海水温かいすいおん

海水温かいすいおん（かいすいおん）とは、ある一定いっていの深度しんどにおける海水かいすいの温度おんどのこと。単たんに海水温かいすいおんというときは、海面かいめんから海面かいめん下か数すう十じゅうセンチメートル - 十じゅう数すうメートルの海面かいめん水温すいおんを指さすことが多おおい。

海水温かいすいおんが水みずの蒸発じょうはつ量りょうに非常ひじょうに関かかわりが深ふかいことから、気象きしょう学がくの観測かんそく対象たいしょうとされ、気候きこう学がくにおいても重要じゅうよう視しされる。漁業ぎょぎょうの分野ぶんやにおいても、魚さかな群ぐんの移動いどうに関連かんれんしているため必要ひつようなデータであるとされる。また、特とくに水棲すいせい生物せいぶつの分布ぶんぷや生態せいたいにも大おおきく関連かんれんしており、生物せいぶつ学がくにおいても重要じゅうようとされる。

海水かいすいは、塩分えんぶんを含有がんゆうしている事ことから摂氏せっし0度どを下回したまわる事ことがあり、また海底かいてい火山かざんの影響えいきょうで摂氏せっし100度どを超こえる場合ばあいもある。

海面かいめん水温すいおん

「en:Sea surface temperature」を参照さんしょう

海面かいめん水温すいおん（かいめんすいおん、Sea surface temperature, SST）は、海面かいめんに近ちかい表面ひょうめん部分ぶぶんの水温すいおんを指さす用語ようご^[1]。

観測かんそくが始はじまった頃ころは、バケツですくった海水かいすいの温度おんどを測定そくていしていた。その後ご船せんで自動的じどうてきに水温すいおんを測はかる手法しゅほうに切きり替かえられたものの、誤差ごさが大おおきかったため、漂流ひょうりゅうブイや固定こていブイによる自動じどう観測かんそくも同時どうじに行おこなわれるようになった。ただ、各国かっこくの機関きかんがそれぞれ異ことなるタイプのブイを使用しようしたため測定そくていする水深すいしんが異ことなり、世界せかい的てきなデータ化かが困難こんなんであった。1990年代ねんだいに入はいって、エルニーニョの観測かんそくのために大だい規模きぼな観測かんそく網もうが作つくられたが、世界せかい的てきなデータ提供ていきょうには程遠ほどとおいものだった。そこで重要じゅうようとなったのが、1980年代ねんだいから始はじまった人工じんこう衛星えいせいによる測定そくていであった。

人工じんこう衛星えいせいによる測定そくていにはいろいろな方法ほうほうが試ためされたが、大気たいきによる影響えいきょうをほぼ無視むしすることができる黒くろ体たい放射ほうしゃの観測かんそくが最もっともよい方法ほうほうとされ、現在げんざいもこの方法ほうほうで測定そくていが行おこなわれている。人工じんこう衛星えいせいによる観測かんそくは測定そくてい間隔かんかくの短縮たんしゅくと効率こうりつ化かを可能かのうにした。しかし、雲くもに遮さえぎられると観測かんそくができないなどの難点なんてんがあり、船ふねによる観測かんそくも並行へいこうして行おこなわれている。

さまざまな海域かいいきと海水温かいすいおん

熱帯ねったい・低てい緯度いど

海水温かいすいおんは、台風たいふうなどの熱帯ねったい低てい気圧きあつの発生はっせいとその勢力せいりょくに関係かんけいしているとされている。ほとんどの熱帯ねったい低てい気圧きあつは海面かいめん水温すいおんが26.5°Cを越こえる海域かいいきで発生はっせいし、海水温かいすいおんが高たかいほど勢力せいりょくが強つよくなる傾向けいこうにある。また、熱帯ねったい低てい気圧きあつが通過つうかした後のちは海水温かいすいおんが低下ていかする。これは、風ふうとうねりによって水温すいおんが低ひくい下層かそうと高たかい上層じょうそうがかき混まぜられるためだと考かんがえられている。

高緯度こういど・極ごく地域ちいき

北極ほっきょくや南極なんきょくにおいては、海水温かいすいおんの上昇じょうしょうにより氷こおり床ゆかの融解ゆうかいが進すすんでいる。一般いっぱんに高緯度こういど地域ちいきでは海水温かいすいおんは地面じめんの温度おんどや気温きおんより高たかく、海水温かいすいおんの上昇じょうしょうは高緯度こういど地域ちいきや極きょく地域ちいきの気象きしょうに劇的げきてきな変化へんかをもたらす恐おそれがあるとの研究けんきゅう結果けっかもある。