川村かわむら恵めぐみ十郎じゅうろう

凡例はんれい川村かわむら恵めぐみ十郎じゅうろう
時代じだい	江戸えど時代じだい末期まっき（幕末ばくまつ） - 明治めいじ時代じだい
生誕せいたん	天保てんぽう7年ねん7月がつ7日にち（1836年ねん8月がつ18日にち）
死没しぼつ	明治めいじ31年ねん（1898年ねん）6月13日にち
改名かいめい	恵めぐみ十郎じゅうろう、正平しょうへい
墓所はかしょ	青山あおやま霊園れいえん1イ13-16～18
幕府ばくふ	江戸えど幕府ばくふ　小しょう仏ふつ関所せきしょ番つがえ、一いち橋きょう家か家臣かしん
主君しゅくん	徳川とくがわ慶喜よしのぶ
兄弟きょうだい	恵めぐみ十郎じゅうろう、敬三けいぞう
妻つま	敬子けいこ（山口やまぐち専せんの娘むすめ）
子こ	川村かわむら勇いさむ、川村かわむら花菱かりょう（久ひさ輔）
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川村かわむら恵めぐみ十郎じゅうろう（かわむらえじゅうろう）は、幕末ばくまつから明治めいじ時代じだいの江戸えど幕府ばくふ旗本はたもと、官僚かんりょう。明治維新めいじいしん後こうは正平しょうへいと称しょうした。子こに岩倉いわくら使節しせつ団だん随員ずいいんの川村かわむら勇いさむ（早世そうせいした）や劇げき作家さっかの川村かわむら花菱かりょうがいる。弘前ひろさき基督きりすと公会こうかいの長老ちょうろうとなった川村かわむら敬三けいぞうは弟おとうと。

略歴りゃくれき[編集へんしゅう]

安政あんせい2年ねん（1855年ねん）小しょう仏ふつ関所せきしょ番ばん見習みならいとして出仕しゅっし。文久ぶんきゅう3年ねん（1863年ねん）、一いち橋きょう家か当主とうしゅ徳川とくがわ慶喜よしのぶに朝あさ幕まく関係かんけいについての建白けんぱく書しょを提出ていしゅつ。また農民のうみん募兵ぼへいに尽力じんりょくした。同年どうねん、普請ふしん役やく見習みならいとして一いち橋きょう家か家臣かしんとなる。配下はいかには渋沢しぶさわ栄一えいいち・渋沢しぶさわ成一郎せいいちろうがいた。当時とうじの川村かわむらの身分みぶんは高たかくなく、慶喜よしのぶに直言ちょくげんできる立場たちばではなかったようである。元治もとはる元年がんねん（1864年ねん）6月16日にち夜よる、一いち橋きょう家か側用人そばようにん平岡ひらおか円まどか四郎しろうとともに家老がろうの渡辺わたなべ孝たかし綱つなの宿やどを訪問ほうもんしたが、その帰路きろで水戸みと藩はん士し林はやし忠ただし五郎ごろう・江幡えはた広光ひろみつらによる襲撃しゅうげきを受うけた。平岡ひらおかと従者じゅうしゃ2人にんが殺害さつがいされ、自みずからも傷きずを負おったが、林はやし・江幡えはた両りょう名なを闘たたかえ死しさせている。その後ごも慶喜よしのぶに仕つかえ、戊辰戦争ぼしんせんそう後ごの駿府すんぷでの謹慎きんしんまで従したがった。

維新いしん後ごの明治めいじ6年ねん（1873年ねん）、大蔵省おおくらしょうに出仕しゅっし。同年どうねんの台湾たいわん出兵しゅっぺいの事後じご処理しょりとして大久保おおくぼ利通としみちが渡わたり清きよしした際さいに随行ずいこうしている。以後いご、太政官だじょうかん、宮みや内省ないせい、内閣ないかくに奉職ほうしょくし、明治めいじ26年ねん（1893年ねん）内閣ないかく恩給おんきゅう局きょくを退官たいかん。明治めいじ31年ねん（1898年ねん）まで日光にっこう東照宮とうしょうぐうで禰宜ねぎを務つとめた。

逸話いつわ[編集へんしゅう]

慶応けいおう元年がんねん（1865年ねん）、慶喜よしのぶは朝廷ちょうていより、従したがえ二に位い・大納言だいなごんと摂津せっつ・河内かわうち・和泉いずみの3か国こくを与あたえるべしとの宣下せんげを受うけた。前者ぜんしゃはともかく、後者こうしゃは幕府ばくふの権利けんりを侵おかすものであり、慶喜よしのぶが自みずからこれを望のぞんだとの風聞ふうぶんも立たったため、幕府ばくふ内ないで猜疑心さいぎしんを起おこす者ものもいた。川村かわむらもこれを憂慮ゆうりょし、朝彦親王あさひこしんのうにその旨むねを述のべている。結局けっきょく慶喜よしのぶはこれを断ことわったが、これを知しった川村かわむらは「もし受諾じゅだくしていたら幕府ばくふに内乱ないらんが起おこっていただろう」と慶喜よしのぶの決断けつだんを評価ひょうかしている。
後のちに財界ざいかいの重鎮じゅうちんとなる渋沢しぶさわ栄一えいいちとは、まだ草莽そうもうの志士ししだった渋沢しぶさわが江戸えどにいたころに知しり合あった。川村かわむらは渋沢しぶさわを平岡ひらおか円えん四よん郎ろうや黒川くろかわ嘉兵衛かへえに紹介しょうかいし、その縁えんで渋沢しぶさわは一いち橋きょう家かに仕つかえることになったという。

登場とうじょう作品さくひん[編集へんしゅう]

NHK大河たいがドラマ

徳川とくがわ慶喜よしのぶ（1998年ねん） - 演えんじ：康かんすおん
青天せいてんを衝つけ（2021年ねん） - 演えんじ：波岡なみおか一いち喜き

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

渋沢しぶさわ栄一えいいち『徳川とくがわ慶喜よしのぶ公おおやけ伝でん』 3巻かん、平凡社へいぼんしゃ〈東洋文庫とうようぶんこ〉、1967年ねん。ISBN 9784582800982。
渋沢しぶさわ栄一えいいち『徳川とくがわ慶喜よしのぶ公おおやけ伝でん』 4巻かん、平凡社へいぼんしゃ〈東洋文庫とうようぶんこ〉、1967年ねん。ISBN 9784582801071。
徳川とくがわ慶喜よしのぶ『昔むかし夢ゆめ会かい筆記ひっき徳川とくがわ慶喜よしのぶ公おおやけ回想かいそう談だん』平凡社へいぼんしゃ〈東洋文庫とうようぶんこ〉、1967年ねん。ISBN 9784582800760。