徳川とくがわ家か基もと

凡例はんれい 徳川とくがわ家か基もと
徳川とくがわ家か基もと像ぞう（徳川とくがわ記念きねん財団ざいだん蔵くら）
時代じだい	江戸えど時代じだい中期ちゅうき
生誕せいたん	宝たから暦れき12年ねん10月25日にち（1762年ねん12月10日にち）
死没しぼつ	安永やすなが8年ねん2月がつ24日にち（1779年ねん4月がつ10日とおか）
改名かいめい	竹たけ千せん代だい→家いえ基もと
別名べつめい	竹たけ千せん代だい、家いえ基もと
戒名かいみょう	孝こう恭きょう院いん殿どの贈おく正せい二に位い内大臣ないだいじん尊みこと儀ぎ
墓所はかしょ	東京とうきょう都と台東たいとう区く上野桜木うえのさくらぎ 東ひがし叡山えいざん寛永寺かんえいじ円えん頓ひたぶる院いん
官位かんい	従したがえ二に位い・権けん大納言だいなごん、贈おく正せい二に位い・内大臣ないだいじん、 贈おく正せい一いち位い・太政大臣だじょうだいじん
幕府ばくふ	江戸えど幕府ばくふ
氏族しぞく	徳川とくがわ氏し（徳川とくがわ将軍家しょうぐんけ）
父母ちちはは	父ちち：徳川とくがわ家治いえはる、母はは：蓮はちす光こう院いん 養母ようぼ：倫子ともこ女王じょおう
兄弟きょうだい	千代ちよ姫ひめ、万寿まんす姫ひめ、家いえ基もと、貞次郎ていじろう
妻つま	なし（婚姻こんいん予定よてい者しゃ = 貞さだ恭きょう院いん種しゅ姫ひめか？）
子こ	なし

徳川とくがわ 家か基もと（とくがわ いえもと）は、江戸えど幕府ばくふ第だい10代将軍しょうぐん徳川とくがわ家治いえはるの長男ちょうなん。将来しょうらいの第だい11代だい将軍しょうぐんとして期待きたいされていたが、急死きゅうしした。徳川とくがわ宗家そうけの歴史れきしの中なかで唯一ゆいいつ「家いえ」の通つう字じを授さづけられながらも将軍しょうぐん位いに就つけなかったため、「幻まぼろしの第だい11代だい将軍しょうぐん」とも呼よばれる。

生涯しょうがい

田沼たぬま意次おきつぐの推薦すいせんで側室そくしつとなったお知ち保ほの方ほう（蓮はちす光こう院いん）と家治いえはるの間あいだに生うまれる。生後せいごまもなく大奥おおおく女中じょちゅうの広橋ひろはしの願ねがいもあり、男子だんしのいなかった家治いえはるの御ご台所だいどころ・倫子ともこの養子ようしとなって成長せいちょうした。幼年ようねん期きより聡明そうめいで文武両道ぶんぶりょうどうの才能さいのうを見みせる。成長せいちょうするにつれ政治せいじにも関心かんしんを持もち、参画さんかくする姿勢しせいを表あらわし、老中ろうじゅう・ 田沼たぬま意次おきつぐの政治せいじを批判ひはんしている。

しかし安永やすなが8年ねん（1779年ねん）、鷹狩たかがりの帰かえりに立たち寄よった品川しながわの東海寺とうかいじで突然とつぜん体からだの不調ふちょうを訴うったえ、3日にち後ごに死去しきょした。享年きょうねん18（満まん16歳さい没ぼつ）。自みずからの後継あとつぎを失うしなった父ちち・家治いえはるは、食事しょくじも喉のどを通とおらなくなるほど嘆なげき悲かなしんだという。家いえ基もとの死しにより、家治いえはるの子こで存命ぞんめいの者ものはなくなり、家治いえはるはそれ以後いご、死去しきょするまで子こを儲もうけることはなかったため、家治いえはるの血筋ちすじは断絶だんぜつすることとなった。

その突然とつぜんの死しは、家いえ基もとの将軍しょうぐん就任しゅうにんによって失脚しっきゃくすることを恐おそれた意次おきつぐによる毒殺どくさつ説せつ、嫡男ちゃくなん・豊ゆたか千代ちよ（後ごの徳川とくがわ家斉いえなり）に将軍家しょうぐんけを継つがせたい一いち橋きょう家か・徳川とくがわ治済はるさだによる毒殺どくさつ説せつなど、多おおくの暗殺あんさつ説せつを生うんだ。一方いっぽうで幕末ばくまつに来日らいにちしたドイツの博物はくぶつ学者がくしゃシーボルトは、家いえ基もとがオランダから輸入ゆにゅうしたペルシャ馬ばに騎乗きじょう中ちゅう、落馬らくば事故じこを起おこして死亡しぼうしたと記述きじゅつしている。

家いえ基もとに代かわって第だい11代だい将軍しょうぐんとなった家斉いえなりは、晩年ばんねんになっても家いえ基もとの命日めいにちには自みずから墓所はかしょに参詣さんけいするか、若年寄わかどしよりを代参だいさんさせていた。血縁けつえん関係かんけいの遠とおい先代せんだい将軍しょうぐんの子供こどもにここまで敬意けいいを払はらうのは異例いれいである。なお、家いえ基もとの生母せいぼである蓮はちす光こう院いんは家斉いえなりの将軍しょうぐん在任ざいにん中ちゅうの文政ぶんせい11年ねん（1828年ねん）に、没後ぼつご30年ねん以上いじょうたって従したがえ三さん位いを追贈ついぞうされているが、将軍しょうぐん正室せいしつ（御台みだい所しょ）・将軍しょうぐん生母せいぼ以外いがいの大奥おおおくの女性じょせいが叙位じょいされた例れいは珍めずらしい。

官かん歴れき

※日付ひづけは旧暦きゅうれき

• 1762年ねん（宝たから暦れき12年ねん）10月がつ25日にち - 誕生たんじょう。幼名ようみょう：竹たけ千せん代だい
• 1765年ねん（明和めいわ2年ねん）12月1日にち - 諱いみなを家いえ基もととする旨むね決定けってい
• 1766年ねん（明和めいわ3年ねん）4月がつ7日にち - 元服げんぷくし、従したがえ二に位い権けん大納言だいなごんに叙任じょにん
• 1779年ねん（安永やすなが8年ねん）2月がつ24日にち - 薨去こうきょ。享年きょうねん18（満まん16歳さい没ぼつ）。法名ほうみょうは孝こう恭きょう院いん殿どの。墓所はかしょは、東京とうきょう都と台東たいとう区く上野桜木うえのさくらぎの東ひがし叡山えいざん寛永寺かんえいじ円えん頓ひたぶる院いん。
• 1780年ねん（安永やすなが9年ねん）11月がつ10日とおか - 贈おく正せい二に位い内大臣ないだいじん
• 1848年ねん（嘉よしみ永ひさし元年がんねん）10月がつ19日にち - 贈おく正せい一いち位い太政大臣だじょうだいじん

徳川とくがわ家か基もと　贈おく太政大臣だじょうだいじん正せい一いち位い宣命せんみょう（「高麗こうらい環たまき雑記ざっき」）

天皇てんのう我わが詔みことのり良よ万まん止とめ、贈おく内大臣ないだいじん正せい二位源家基朝臣尓詔倍止勅命乎聞食止宣、将家しょうか乃継嗣示志こころざし氐朝廷乃爪牙そうが止どめ毛成けなり倍ばい岐尓、不慮ふりょ毛け早はや久ひさし逝志乎、哀あい美び給きゅう比ひ惜美給きゅう比ひ氐、安永やすなが乃御宇尓追贈ついぞう志こころざし、今いま又また官位かんい乎上給きゅう比ひ氐、太政大臣だじょうだいじん正せい一位乎贈給比治賜布、天皇てんのう我わが勅命ちょくめい乎遠聞食止とめ宣せん、嘉よしみ永なが元年がんねん十じゅう月がつ十じゅう九日奉大内記菅在光朝臣申、

（訓読くんどく文ぶん）天皇てんのう我わが詔みことのり良よ万まん止とめ（孝明天皇こうめいてんのう すめらがおほみことらまと）、贈おく内大臣ないだいじん（うちのおほまへつぎみ）正せい二に位い（おほいふたつのくらゐ）源みなもと家か基もと朝臣あそんに詔みことのり倍ばい止どめ（のらへと）勅命ちょくめい乎（おほみことを）聞食止とめ宣せん（きこしめせとのる）、将家しょうか（将軍家しょうぐんけ）の継嗣けいし（よつぎ）として朝廷ちょうてい（みかど）の爪牙そうが（さうが）とも成なるべきに、不慮ふりょ（こころならず）も早はやく逝（ゆ）きしを、哀あい（かなし）み給きゅうひ惜おしみ給きゅうひて、安永やすながの御宇ぎょう（ぎょう）に追贈ついぞうし、今いま又また官位かんいを上うえ（のぼ）せ給きゅうひて、太政大臣だじょうだいじん（おほまつりごとのおほまへつぎみ）正せい一いち位い（おほいひとつのくらゐ）を贈おくり給きゅうひ治おさめ賜たまものふ、天皇てんのう（すめら）が勅命ちょくめい（おほみこと）を遠とおく聞きこし食しょく（め）せと宣せん（の）る、嘉よしみ永なが元年がんねん（1848年ねん）10月がつ19日にち、大だい内記ないき菅かん（原はら）在ざい光ひかり（唐橋からはし在ざい光ひかり、従したがえ四よん位い下か）朝臣あそん奉たてまつ（うけたまは）りて申もうす、

徳川とくがわ家か基もとが登場とうじょうする作品さくひん

テレビドラマ

• 大奥おおおく（1968年ねん・関西かんさいテレビ、演えんじ：太田おおた博之ひろゆき）
• 大奥おおおく（2024年ねん・フジテレビ、演えんじ：黒瀬くろせ逸いつ斗と → 谷たに昴すばる）
• べらぼう〜蔦つた重しげる栄華えいが乃夢噺ばなし〜（2025年ねん・NHK大河たいがドラマ、演えんじ：奥おく智さとし哉）

漫画まんが

• 『大奥おおおく』よしながふみ、白泉社はくせんしゃ

小説しょうせつ

• 居眠いねむり磐いわ音おん　（作さく：佐伯さえき泰やすし英えい、14巻かん「夏なつ燕つばめノ道みち」で日光にっこう社しゃ参さんに同行どうこうする家いえ基もとが描えがかれる。）