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芽胞がほう

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ゆう芽胞がほうきんから転送てんそう
枯草かれくさきん芽胞がほう芽胞がほう染色せんしょくほうにより染色せんしょくされたもの。きんたい緑色みどりいろ部分ぶぶん芽胞がほう

芽胞がほう(がほう、spore)とは、一部いちぶ細菌さいきんかたちづくる、きわめて耐久たいきゅうせいたか細胞さいぼう構造こうぞう胞子ほうしまくかわそうしんからなり、胞子ほうしまく外側そとがわ外皮がいひつものもある。しんには、DNAリボソーム酵素こうそてい分子ぶんし化合かごうぶつなどがふくまれており、はん結晶けっしょう状態じょうたいになっている。以前いぜんは、細菌さいきんの)胞子ほうし(ほうし、spore)、うちせい胞子ほうし(ないせいほうし、endospore)ともばれていたが、きんシダ植物しょくぶつ胞子ほうしとは役割やくわりことなるため、それらと区別くべつするために、芽胞がほうという名称めいしょうばれるようになった。

芽胞がほうつく細菌さいきんかぎられており、ゆう芽胞がほうきんあるいは芽胞がほう形成けいせいきんとして、細菌さいきん分類ぶんるいするじょうでの指標しひょうひとつにされている。ゆう芽胞がほうきんなかにはアンフィバシラスぞくバシラスぞくクロストリジウムぞくスポロサルシナぞくなどが存在そんざいする。このうち、バシラスぞくとクロストリジウムぞくが、病原びょうげんせい微生物びせいぶつ有効ゆうこう利用りようなどのめんから、ヒトにたいするかかわりがふかく、代表だいひょうてきゆう芽胞がほうきんとしてげられることがおおい。

芽胞がほうつく能力のうりょくった細菌さいきんが、栄養えいよう温度おんどなどの環境かんきょうわる状態じょうたいかれたり、その細菌さいきんたいして毒性どくせいしめ化合かごうぶつ接触せっしょくしたりすると、細菌さいきん細胞さいぼう内部ないぶ芽胞がほう形成けいせいされる。このとき、細菌さいきん遺伝子いでんし複製ふくせいされてその片方かたがた芽胞がほうなか分配ぶんぱいされる。芽胞がほうきわめてたか耐久たいきゅうせいっており、さらに環境かんきょう悪化あっかして通常つうじょう細菌さいきん死滅しめつする状況じょうきょうおちいってものこることが可能かのうである。しかし、芽胞がほう状態じょうたいでは細菌さいきんあらたに分裂ぶんれつすることはできず、その代謝たいしゃかぎられている。このため芽胞がほう耐久たいきゅうがた休眠きゅうみんがたばれることがある。

のこった芽胞がほうが、ふたたびその細菌さいきん増殖ぞうしょくてきした環境かんきょうかれる、または、ヒート・ショックのようなねつとうのストレス条件下じょうけんかにさらされると、芽胞がほう発芽はつがして、通常つうじょう増殖ぞうしょく代謝たいしゃのうゆうするきんたいつくられる。この通常つうじょうきんたい芽胞がほう対比たいひして、栄養えいようがた増殖ぞうしょくがたぶことがある。

芽胞がほう耐久たいきゅうせい

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芽胞がほう通常つうじょう細菌さいきんくらべてきわめて高温こうおんつよく、100での煮沸しゃふつによっても完全かんぜんかつすることが出来できない。芽胞がほう高温こうおん完全かんぜんかつするには、オートクレーブ処理しょりやく2気圧きあつ飽和ほうわ水蒸気すいじょうきちゅうで121℃15ふん以上いじょう)、いぬい熱処理ねつしょり(180℃30ふんあるいは160℃1時間じかん以上いじょう)などの処理しょり必要ひつよう芽胞がほう完全かんぜんかつすることが可能かのう条件じょうけんで、器具きぐ培養ばいようえきなどを処理しょりすることを滅菌めっきんび、医療いりょう器具きぐあつかいや、微生物びせいぶつがく生化学せいかがく実験じっけん食品しょくひん科学かがくなどの分野ぶんや重要じゅうようである。滅菌めっきん技術ぎじゅつ発達はったつする以前いぜんには、処理しょり芽胞がほう発芽はつがするのをってもう一度いちど処理しょりおこな間歇かんけつ間欠かんけつ滅菌めっきんほうによる滅菌めっきんおこなわれていたが、滅菌めっきん失敗しっぱいすることもあり、芽胞がほうによる汚染おせんコンタミネーション)が問題もんだいになることがおおられた。

また高温こうおん以外いがいにも、消毒しょうどくやくなどの化学かがく物質ぶっしつにも耐久たいきゅうせいしめす。 一般いっぱんてき消毒しょうどくやくではつぎ塩素えんそさんナトリウムがやや有効ゆうこう程度ていどで、塩化えんかベンザルコニウム(オスバンえき)、アルコールるいとうではかつすること非常ひじょう困難こんなんであり、確実かくじつかつするにはもっとつよ消毒しょうどくやくであるグルタラール長時間ちょうじかん接触せっしょくさせる、または、酢酸さくさんであれば短時間たんじかん接触せっしょくさせる必要ひつようがある。

に、エックス線えっくすせんにもたか耐久たいきゅうせいしめす。

滅菌めっきんほう

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芽胞がほうかつするには、うえげたねつによる方法ほうほうほかエチレンオキシドホルマリンによるガス滅菌めっきんメンブランフィルターもちいた滅菌めっきんガンマ線がんません滅菌めっきんなどが有効ゆうこうである。また芽胞がほうとくした滅菌めっきん方法ほうほうとして間欠かんけつ滅菌めっきんばれる方法ほうほうがある。間欠かんけつ滅菌めっきんとは、材料ざいりょう一旦いったん煮沸しゃふつしたあといちばん室温しつおん放置ほうちし、ふたた煮沸しゃふつする作業さぎょうを3かいかえすもので、室温しつおん放置ほうちしているあいだ芽胞がほう発芽はつがして栄養えいようがたになることを利用りようした、手間てまのかかる方法ほうほうである。

芽胞がほうつく代表だいひょうてき細菌さいきん

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関連かんれんする事項じこう

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  • 細菌さいきん芽胞がほう視覚しかくてき鑑別かんべつするための簡便かんべん方法ほうほうとしてWirtzの芽胞がほう染色せんしょくほうがある。芽胞がほう染色せんしょくではマラカイトグリーンにより芽胞がほう緑色みどりいろに、その部位ぶいサフラニンなどあかけい色素しきそピンク色ぴんくいろまる(うえ写真しゃしん参照さんしょう)。
  • 納豆なっとう製造せいぞうするときにはいねわら煮沸しゃふつ消毒しょうどくするが、これは煮沸しゃふつによっていねいているほか細菌さいきんころし、納豆なっとうきん芽胞がほうだけをのこらせて利用りようするためのものである。

外部がいぶリンク

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