬけるため、『宝島たからじま』は関川せきかわ誠まことを編集へんしゅうとしてそれまでの編集へんしゅう方針ほうしんを替かえ、YMO、忌野いまわの清志郎きよしろうなどのミュージシャンを好このんで取とり上あげるようになり、1980年代ねんだい的てきなパンク・ニューウェーブのファッションや音楽おんがくや文化ぶんかの特集とくしゅうを組くむようになった。1985年ねんには全ぜんページにカラーグラビアを採用さいようし、誌面しめんは1980年代ねんだいのポップカルチャーで埋うめ尽つくされた。1980年代ねんだい後半こうはんになるとその傾向けいこうは顕著けんちょになり、ストリートファッションの特集とくしゅうやロックバンド特集とくしゅうなど、当時とうじの若者わかもののバイブルとしてもてはやされた。1987年ねん1月がつ号ごうから誌面しめんがA5判ばんから変形へんけいB5判ばんに大型おおがた化か、モノクロページが復活ふっかつする。同時どうじに反戦はんせん反核はんかく路線ろせんも明確めいかくとなった。

また、1985年ねんにはインディーズ・レーベル「キャプテン・レコード」を発足ほっそくさせ、THE WILLARD、有頂天うちょうてん、THE POGOなどの作品さくひんをリリースした。もはや1970年代ねんだい『宝島たからじま』のむさ苦くるしさは消滅しょうめつしていたが、名物めいぶつコーナーの「VOW」は不動ふどうの人気にんきを保たもった。

1990年代ねんだい

折おりからのバンドブームで売うり上あげも上昇じょうしょうし、発行はっこうペースを月刊げっかんから月つき2回かい刊かんに増ふやす。バンドブームも終おわりの時ときを迎むかえたころ、『宝島たからじま』は再ふたたび大幅おおはばに方針ほうしんを変更へんこうし、アダルト雑誌ざっしへと舵かじを切きった。1992年ねん11月9日にちには一般いっぱん雑誌ざっしで初はじめてヘアヌードを掲載けいさいし、世間せけんを驚おどろかせた。誌面しめんは風俗ふうぞく情報じょうほうやセックス関連かんれんの記事きじであふれ、それまでとはまったく違ちがった読者どくしゃを獲得かくとく、『宝島たからじま』は確信かくしん犯はん的てきにアダルト記事きじを飛とばしていった。この頃ころ、発行はっこう部数ぶすうは20万まん部ぶに達たっした。この方針ほうしん変更へんこうは、編集へんしゅう者しゃはもとより従前じゅうぜんの読者どくしゃから少すくなからぬ批判ひはんを惹起じゃっきし、一部いちぶ編集へんしゅう者しゃの離反りはんを招まねいたほか、当時とうじ連載れんさいを持もっていた清水しみずミチコでさえ『宝島たからじま』の名なを表ひょうに出だすことが恥はずかしかった旨むねの文章ぶんしょうを同誌どうしのコラムに寄よせている。なお、「VOW」はこの頃ころでも健在けんざいであった。

2000年代ねんだい

2000年ねん3月15日にち号ごうからの週刊しゅうかん化かをきっかけに、『宝島たからじま』はアダルト記事きじを捨すて、みたび誌面しめんを大幅おおはばに変更へんこうした。それまでの売うりだった風俗ふうぞく関連かんれんの記事きじやヘアヌードは姉妹しまい誌しとして新あらたに創刊そうかんされた『宝島たからじまファイヤー』に移うつり、代かわりにビジネス関連かんれんの記事きじや新しん製品せいひん情報じょうほうが拡充かくじゅうされた。2001年ねん頃ころにはビジネス誌しというフォーマットがほぼ確立かくりつされ、1990年代ねんだい『宝島たからじま』とはまったくの別べつの雑誌ざっしとして新生しんせい『宝島たからじま』は再さいスタートを切きったが、ライバル誌しの多おおいビジネス誌し業界ぎょうかいでは苦戦くせんし、2003年ねんに再ふたたび月刊げっかんに戻もどされている。「VOW」は2001年ねんに一旦いったん『宝島たからじま』誌上しじょうでの連載れんさいを終了しゅうりょうしたが、2010年ねんに再開さいかいしている。その後ご、ビジネス誌し色しょくは徐々じょじょに消きえ、アングラ情報じょうほう誌しとしての色いろが強つよくなっている。

2010年代ねんだい

2010年ねん頃ごろを境さかいに経済けいざい誌し的てき側面そくめんを徐々じょじょに薄うすめ、いわゆる裏うら社会しゃかいに切きり込こむ記事きじを前面ぜんめんに打うち出だしたアンダーグラウンド雑誌ざっしとしての色いろを濃こくしていった。

2015年ねん7月がつ29日にち、同年どうねん8月がつ25日にち発売はつばいの10月がつ号ごうをもって休刊きゅうかんすることが発表はっぴょうされた。

主要しゅよう関連かんれん人物じんぶつ

• 植草うえくさ甚一じんいち - 映画えいが・ジャズ・ミステリーの評論ひょうろん家か 創刊そうかん〜1976年ねん7月がつ号ごうまで編集へんしゅう顧問こもん
• 片岡かたおか義男よしお - 作家さっか 編集へんしゅう長ちょう
• 津野つの海かい太郎たろう - 編集へんしゅう長ちょう
• 高こう平たいら哲郎てつろう - コピーライター、放送ほうそう作家さっか 編集へんしゅう長ちょう1975年ねん1月がつ号ごう〜1975年ねん7月がつ号ごう
• 平野ひらの甲賀こうが - デザイナー（ブックデザイナー）
• 羽はね良りょう多た平吉へいきち - デザイナー（エディトリアルデザイナー）
• 室しつ矢や憲治けんじ - 詩人しじん、音楽おんがく評論ひょうろん家か
• 小泉こいずみ徹とおる（北山きたやま耕平こうへい） - 編集へんしゅう者しゃ、作家さっか 編集へんしゅう長ちょう1975年ねん8月がつ号ごう〜1976年ねん6月がつ号ごう
• 菅野かんの彰子あきこ - 編集へんしゅう者しゃ、翻訳ほんやく家か
• 蓮見はすみ清一せいいち - 宝島社たからじましゃ代表だいひょう取締役とりしまりやく社長しゃちょう 発行はっこう人じん
• 石井いしい慎二しんじ - 発行はっこう人じん のち洋よう泉いずみ社しゃ代表だいひょう取締役とりしまりやく社長しゃちょう 編集へんしゅう長ちょう1976年ねん7月がつ号ごう〜1976年ねん9月がつ号ごう
• 大橋おおはし歩あゆみ - イラストレーター 表紙ひょうし1975年ねん1月がつ号ごう〜1976年ねん12月がつ号ごう
• 嵐山あらしやま光三郎こうざぶろう - 作家さっか、編集へんしゅう者しゃ、タレント 「チューサン階級かいきゅうのトモ」1975年ねん8月がつ号ごう〜1976年ねん8月がつ号ごう連載れんさい
• 安西あんざい水みず丸まる - イラストレーター 「チューサン階級かいきゅうのトモ」「水みず丸まるギャラリー」「宝島たからじまの友とも」
• 安斎あんざい肇はじめ - イラストレーター、コラムニスト
• 糸井いとい重しげる里さと - コピーライター
• 蛭子えびす能収よしかず - 漫画まんが家か
• 佐々木ささきマキ - イラストレーター 表紙ひょうし1977年ねん1月がつ号ごう〜11月号ごう
• 渡辺わたなべ祐ゆう - 編集へんしゅう者しゃ 宝島たからじま編集へんしゅう部ぶから独立どくりつ後ごも引ひき続つづき「VOW」の編集へんしゅうを担当たんとう。
• 町山まちやま智浩ともひろ - 編集へんしゅう者しゃ
• 柳下やぎした毅一郎きいちろう - 編集へんしゅう者しゃ

サブカルチャー誌し時代じだいの主おもな関連かんれん人物じんぶつ（五十音ごじゅうおん順じゅん）

• いしかわじゅん：漫画まんが家か。『パンク・ドラゴン』連載れんさい。
• いとうせいこう：小説しょうせつ家か、ラッパー。『無機物むきぶつくんに愛あいをこめて』『自宅じたく闘争とうそう者しゃの手記しゅき』『ワールドアトラス』ほか連載れんさい。
• 奥平おくだいらイラ：漫画まんが家か、イラストレーター、アートディレクター。ニューウェーブ音楽おんがくの紹介しょうかいを中心ちゅうしんとした『アンクロメディア』『IST』、ファッションページ『BAKF』などを連載れんさいし、執筆しっぴつ、編集へんしゅう、アートディレクションを担当たんとう。1986年ねんより1988年ねんまで、表紙ひょうしのアートディレクションも担当たんとう。
• 景山かげやま民夫たみお：小説しょうせつ家か（当時とうじ放送ほうそう作家さっか）。『極楽ごくらくTV』連載れんさい。
• 川勝かわかつ正幸まさゆき・押切おしきり伸一しんいち：コラムニスト。『流行りゅうこうの素もと』連載れんさい（イラストレーションは岡崎おかざき京子きょうこ）。
• 小泉こいずみ今日子きょうこ：アイドル歌手かしゅ。企画きかくグラビア『K-iD』連載れんさい。1980年代ねんだい後半こうはんサブカルアイドルとして戸川とがわ純じゅんと双璧そうへきを成なした。
• COBRA：パンク・ロック・バンド。『月刊げっかんOi!』連載れんさい。
• 佐藤さとう克之かつゆき：ライター。本誌ほんしのハガキ職人しょくにんを経へてデビュー。
• 清水しみずミチコ：タレント、ミュージシャン。『清水しみずミチコの顔かおマネ塾じゅく』連載れんさい。
• しりあがり寿ことぶき：漫画まんが家か。『お猿さるのロッカー孫まご悟空ごくう』ほか連載れんさい。
• スチャダラパー：ヒップホップグループ。『スチャダラ・キッドボックス』連載れんさい。
• タイニー・パンクス（高木たかぎ完かん、藤原ふじわらヒロシ）：ヒップホップ・ユニット。『LAST ORGY』連載れんさい。当時とうじ黎明れいめい期きであった日本にっぽんのクラブ・カルチャーにおいて貴重きちょうな情報じょうほう源げんであった。藤原ふじわら脱退だったい後ご、高木たかぎは『WORD!』を連載れんさい。
• たま：フォーク・バンド。『たま公認こうにん 月刊げっかんたまぷくろ』連載れんさい。メンバーと親交しんこうの深ふかいさくらももこの4コマ漫画まんがも掲載けいさい。
• 電気でんきグルーヴ：テクノ・ニューウェイヴ・ユニット。『電気でんきGROOVEの脳のうが溶とける奇病きびょう』連載れんさい。特有とくゆうのユーモア溢あふれる奇想天外きそうてんがいな内容ないようにより、高木たかぎ完かんは自身じしんの連載れんさいにて大だい絶賛ぜっさんしていた。題字だいじは根本ねもと敬たかしが担当たんとう。
• 戸川とがわ純じゅん：女優じょゆう、ミュージシャン。『戸川とがわ純じゅんの人生じんせい相談そうだん』連載れんさい（不定期ふていき）。1980年代ねんだいサブカルチャーのイコン的てき存在そんざいであった。
• 中島なかじまらも：作家さっか、コピーライター。毎号まいごう出稿しゅっこうされ事実じじつ上じょう連載れんさいと化かしていたカネテツデリカフーズの広告こうこく『啓蒙けいもうかまぼこ新聞しんぶん』を制作せいさく。
• 中森なかもり明夫あきお：コラムニスト。『東京とうきょうトンガリキッズ』連載れんさい。
• NIGO：ファッションデザイナー、DJ。ジョニオこと高橋たかはし盾たてとともに『LAST ORGY 2』の連載れんさい。
• 野々村ののむら文宏ふみひろ：美術びじゅつ評論ひょうろん家か（当時とうじライター）。書評しょひょう『レディ・ステディ・業ぎょう』など連載れんさい。
• フリッパーズ・ギター：ネオアコ・ユニット。『フリキュラ・マシーン』連載れんさい。
• THE BLUE HEARTS：パンク・ロック・バンド。『月刊げっかんブルーハーツの友とも』連載れんさい。
• まついなつき：漫画まんが家か、エッセイスト。読者どくしゃ性せい生活せいかつアンケート『プロジェクトC』（のち米べい米べいクラブと共とも筆ひつ）を連載れんさい。
• みうらじゅん：イラストレーター。『万博ばんぱく少年しょうねんの逆襲ぎゃくしゅう』『ビバ!変へん読』『ちんぱい』など連載れんさい。
• LAUGHIN' NOSE：パンク・ロック・バンド。『LAUGHIN'PARADISE』連載れんさい。
• レピッシュ：ロック・スカバンド。メンバーの狂きょう市しと上田うえだ現げんが、『狂きょう市し・現げんの時事じじ放談ほうだん』を連載れんさい。

外部がいぶリンク

• 宝島たからじまチャンネル