星野ほしの鉄男てつお

星野ほしの鉄男てつお

星野ほしの 鉄男てつお（ほしの てつお、正字せいじは星野ほしの鐵男てつお、1890年ねん（明治めいじ23年ねん）2月がつ10日とおか - 1931年ねん（昭和しょうわ6年ねん）12月20日にち）は、日本にっぽんの医学いがく者しゃ。専せん門もんは社会しゃかい衛生えいせい学がく。日本にっぽん初はつの性教育せいきょういく本ほん（『性教育せいきょういくに就て』、1927年ねん）を著あらわしたことで知しられる。内閣ないかく書記官しょきかん長ちょうや企画きかく院いん総裁そうさいを務つとめた大蔵おおくら官僚かんりょう・星野ほしの直樹なおきは父方ちちかたの従兄弟いとこ。東大とうだい総長そうちょうを務つとめた政治せいじ学者がくしゃの南原なんばら繁しげるは義弟ぎてい（妹いもうとの夫おっと）。群馬ぐんま県けん出身しゅっしん。無む教会きょうかい（無む教会きょうかい主義しゅぎキリスト教きりすときょう）信徒しんと。

概要がいよう

白雨はくう会かい送別そうべつ会かい(1917年ねん)、内村うちむら鑑三かんぞうは前列ぜんれつ中央ちゅうおう、星野ほしのは後列こうれつ右みぎから3人にん目め

内村うちむら鑑三かんぞうに師事しじし、「衛生えいせい文化ぶんか思想しそう普及ふきゅう会かい」を発足ほっそく、社会しゃかい衛生えいせい学がくの知見ちけんとキリスト教きょう信仰しんこうとを統合とうごうした独自どくじの社会しゃかい衛生えいせい政策せいさくを主張しゅちょうした。また、高野たかの岩三郎いわさぶろうらと共ともに日本にっぽんにおける実証じっしょう的てきな都市とし社会しゃかい調査ちょうさの先駆せんくとされる労働ろうどう者しゃの生活せいかつ実態じったい調査ちょうさ「月島つきしま調査ちょうさ」を実施じっしした。

経歴けいれき

星野ほしの鉄男てつお

1890年ねん2月がつ、群馬ぐんま県けん利根とね郡ぐん利り南村なんそん大字だいじ戸鹿野とがの（とがの）に生うまれる。父ちちは沼田ぬまた銀行ぎんこうの経営けいえい者しゃであった星野ほしの銀ぎん治ち。星野ほしの家かは祖父そふの代だいから続つづく敬虔けいけんなクリスチャン一家いっかで、幼少ようしょうのころから日曜にちよう学校がっこうに通かようなどしていたという。1906年ねん3月、旧制きゅうせい前橋まえばし中学校ちゅうがっこう利根りこん分校ぶんこうを修了しゅうりょうしたのちしばらくは小学校しょうがっこうの代用だいよう教員きょういんとして奉職ほうしょくする。1909年ねんに旧制きゅうせい第だい二に高等こうとう学校がっこう第だい三さん部ぶ（医科いか）に入学にゅうがく、この頃ころ『聖書せいしょ之の研究けんきゅう』など内村うちむら鑑三かんぞうの著作ちょさくに出会であう。二に高だか卒業そつぎょう後ごの1912年ねん9月、東京とうきょう帝国ていこく大学だいがく医科いか大学だいがくに入学にゅうがく、内村うちむら鑑三かんぞうの門下もんかになり、1913年ねん1月がつ、白雨はくう会かいに入会にゅうかい。1917年ねん12月に同どう大学だいがくを卒業そつぎょうし、横手よこて千代ちよ之これ助すけの衛生えいせい学がく教室きょうしつに入はいる。1918年ねんより1920年ねんまでの間あいだ、内務省ないむしょう衛生局えいせいきょく嘱託しょくたくとして同省どうしょう保健ほけん衛生えいせい調査ちょうさ会かいによる労働ろうどう者しゃの生活せいかつ実態じったい調査ちょうさ「東京とうきょう市し京橋きょうばし区く月島つきしまに於おける実地じっち調査ちょうさ」（通称つうしょう：月島つきしま調査ちょうさ。企画きかく・推進すいしん者しゃは大原おおはら社会しゃかい問題もんだい研究所けんきゅうじょの当時とうじの所長しょちょう・高野たかの岩三郎いわさぶろう）に参加さんかする。1921年ねん、同どう大学だいがく衛生えいせい学がく教室きょうしつ助手じょしゅに就任しゅうにんし、1922年ねんから1924年ねんまでの間あいだ、文部省もんぶしょうからの命いのちにより衛生えいせい学がく研究けんきゅうのため欧州おうしゅう諸国しょこくへ留学りゅうがく。1924年ねん5月がつの帰国きこく後ごまもなく（旧制きゅうせい）金沢医科大学かなざわいかだいがく（現在げんざいの金沢大学かなざわだいがく医学部いがくぶ）に初代しょだい衛生えいせい学がく教授きょうじゅとして赴任ふにんする。1925年ねん4月がつには同どう大学だいがく十じゅう全会ぜんかい（学生がくせい・職員しょくいん・教授きょうじゅ間あいだの親睦しんぼくのための組織そしき）講話こうわ部長ぶちょう、1926年ねん7月がつには同どう大学だいがく学生がくせい監かんに就任しゅうにん。1927年ねん2月がつ、『性教育せいきょういくに就て』を刊行かんこう。同おなじくこの年とし、同どう大学だいがくの衛生えいせい学がく教室きょうしつを中心ちゅうしんとして「衛生えいせい文化ぶんか思想しそう普及ふきゅう会かい」を発足ほっそくさせ、衛生えいせいに関かんする思想しそう・知識ちしき・文化ぶんかの普及ふきゅう活動かつどうの足場あしばを築きずく。1929年ねん1月がつ、同どう大学だいがく学生がくせい主事しゅじ、1930年ねん4月がつには同どう学生がくせい課長かちょうに就任しゅうにんする。しかし、1931年ねん8月がつ頃ごろよりそれまで徐々じょじょに悪化あっかしていた体調たいちょうがにわかに崩くずれ始はじめ、同年どうねん12月がつ20日はつか、急性きゅうせい虫様突起ちゅうようとっき炎えんと腹膜炎ふくまくえんとの併発へいはつにより大阪おおさか市し内うちの病院びょういんで死去しきょ。満まん41歳さい没ぼつ。遺体いたいはその日ひのうちに金沢かなざわに移うつされ、金沢医科大学かなざわいかだいがく病理びょうり学がく教室きょうしつで解剖かいぼうされた。

著作ちょさく

• 『東西とうざいの衣食住いしょくじゅうに就て』出版しゅっぱん社しゃ不明ふめい、1926年ねん。
• 『性教育せいきょういくに就て』基督教きりすときょう教育きょういく同盟どうめい会かい、1927年ねん。
• 『清潔せいけつの徹底てってい』衛生えいせい文化ぶんか思想しそう普及ふきゅう会かい・宇都宮うつのみや書店しょてん、1930年ねん。
• 『性教育せいきょういくの実際じっさい』衛生えいせい文化ぶんか思想しそう普及ふきゅう会かい、1931年ねん。

論文ろんぶん

• 「性せい問題もんだいの社会しゃかい衛生えいせい学がく的てき考察こうさつ」 (『中外ちゅうがい医事いじ新報しんぽう』、1927年ねん)
• 「脚気かっけ死亡しぼう率りつ分布ぶんぷ図ずニ就テ」 (『十全会じゅうぜんかい雑誌ざっし』、1928年ねん6月がつ)
• 「性せい問題もんだいの一いち断面だんめん」 (『金沢かなざわ犯罪はんざい学会がっかい雑誌ざっし』第だい一いち巻かん第だい2・3・4号ごう、1928年ねん12月がつ)
• 「絶対ぜったい安静あんせいニ就テ」 (『結核けっかく』第だい8巻かん第だい2号ごう、1930年ねん5月がつ)

学会がっかい

• 「死亡しぼう診断しんだん書しょに記入きにゅうされたる乳児にゅうじ死亡しぼう時じの病名びょうめいに就て」第だい一いち回かい日本にっぽん連合れんごう衛生えいせい学会がっかい、1929年ねん4月がつ。

参考さんこう文献ぶんけん

• 村上むらかみ賢三けんぞう・木村きむら与一よいち編へん『星野ほしの鉄男てつお―伝記でんき・星野ほしの鉄男てつお (伝記でんき叢書そうしょ (157))』大空おおぞら社しゃ、1995年ねん。ISBN 978-4872364569。