建けん制せい順じゅん

建けん制せい順じゅん（けんせいじゅん）とは、書類しょるい上うえで組織そしきの名称めいしょうを並ならべるときや人物じんぶつをその所属しょぞくする組織そしきの序列じょれつにもとづいて並ならべるとき、あるいは会議かいぎなどの席次せきじを所属しょぞくする組織そしきにもとづいて決きめるときに組織そしき間あいだであらかじめ決きまっている順序じゅんじょのことである。

公文書こうぶんしょ等とうで複数ふくすうの組織そしき名めいを並ならべるときの順序じゅんじょ、特とくに内閣ないかくにおいて複数ふくすうの省しょうを並ならべるときと、省しょうの中なかで複数ふくすうの内部ないぶ部局ぶきょくを並ならべるときに決きまっている序列じょれつのことを指さすことが多おおいため、しばしば「役人やくにん用語ようごである」と説明せつめいされることもある。ただし、一般いっぱんの企業きぎょうにおいて書類しょるい上じょうや会議かいぎの席せきについて企業きぎょう内ないの各かく部署ぶしょを順じゅんに並ならべる時ときの順序じゅんじょや、企業きぎょうグループにおいて会社かいしゃ名なを順じゅんに並ならべるときにも、あらかじめ決きまっている順番じゅんばんがあるときにはその順番じゅんばんを建けん制せい順じゅんと呼よぶこともある。また、会議かいぎの席次せきじを決きめるに当あたっての根拠こんきょに使つかわれることもある。

概要がいよう

建けん制せい順じゅんとは慣習かんしゅう上じょうの存在そんざいであり、公式こうしきに建けん制せい順じゅんを定さだめた法令ほうれいや訓令くんれい・通達つうたつ等とうの文書ぶんしょが存在そんざいするわけではない。ただし、会議かいぎで言及げんきゅうされた発言はつげんが会議かいぎ録ろくなどに記録きろくされる等とうの形かたちで文書ぶんしょが残のこったり、非公式ひこうしきの覚おぼえ書がきのようなものが作成さくせいされたことはまれにある。文書ぶんしょに記しるされるときには、「いわゆる建けん制せい順じゅん」と、「いわゆる」を付つけて書かかれることも多おおい。府ふ省しょうの建けん制せい順じゅんは国家こっか行政ぎょうせい組織そしき法ほう別表べっぴょう第だい1（第だい三さん条じょう関係かんけい）に挙あげられている順番じゅんばんにより、各かく省内しょうないでの局きょくの建けん制せい順じゅんは各省かくしょうの組織そしき令れい（政令せいれい）において記しるされている順序じゅんじょによるとされているが、これらを建けん制せい順じゅんであると明記めいきした法令ほうれいは存在そんざいせず、そのような解釈かいしゃく自体じたいが慣習かんしゅうによるものであるというしかない。「あくまで一応いちおうのものであり、正式せいしきに決きまっているものではない」などと説明せつめいされている。

建けん制せい順じゅんは組織そしきの上下じょうげ関係かんけいを示しめすものではないとされてはいるが、建けん制せい順じゅんが上うえであるほど格かく上じょうであるとされることが多おおい。概おおむね総務そうむ部門ぶもん的てきな部局ぶきょく、管理かんり部門ぶもん的てきな部局ぶきょくが筆頭ひっとうにくることが多おおく、また一般いっぱん的てきには古ふるくから存在そんざいする組織そしきほど上位じょういを占しめており、「組織そしきの年功序列ねんこうじょれつ」等とうと説明せつめいされることもあるが、必かならずしもそうなっていない場合ばあいもある。また、ほとんどの場合ばあい、所属しょぞくする人員じんいんの多おおさや所管しょかんの組織そしき・機関きかんの多おおさ、予算よさん規模きぼ、許認可きょにんか権限けんげんの広ひろさや強つよさには関係かんけいの無ないことが多おおく、経済けいざい官庁かんちょうは比較的ひかくてき下位かいに位置いちすることが多おおい。中央ちゅうおう省庁しょうちょう再編さいへん時ときに創設そうせつされた総務そうむ省しょうのように、合併がっぺいしたうえで内閣ないかく補佐ほさの権限けんげんを持もたせるなど、意図いと的てきに筆頭ひっとう官庁かんちょうとなるように新設しんせつされたような場合ばあいや、省しょうから宮内くない府ふ、さらに宮内庁くないちょうとされた場合ばあい、逆ぎゃくに司法省しほうしょうから法務ほうむ庁ちょうを経へて、府ふ（法務ほうむ府ふ）となり、後のちに省しょうとなった法務省ほうむしょうのような場合ばあいを除のぞいて、1960年ねんに自治じち庁ちょうから昇格しょうかくした自治省じちしょう、中央ちゅうおう省庁しょうちょう再編さいへん時じに環境庁かんきょうちょうから昇格しょうかくした環境省かんきょうしょう、2007年ねんに防衛庁ぼうえいちょうから昇格しょうかくした防衛ぼうえい省しょうなど、新規しんきの組織そしきが加くわわるときは最もっとも後うしろの位置いちに置おかれることが多おおく、複数ふくすうの組織そしきが統合とうごうされた場合ばあいには、元もとの組織そしきの中なかで最もっとも上位じょういであった組織そしきの序列じょれつを引ひき継つぐことが多おおい。

建けん制せい順じゅんそのものを定義ていぎした法令ほうれいは存在そんざいしないが、

• 「決裁けっさいの順序じゅんじょは、原則げんそくとして主管しゅかん課かから開始かいしし、建けん制せい順じゅんで後こう順位じゅんいの局きょく庁ちょう部課ぶかから先さきに行おこなうものとする」
• 「連名れんめいの部長ぶちょう通達つうたつの場合ばあいは、主管しゅかん部長ぶちょうを初はつ記しるし、他たは建けん制せい順じゅんとする」
• 「起案きあん文書ぶんしょの決裁けっさいは、発信はっしん名義めいぎ人じんが最終さいしゅうの決裁けっさい者しゃとなることを原則げんそくとする。二に決裁けっさいの順序じゅんじょは、原則げんそくとして、主管しゅかん部署ぶしょから開始かいしし、組織そしき規程きていによる建けん制せい順じゅんで後こう順位じゅんいの部署ぶしょから先さきに行おこなうものとする」
• 「合議ごうぎ欄らんは、原則げんそくとして、関係かんけい部課ぶか室しつ等とうの担当たんとう主幹しゅかん以上いじょうの職しょくを、余白よはく左ひだり上部じょうぶから縦たてに職階しょっかい順じゅんかつ横よこに所属しょぞく建けん制せい順じゅんに記入きにゅうすること」

といった形かたちで、訓令くんれい・通達つうたつといった内部ないぶ規則きそくのような、主しゅとして組織そしき内部ないぶでのみ参照さんしょうされることを想定そうていしている文書ぶんしょにはしばしばこの語かたりが使用しようされている。

具体ぐたい的てきな建けん制せい順じゅん

府ふ省しょうの建けん制せい順じゅん

府ふ省しょうの建けん制せい順じゅんは国家こっか行政ぎょうせい組織そしき法ほう別表べっぴょう第だい1（第だい3条じょう関係かんけい）に掲かかげられている順番じゅんばんによる。

1. 総務そうむ省しょう（総理府そうりふの一部いちぶ、総務庁そうむちょう、郵政省ゆうせいしょう、自治省じちしょうが統合とうごう）
2. 法務省ほうむしょう
3. 外務省がいむしょう
4. 財務省ざいむしょう（大蔵省おおくらしょうから移行いこう）
5. 文部もんぶ科学かがく省しょう（←科学技術庁かがくぎじゅつちょう、文部省もんぶしょうが統合とうごう）
6. 厚生こうせい労働省ろうどうしょう（←厚生省こうせいしょう、労働省ろうどうしょうが統合とうごう）
7. 農林水産省のうりんすいさんしょう
8. 経済けいざい産業さんぎょう省しょう（通商産業省つうしょうさんぎょうしょうから移行いこう）
9. 国土こくど交通省こうつうしょう（北海道開発庁ほっかいどうかいはつちょう、国土庁こくどちょう、運輸省うんゆしょう、建設省けんせつしょうが統合とうごう）
10. 環境省かんきょうしょう（環境庁かんきょうちょう、厚生省こうせいしょうの一部いちぶが統合とうごう）
11. 防衛ぼうえい省しょう（2007年ねん1月がつ9日にち新設しんせつ。防衛庁ぼうえいちょうから移行いこう）

中央ちゅうおう省庁しょうちょう再編さいへん（2001年ねん（平成へいせい13年ねん）1月がつ6日にち）直前ちょくぜんの建けん制せい順じゅん

1. 総理府そうりふ（1949年ねん新設しんせつ）
2. 法務省ほうむしょう（1952年ねん8月がつ1日にち法務ほうむ府ふから移行いこう）
3. 外務省がいむしょう（1869年ねん8月がつ15日にち（明治めいじ2年ねん7月がつ8日にち）の太政官だじょうかん制せい（二に官かん六ろく省しょう制せい）時じに創設そうせつ）
4. 大蔵省おおくらしょう（太政官だじょうかん制せい（二に官かん六ろく省しょう制せい）時じに創設そうせつ）
5. 文部省もんぶしょう（1871年ねん9月2日にち（明治めいじ4年ねん7月がつ18日にち）設置せっち）
6. 厚生省こうせいしょう（1938年ねん1月がつ11日にち内務省ないむしょうから分離ぶんり）
7. 農林水産省のうりんすいさんしょう（1925年ねん農のう商務省しょうむしょうから分離ぶんり、当初とうしょは農林省のうりんしょう、1943年ねんから1945年ねんまで農のう商しょう省しょう、1978年ねん7月がつ5日にちまで農林省のうりんしょう）
8. 通商産業省つうしょうさんぎょうしょう（1949年ねん5月25日にち、商工しょうこう省しょうとその外局がいきょくである貿易ぼうえき庁ちょう、石炭せきたん庁ちょうを統合とうごうして発足ほっそく）
9. 運輸省うんゆしょう（1945年ねん5月がつ19日にち運輸うんゆ通信つうしん省しょうが運輸省うんゆしょうに改組かいそ）
10. 郵政省ゆうせいしょう（1949年ねん6月がつ1日にち逓信ていしん省しょうから分割ぶんかつ）
11. 労働省ろうどうしょう（1947年ねん9月1日にち厚生省こうせいしょうの労働ろうどう行政ぎょうせい部門ぶもんを分割ぶんかつ）
12. 建設省けんせつしょう（1948年ねん7月がつ10日とおか建設けんせつ院いんから移行いこう）
13. 自治省じちしょう（1960年ねん7月がつ1日にち自治じち庁ちょうと国家こっか消防庁しょうぼうちょうを統合とうごうして新設しんせつ）

国家こっか行政ぎょうせい組織そしき法ほう別表べっぴょう第だい1施行しこう時じ（1949年ねん（昭和しょうわ24年ねん）6月がつ1日にち）の建けん制せい順じゅん

1. 総理府そうりふ
2. 法務ほうむ府ふ
3. 外務省がいむしょう
4. 大蔵省おおくらしょう
5. 文部省もんぶしょう
6. 厚生省こうせいしょう
7. 農林省のうりんしょう
8. 通商産業省つうしょうさんぎょうしょう
9. 運輸省うんゆしょう
10. 郵政省ゆうせいしょう
11. 労働省ろうどうしょう
12. 建設省けんせつしょう
13. 経済けいざい安定あんてい本部ほんぶ

各かく府ふ省庁しょうちょう内ないの部局ぶきょくの建けん制せい順じゅん

各かく省内しょうないの部局ぶきょくの建けん制せい順じゅんは、まず全体ぜんたいとしては、大臣だいじん官房かんぼう、内局ないきょく（内部ないぶ部局ぶきょく）、外局がいきょく（もしあれば）となっている。各かく省内しょうないでの各局かくきょくが並ならべられる順序じゅんじょは各省かくしょう設置せっち法令ほうれいの中なかで各局かくきょくが並ならべられている順序じゅんじょによる

各かく府ふ省庁しょうちょうの地方ちほう支ささえ分ぶん部局ぶきょくの建けん制せい順じゅん

各省かくしょうの地方ちほう支ささえ分ぶん部局ぶきょくの建けん制せい順じゅんは、中央ちゅうおう省庁しょうちょう再編さいへんまでは東京とうきょうを筆頭ひっとうに規模きぼと重要じゅうよう度どで配列はいれつされていた。例たとえば税関ぜいかんでは、東京とうきょう、横浜よこはま、神戸こうべ、大阪おおさか、門司もじ、長崎ながさき、函館はこだての順じゅんとなっていた。中央ちゅうおう省庁しょうちょう再編さいへん後ごは、北海道ほっかいどうから本州ほんしゅう、四国しこく、九州きゅうしゅう、沖縄おきなわと地理ちり的てきな順じゅんとなり、再編さいへん前まえの格付かくづけ的てきな意味いみはなくなった、

関連かんれん項目こうもく

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