村田むらた忠ただし禧

村田むらた 忠ただし禧（むらた ただよし、1946年ねん7月がつ6日にち - ）は、日本にっぽんの歴史れきし学者がくしゃ、横浜国立大学よこはまこくりつだいがく名誉めいよ教授きょうじゅ。専せん門もんは中国ちゅうごく現代げんだい史し、現代げんだい中国ちゅうごく論ろん、日にち中ちゅう関係かんけい論ろん。神奈川かながわ県けん出身しゅっしん。神奈川かながわ県けん日にち中ちゅう友好ゆうこう協会きょうかい副ふく会長かいちょう。

来歴らいれき

1946年ねん、神奈川かながわ県けんに生うまれる。東京大学とうきょうだいがく文学部ぶんがくぶ中国ちゅうごく文学ぶんがく科か卒業そつぎょう後ご、1986年ねん、同どう大学院だいがくいん博士はかせ課程かてい中国ちゅうごく哲学てつがく専攻せんこう単位たんい取得しゅとく満期まんき退学たいがく。東京大学とうきょうだいがく教養きょうよう学部がくぶ助手じょしゅ、横浜国立大学よこはまこくりつだいがく教育きょういく学部がくぶ助教授じょきょうじゅ、同どう教授きょうじゅ、教育きょういく人間にんげん科学かがく部ぶ教授きょうじゅを経へて、2012年ねん3月がつ定年ていねん退職たいしょくし、横浜国立大学よこはまこくりつだいがく名誉めいよ教授きょうじゅ。

人物じんぶつ

中国共産党ちゅうごくきょうさんとう史ふみ、毛沢東もうたくとう専門せんもん家か。中国共産党ちゅうごくきょうさんとう中央ちゅうおう文献ぶんけん室しつが書かいた『毛沢東もうたくとう伝でん』の翻訳ほんやく者しゃ。

主張しゅちょう

天安門てんあんもん広場ひろばでの虐殺ぎゃくさつ否定ひてい

1993年ねん10月23日にちに神戸商科大学こうべしょうかだいがくで開催かいさいされた「日本にっぽん現代げんだい中国ちゅうごく学会がっかい」の全国ぜんこく学術がくじゅつ大会たいかいで、1989年ねんの六ろく四よん天安門てんあんもん事件じけんにおいて天安門てんあんもん広場ひろばでの虐殺ぎゃくさつは無なかったとする報告ほうこくを自由じゆう論題ろんだいでおこない、国際こくさい人権じんけん団体だんたいから抗議こうぎを受うけた。その後ご、中国共産党ちゅうごくきょうさんとう中央ちゅうおう委員いいん会かいの主張しゅちょうに沿そった「89年ねん天安門てんあんもん事件じけんにおける『虐殺ぎゃくさつ』説せつの再さい検討けんとう」を『東京大学とうきょうだいがく教養きょうよう学部がくぶ外国がいこく語ご科か 外国がいこく語ご科か研究けんきゅう紀要きよう』に発表はっぴょうした。その中なかで村田むらたは「実際じっさいには89年ねん6月がつの天安門てんあんもん広場ひろばでは『残虐ざんぎゃくな殺戮さつりく』とか『虐殺ぎゃくさつ』と称しょうすべき事態じたいは発生はっせいしなかった」として、マスコミ報道ほうどうを含ふくめた思おもい入いれ先行せんこうの「研究けんきゅう」の危険きけん性せいを指摘してきした。ただし、村田むらたも解放かいほう軍ぐんが北京ぺきん市内しないに侵攻しんこうする過程かていで発砲はっぽうによる死亡しぼう事件じけんが起おきたことは否定ひていしていない。

インドのマハトマ・ガンディーにより始はじめられた非ひ暴力ぼうりょく抵抗ていこう運動うんどうの方法ほうほうの一ひとつであるハンガー・ストライキを「89年ねんの中国ちゅうごくの学生がくせい運動うんどうを一いち面めん的てきに美化びかすることは問題もんだいである。そもそも自分じぶんたちの要求ようきゅうを実現じつげんさせるために『ハンスト』という、生命せいめいを武器ぶきにして相手あいてに譲歩じょうほを迫せまる方法ほうほうは、とても民主みんしゅ的てき手続てつづきを踏ふんだものではない。生命せいめいを武器ぶきに相手あいてに自分じぶんたちの条件じょうけんを飲のませる方法ほうほうであって、一種いっしゅの脅迫きょうはくである」とした。当時とうじの民主みんしゅ化か運動うんどうを「文革ぶんかく期きにも行おこなわれた極左きょくさ行動こうどうに他たならない。それを『平和へいわ的てき』『理性りせい的てき』な行動こうどうであった、と持もち上あげるのは、あまりに『お人好ひとよし』な評価ひょうかといえる」暴動ぼうどう事件じけんだとしている。

尖閣諸島せんかくしょとう領有りょうゆう権けん中国ちゅうごく保持ほじ

尖閣諸島せんかくしょとうは日にち清しん戦争せんそう以前いぜんは中国ちゅうごくに属ぞくしており、日本にっぽんや琉球りゅうきゅうの付属ふぞく島嶼とうしょではなかったと主張しゅちょうしている。

新疆しんきょうウイグル自治じち区くにおけるジェノサイド否定ひてい

2021年ねん5月がつに中国ちゅうごくの新疆しんきょうウイグル自治じち区くで多数たすうのウイグル人じんに対たいするジェノサイドが発生はっせいしているという欧米おうべい諸国しょこくからの批判ひはんについて（「ウイグル人じん大量たいりょう虐殺ぎゃくさつ」も参照さんしょう）、「新疆しんきょうウイグル自治じち区くの『ジェノサイド』は無知むちと偏見へんけんの産物さんぶつ」というタイトルの文章ぶんしょうを執筆しっぴつした。村田むらたはその文章ぶんしょうの中なかで、「ウイグル族ぞくは安定あんてい的てきに増加ぞうかしている」「このような歴然れきぜんとした事実じじつを無視むしして、『ジェノサイド』が進行しんこうしている、といくら声高こわだかに叫さけんだところで、（中略ちゅうりゃく）アメリカ政府せいふの『人権じんけん外交がいこう』の本質ほんしつが無知むちと偏見へんけんで作つくられた『デマ情報じょうほう』に基もとづいていることを全ぜん世界せかい人民じんみんに知しらせる結果けっかとなるであろう」「（2017年ねんに新しん疆を訪おとずれた外国がいこく人じん観光かんこう客きゃくのうちカザフスタン、モンゴル、パキスタン、日本にっぽん、韓国かんこくが上位じょういを占しめたが）日本にっぽん、韓国かんこく以外いがいはいずれも新しん疆と国境こっきょうを接せっしているか、旧きゅうソ連それんに属ぞくしていた国くにで、自国じこく内ないに新しん疆の少数しょうすう民族みんぞくと同おなじ民族みんぞくを抱かかえている国々くにぐにである。もし新しん疆で自己じこの民族みんぞく同胞どうほうが抑圧よくあつされ、犠牲ぎせいになっているのなら新しん疆を訪問ほうもんする気きになるだろうか」と主張しゅちょうした。村田むらたはこの文章ぶんしょうを複数ふくすうの日本にっぽんメディアに投稿とうこうしたが、掲載けいさいされなかったという。

また村田むらたは『人民じんみん網もう』の取材しゅざいに対たいし、「いわゆる『ジェノサイド』は全まったく存在そんざいしない。私わたしは新しん疆を訪おとずれて自分じぶんの目めで新しん疆の繁栄はんえいと発展はってんを確たしかめたので、西側にしがわが中国ちゅうごくを中傷ちゅうしょうする言葉ことばを信しんじない」「一般いっぱんの日本人にっぽんじんは新しん疆についてほとんど知しらないが、新しん疆に行いった人ひとであれば、西側にしがわの新しん疆への中傷ちゅうしょうは反論はんろんするまでもなく嘘うそだと分わかるだろう。しかも、日本にっぽんメディアや書店しょてんには中国ちゅうごくを悪わるく言いう内容ないようや本ほんがあふれており、日本人にっぽんじんの中国ちゅうごくに対たいする誤解ごかいを生しょうじさせている部分ぶぶんが大おおきい」「近年きんねん、中国ちゅうごくの政務せいむ公開こうかいの取とり組くみが大おおきく進展しんてんし、ネット上うえでより詳細しょうさいなデータを入手にゅうしゅできるようになった。隣国りんごくとして、日本にっぽんはかつて『中国ちゅうごく研究けんきゅう』に長たけていたが、現在げんざいの日本にっぽんはすでに本当ほんとうの中国ちゅうごくを理解りかいしていない、もしくは理解りかいしようとしない状況じょうきょうになっている。だからこそ、西側にしがわの嘘うそにだまされ、米国べいこくに『誘導ゆうどうされるままに脇道わきみちにそれた』」「以前いぜんと比くらべ、日本にっぽん国内こくないの対たい中ちゅう世論せろんの雰囲気ふんいきが急速きゅうそくに悪化あっかしており、外交がいこう政策せいさく上じょうさらに米国べいこく寄よりになっている。しかし日本にっぽんは経済けいざい面めんで中国ちゅうごくと密接みっせつな関係かんけいがあるため、独立どくりつした独自どくじの外交がいこう的てき立場たちばを取とるべきだ」と述のべている。

著作ちょさく

• 『華国鋒かこくほう政権せいけん成立せいりつ前夜ぜんや―四よん人組にんぐみの登場とうじょうから退場たいじょうまで』 三さん一いち書房しょぼう、1977年ねん
• 『チャイナ・クライシス「動乱どうらん」日誌にっし』（蒼蒼あおあおスペシャル・ブックレット） 蒼蒼そうそう社しゃ、1990年ねん
• 『尖閣せんかく列島れっとう・釣魚ちょうぎょ島とう問題もんだいをどう見みるか―試ためされる二に十じゅう一いち世紀せいきに生いきるわれわれの英知えいち』 隣人りんじん新書しんしょ 日本にっぽん僑報社しゃ、2004年ねん
• 『日にち中ちゅう領土りょうど問題もんだいの起源きげん―公文書こうぶんしょが語かたる不都合ふつごうな真実しんじつ』 花伝社かでんしゃ、2013年ねん
• 『史料しりょう徹底てってい検証けんしょう 尖閣せんかく領有りょうゆう』 花伝社かでんしゃ、2015年ねん

共著きょうちょ

• 紀きの学まなぶ仁ひとし、村田むらた忠ただし禧、藤原ふじわら彰あきら、粟屋あわや憲太郎けんたろう『日本にっぽん軍ぐんの化学かがく戦せん―中国ちゅうごく戦場せんじょうにおける毒どくガス作戦さくせん』 大月書店おおつきしょてん、1996年ねん
• 共著きょうちょ『中国ちゅうごくの「対たい日新にっしん思考しこう」は実現じつげんできるか―「対たい中新ちゅうしん思考しこう」のすすめ』 日本にっぽん僑報社しゃ、2004年ねん
• 翻訳ほんやく共著きょうちょ『毛沢東もうたくとう伝つて(1893‐1949)〈上うえ〉』 みすず書房しょぼう、1999年ねん。金きむ冲及主ぬし編へん
• 翻訳ほんやく共著きょうちょ『毛沢東もうたくとう伝でん(1893‐1949)〈下した〉』 みすず書房しょぼう、2000年ねん
• 監訳かんやく『周しゅう恩来おんらいの足跡あしあと　中国ちゅうごくを救すくい世界せかいを魅了みりょうした生涯しょうがい』 社会しゃかい評論ひょうろん社しゃ、2023年ねん。李り海うみ文ぶん主ぬし編へん

関連かんれん項目こうもく

• 尖閣諸島せんかくしょとう問題もんだい

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