左近さこん允まこと孝之たかゆき進すすむ

左近さこん允まこと孝之たかゆき進すすむ（さこんじょうこうのしん、1870年ねん 5月2日にち（明治めいじ3年ねん4月がつ2日にち） - 1909年ねん（明治めいじ42年ねん）11月11日にち）は、日本にっぽんの思想家しそうか、教育きょういく者しゃ、社会しゃかい事業じぎょう家かである。自身じしんが失明しつめいした後のち、視覚しかく障害しょうがい者しゃの権利けんり向上こうじょうのため、盲学校もうがっこうの創設そうせつ、日本にっぽん初はつの点字てんじ新聞しんぶん全国ぜんこく版ばんの創刊そうかん、日本にっぽん初はつの点字てんじプリンターの開発かいはつなどを手てがけた。

来歴らいれき[編集へんしゅう]

現在げんざいの鹿児島かごしま県けん鹿児島かごしま市し上龍尾かみたつお町まちに生うまれる。

1888年ねん（明治めいじ21年ねん）10月がつ、東京とうきょう専門せんもん学校がっこう（現げん・早稲田大学わせだだいがく）政治せいじ科かに入学にゅうがくするが、翌よく1889年ねん（明治めいじ22年ねん）2月がつに除籍じょせきとなる^[1]

1894年ねん（明治めいじ27年ねん）、日にち清しん戦争せんそうに従軍じゅうぐんし、軍曹ぐんそうまで昇進しょうしんする^[2]。しかし、1896年ねん（明治めいじ29年ねん）、白内障はくないしょうにより失明しつめいした。鍼按術じゅつ（鍼灸しんきゅうと按摩あんま）を学まなぶ。

1899年ねん（明治めいじ32年ねん）に今村いまむら増ぞう江こうと結婚けっこん。

1902年ねん（明治めいじ35年ねん）、日本にっぽん組合くみあい神戸こうべ多聞たもん基督教きりすときょう会かい（現げん・日本にっぽん基督教きりすときょう団だん神戸こうべ多聞たもん教会きょうかい）でキリスト教きりすときょうの洗礼せんれいを受うける。

1905年ねん（明治めいじ38年ねん）6月がつ、私立しりつ神戸こうべ訓くん盲めくら院いん（現げん・兵庫ひょうご県立けんりつ視覚しかく特別とくべつ支援しえん学校がっこう）を創設そうせつする。二面ふたおもて刷ずり点字てんじ活版かっぱん機きをの特許とっきょを取得しゅとくした。同年どうねん7月がつに六ろく光ひかり社しゃを創設そうせつする^[3]。

1906年ねん（明治めいじ39年ねん）1月がつ、日本にっぽん初はつの点字てんじ新聞しんぶん『あけぼの』を創刊そうかんした。同年どうねん、日本にっぽん盲人もうじん会かいの発起人ほっきにんとなり、会かいを発足ほっそくさせた。

1909年ねん（明治めいじ42年ねん）、肺はい結核けっかくにより死去しきょ。

業績ぎょうせき・活動かつどう[編集へんしゅう]

点字てんじプリンターの開発かいはつ[編集へんしゅう]

1905年ねん（明治めいじ38年ねん）4月がつ、日本にっぽん点字てんじの普及ふきゅうの速はやさに対たいし、点字てんじ出版しゅっぱん物ぶつの刊行かんこうが追おい付ついていないことに問題もんだい意識いしきを覚おぼえ点字てんじ木製もくせい活版かっぱん機きを試作しさくする。点字てんじ版ばん『教育きょういく勅語ちょくご』『高等こうとう小学しょうがく読本とくほん　巻一けんいち』を印刷いんさつした。その際さい、大量たいりょう印刷いんさつと長期ちょうき使用しようのためには金属きんぞく製せい点字てんじ活版かっぱん機きを作つくる必要ひつようがあると考かんがえ、神戸こうべ多聞たもん基督教きりすときょう会かいの信徒しんとの伝手つてをたどり、開発かいはつに着手ちゃくしゅ。イライザ・タルカットらの資金しきん援助えんじょにより日本にっぽん国内こくない初はつの点字てんじプリンターを完成かんせいさせた^[3]。その後ご、点字てんじ新約しんやく聖書せいしょの部分ぶぶん訳やくである日本語にほんご版ばん『四よん福音ふくいん書しょ』（ヨハネ伝でん・ルカ伝でん・マタイ伝でん・マルコ伝でん）を日本にっぽんで初はじめて全国ぜんこく出版しゅっぱんしている。^[4]

点字てんじ新聞しんぶん『あけぼの』創刊そうかん[編集へんしゅう]

1906年ねん（明治めいじ39年ねん）1月がつ1日にち、視覚しかく障害しょうがいがあっても情報じょうほうを得えられるようにと考かんがえ、点字てんじ新聞しんぶん『あけぼの』を創刊そうかんした^[5]。紙面しめんの内容ないようは、国内こくないおよび海外かいがいの時事じじ問題もんだいの他ほか、教育きょういく、福祉ふくし、生活せいかつの工夫くふう、視覚しかく障害しょうがい者しゃ向むけ求人きゅうじんなど多岐たきにわたる。

日本にっぽん盲人もうじん会かいの創設そうせつ[編集へんしゅう]

1906年ねん（明治めいじ39年ねん）前半ぜんはんに、奥村おくむら三さん策さく、好本よしもと督とくらとともに日本にっぽん全国ぜんこく規模きぼの視覚しかく障害しょうがい者しゃ福祉ふくし、教育きょういく団体だんたいである日本にっぽん盲人もうじん会かいを創設そうせつした。会かいの発足ほっそく目的もくてきは視覚しかく障害しょうがい者しゃへの教育きょういく、就労しゅうろう支援しえん、点字てんじ出版しゅっぱん物ぶつの発刊はっかん促進そくしんである。

主要しゅよう著作ちょさく[編集へんしゅう]

『盲人もうじん之の教育きょういく』左近さこん允まこと孝之たかゆき進すすむ（発行はっこう）・中村なかむら徳蔵とくぞう（印刷いんさつ）、1905年ねん^[6]
『盲人もうじん点字てんじ独習どくしゅう書しょ：一いち名めい・点字てんじ教授きょうじゅ法ほう』如泉堂どう　1905年ねん^[7]
点字てんじ版ばん『盲人もうじん点字てんじ教科書きょうかしょ』1905年ねん^[8]
点字てんじ版ばん『早稲田わせだ中学ちゅうがく講義こうぎ』六ろく光ひかり社しゃ、1906年ねん^[9]
点字てんじ新聞しんぶん『あけぼの』六ろく光ひかり社しゃ、1907年ねん - 1912年ねん

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

^ 安在あんざい邦夫くにお「左近さこん允まこと孝之たかゆき進すすむ研究けんきゅうノート」『早稲田大学わせだだいがく史記しき要よう』第だい23巻かん、1991年ねん、89頁ぺーじ。
^ 松岡まつおか秀隆ひでたか『左近さこん允まこと孝之たかゆき進すすむ兵庫ひょうご県けんの視覚しかく障害しょうがい者しゃ教育きょういくの父ちち』交友こうゆうプランニングセンター/友とも月がつ書房しょぼう、2014年ねん6月がつ29日にち。 ^{[要ようページ番号ばんごう]}
^ ^a ^b 山本やまもと優子ゆうこ『見みはてぬ夢ゆめを―「視覚しかく障害しょうがい者しゃ」の新しん時代じだいを啓けいいた左近さこん允まこと孝之たかゆき進しんの生涯しょうがい』燦葉出版しゅっぱん社しゃ、2005年ねん6月がつ20日はつか。 ^{[要ようページ番号ばんごう]}
^ 『『見果みはてぬ夢ゆめを』』燦葉出版しゅっぱん社しゃ、2005年ねん、117頁ぺーじ。
^ “日本にっぽん初はつの点字てんじ新聞しんぶん「あけぼの」創刊そうかん号ごう見みつかる”. 神戸こうべ新聞しんぶん. (2009年ねん11月11日にち)
^ “『盲人もうじん之の教育きょういく』”. 国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかんデジタルコレクション. 2021年ねん1月がつ21日にち閲覧えつらん。
^ “盲人もうじん点字てんじ独習どくしゅう書しょ : 一いち名めい・点字てんじ教授きょうじゅ法ほう”. 国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかんデジタルコレクション. 2021年ねん1月がつ21日にち閲覧えつらん。
^ 『盲めくら教育きょういく史しの手てざわり：人間にんげんの尊厳そんげんを求もとめて』小ちいさ子こ社しゃ、2020年ねん11月1日にち。
^ “点字てんじ中学ちゅうがく講義こうぎ録ろく : 第だい壱いち学年がくねん. 第だい1-3号ごう”. 早稲田大学わせだだいがく図書館としょかん. 2021年ねん1月がつ21日にち閲覧えつらん。

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

兵庫ひょうご県立けんりつ盲学校もうがっこう『兵庫ひょうご県立けんりつ盲学校もうがっこう八はち〇周年しゅうねん記念きねん誌し』1985年ねん
タケシタナカ・吉澤よしざわみか『引ひき継つがれる夢ゆめ　点字てんじ新聞しんぶん「あけぼの」―左近さこん允まこと孝之たかゆき進すすむと妻つま・増ぞう江え』桜さくら雲くも会かい、2019年ねん