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戒名かいみょう

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仏教ぶっきょう用語ようご
戒名かいみょう, 法名ほうみょう
ビルマ ဘွဲ့
中国ちゅうごく 法名ほうみょう法号ほうごう戒名かいみょうほういみな
日本語にほんご 戒名かいみょう
朝鮮ちょうせん 법명
英語えいご Dharma name
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戒名かいみょう(かいみょう)は、仏教ぶっきょうにおいて、まもることをちかった(受戒じゅかいした)しゃあたえられる名前なまえである。仏門ぶつもんはいったあかしであり、戒律かいりつまもあかしとしてあたえられる。

戒名かいみょう授与じゅよは、上座かみざ仏教ぶっきょう大乗だいじょう仏教ぶっきょう両方りょうほうおこなわれており、おおくの場合ばあい出家しゅっけ修道しゅうどうしゃたいして授戒じゅかい師僧しそうによってあたえられる。

上座かみざ仏教ぶっきょうでの戒名かいみょう[編集へんしゅう]

上座かみざ仏教ぶっきょうでは、出家しゅっけみなみでん仏典ぶってんのこ阿羅漢あらかん名前なまえからけるため、その意味いみで「法名ほうみょう(Dharma name)」とぶ。

戒律かいりつ規定きていでは、はじめて沙弥さや戒(十戒じっかい)をけるときに、より戒名かいみょうさずかり、それと同時どうじ従前じゅうぜん俗名ぞくみょうてるとされる。

中国ちゅうごくでの戒名かいみょう[編集へんしゅう]

仏教ぶっきょう中国ちゅうごくつたわったさい、それととも戒名かいみょうつたわった。ただし、仏教ぶっきょう受容じゅようのため、元々もともとサンスクリットパーリであったインドの戒名かいみょうを、中国ちゅうごく翻訳ほんやくする必要ひつようしょうじ、竺法まもる真諦しんたいといった、中国ちゅうごくふう戒名かいみょう翻訳ほんやくされた。

一説いっせつには、諡号しごうみちごうなどのごう制度せいど風習ふうしゅう援用えんようして中国ちゅうごくふう戒名かいみょうまれたというせつもある。

また、中国ちゅうごくでは、仏弟子ぶつでしとしてあらたににつけるしん名前なまえという意義いぎから「ほういみな」(ほうい、ほうき)[1]ともう。

しゃく制度せいど誕生たんじょう[編集へんしゅう]

現在げんざい中国ちゅうごく文化ぶんかけんそう名乗なのりは「しゃく+○○」である。これは、仏教ぶっきょう伝来でんらい当初とうしょ師僧しそう出身しゅっしん地域ちいきせいとし(れい安世やすよだか、竺法まもる)、そのした戒名かいみょうけられていたが、これをよしとしないしゃくみちやすが、弟子でしよりも釈尊しゃくそん弟子でしとしてのかた重視じゅうしして釈氏しゃくし名乗なのり、それが当時とうじ中国ちゅうごく仏教ぶっきょうかい浸透しんとうしたことに由来ゆらいする。

なお、一部いちぶそうは、自称じしょうさいに、一時いちじてき生前せいぜんせい名乗なの場合ばあいもある。(れいひねげんうま道一みちかず魯智ふか

日本にっぽんでの戒名かいみょう[編集へんしゅう]

日本にっぽんには、仏教ぶっきょう伝来でんらいとも戒名かいみょうつたわった。その平安へいあん時代じだい末期まっき死生しせいかん変化へんかにより、死後しご成仏じょうぶつするという思想しそうのもと、故人こじん戒名かいみょうさづけて死後しご安寧あんねいいの風習ふうしゅうまれた(「成仏じょうぶつ#日本にっぽん文化ぶんかのなかでの「成仏じょうぶつ」を参照さんしょう)。死後しご戒名かいみょう習慣しゅうかん仏教ぶっきょうこくのなかでも日本にっぽんにしかない独特どくとくのもの[2]

法名ほうみょう法号ほうごう[編集へんしゅう]

一部いちぶ宗派しゅうは浄土真宗じょうどしんしゅうでは、戒名かいみょうわず法名ほうみょうい(詳細しょうさいは、「法名ほうみょう (浄土真宗じょうどしんしゅう)」を参照さんしょう)、日蓮宗にちれんしゅうなどの法華ほっけけい仏教ぶっきょう宗派しゅうはでは、法号ほうごういならわし、かならず「にちごう」がく。

授戒じゅかいかいじゅう相伝そうでんかい[編集へんしゅう]

現代げんだいでは、葬儀そうぎ戒名かいみょうさづけることが一般いっぱんてきだが、かく宗派しゅうは授戒じゅかいかいじゅう相伝そうでんかいなどの法要ほうよう講習こうしゅうかい参加さんかした在家ありいえ信徒しんとたいして、生前せいぜん戒名かいみょうさづけることもある。

戒名かいみょう構成こうせい[編集へんしゅう]

基本きほんてき戒名かいみょうは2表現ひょうげんされる。身分みぶん上下じょうげ熱心ねっしんさ、貢献こうけん関係かんけいなく、ふつ世界せかい平等びょうどうであることをあらわしている。

れい1 「OOいん△△XX居士こじ
れい2 「○○いんΔでるたΔでるた××大姉だいし

上記じょうきれい場合ばあい、「OO」「○○」が院号いんごう、「△△」「ΔでるたΔでるた」がみちごう、「XX」「××」が戒名かいみょう、「居士こじ」「大姉だいし」がごうである。

ただし、位牌いはい墓誌ぼし過去かこちょう法名ほうみょうじくなどには、戒名かいみょう前後ぜんご院号いんごうみちごうごうとうごうすことから、そのすべてを「戒名かいみょう」としてみる場合ばあいおおい。

なお、浄土真宗じょうどしんしゅう場合ばあい、「法名ほうみょう」をもちいるが、お釈迦様しゃかさま弟子でしになるという意味いみで「しゃくXX(男性だんせい)」「しゃくXX(女性じょせい)」と法名ほうみょうまえに「しゃく」(「しゃく」)の文字もじくわえている。(れい桂歌丸かつらうたまるしゃく歌丸うたまる

また、大名だいみょう旧家きゅうかでは、戒名かいみょうにもつうもちいられる場合ばあいられる。

ごう[編集へんしゅう]

戒名かいみょうには「信士しんじ」(信女しんにょ)や「居士こじ」(大姉だいし)、「院号いんごう」などのごうくが、これは故人こじん生前せいぜん社会しゃかいにおける業績ぎょうせき、あるいは寺院じいんへの貢献こうけんによって変化へんかするものである。

なお、りつむね浄土真宗じょうどしんしゅうではごうもちいない。

様々さまざまごうについて[編集へんしゅう]

居士こじ大姉だいし
インド長者ちょうじゃ中国語ちゅうごくごやく。あつい信仰しんこうった信者しんじゃおくられる。とりわけ熱心ねっしん信者しんじゃには「だい居士こじ」「きよし大姉だいし」がおくられる。
信士しんじ信女しんにょ
ゆうばばふさがゆうばばえびすという仏教ぶっきょう信者しんじゃとして、五戒ごかい十善じゅうぜんたも成人せいじん男女だんじょけられる。成人せいじんとする年齢ねんれいについては諸説しょせつあるが、18さい以上いじょうとするのが一般いっぱんてき宗派しゅうはによって、「清士きよし」「きよしおんな」「清浄せいじょう」「清浄せいじょうおんな」「ぜん」「善女ぜんにょ」ともう。
童子どうじ童女どうじょ
未成年みせいねんうちくなった、剃髪ていはつ得度とくどをしていないものけられる。未成年みせいねんとする年齢ねんれいについては、諸説しょせつあるが、18さい未満みまん、4、5さいから17さいけられるのが一般いっぱんてき宗派しゅうはにより「だい童子どうじ」「だい童女どうじょ」「せい童子どうじ」「きよし童女どうじょ」「ぜん童子どうじ」「ぜん童女どうじょ」などとなっている。
孩子・孩女
2、3さいうちくなった幼児ようじけられる。
嬰子・嬰女
0、1さいうちくなった幼児ようじけられる。
水子みずこ
死産しざん乳児にゅうじうちくなったものけられる。まさしくは「すいし」または「すいじ」とむが、近年きんねんは「みずこ」とむことがおおい。

院号いんごういん殿どのごう[編集へんしゅう]

院号いんごう」「いん殿どのごう」は、生前せいぜんに、寺院じいん宗派しゅうはたいして多大ただい貢献こうけんをしたもの、あるいは社会しゃかいてきたか貢献こうけんをしたものおくられる顕彰けんしょう目的もくてきごうである。

院号いんごう」は、もと皇族こうぞく寺院じいん建立こんりゅうなどのぬの施行しこうをした場合ばあいに、そのとくとなえておくられるものである。

いん殿どのごう」は、だい名家めいか武士ぶし寺院じいん土地とち建物たてもの寄進きしんした場合ばあいおくられたものである。なお、将軍家しょうぐんけ大名だいみょうでは死後しご古文書こもんじょ古記こきろくでは戒名かいみょうばれるが、これは貴人きじん実名じつめい呼称こしょうすることを習俗しゅうぞく避諱)によるものである。

したがって、本来ほんらいいん殿どのごうより院号いんごうほうかくじょうとされるが、2019ねん現在げんざいでは、字数じすう見栄みばえなどから、いん殿どのごうほうかくじょうとされている。

戦没せんぼつしゃへの院号いんごう授与じゅよ[編集へんしゅう]

なお、明治維新めいじいしんにちしん戦争せんそうにち戦争せんそうだい世界せかい大戦たいせんなどで、現地げんち戦死せんししたひとたいしては、日本にっぽん政府せいふからの指示しじにより[よう出典しゅってん]くに貢献こうけんしたあかしとして「ただしれついん」「殉國じゅんこくいん」「報國ほうこくいん[3]あきらこくいん[4]などの院号いんごうけられていることがおおい。

生前せいぜん院号いんごうについて[編集へんしゅう]

金地院こんちいん崇伝すうでんのように、生前せいぜんから戒名かいみょううえ院号いんごうけて名乗なのものもいる。これは寺号じごう院号いんごうがもともと僧侶そうりょじゅうぼうめい開基かいきとなった寺院じいんめいからきているためである。具体ぐたいてきいんぼうである場合ばあいと、法華宗ほっけしゅう高僧こうそう仏性ぶっしょういんにちおく)や真宗しんしゅう本寺ほんじ住持じゅうじ信楽しがらきいん顕如けんにょ)のように名乗なのりや死後しご諡号しごうである場合ばあいがある。

なお、りつむねでは院号いんごう使用しようしない。

あんごうのきごう[編集へんしゅう]

院号いんごうほどではないが、寺院じいん宗派しゅうはにたいして貢献こうけんしたものや、社会しゃかい貢献こうけんしたものおくられるごうである。

あんごう」は比較的ひかくてき小規模しょうきぼ寺院じいん意味いみするあん由来ゆらいし、大名だいみょう夫人ふじんむすめが、化粧けしょう建物たてもの寄進きしんしたことに由来ゆらいする。

のきごう」はだい寺院じいん住職じゅうしょくから隠居いんきょしたろうそう隠居いんきょ寮舎りょうしゃのき)の由来ゆらいする。おも禅宗ぜんしゅう臨済宗りんざいしゅう曹洞宗そうとうしゅう)の信徒しんとおくられ、もとはだい寺院じいん敷地しきちない建物たてもの一棟ひとむね寄進きしんした信者しんじゃおくられていた。2019ねん現在げんざいでは、代々だいだい院号いんごう授与じゅよされるいえ分家ぶんけすじや、居士こじごう人物じんぶつ子孫しそんが、立身出世りっしんしゅっせした場合ばあい追贈ついぞうかたちおくるようである。

みちごう[編集へんしゅう]

戒名かいみょううえけられる2ごうで、真言宗しんごんしゅう天台宗てんだいしゅう浄土宗じょうどしゅう臨済宗りんざいしゅう曹洞宗そうとうしゅう日蓮宗にちれんしゅうなどでもちいられる。

中国ちゅうごくまれ、(あざな)に相当そうとうするというせつなどがあり、それが禅僧ぜんそうによって日本にっぽんつたわった。

一休宗純いっきゅうそうじゅんのように、生前せいぜんから戒名かいみょううえみちごうけて名乗なのものおおい。

なお、りつむね浄土真宗じょうどしんしゅう高田たかだのぞく)ではみちごうもちいない。

宗派しゅうはべつ特徴とくちょう[編集へんしゅう]

下記かき特徴とくちょう説明せつめいは、地域ちいき寺院じいんなどの慣習かんしゅうによってことなる場合ばあいがある。

りつむね
戒名かいみょうしたに「菩薩ぼさつ」の2く。
天台宗てんだいしゅう
院号いんごうみちごう戒名かいみょうごうじゅんにつける。女性じょせい戒名かいみょうには「みょうごうおお使つかわれる。(れい清秋きよあきいんてんはなたえれい大姉だいし など
真言宗しんごんしゅう
院号いんごうみちごう戒名かいみょうごうじゅんにつける。
浄土宗じょうどしゅう鎮西ちんぜい
ほまれごうじゅう相伝そうでんけたものたいしてけられる。戒名かいみょう院号いんごうほまれごうまたはそらごうみちごう戒名かいみょうごうじゅん院号いんごうほまれごうまたはそらごう戒名かいみょうごうじゅん院号いんごうみちごう戒名かいみょうごうじゅんの3とおりある。
浄土宗じょうどしゅう西山にしやま
そらごうじゅう相伝そうでんけたものたいしてけられる。戒名かいみょう院号いんごうほまれごうまたはそらごうみちごう戒名かいみょうごうじゅん院号いんごうほまれごうまたはそらごう戒名かいみょうごうじゅん院号いんごうみちごう戒名かいみょうごうじゅんの3とおりある。
臨済宗りんざいしゅう
戒名かいみょう」の名称めいしょうもちいる。院号いんごうみちごう戒名かいみょうごうじゅんにつけるが、院号いんごうけない場合ばあいおおい。足利あしかが将軍家しょうぐんけはじめ室町むろまち以来いらい大名だいみょう信徒しんとおおく、その場合ばあい院号いんごういん殿どのごうもちいる。院号いんごうわりにのきごう使用しようする場合ばあいおおい。
浄土真宗じょうどしんしゅう
法名ほうみょう」をもちいる。「戒名かいみょう」とはばない。詳細しょうさいは、「法名ほうみょう (浄土真宗じょうどしんしゅう)」を参照さんしょうのこと。
曹洞宗そうとうしゅう
戒名かいみょう」または「やすめい」の名称めいしょうもちいる。院号いんごうみちごう戒名かいみょうごうじゅんにつけるが、院号いんごうがない場合ばあいもある。院号いんごうごうおくりなめいであり没後ぼつごけるのが通常つうじょうである。たんに△△□□(みちごう戒名かいみょう)の4文字もじか□□(戒名かいみょう)の2文字もじもしくはこれにごう信士しんじ信女しんにょ在家ありいえ信者しんじゃぜんぎょうじる信者しんじゃとして居士こじ大姉だいしけるれいもある)がいたものがあたえられる。
地方ちほう守護しゅご大名だいみょうクラスのいえ信者しんじゃおおく、いん殿どのごうてら殿どのごう院号いんごうときごう寺号じごう付与ふよされることがおおかった。またその有力ゆうりょく家臣かしんには院号いんごうけんごうもちいるれいがあった。これらは、寺院じいん建立こんりゅう存続そんぞく多大ただい貢献こうけんをしていることへの寺院じいんよりある意味いみれいとしてけられ、一般いっぱん庶民しょみん豪商ごうしょう豪農ごうのうれいのぞくと一般いっぱんてきではなかった。庶民しょみんまでひろまったのは、明治めいじ以降いこう寺院じいん困窮こんきゅう時期じき篤志とくししゃ英霊えいれいたいして付与ふよしたことにはじまる。現在げんざい篤志とくししゃたまわる。
僧侶そうりょ場合ばあいは、「みちごう戒名かいみょう」のようにあらわされることがおおく、大和尚だいおしょう和尚おしょうちからせい)、首座しゅざ座元ざもと)、上座かみざはなど位階いかいばれるものはみずからは名乗なのらない。示寂じじゃく以降いこう住職じゅうしょくならば「○○てら○○せい△△□□大和尚だいおしょう」(住職じゅうしょく寺院じいんでは○○てらではなく當山とうざんまたはとうてらえる)、その場合ばあいみちごう戒名かいみょうかく位階いかいおくりなられるかたちる(まれに、こう和尚おしょうという諡号しごうおくりなられることがある)。ちなみに、てらぞく曹洞宗そうとうしゅう場合ばあいは、住職じゅうしょく夫人ふじんないしは未亡人みぼうじんのみを通常つうじょうす)の場合ばあいは、一般いっぱん戒名かいみょう法則ほうそくとほぼ同様どうようとなるが、通常つうじょうは、最後さいごごう部分ぶぶんが「禪尼ぜんに(あるいは常用じょうよう字体じたい禅尼ぜんに)」となる。
時宗じしゅう
ふるくは「阿弥陀あみだほとけごうけた。観阿弥かんあみ世阿弥ぜあみはそのくずれである。現在げんざいでは男性だんせいにそのりゃくである「おもねごう女性じょせいには「弌」(いち)ごうをつけるのが原則げんそくである。阿弥陀あみだふつごうじゅうみなもとが「南無阿弥陀仏なむあみだぶつ」と自称じしょうしたことを起源きげんとし、成仏じょうぶつしたことを意味いみする。女性じょせい当初とうしょ阿弥陀あみだふつごうであったが、一遍いっぺんは「いちぼうごうや「ふつぼうごうあたえた。「いちほとけじょう」からとったという。弌号はその名残なごりである。
日蓮宗にちれんしゅう
日蓮宗にちれんしゅうけいでは、法華経ほけきょう信者しんじゃれい鷲山わしやま浄土じょうどまれるとされるため、「戒名かいみょう」ではなく「法号ほうごう」とぶ。男性だんせいへは「ほうごう女性じょせいには「みょうごうなどが使つかわれる。
日蓮にちれん正宗まさむねでは、「法号ほうごう」といういいかたも「戒名かいみょう」といういいかたもされている。

苗字みょうじ+戒名かいみょう名乗なの[編集へんしゅう]

伝来でんらいから中世ちゅうせいまで[編集へんしゅう]

もともと、日本にっぽん中世ちゅうせいでは、出家しゅっけしゃ俗世ぞくせてたので、俗姓ぞくせい名乗なのらず、中国ちゅうごくやインドでの先例せんれいならって、(「釈氏しゃくし」を省略しょうりゃくして)戒名かいみょうのみを名乗なのることがおおかった。

たとえば、室町むろまち幕府ばくふ6だい将軍しょうぐん足利あしかが義教よしのりは、仏門ぶつもんはいっていたため「義円ぎえん」という戒名かいみょう名乗なのっていた。その、6だい将軍しょうぐん就任しゅうにんにあたって還俗げんぞくし、「足利あしかが義宣よしのぶ」(のち義教よしのりあらためる)という俗名ぞくみょう名乗なのった。つまり、義教よしのり足利あしかがせい名乗なのったのは、還俗げんぞくしたのち将軍しょうぐんしょくにつくまえのことになる。また、道鏡どうきょうのことを「弓削道鏡ゆげのどうきょう」と事例じれいがあるが、これについても道鏡どうきょう死後しご一般いっぱんしたれいではないかというせつ有力ゆうりょくである。

戦国せんごく時代じだい以降いこう[編集へんしゅう]

しかし、戦国せんごく時代じだい室町むろまち時代じだい後期こうき)になると、武田たけだ信玄しんげん上杉うえすぎ謙信けんしん山名やまな宗全そうぜん大友おおとも宗麟そうりんなど、出家しゅっけしながら俗事ぞくじたずさわる人物じんぶつ法皇ほうおう以外いがいあらわれ、かれらは結果けっかとして苗字みょうじ戒名かいみょう名乗なのった。

なお、そう武将ぶしょうした場合ばあいは、安国寺あんこくじ恵瓊えけいのように寺号じごう戒名かいみょうか、または院号いんごう戒名かいみょうかた名乗なのるのが普通ふつうであった。これらのかたは、江戸えど時代じだいはいると、急速きゅうそくすたれていった。

明治維新めいじいしん[編集へんしゅう]

明治維新めいじいしん以降いこう平民へいみんでも苗字みょうじ使用しよう義務付ぎむづけられると、僧侶そうりょ名字みょうじ戒名かいみょう戸籍こせき登録とうろくおこなわなければならなくなり、むらめい苗字みょうじにした場合ばあいれい滝谷たきやみがくむね)や、仏教ぶっきょう用語ようごから苗字みょうじける(れいひろしけん○○)、自身じしん宗祖しゅうそ旧姓きゅうせいからける(れい久我くがたまきけい)ことが見受みうけられた。

日本にっぽん戒名かいみょう課題かだい[編集へんしゅう]

差別さべつ戒名かいみょうについて[編集へんしゅう]

近世きんせいには、差別さべつ部落ぶらく出身しゅっしんしゃたいして、差別さべつてき字句じくふく戒名かいみょうあたえる風習ふうしゅう存在そんざいした。戒名かいみょうちゅうに「ほお」(ト)「畜」「かわ」などをもちいた。ときには巧妙こうみょうに畜のを「げん」と「」にけたり、「かわ」をの「くさ」にするなどの細工ざいくもなされており、部落ぶらく解放かいほう同盟どうめい中心ちゅうしん調査ちょうさがなされている。しかし在日ざいにち韓国かんこく朝鮮ちょうせんじんつうめい帰化きかした「ほおせいひとたちのなかでは現在げんざい戒名かいみょうもちいるケースもおおく、差別さべつ戒名かいみょうやその件数けんすうとしてあつかわれている調査ちょうさ自体じたい抗議こうぎこえもある。

布施ふせ戒名かいみょうりょう)の価格かかく目安めやす表示ひょうじについて[編集へんしゅう]

イオンが、イオンカード保有ほゆうしゃけの葬儀そうぎしゃ紹介しょうかいサービスにて「お布施ふせ価格かかく目安めやす」をしたところ、全日本ぜんにほん仏教ぶっきょうかいが「お布施ふせ定価ていかはない。企業きぎょうによる宗教しゅうきょう行為こういへの介入かいにゅうだ」と反発はんぱつ。しかし、8宗派しゅうはやく600の寺院じいん協力きょうりょくした。

平成へいせい22ねん7がつ2にちづけ産経新聞さんけいしんぶん』には「目安めやすとはいっても、だい企業きぎょう発表はっぴょうすればそれが『定価ていか』として一人ひとりあるきしてしまうおそれがある」(日本にっぽんテンプルヴァン(JT-VAN)社長しゃちょう井上いのうえ文夫ふみお)と懸念けねんするコメントと、「消費しょうひしゃ立場たちばからすれば、布施ふせ価格かかく明示めいじはありがたいのではないか」(第一生命だいいちせいめい経済けいざい研究所けんきゅうじょ主任しゅにん研究けんきゅういん小谷おたにみどり)の肯定こうていてきなコメントの双方そうほう掲載けいさいしている[5][6][7]

なお、戒名かいみょう授与じゅよたいするお布施ふせと、通夜つや葬送そうそう儀礼ぎれい法要ほうよう施行しこうたいするお布施ふせ導師どうし供養くようりょう)は一緒いっしょおさめることがおおいが、本来ほんらいはそれぞれべつおさめるものである。施行しこう時期じきちかいことと当日とうじつ手間てま都合つごうじょう一緒いっしょおさめるため、結果けっかとしてたかかんじられるケースはある。同日どうじつおさめた場合ばあい相続そうぞくぜい控除こうじょ対象たいしょうとなる。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ 国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん件名けんめい標目表ひょうもくひょう法名ほうみょう」・同義語どうぎご - NDLSH
  2. ^ 飯倉いいくらはれたけし:ちょ青春せいしゅん出版しゅっぱんしゃ日本人にっぽんじんのしきたりせい月行事つきぎょうじまめまき、大安吉日たいあんきちにち厄年やくどし...にめられた知恵ちえしん(青春せいしゅん新書しんしょINTELLIGENCE)」155ページ
  3. ^ 大谷おおや門徒もんとちち戦死せんし美化びかさせない 「院号いんごう返上へんじょう 軍神ぐんしんあつかい、にが記憶きおく”. 毎日新聞まいにちしんぶん (2018ねん8がつ17にち). 2022ねん11月9にち閲覧えつらん
  4. ^ 法名ほうみょう戒名かいみょう”. 真宗しんしゅう大谷おおや 宗玄寺しゅうげんじ (2021ねん10がつ21にち). 2022ねん11月9にち閲覧えつらん
  5. ^ 宗教しゅうきょう介入かいにゅうだ」仏教ぶっきょうかいこまった イオンの葬儀そうぎサービスが「お布施ふせ」に目安めやす (1/2ページ) - MSN産経さんけいニュース Archived 2010ねん11月7にち, at the Wayback Machine. - 産経新聞さんけいしんぶん 2010ねん7がつ2にち
  6. ^ 葬儀そうぎ料金りょうきん透明とうめいうごき イオンがひつぎだいなど明文化めいぶんか (1/2ページ) - MSN産経さんけいニュース - 産経新聞さんけいしんぶん 2010ねん1がつ24にち
  7. ^ 産経新聞さんけいしんぶんにコメントが掲載けいさいされました。 JT-VAN新着しんちゃく情報じょうほう-2010ねん-”. 日本にっぽんテンプルヴァン. 2010ねん7がつ5にち閲覧えつらん

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]