狩野かの益えき信しん

狩野かの 益えき信しん（かのう ますのぶ、寛永かんえい2年ねん（1625年ねん） - 元禄げんろく7年ねん1月がつ8日にち（1694年ねん2月がつ1日にち））は、日本にっぽんの江戸えど時代じだい前期ぜんきに活動かつどうした狩野かの派は（江戸えど狩野かの）の絵師えし。幼名ようみょうは山やま三郎さぶろう、通称つうしょうは采女うねめ、号ごうは洞ほら雲くも・宗そう深ふかし道人どうじん・松蔭まつかげ子こ。別べつ号ごうは、松蔭しょういん斎とき、薄うすき友とも斎とき。狩野かの探さがせ幽かそけの養子ようしで、江戸えど幕府ばくふ御用ごよう絵師えしの中なかで奥おく絵師えし4家いえに次つぐ家格かかくを持もつ表おもて絵師えし筆頭ひっとう（御坊ごぼう主格しゅかく）駿河台するがだい狩野かの家かの祖そ。後述こうじゅつする号ごうから狩野かの洞ほら雲くもとも言いわれる。

略伝りゃくでん

彫金ちょうきん家いえ・後藤ごとう勘兵衛かんべえ家かの後藤ごとう立りつ乗じょうの長子ちょうしとして生うまれる。伯父おじに勘兵衛かんべえ家かを嗣ついだ後藤ごとう覚さとし乗じょうがいる。

幼少ようしょう時じに書しょを松花堂しょうかどう昭あきら乗じょうに学まなび、画がを好このんだ。その画が技わざを見込みこまれて寛永かんえい12年ねん（1635年ねん）、11歳さいで探さがせ幽かそけの養子ようしとなる。後藤ごとう家かと狩野かの家かとは共ともに幕府ばくふの御用ごようを務つとめ、日蓮宗にちれんしゅう信者しんじゃといった共通きょうつう点てんを持もち、狩野かの元信もとのぶの代だいに遡さかのぼると言いわれるほど古ふるくから繋つながりがあったようだ。探さがせ幽かそけの弟おとうと狩野かの安信やすのぶに可愛かわいがられその娘むすめを妻つまとし（『狩野かの五ご家いえ譜ふ』）、3代だい将軍しょうぐん徳川とくがわ家光いえみつに寵愛ちょうあいされた。しかし探さがせ幽かそけに実子じっし探さがせ信しん・探さがせ雪ゆきができると、万治まんじ2年ねん（1659年ねん）の35歳さいの時ときに南光なんこう坊ぼう天海てんかいの紹介しょうかいで別家べっけし、寛文ひろふみ7年ねん（1667年ねん）に新あらたに駿河台するがだいに屋敷やしきを拝領はいりょうし、駿河台するがだい狩野かの家かを興きょうこす。天和てんわ2年ねん（1682年ねん）には新あらたに20人にん扶持ふちを得えて、他たの表おもて絵師えしの5人にん扶持ふち（山下やました狩野かの家か10人にん扶持ふちを除のぞく）より高たかい格式かくしきを得えた。また同年どうねん、11歳さいの養子ようしであり探さがせ幽かそけの実子じっしで勘当かんどうされていた五右衛門ごえもん（勘当かんどうの理由りゆうは不明ふめい）の子こ狩野かの福ぶく信しん（洞ほら春はる、1672年ねん - 1724年ねん）がお目見めみえしている。

承うけたまわ応おう・寛文ひろふみ年度ねんどの京都きょうと御所ごしょ造営ぞうえいに伴ともなう障壁しょうへき画が制作せいさくに参加さんかしたが、結婚けっこん・養子ようし縁組えんぐみで探さがせ幽かそけ・安信やすのぶ兄弟きょうだいと繋つながりが出来できた益えき信しんと狩野かの常信つねのぶはこの仕事しごとを通つうじてしばしば狩野かの派は内部ないぶでの序列じょれつが入いれ替かわっている。承うけたまわ応おう3年ねん（1654年ねん）の内裏だいり障壁しょうへき画が制作せいさくにおける画家がかの地位ちいは探さがせ幽かそけの養子ようしだった益えき信しんが常信つねのぶより上うえだったが、寛文ひろふみ2年ねん（1662年ねん）の再度さいどの内裏だいり障壁しょうへき画が制作せいさくで両者りょうしゃの地位ちいが逆転ぎゃくてんし、別家べっけを立たてて探さがせ幽かそけの養子ようしでなくなった益えき信しんは常信つねのぶより下したになっている。探さがせ幽かそけ亡なき後あとの延のべ宝たから3年ねん（1675年ねん）の内裏だいり障壁しょうへき画が制作せいさくでは再ふたたび益えき信しんが常信つねのぶより上うえの地位ちいに戻もどったが、これは安信やすのぶの長女ちょうじょ・次女じじょがそれぞれ益えき信しん・常信つねのぶに嫁とついでいた関係かんけいからであり、狩野かの派はでは主導しゅどう者しゃとの関係かんけいによって画家がかの序列じょれつが決きまることが慣例かんれいだった。

寛文ひろふみ5年ねん（1665年ねん）9月がつ、益えき信しんの絵えを見みた隠元いんげん隆たかし琦から絶賛ぜっさんされ、「洞ほら雲くも」の号ごうを与あたえられる。以後いごの作品さくひんには「洞ほら雲くも」印しるしまたは「洞ほら雲くも筆ひつ」などの落款らっかんが伴ともなうことが多おおい。晩年ばんねんの元禄げんろく4年ねん（1691年ねん）には湯島ゆしま聖きよし殿どのに「七なな十じゅう二賢及先儒ノ像ぞう」を描えがき、住吉すみよし具ぐ慶けい、北村きたむら季吟きぎんらと共ともに法眼ほうげんに叙じょされたが、3年ねん後ごの元禄げんろく7年ねん（1694年ねん）に没ぼっした。享年きょうねん70。法名ほうみょうは智光ともみつ院いん法眼ほうげん洞ほら雲くも宗そう深ふかし居士こじ、墓所はかしょは護国寺ごこくじ（後のちに多磨たま霊園れいえんに改葬かいそう）。子こが無なかったため、跡あとは福ぶく信しんに継つがせた。弟子でしに小原おはら慶山けいざん、佐久間さくま洞ほら巖いわお、清水しみず洞ほら郁いく、増井ますい貞三ていぞうなど。

養子ようしとしての苦悩くのう

生来せいらい生真面目きまじめな性格せいかくだったらしく、養子ようし時代じだいには偉大いだいな探さがせ幽かそけの跡取あととりとして苦悩くのうする様子ようすが見みえる史料しりょうが残のこる。

大徳寺だいとくじ僧そうの春沢はるさわ宗そう晃あきらの『昂のぼる隠かくれ集しゅう』巻まき二にに「與あずか狩野かの洞ほら雲くも」という項目こうもくがある。内容ないようは、益えき信しんがかつて隠元いんげんに「画業がぎょうにおいて肝心かんじんなことは何なにか」と尋たずねると「無心むしんに描かけばよい」と言いわれたが、自分じぶんにはわからないのでどういうことか説といて欲ほしいと春沢はるさわに乞こいその返事へんじを記しるしたものである。春沢はるさわは「一心いっしんは二ふたつの働はたらき（二に用よう）をすることはできない。あなたが龍りゅうを描えがくときには、心こころすべてが龍りゅうそのもので、他たの思おもいがあってはならない。このようにして描かけば、霊れいある龍りゅう、威いのある虎とらが描えがけるはずである。二に用ようの心こころがけがない状態じょうたいを会得えとくすることができれば、何なにを描えがいても自然しぜんと「神妙しんみょう」な絵えが描えがける。そのことをただ思おもいなさい」と答こたえた。

隠元いんげんとの面会めんかい後ご間まもなくのことだと想定そうていすれば、益えき信しんは既すでに40代だい前半ぜんはんで何なんらかの画境がきょうに至いたっていても不思議ふしぎではない年齢ねんれいである。しかし、探さがせ幽かそけの天才てんさいぶりを目まの当あたりにしその画風がふうを模範もはんとした益えき信しんには、無心むしんで描えがくという別べつ次元じげんの理屈りくつがなかなか飲のみ込ごめなかったようだ。また真偽しんぎは不明ふめいだが、若わかい頃ころに久隅くすみ守景もりかげの息子むすこ彦十じゅう郎ろう（狩野かの胖ゆたか幽かそけ）と悪所あくしょ通がよいをしたという逸話いつわ（『古いにしえ画が備考びこう』）も、探さがせ幽かそけとの画が力りょくの差さに悩なやみ憂うさ晴ばらしを求もとめての行動こうどうとも取とれる。

こういた性格せいかくを反映はんえいしてか画が技わざも探さがせ幽かそけ様式ようしきをよく学まなんで堅実けんじつ・丁寧ていねいで、探さがせ幽かそけが養子ようしに望のぞんだだけあって作品さくひんはどれも一定いってい以上いじょうの水準すいじゅんを保たもっている。その反面はんめん、やや丁寧ていねいすぎて画面がめんに生気せいきが乏とぼしく硬直こうちょく化かし、伸のびやかさや軽かろやかさに欠かけるきらいがある。

代表だいひょう作さく

作品さくひん名めい	技法ぎほう	形状けいじょう・員数いんずう	寸法すんぽう（縦たてx横よこcm）	所有しょゆう者しゃ	年代ねんだい	落款らっかん	備考びこう
年中ねんじゅう行事ぎょうじ図ず屏風びょうぶ		六ろく曲きょく一いち隻せき	154.6x386.0	東京とうきょう国立こくりつ博物館はくぶつかん		款記「益えき信しん筆ひつ」
新しん六歌仙ろっかせん画帖がじょう			44.2×27.4（各かく）	東京とうきょう国立こくりつ博物館はくぶつかん
楠くすのき正成まさしげ図ず		1幅ぶく	72.3x111.5	東京とうきょう国立こくりつ博物館はくぶつかん
想そう夫おっと恋こい図ず	紙かみ本ほん著ちょ色しょく	1幅ぶく	123.0x51.0	東京富士とうきょうふじ美術館びじゅつかん
新しん三さん十じゅう六歌仙ろっかせん画帖がじょう	絹本けんぽん著ちょ色しょく金銀きんぎん泥どろ		31.7x24.6（各かく）	フェリス女学院大学ふぇりすじょがくいんだいがく
中ちゅう殿御とのご会かい図ず屏風びょうぶ	紙かみ本金ほんきん地ち著ちょ色しょく	四よん曲きょく一双いっそう		個人こじん		款記「益えき信しん筆ひつ」
堀川ほりかわ夜討ようち絵巻えまき	紙かみ本ほん著ちょ色しょく	2巻かん	32.8x?	神奈川かながわ県立けんりつ歴史れきし博物館はくぶつかん
仙人せんにん遊戯ゆうぎ図ず	絹本けんぽん著ちょ色しょく	双幅そうふく	約やく188x142				所沢ところざわ市し指定してい文化財ぶんかざい
西村にしむら志摩しま之の助じょ画像がぞう	紙かみ本ほん著ちょ色しょく	1幅ぶく		二本松にほんまつ市し・台だい雲寺くもでら		款記「益えき信しん筆ひつ」	像ぞう主ぬしは二本松にほんまつ藩はん主おもで男色なんしょくを好このんだ丹羽にわ光重みつしげの寵ちょう童わらわ。
源みなもと頼朝よりとも像ぞう	絹本けんぽん著ちょ色しょく	1幅ぶく		長勝寺ちょうしょうじ		款記「狩かり埜洞雲くも筆ひつ」 「宗そう深ふかし」朱しゅ文ぶん方かた印しるし	茨城いばらき県けん指定してい文化財ぶんかざい。太たい嶽だけ祖そ清きよし賛さん。
百鬼夜行ひゃっきやこう図ず	紙かみ本ほん著ちょ色しょく	1巻かん	29.0x1196.0	国立こくりつ歴史れきし民俗みんぞく博物館はくぶつかん		款記「右みぎ百鬼夜行以古圖寫之／狩かり埜洞雲くも筆ひつ」 朱しゅ文ぶん方かた印しるし	真珠しんじゅ庵あん本ほん系けいの百鬼夜行ひゃっきやこう図ずだが、真珠しんじゅ庵あん本ほんには見みられない妖怪ようかいや細部さいぶが異ことなるものが少すくなくない。
倭やまと武たけ仙せん図ず				個人こじん			仙台せんだい藩はん伊達だて家か発注はっちゅうの豪華ごうかな大名だいみょう道具どうぐ。
文殊もんじゅ・寒かん山やま拾得しゅうとく図ず	紙かみ本ほん墨画ぼくが	3幅ぶく対たい		南みなみ砺市・善徳寺ぜんとくじ
十じゅう二にヶ月かげつ花鳥かちょう図ず	絹本けんぽん著ちょ色しょく	六ろく曲きょく一双いっそう		岐阜ぎふ市し歴史れきし博物館はくぶつかん
天神てんじん・松まつ・梅うめ図ず	紙かみ本ほん著ちょ色しょく	3幅ぶく対たい		守口もりぐち市し・佐さ太ふとし天てん神宮じんぐう	1654年ねん（承うけたまわ応おう3年ねん	款記「益えき信しん」 「益えき信しん」朱しゅ文ぶん方かた印しるし	箱書はこがきに承うけたまわ応おう3年ねん（1654年ねん）2月がつ25日にち永井ながい尚しょう庸いさおが奉納ほうのうとある。中幅ちゅうはばの天神てんじんは林はやし羅山らざん、松まつ図ずは林はやし鵞峰、梅うめ図ずは林はやし春はる徳とくの賛さん。
瀟湘八景はっけい図ず	絹本けんぽん墨画ぼくが	2巻かん		聖衆しょうじゅ来迎寺らいこうじ		款記「狩野かの益えき信しん筆ひつ」	狩野かの安信やすのぶとの合作がっさくで、上巻じょうかんを安信やすのぶ、下巻げかんを益えき信しんが担当たんとう。
四季しき耕作こうさく図ず		六ろく曲きょく一双いっそう		聖衆しょうじゅ来迎寺らいこうじ
洛中らくちゅう洛外らくがい図ず屏風びょうぶ	紙かみ本ほん墨画ぼくが淡彩たんさい	六ろく曲きょく一双いっそう		京都きょうと文化ぶんか博物館はくぶつかん		「益えき信しん」壺つぼ形がた印しるし	金地きんじ著ちょ色しょくの作品さくひんが殆ほとんどの洛中らくちゅう洛外らくがい図ず屏風びょうぶのなかで、淡彩たんさいの水墨すいぼくで描えがいた珍めずらしい作品さくひん。
玉取たまとり図ず	絹本けんぽん著ちょ色しょく	1幅ぶく	114.7x47.3	泉いずみ屋や博はく古館ふるたて		款記「益えき信しん筆ひつ」 「松蔭しょういん子こ」朱しゅ文ぶん方かた印しるし	幸さいわい若わか舞まい『大だい織お冠かんむり』に取材しゅざい。
朝鮮ちょうせん通信使つうしんし歓待かんたい図ず屏風びょうぶ	紙かみ本金ほんきん地ち著ちょ色しょく	八はち曲きょく一双いっそう	166.6x500.0（各かく）	泉涌寺せんにゅうじ		款記「益えき信しん筆ひつ」 「松蔭しょういん子こ」朱しゅ文ぶん印しるし	京都きょうと市し指定してい文化財ぶんかざい。「朝鮮ちょうせん通信使つうしんしに関かんする記録きろく」内ないの1件けんとして世界せかいの記憶きおくに登録とうろく。泉涌寺せんにゅうじでは東福門院とうふくもんいん遺愛いあいの品しなと伝つたわる。明あかり暦れき元年がんねん（1655年ねん）第だい6回かい朝鮮ちょうせん通信使つうしんしの際さいと言いわれる、江戸城えどじょうでの将軍しょうぐんと使節しせつが対面たいめんする場面ばめんを描えがいたもの。
賢けん帝みかど図ず屏風びょうぶ	紙かみ本金ほんきん地ち著ちょ色しょく	六ろく曲きょく一双いっそう	163.8x362.0（各かく）	個人こじん		款記「狩野かの洞ほら雲くも筆ひつ」 「松蔭しょういん子こ」朱しゅ文ぶん印しるし
和漢わかん名画めいが巻まき	絹本けんぽん著ちょ色しょく・墨画ぼくが	1巻かん	29.5x988.4	個人こじん		款記「狩かり埜洞雲くも筆ひつ」
Goats And Moon	絹本けんぽん著ちょ色しょく	1幅ぶく		インディアナポリス美術館びじゅつかん		款記「縣けん洞ほら雲くも筆ひつ」 「益えき信しん」壺つぼ形がた印しるし
朝鮮ちょうせん通信使つうしんし行列ぎょうれつ図ず巻まき				ロンドン大学だいがく
龍頭りゅうず龍りゅう尾お図ず				龍安寺りゅうあんじ
佐久間さくま将すすむ監かん像ぞう				龍光りゅうこう院いん			探さがせ幽かそけ筆ひつの将監しょうげん像ぞう（現在げんざい所在しょざい不明ふめい）の模本もほん。将監しょうげん夫人ふじん像ぞうと対たい幅はば。
恵めぐみ日にち院いん重じゅう郷さと肖像しょうぞう	絹本けんぽん著ちょ色しょく	1幅ぶく	118.8x51.8	長圓寺ちょうえんじ（西尾にしお市し）			板倉いたくら重しげる郷きょうの肖像しょうぞう。
琴きん棋図・書画しょが図ず	紙かみ本ほん墨画ぼくが	襖ふすま8面めん・12面めん		玉たま林りん院いん（大徳寺だいとくじ塔頭たっちゅう）	1669年ねん（寛文ひろふみ9年ねん）	款記「洞ほら雲くも筆ひつ」	前者ぜんしゃは西にし衣鉢いはつの間あいだ、後者こうしゃは衣鉢いはつの間あいだ所在しょざい。琴きん棋書画図えずは一緒いっしょに描えがかれるのが普通ふつうだが、玉たま林りん院いん本堂ほんどうは8室しつあり、通常つうじょうの6室しつよりも多おおいため、2つに分わけて描えがいたと考かんがえられる。
毘沙門堂びしゃもんどう宸殿障壁しょうへき画が	紙かみ本ほん著ちょ色しょく、一部いちぶ金地きんじ	104面めん		毘沙門堂びしゃもんどう	1675年ねん（延のべ宝たから3年ねん）	上段じょうだん之の間あいだ（御成おなり之の間あいだ）床ゆか右側みぎがわ袖そで壁かべ貼付ちょうふに款記「洞ほら雲くも筆ひつ」落款らっかん 朱しゅ文ぶん方かた印しるし一いち顆（印しるし文ぶん不明ふめい）	京都きょうと市し指定してい文化財ぶんかざい（美術びじゅつ工芸こうげい）。寺てら伝でんによると、後こう西にし天皇てんのう旧きゅう殿しんがりを1693年ねん（元禄げんろく6年ねん）に移築いちくしたものとされる。
聖護院しょうごいん宸殿障壁しょうへき画が
海うみ福ぶく院いん（妙心寺みょうしんじ塔頭たっちゅう）障壁しょうへき画が
寂光じゃっこう釘くぎ念仏ねんぶつ縁起えんぎ絵巻えまき	紙かみ本ほん著ちょ色しょく	1巻かん	30.7x	輪はなわ王寺おうじ	1692年ねん（元禄げんろく5年ねん）		狩野かの探さがせ雪ゆき・常信つねのぶとの合作がっさく。詞書ことばがきは公おおやけ弁べん法親王ほうしんのう。

参考さんこう文献ぶんけん

書籍しょせき

• 細野ほその正信まさのぶ編へん『江戸えどの狩野かの派は』至文しぶん堂どう〈日本にっぽんの美術びじゅつ262〉、1988年ねん。
• 安村やすむら敏信としのぶ『江戸えどの絵師えし 「暮くらしと稼かせぎ」』小学館しょうがくかん、2008年ねん。
• 鎌田かまた純子じゅんこ「狩野かの益えき信しん」（竹内たけうち誠まことほか編へん『徳川とくがわ幕臣ばくしん人名じんめい辞典じてん』に掲載けいさい）東京とうきょう堂どう出版しゅっぱん、2010年ねん。ISBN 978-4-490-10784-5
• 門脇かどわきむつみ『巨匠きょしょう 狩野かの探さがせ幽かそけの誕生たんじょう 江戸えど初期しょき、将軍しょうぐんも天皇てんのうも愛あいした画家がかの才能さいのうと境遇きょうぐう』朝日新聞あさひしんぶん出版しゅっぱん（朝日あさひ選書せんしょ）、2014年ねん。ISBN 978-4-02-263025-4

論文ろんぶん

• 並木なみき誠まこと士し 「<資料しりょう紹介しょうかい>狩野かの益えき信しん筆ひつ洛中らくちゅう洛外らくがい図ず屏風びょうぶについて」『京都きょうと大学だいがく研究けんきゅう紀要きよう』第だい7号ごう、京都きょうと大学だいがく文学部ぶんがくぶ美学びがく美術びじゅつ史学しがく研究けんきゅう室しつ、1986年ねん3月がつ、pp.146-157
• 山下やました善よし也 「狩野かの探さがせ幽かそけをはじめ江戸えど狩野かの三さん十じゅう六ろく名めい合作がっさくの《牛馬ぎゅうば図ず》双幅そうふく」『静岡しずおか県立けんりつ美術館びじゅつかん紀要きよう No.17 開館かいかん15周年しゅうねん』 2002年ねん3月がつ31日にち、pp.40-94
• ロナルド・トビ（松島まつしま仁ひとし訳やく〉 「狩野かの益えき信しん筆ひつ「朝鮮ちょうせん通信使つうしんし歓待かんたい図ず屏風びょうぶ」のレトリックと論理ろんり」『国華こっか』第だい1444号ごう、2016年ねん2月がつ20日はつか、pp.3-25、ISBN 978-4-02-291444-6

関連かんれん項目こうもく

• 狩野かの探さがせ幽かそけ