寛永寺かんえいじ

寛永寺かんえいじ
根本中堂こんぽんちゅうどう
所在地しょざいち	東京とうきょう都と台東たいとう区く上野桜木うえのさくらぎ一いち丁目ちょうめ14番ばん11号ごう
位置いち	北緯ほくい35度ど43分ふん17秒びょう 東経とうけい139度ど46分ふん27.5秒びょう
山号さんごう	東ひがし叡山えいざん
院号いんごう	円えん頓ひたぶる院いん
宗旨しゅうし	天台宗てんだいしゅう
寺格じかく	関東かんとう総本山そうほんざん
本尊ほんぞん	薬師やくし如来にょらい（秘仏ひぶつ、重要じゅうよう文化財ぶんかざい）
創建そうけん年ねん	寛永かんえい2年ねん（1625年ねん）
開山かいさん	天海てんかい
開基かいき	徳川とくがわ家光いえみつ
正式せいしき名めい	東ひがし叡山えいざん寛永寺かんえいじ円えん頓ひたぶる院いん
札所ふだしょ等とう	江戸えど三さん十じゅう三さん観音かんのん札所ふだしょ 第だい6番ばん（清水しみず観音堂かんのんどう）
文化財ぶんかざい	旧きゅう本ほん坊ぼう表門おもてもん、清水しみず観音堂かんのんどう、木造もくぞう薬師くすし三さん尊像そんぞうほか（重要じゅうよう文化財ぶんかざい） 徳川とくがわ家か霊廟れいびょう
公式こうしきサイト	東ひがし叡山えいざん寛永寺かんえいじ公式こうしきサイト
法人ほうじん番号ばんごう	5010505000200
寛永寺かんえいじ 寛永寺かんえいじ (東京とうきょう都区とく部ぶ)

旧きゅう寛永寺かんえいじ五重塔ごじゅうのとう（重要じゅうよう文化財ぶんかざい）

広重ひろしげ『名所めいしょ江戸えど百ひゃく景けい』より寛永寺かんえいじ清水しみず観音堂かんのんどうが描えがかれた「上野うえの清水しみず堂どう不ふ忍にんノ池いけ」。

寛永寺かんえいじ（かんえいじ）は、東京とうきょう都と台東たいとう区く上野桜木うえのさくらぎ一いち丁目ちょうめにある天台宗てんだいしゅう関東かんとう総本山そうほんざんの寺院じいん。山号さんごうは東ひがし叡山えいざん（とうえいざん）。東ひがし叡山えいざん寛永寺かんえいじ円えん頓ひたぶる院いんと号ごうする。開基かいき（創立そうりつ者しゃ）は江戸えど幕府ばくふ3代だい将軍しょうぐんの徳川とくがわ家光いえみつであり、開山かいさん（初代しょだい住職じゅうしょく）は天海てんかい、本尊ほんぞんは薬師やくし如来にょらいである。

徳川とくがわ将軍家しょうぐんけの祈祷きとう所しょ・菩提寺ぼだいじであり、徳川とくがわ歴代れきだい将軍しょうぐん15人にんのうち6人にんが寛永寺かんえいじに眠ねむる。17世紀せいき半なかばからは皇族こうぞくが歴代れきだい住職じゅうしょくを務つとめて朝廷ちょうていとの繋つながりが深ふかかった。日光にっこう山さん、比叡山ひえいざんをも管轄かんかつする天台宗てんだいしゅうの本山ほんざんとして近世きんせいには強大きょうだいな権勢けんせいを誇ほこったが、幕末ばくまつの動乱どうらん期きに主要しゅような伽藍がらんが焼失しょうしつした。かつての境内けいだいの大だい部分ぶぶんは上野公園うえのこうえんとなっている。

歴史れきし

創建そうけんと伽藍がらん整備せいび

江戸えどにあった徳川とくがわ家かの菩提寺ぼだいじのうち、増上寺ぞうじょうじは中世ちゅうせいから存在そんざいした寺院じいんであったが、寛永寺かんえいじは天海てんかいを開山かいさんとし、徳川とくがわ家かにより新あらたに建立こんりゅうされた寺院じいんである。徳川とくがわ家康いえやす・秀忠ひでただ・家光いえみつの3代だいの将軍しょうぐんが帰依きえしていた天台宗てんだいしゅうの僧そう・南光なんこう坊ぼう天海てんかいは江戸城えどじょうの鬼門きもんの方角ほうがくを憂慮ゆうりょし、そのことを知しった秀忠ひでただは、元和がんわ8年ねん（1622年ねん）、現在げんざいの上野公園うえのこうえんの地ちを天海あまみに与あたえた。当時とうじこの地ちには伊勢いせ津つ藩はん主おも・藤堂とうどう高虎たかとら、弘前ひろさき藩はん主おも・津軽つがる信しん枚まい、越後えちご村上むらかみ藩はん主おも・堀ほり直ただし寄よせの3大名だいみょうの下屋敷しもやしきがあったが、それらを収おさむ公こうして寺地てらじにあてたものである。秀忠ひでただの隠居いんきょ後ご、寛永かんえい2年ねん（1625年ねん）、3代だい将軍しょうぐん徳川とくがわ家光いえみつの時ときに今いまの東京とうきょう国立こくりつ博物館はくぶつかんの敷地しきちに本ほん坊ぼう（貫主かんしゅの住じゅう坊ぼう）が建立こんりゅうされた。この年としが寛永寺かんえいじの創立そうりつ年ねんとされている。

創建そうけん当時とうじの年号ねんごうをとって「寛永寺かんえいじ」とすることを許ゆるされ、京きょうの都との鬼門きもん（北東ほくとう）を守まもる比叡山ひえいざんにならい、「東ひがしの比叡山ひえいざん」という意味いみで山号さんごうを「東ひがし叡山えいざん」とした。

寛永寺かんえいじの伽藍がらんは延暦寺えんりゃくじの様式ようしきに準じゅんじて造営ぞうえいされた。寛永かんえい4年ねん（1627年ねん）には法華ほっけ堂どう、常行つねゆき堂どう、多宝塔たほうとう、輪わ蔵ぞう、東照宮とうしょうぐうなどが、寛永かんえい8年ねん（1631年ねん）には清水しみず観音堂かんのんどう・五重塔ごじゅうのとうが、根本中堂こんぽんちゅうどうの建設けんせつは5代だい将軍しょうぐん徳川とくがわ綱吉つなよしの時代じだい、元禄げんろく10年ねん7月がつ1日にちに柳沢やなぎさわ吉保よしやすが惣そう奉行ぶぎょうを拝命はいめいし開始かいしされ、元禄げんろく11年ねん（1698年ねん）8月がつ11日にちに上棟じょうとう式しきが行おこなわれ落成らくせいした。

位置いち関係かんけいでは、根本中堂こんぽんちゅうどうと護国寺ごこくじ、根本中堂こんぽんちゅうどうと浅草寺せんそうじを結むすぶ線せんは一直線いっちょくせんにつながる。また、根本中堂こんぽんちゅうどうは日光にっこうの表参道おもてさんどうの延長線えんちょうせん上じょうに存在そんざいしている。

寛永寺かんえいじと増上寺ぞうじょうじ

近世きんせいを通つうじ、寛永寺かんえいじは徳川とくがわ将軍家しょうぐんけはもとより諸しょ大名だいみょうの帰依きえを受うけ、大おおいに栄さかえた。ただし、創建そうけん当初とうしょの寛永寺かんえいじは徳川とくがわ家かの祈祷きとう寺てらではあったが、菩提寺ぼだいじという位置いちづけではなかった。徳川とくがわ家かの菩提寺ぼだいじは2代だい将軍しょうぐん秀忠ひでただの眠ねむる、芝しばの増上寺ぞうじょうじ（浄土宗じょうどしゅう寺院じいん）だったのである。しかし、3代だい将軍家しょうぐんけ光こうは天海あまみに大おおいに帰依きえし、自分じぶんの葬儀そうぎは寛永寺かんえいじに行おこなわせ、遺骸いがいは家康いえやすの廟びょうがある日光にっこうへ移うつすようにと遺言ゆいごんした。その後ご、4代だい家綱いえつな、5代だい綱吉つなよしの廟びょうは上野うえのに営いとなまれ、寛永寺かんえいじは増上寺ぞうじょうじとともに徳川とくがわ家かの菩提寺ぼだいじとなった。当然とうぜん、増上寺ぞうじょうじ側がわからは反発はんぱつがあったが、6代だい将軍しょうぐん家宣いえのぶの廟びょうが増上寺ぞうじょうじに造営ぞうえいされて以降いこう、歴代れきだい将軍しょうぐんの墓所はかしょは寛永寺かんえいじと増上寺ぞうじょうじに交替こうたいで造営ぞうえいすることが慣例かんれいとなり、幕末ばくまつまで続つづいた。また、吉よし宗はじめ以降いこうは幕府ばくふ財政ざいせい倹約けんやくのため、寛永寺かんえいじの門もんの数かずが削減さくげんされている。

輪はなわ王寺おうじ宮みや

寛永寺かんえいじでは第だい三さん代だい以降いこう幕末ばくまつまで歴代れきだいの住職じゅうしょくに法親王ほうしんのうが就任しゅうにんした。

寛永かんえい20年ねん（1643年ねん）、天海あまみが没ぼっした後のち、弟子でしの毘沙門堂びしゃもんどう門跡もんぜき・公海こうかいが2世せい貫主かんしゅとして入山にゅうざん。その後ごを継ついで3世せい貫主かんしゅとなったのは、後水尾天皇ごみずのおてんのう第だい3皇子おうじの守まもり澄きよし法親王ほうしんのうである。法親王ほうしんのうは承うけたまわ応おう3年ねん（1654年ねん）、寛永寺かんえいじ貫主かんしゅとなり、日光にっこう山主やまぬしを兼かね、翌よく明あかり暦れき元年がんねん（1655年ねん）には天台座主てんだいざしゅを兼かねることとなった。

以後いご、幕末ばくまつの15世せい公おおやけ現げん入道にゅうどう親王しんのう（北白川宮能久親王きたしらかわのみやよしひさしんのう）に至いたるまで、皇子おうじまたは天皇てんのうの猶子ゆうしが寛永寺かんえいじの貫主かんしゅを務つとめた。貫主かんしゅは「輪わ王寺おうじ宮みや」と尊称そんしょうされ、水戸みと・尾張おわり・紀州きしゅうの徳川とくがわ御三家ごさんけと並ならぶ格式かくしきと絶大ぜつだいな宗教しゅうきょう的てき権威けんいをもっていた。

三さん山やま管領かんりょう宮みや

歴代れきだい輪わ王寺おうじ宮みやは、一部いちぶ例外れいがいもあるが、原則げんそくとして天台座主てんだいざしゅを兼務けんむし、東ひがし叡山えいざん・日光にっこう山さん・比叡山ひえいざんの3山やまを管掌かんしょうすることから「三さん山やま管領かんりょう宮みや」とも呼よばれた。東国とうごくに皇族こうぞくを常駐じょうちゅうさせることで、西国さいごくで皇室こうしつを戴いただいて倒幕とうばく勢力せいりょくが決起けっきした際さいには、関東かんとうでは輪わ王寺おうじ宮みやを「天皇てんのう」として擁立ようりつし、気き学がくにおける四よん神かみ相応そうおうの土地とち相しょうとし、徳川とくがわ家かを一方いっぽう的てきな「朝敵ちょうてき」とさせない為ための安全あんぜん装置そうちだったという説せつもある（「奥羽おうう越えつ列藩れっぱん同盟どうめい」、「北白川宮能久親王きたしらかわのみやよしひさしんのう（東武とうぶ皇帝こうてい）」参照さんしょう）。

歴代れきだい寛永寺かんえいじ貫首かんじゅ（輪わ王寺おうじ宮みや）

1. 天海てんかい
2. 公海こうかい
3. 守まもり澄きよし法親王ほうしんのう（第だい179世せい天台座主てんだいざしゅ。輪わ王寺おうじ宮みや門跡もんぜきの始はじまり。後水尾天皇ごみずのおてんのう第だい3皇子おうじ）
4. 天真てんしん法親王ほうしんのう（後こう西にし天皇てんのう第だい5皇子おうじ）
5. 公おおやけ弁べん法親王ほうしんのう（第だい188、190世せい天台座主てんだいざしゅ。後こう西にし天皇てんのう第だい6皇子おうじ。赤穂あこう事件じけんで将軍しょうぐん徳川とくがわ綱吉つなよしの諮問しもんを受うける）
6. 公おおやけ寛ひろし法親王ほうしんのう（第だい196、199世せい天台座主てんだいざしゅ。東山ひがしやま天皇てんのう第だい3皇子おうじ）
7. 公おおやけ遵法じゅんぽう親王しんのう（第だい203、206世せい天台座主てんだいざしゅ。中御門天皇なかみかどてんのう第だい2皇子おうじ）
8. 公おおやけ啓けい法親王ほうしんのう（第だい208世せい天台座主てんだいざしゅ。閑院宮みや直ただし仁じん親王しんのう第だい2王子おうじ）
9. 公おおやけ遵法じゅんぽう親王しんのう (再任さいにん)
10. 公おおやけ延のべ法親王ほうしんのう（第だい213世せい天台座主てんだいざしゅ。閑院宮みや典のり仁じん親王しんのう第だい4王子おうじ）
11. 公おおやけ澄きよし法親王ほうしんのう（第だい216世せい天台座主てんだいざしゅ。伏見ふしみ宮みや邦くに頼よりゆき親王しんのう第だい2王子おうじ）
12. 舜しゅん仁じん入道にゅうどう親王しんのう（第だい226世せい天台座主てんだいざしゅ。有栖川ありすがわ宮みや織お仁じん親王しんのう第だい4王子おうじ。)
13. 公おおやけ紹法親王しんのう（有栖川ありすがわ宮みや韶仁親王しんのう第だい3王子おうじ）
14. 慈性入道にゅうどう親王しんのう（第だい230世せい天台座主てんだいざしゅ。有栖川ありすがわ宮みや韶仁親王しんのう第だい2王子おうじ）
15. 公おおやけ現げん入道にゅうどう親王しんのう（のち還俗げんぞくして北白川宮能久親王きたしらかわのみやよしひさしんのう）

衰退すいたいと復興ふっこう

上野うえの戦争せんそう後ご、焼やけ野原のはらになった境内けいだい

江戸えど時代じだい後期こうき、最盛さいせい期きの寛永寺かんえいじは寺てら域いき30万まん5千せん余よ坪つぼ、寺領じりょう11,790石せきを有ゆうし、子こ院いんは36か院いんに及およんだ（現存げんそんするのは19か院いん）。現在げんざいの上野公園うえのこうえんのほぼ全域ぜんいきが寺てらの旧きゅう境内けいだいであり、最盛さいせい期きには、更さらにその2倍ばいの面積めんせきの寺地てらちを有ゆうしていた。例たとえば、現在げんざいの東京とうきょう国立こくりつ博物館はくぶつかんの敷地しきちは寛永かんえい寺本てらもと坊ぼう跡あとであり、博物館はくぶつかん南側みなみがわの大だい噴水ふんすい広場ひろばは、根本中堂こんぽんちゅうどうのあったところである。

江戸えど時代じだいには飛鳥山あすかやまと並ならぶ桜さくらの名所めいしょとして知しられており、庶民しょみんの行楽こうらく地ちであった。

しかし、上野うえのの山やまは、幕末ばくまつの慶応けいおう4年ねん（1868年ねん）、彰あきら義ぎ隊たいの戦たたかえ（上野うえの戦争せんそう）の戦場せんじょうとなり、根本中堂こんぽんちゅうどうをはじめ主要しゅような堂宇どううを焼失しょうしつし、残のこされた建物たてものは五重塔ごじゅうのとう、清水しみず堂どう、大仏殿だいぶつでんなどだけとなった。明治維新めいじいしん後ご、寺領じりょうは没収ぼっしゅうされ、輪はなわ王寺おうじ宮みやは還俗げんぞく、明治めいじ6年ねん（1873年ねん）には旧きゅう境内けいだい地ちが公園こうえん用地ようちに指定していされるなどして、廃寺はいじ状態じょうたいに追おい込こまれるが、明治めいじ8年ねん（1875年ねん）に再さい発足ほっそく。江戸えど時代じだいの境内けいだい地ちだった場所ばしょは、上野公園うえのこうえんや上野うえの駅えきの用地ようちとなり大おおきく変貌へんぼうをとげた。明治めいじ12年ねん（1879年ねん）子こ院いんの1つの大慈だいじ院いんがあった場所ばしょに川越かわごえの喜多きた院いん（天海あまみが住じゅうしていた寺てら）の本地ほんじ堂どうを移築いちくして本堂ほんどう（中堂なかどう）とし、復興ふっこうの途とについた。

太平洋戦争たいへいようせんそう中なかの東京とうきょう大だい空襲くうしゅうでは、当時とうじ残のこっていた徳川とくがわ家か霊廟れいびょうの建物たてものの大だい部分ぶぶんが焼失しょうしつした。2度どの戦災せんさいをまぬがれたいくつかの古こ建築けんちくは、上野公園うえのこうえん内ないの各所かくしょに点在てんざいしている。

伽藍がらん

旧きゅう本ほん坊ぼう表門おもてもん（重要じゅうよう文化財ぶんかざい）

不ふ忍にん池ちと弁天べんてん堂どう

現存げんそんする伽藍がらん

• 本堂ほんどう（根本中堂こんぽんちゅうどう） - 東京芸術大学とうきょうげいじゅつだいがく音楽学部おんがくがくぶの裏手うらてにある。上野公園うえのこうえん内ないの清水しみず堂どう、弁天べんてん堂どうなどのにぎわいに比ひし、本堂ほんどう周辺しゅうへんは訪おとずれる人ひともまばらである。現在げんざいの堂どうは、寛永寺かんえいじの子こ院いん・大慈だいじ院いんのあった敷地しきちに、明治めいじ12年ねん（1879年ねん）、川越かわごえ喜多きた院いんの本地ほんじ堂どうを移築いちくしたもので、寛永寺かんえいじ本来ほんらいの建物たてものではない。内陣ないじんには厨子ずし内ないに秘仏ひぶつ本尊ほんぞん薬師くすし三さん尊像そんぞうを安置あんちする（堂どう内ないは非公開ひこうかい）。
• 書院しょいん - 本堂ほんどう裏手うらてにあり、徳川とくがわ慶喜よしのぶが水戸みと退去たいきょの前まえに、2か月げつほど蟄居ちっきょしていた部屋へや（葵あおいの間あいだ、あるいは蟄居ちっきょの間あいだ）が保存ほぞんされている（非公開ひこうかい）。
• 旧きゅう本ほん坊ぼう表門おもてもん（北緯ほくい35度ど43分ふん00秒びょう 東経とうけい139度ど46分ふん39.9秒びょう） - 重要じゅうよう文化財ぶんかざい。通称つうしょう黒門くろもん。東京とうきょう国立こくりつ博物館はくぶつかん東側ひがしがわの輪わ王寺おうじにある。寛永かんえい年間ねんかんの建造けんぞう物ぶつで、もとは博物館はくぶつかん正門せいもんの位置いちにあった。
• 清水しみず観音堂かんのんどう（北緯ほくい35度ど42分ふん45.4秒びょう 東経とうけい139度ど46分ふん24.8秒びょう） - 重要じゅうよう文化財ぶんかざい。上野公園うえのこうえん内ない、西郷さいごう隆盛たかもり銅像どうぞうの近ちかくにあり、千手観音せんじゅかんのんを祀まつる。寛永かんえい8年ねん（1631年ねん）の建築けんちくで、当初とうしょは摺鉢山すりばちやま古墳こふんの位置いちにあったが、中堂なかどう建立こんりゅうに伴ともない現在地げんざいちに移築いちくされた。規模きぼは小ちいさいとはいえ、京都きょうとの清水寺きよみずでら本堂ほんどうと同様どうようの懸かか造づく建築けんちくである。江戸えど三さん十じゅう三さん観音かんのん札所ふだしょの第だい6番ばん。
• 弁天べんてん堂どう（北緯ほくい35度ど42分ふん43.6秒びょう 東経とうけい139度ど46分ふん16秒びょう） - 上野公園うえのこうえん南側みなみがわにある不ふ忍にん池ちの弁天島べんてんしま（中之島なかのしま）に、天海てんかいが竹生島ちくぶしまの宝厳寺たからがんじの弁才天べんざいてんを勧請かんじょうして建立こんりゅう。島しまは常陸ひたち下館しもだて藩はん主あるじ水谷みずたに勝隆かつたかが築きずいたもので、当初とうしょは橋はしがなく、舟ふねで参詣さんけいしていた。当初とうしょの建物たてものは入母屋いりもや造づくりであったが、昭和しょうわ20年ねん（1945年ねん）3月がつ10日とおかの東京とうきょう大だい空襲くうしゅうで焼失しょうしつし、昭和しょうわ33年ねん（1958年ねん）に鉄筋てっきんコンクリート造づくりの八角はっかく堂どうとして再建さいけんされた。
• 旧きゅう寛永寺かんえいじ五重塔ごじゅうのとう（北緯ほくい35度ど42分ふん56.2秒びょう 東経とうけい139度ど46分ふん18.4秒びょう） - 重要じゅうよう文化財ぶんかざい。寛永かんえい8年ねん（1631年ねん）建立こんりゅうの初代しょだいの塔とうが寛永かんえい16年ねん（1639年ねん）に焼失しょうしつした後のち、同年どうねんただちに下総しもうさ古河ふるかわ城主じょうしゅ土井どい利勝としかつによって再建さいけんされた。塔とうは旧きゅう境内けいだい地ちを使つかって作つくられた恩賜おんし上野動物園うえのどうぶつえんの園内えんないに位置いちしており、1958年ねんに寺てらが寄付きふしたため、現在げんざいの所有しょゆう者しゃは東京とうきょう都とになっている（名称めいしょうに「旧きゅう」とつくのはそのため）。塔とうの初はつ重おもに安置あんちされていた釈迦如来しゃかにょらい・薬師やくし如来にょらい・弥勒菩薩みろくぼさつ・阿弥陀如来あみだにょらいの四よん仏ほとけは、東京とうきょう国立こくりつ博物館はくぶつかんに寄託きたくされている。
• 東照宮とうしょうぐう（北緯ほくい35度ど42分ふん55.3秒びょう 東経とうけい139度ど46分ふん14.1秒びょう） - 別項べっこう「上野うえの東照宮とうしょうぐう」を参照さんしょう。
• 時どきの鐘かね（北緯ほくい35度ど42分ふん51.2秒びょう 東経とうけい139度ど46分ふん21秒びょう） - 上野公園うえのこうえん内ない、精養軒せいようけんの近ちかくにある鐘楼しゅろう。現在げんざいある鐘かねは天明てんめい7年ねん（1787年ねん）の作さく。
• 大仏山だいぶつやまパゴダ（北緯ほくい35度ど42分ふん52秒びょう 東経とうけい139度ど46分ふん21.9秒びょう） - 時じの鐘かねの近ちかくにあり、昭和しょうわ42年ねん（1967年ねん）の建立こんりゅう。もと上野うえの東照宮とうしょうぐう本地ほんじ堂どう（神仏しんぶつ分離ぶんりの際さいに破壊はかい）の本尊ほんぞんであった薬師くすし三さん尊像そんぞう（江戸えど時代じだい初期しょき）を祀まつる。
• 上野うえの大仏だいぶつ - 寛永かんえい8年ねん（1631年ねん）、堀ほり直ただし寄よせの寄進きしんで最初さいしょの大仏だいぶつが造つくられた。以後いご、地震じしん、火災かさい等とうで消滅しょうめつと再興さいこうを繰くり返かえし、現在げんざいは顔かおの部分ぶぶんのみが大仏山だいぶつやまパゴダ脇わきに保存ほぞんされている。

「上野うえの大仏だいぶつ」を参照さんしょう

旧きゅう伽藍がらん

葛飾かつしか北斎ほくさい筆ふで 東ひがし叡山えいざん中堂なかどう之これ図ず

幕末ばくまつの寛永寺かんえいじ付近ふきんの地図ちず（大だい日本にっぽん読史どくし地図ちずより）

すでに述のべたように、現在げんざいの上野公園うえのこうえんのほぼ全域ぜんいきが往時おうじの寛永寺かんえいじの境内けいだいであった。松坂屋まつざかや上野うえの店てんあたりから上野公園うえのこうえん入口いりくちあたりの道みちをかつて「広小路ひろこうじ」と称しょうしたが、これは将軍しょうぐんが寛永寺かんえいじにある徳川とくがわ秀忠ひでただらの霊廟れいびょうに参詣さんけいするための参道さんどうであり、防火ぼうかの意味いみで道幅みちはばを広ひろげていたため、広小路ひろこうじと呼よばれた。

上野公園うえのこうえん入口いりくち付近ふきんには「御ご橋はし」または「三さん橋きょう」と称しょうする橋はしがあって寺てらの正面しょうめん入口いりくちとなっており、その先さきに総門そうもんにあたる「黒門くろもん」があった。上野公園うえのこうえん内ない中央ちゅうおうを通とおり、大だい噴水ふんすい、東京とうきょう国立こくりつ博物館はくぶつかん方面ほうめんへ向むかう道みちがかつての参道さんどうであり、文殊もんじゅ楼ろう、その先さきに法華ほっけ堂どうと常行つねゆき堂どう、多宝塔たほうとう、輪わ蔵ぞう、根本中堂こんぽんちゅうどう、本ほん坊ぼうなどがあった。その周囲しゅういには清水しみず観音堂かんのんどう（現存げんそん）、五重塔ごじゅうのとう（現存げんそん）、東照宮とうしょうぐう（現存げんそん）、不ふ忍にん池ちの中島なかじまに建たつ弁天べんてん堂どう（現存げんそんするが20世紀せいきの再建さいけん）などが建たち、また、36か院いんにのぼる子こ院いんがあった。

天海あまみは江戸えどと寛永寺かんえいじとの関係かんけいを、京都きょうとと比叡山ひえいざんの関係かんけいになぞらえて構想こうそうしていた。すなわち、根本中堂こんぽんちゅうどう、法華ほっけ堂どう、常行つねゆき堂どうなどは比叡山ひえいざん延暦寺えんりゃくじにも同名どうめいの建物たてものがあり、清水しみず観音堂かんのんどうは京都きょうとの清水寺きよみずでらになぞらえたもの（傾斜地けいしゃちに建たつ建築けんちく様式ようしきも類似るいじする）、不ふ忍にん池ちと中島なかじまの弁天べんてん堂どうは、琵琶湖びわことそこに浮うかぶ竹生島ちくぶしま宝厳寺たからがんじの弁才天べんざいてんにならったものである。

かつて存在そんざいした建物たてもの

• 根本中堂こんぽんちゅうどう - 他たの諸しょ堂どうより遅おくれて元禄げんろく11年ねん（1698年ねん）落慶らっけい。現在げんざいの上野公園うえのこうえん大だい噴水ふんすいのあたりにあり、重層じゅうそう入母屋いりもや造づくり、間口まぐち45.5メートル、奥行おくゆき42メートル、高たかさ32メートルという壮大そうだいな規模きぼの仏堂ぶつどうであった。中堂なかどう前まえには方形ほうけいに回廊かいろうをめぐらし、正面しょうめんに唐から門もんを設もうけていた。
• 本ほん坊ぼう - 根本中堂こんぽんちゅうどうの裏うら、現在げんざいの東京とうきょう国立こくりつ博物館はくぶつかんの敷地しきちにあった。前述ぜんじゅつのとおり、正門せいもんのみが上野うえの戦争せんそうで焼やけ残のこり、しばらくは博物館はくぶつかんの正門せいもんとして使用しようされていたが、その後ご博物館はくぶつかんの東ひがしの輪はなわ王寺おうじに移築いちくされている。博物館はくぶつかん本館ほんかん裏うらの日本にっぽん庭園ていえんは寛永かんえい寺本てらもと坊ぼう庭園ていえんの名残なごりである。
• 法華ほっけ堂どう・常行つねゆき堂どう - 入母屋いりもや造づくりの同形どうけいの仏堂ぶつどう2棟むねを左右さゆうに並ならべ、その間あいだを屋根やね付つきの高こう廊下ろうかで繋つないだもので、参詣さんけい者しゃは高こう廊下ろうかの下したをくぐって根本中堂こんぽんちゅうどうへ向むかった。寛永かんえい4年ねん（1627年ねん）、紀州きしゅう藩はん主おもの徳川とくがわ頼宣よりのぶと尾張おわり藩はん主おもの徳川とくがわ義直よしなおの寄進きしんで建立こんりゅうされたものである。寛永かんえい期きを描えがいた『江戸えど図ず屏風びょうぶ』には中堂なかどうの位置いちにある。
• 文殊もんじゅ楼ろう - 入母屋いりもや造づくり重層じゅうそうの門もん。寛永かんえい4年ねん（1627年ねん）建立こんりゅうの仁王門におうもんが貞享ていきょう2年ねん（1688年ねん）焼失しょうしつした後のち、元禄げんろく10年ねん（1697年ねん）に建たてられたが、上野うえの戦争せんそうで焼失しょうしつした。
• 黒門くろもん - かつての総門そうもん。現在げんざいの上野公園うえのこうえん入口いりくちから噴水ふんすい広場ひろばへ至いたる広ひろい道みちの途中とちゅう、清水しみず観音堂かんのんどうの下したあたりにあったもので、簡素かんそな冠木門かぶきもんであった。幕末ばくまつの上野うえの戦争せんそうには焼やけ残のこったが、明治めいじ40年ねん（1907年ねん）、東京とうきょう都と荒川あらかわ区くの円通寺えんつうじに移築いちくされ、同所どうしょに現存げんそんする。彰あきら義ぎ隊たい戦士せんしの遺骸いがいが円通寺えんつうじに葬ほうむられた縁えんで移築いちくされたもので、門もんには上野うえの戦争せんそうの時ときの弾痕だんこんが多数たすう残のこる。なお、現在げんざい、清水しみず観音堂かんのんどう近ちかくにある黒くろ門もんは復元ふくげんされたものである（既すんで述じゅつの旧きゅう本ほん坊ぼう表門おもてもんも黒くろ門もんと通称つうしょうされるが別個べっこの門もんである。）。

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  大仏山だいぶつやまパゴダ
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  上野うえの大仏だいぶつ（面部めんぶのみ残存ざんそん）
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  弁天べんてん堂どう
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  時どきの鐘かね
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  黒門くろもん（東京とうきょう都と荒川あらかわ区く・円通寺えんつうじに移築いちく）

子こ院いん

現在げんざいは、以下いかの19か院いん。

• 真如しんにょ院いん
• 寒かん松まつ院いん
• 林はやし光ひかり院いん
• 吉祥院きっしょういん
• 泉いずみ龍りゅう院いん
• 修おさむ禅ぜん院いん
• 現げん龍りゅう院いん
• 見明みみょう院いん
• 福ぶく聚院
• 本もと覚さとし院いん
• 元もと光ひかり院いん
• 東漸とうぜん院いん
• 覚さとし成なり院いん
• 春はる性せい院いん
• 等とう覚さとし院いん

※以上いじょう15か院いんは、東京とうきょう国立こくりつ博物館はくぶつかん東側ひがしがわに所在しょざい。

• 養やしなえ寿ことぶき院いん（寛永寺かんえいじ本堂ほんどう裏手うらて）
• 津つ梁はり院いん（寛永寺かんえいじ本堂ほんどう裏手うらて）
• 円えん珠たま院いん（東京芸術大学とうきょうげいじゅつだいがく音楽学部おんがくがくぶの西側にしがわ）
• 護国ごこく院いん（東京芸術大学とうきょうげいじゅつだいがく美術びじゅつ学部がくぶに隣接りんせつ）
  • 昭和しょうわ2年ねん(1927年ねん)、東京とうきょう市立しりつ二に中ちゅう（旧制きゅうせい第だい二に東京とうきょう市立しりつ中学校ちゅうがっこう、現在げんざいの東京都立上野高等学校とうきょうとりつうえのこうとうがっこう）の創立そうりつにあたり護国ごこく院いん境内けいだい地ちの大半たいはんを東京とうきょう市立しりつ二に中ちゅうへ譲渡じょうと。

徳川とくがわ家か霊廟れいびょう

東京とうきょう国立こくりつ博物館はくぶつかん裏手うらての寛永寺かんえいじ墓地ぼちには、徳川とくがわ将軍しょうぐん15人にんのうち6人にん（家綱いえつな、綱吉つなよし、吉よし宗はじめ、家治いえはる、家斉いえなり、家定いえさだ）が眠ねむっている。厳いむ有ゆう院いん（家綱いえつな）霊廟れいびょうと常憲つねのり院いん（綱吉つなよし）霊廟れいびょうの建築けんちく物ぶつ群ぐんは、東京とうきょうの観光かんこう名所めいしょとして知しられ旧きゅう国宝こくほうに指定していされていた貴重きちょうな歴史れきし的てき建造けんぞう物ぶつであったが、昭和しょうわ20年ねん（1945年ねん）の空襲くうしゅうで大だい部分ぶぶんを焼失しょうしつ。焼やけ残のこった以下いかの建造けんぞう物ぶつは現在げんざい重要じゅうよう文化財ぶんかざいに指定していされている。

• 厳いむ有ゆう院いん霊廟れいびょう勅額ちょくがく門もん、同どう水盤すいばん舎しゃ、同どう奥おく院いん唐とう門もん、同どう奥おく院いん宝塔ほうとう
• 常憲つねのり院いん霊廟れいびょう勅額ちょくがく門もん、同どう水盤すいばん舎しゃ、同どう奥おく院いん唐とう門もん、同どう奥おく院いん宝塔ほうとう

渋沢しぶさわ家か霊れい堂どう

渋沢しぶさわ家か霊れい堂どうは、渋沢しぶさわ栄一えいいちの前妻ぜんさい・千代ちよの17回忌かいきにあわせて建たてられたと伝つたえられている。霊れい堂どうは一般いっぱん公開こうかいされていない。

いずれも寛永寺かんえいじ霊園れいえん内ないにあり（厳いむ有ゆう院いん霊廟れいびょうの勅額ちょくがく門もんは外そとの道路どうろから見みることができる）、通常つうじょうは一般いっぱん公開こうかいされていないが、5名めい以上いじょうの団体だんたいに限かぎり予約よやく制せいで毎月まいつき3日間にちかん程度ていど公開こうかいされている。また台東たいとう区役所くやくしょが主催しゅさいする特別とくべつ公開こうかいが毎年まいとし秋あきに1日にちだけ行おこなわれている。

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  厳いむ有ゆう院いん霊廟れいびょう勅額ちょくがく門もん（重要じゅうよう文化財ぶんかざい）
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  常憲つねのり院いん霊廟れいびょう勅額ちょくがく門もん（重要じゅうよう文化財ぶんかざい）
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  常憲つねのり院いん霊廟れいびょう水盤すいばん舎しゃ（重要じゅうよう文化財ぶんかざい）

文化財ぶんかざい

上野うえの恩賜おんし公園こうえん内ないの清水しみず観音堂かんのんどう

重要じゅうよう文化財ぶんかざい

• 清水しみず堂どう（清水しみず観音堂かんのんどう）
• 旧きゅう本ほん坊ぼう表門おもてもん（輪はなわ王寺おうじ所在しょざい）
• 厳いむ有ゆう院いん霊廟れいびょう（※印しるしの物件ぶっけんは寛永寺かんえいじでなく個人こじんの所有しょゆう）
  • 勅額ちょくがく門もん
  • 水盤すいばん舎しゃ　　
  • ※奥おく院いん唐とう門もん（銅どう造づくり）　
  • ※奥おく院いん宝塔ほうとう（銅どう造づくり）
  • ※附ふ:浚明院いん宝塔ほうとう、文ぶん恭きょう院いん宝塔ほうとう（各かく石造せきぞう）
• 常憲つねのり院いん霊廟れいびょう（※印しるしの物件ぶっけんは寛永寺かんえいじでなく個人こじんの所有しょゆう）
  • 勅額ちょくがく門もん
  • 水盤すいばん舎しゃ
  • ※奥おく院いん唐とう門もん（銅どう造づくり）
  • ※奥おく院いん宝塔ほうとう（銅どう造づくり）
  • ※附ふ:有徳うとく院いん宝塔ほうとう、孝こう恭きょう院いん宝塔ほうとう、温あつし恭きょう院いん宝塔ほうとう、天璋院てんしょういん宝塔ほうとう（各かく石造せきぞう）
• 木造もくぞう薬師如来やくしにょらい及両脇わき侍立じりつ像ぞう - 本堂ほんどう（根本中堂こんぽんちゅうどう）に安置あんちする秘仏ひぶつ本尊ほんぞんの薬師くすし三さん尊像そんぞう。中ちゅう尊みことも含ふくめ、3体たいとも立像りつぞうである点てんが珍めずらしい。中ちゅう尊みことと両りょう脇わき侍さむらいは伝来でんらいを別べつにしており、中ちゅう尊みことは滋賀しが県けん・石津いしづ寺てらから、両りょう脇わき侍さむらいは山形やまがた県けん・立石寺りっしゃくじから移うつされたもので、寛永寺かんえいじの創建そうけんより古ふるい平安へいあん時代じだいの作さくである。本堂ほんどう内ないは非公開ひこうかいで、夏場なつばに檀家だんか相手あいてに1日にちだけ開ひらけ扉とびらするだけなので、一般いっぱん拝観はいかんはできない。（薬師くすし三さん尊像そんぞうは2006年ねん3月28日にち～5月がつ7日にちに東京とうきょう国立こくりつ博物館はくぶつかんで開催かいさいされた特別とくべつ展てん「最澄さいちょうと天台てんだいの国宝こくほう」に出展しゅってんされ、初はじめて一般いっぱん公開こうかいされた）
• 絹本けんぽん著ちょ色しょく両りょう界さかい曼荼羅まんだら図ず － 東京とうきょう国立こくりつ博物館はくぶつかんに寄託きたく。
• 天海あまみ版木はんぎ活字かつじ 264,688箇 - 開山かいさんの天海あまみが刊行かんこうした「天海てんかい版ばん一切経いっさいきょう」の印刷いんさつに使つかわれたもの。2003年ねんに重要じゅうよう文化財ぶんかざいに指定してい。
• 旧きゅう寛永寺かんえいじ五重塔ごじゅうのとう（所有しょゆう者しゃは東京とうきょう都と、恩賜おんし上野動物園うえのどうぶつえん構内こうないに所在しょざい）

登録とうろく有形ゆうけい文化財ぶんかざい

• 渋沢しぶさわ家か霊れい堂どう - 1898年ねん建立こんりゅう
• 根本中堂こんぽんちゅうどう
• 葵あおいの間あいだ

その他た

• 算さん額がく　昭和しょうわ42年ねん5月がつ　下平しもだいら和夫かずお奉納ほうのう（非公開ひこうかい）

交通こうつう

• 根本中堂こんぽんちゅうどう：東京とうきょう都と台東たいとう区く上野桜木うえのさくらぎ1-14-11 　　(電車でんしゃ）JR山手やまて線せん　鶯谷うぐいすだに駅えき南口みなみぐちから徒歩とほで約やく10分ふん（経路けいろ案内あんない）。

関連かんれん文献ぶんけん

• 浦井うらい正明まさあき『上野寛永寺うえのかんえいじ将軍家しょうぐんけの葬儀そうぎ』（吉川弘文館よしかわこうぶんかん、2007年ねん）
• 浦井うらい正明まさあき『「上野うえの」時空じくう遊行ゆぎょう』（プレジデント社しゃ、2002年ねん）

  著者ちょしゃは寛永寺かんえいじ執事しつじ長ちょう、子こ院いん現げん龍りゅう院いん住職じゅうしょく。寛永寺かんえいじ及および上野うえのの歴史れきし研究けんきゅう者しゃ。

• 坂谷さかたに徹とおる念ねん「江戸えどの北極星ほっきょくせい信仰しんこう」（『歴史れきし読本とくほん』59巻かん9号ごう、2014年ねん）242-243頁ぺーじ
• 坂谷さかたに徹とおる念ねん「地理ちり情報じょうほうサイトで検証けんしょう」（『月刊げっかん地理ちり』748号ごう、2017年ねん）112-113頁ぺーじ

参考さんこう文献ぶんけん

• 特別とくべつ展てん図録ずろく　『創建そうけん三さん六ろく〇年ねん記念きねん 上野寛永寺うえのかんえいじ展てん』、日本経済新聞社にほんけいざいしんぶんしゃ、1985年ねん
• 根岸ねぎし鎮衛　『耳みみ嚢　（全ぜん3巻かん）』　長谷川はせがわ強つよし校こう注ちゅう、岩波いわなみ文庫ぶんこ、1991年ねん。 - 江戸えど時代じだいの随筆ずいひつ。寛永寺かんえいじについての逸話いつわも収おさむむ。
• 斎藤さいとう長ちょう秋あき 編へん「卷まき之の五ご 玉たま衡之部ぶ 東ひがし叡山えいざん寛永寺かんえいじ」『江戸えど名所めいしょ図会ずえ』 3巻かん、有朋ありとも堂どう書店しょてん〈有朋ありとも堂どう文庫ぶんこ〉、1927年ねん、218-219,224-260頁ぺーじ。NDLJP:1174157/114。 

関連かんれん項目こうもく

• 増上寺ぞうじょうじ - 浄土宗じょうどしゅう大本山だいほんざん、もう一ひとつの将軍家しょうぐんけ墓所はかしょ。
  • 徳川とくがわ家か霊廟れいびょうの項こうも参照さんしょう。
• 天海てんかい
• 上野うえの恩賜おんし公園こうえん
• 日本にっぽんの寺院じいん一覧いちらん
• 寛永かんえい寺坂てらさか駅えき（廃はい駅えき）
• ゆく年としくる年とし - 本寺ほんじで番組ばんぐみ史上しじょう最初さいしょの除夜じょやの鐘かねの中継ちゅうけい放送ほうそうを実施じっしした。

外部がいぶリンク

• 寛永寺かんえいじ
• 清水しみず観音堂かんのんどう
• 不ふ忍にん池ち辯べん天堂てんどう
• 寛永寺かんえいじ僧侶そうりょと歩あるく上野公園うえのこうえんめぐり 台東たいとう区く公式こうしきチャンネル - 根本中堂こんぽんちゅうどう内ないの画像がぞうあり。