環境かんきょう難民なんみん

環境かんきょう難民なんみん（かんきょうなんみん）とは気候きこう変動へんどうや砂漠さばく化かなどの地球ちきゅうの自然しぜん環境かんきょうの変化へんかや環境かんきょう破壊はかいによって、生しょうじる難民なんみんのことである。

水みずが干上ひあがったアラル海あらるかい。灌漑かんがいによってアラル海あらるかいの水みずは急速きゅうそくに干上ひあがり漁業ぎょぎょうは壊滅かいめつし、露あらわになった湖底こていも塩害えんがいで不毛ふもうの地ちとなった。

概要がいよう

二酸化炭素にさんかたんその増加ぞうかによるとされる気候きこう変動へんどうで北極ほっきょく、南極なんきょくの氷こおりが融とけ、海面かいめん上昇じょうしょうにより、海抜かいばつ0mから5mほどの沿岸えんがん部ぶの平地ひらちや島嶼とうしょが水没すいぼつする虞おそれが生しょうじている。もし、海面かいめんが上昇じょうしょうすればモルディブやツバルのような島嶼とうしょ国こくは国土こくどを失うしない、その国民こくみんは住すむ場所ばしょを失うしなうと考かんがえられる。また、沿岸えんがん部ぶの平地ひらちが水没すいぼつすれば、そこに居住きょじゅうする人々ひとびとも移住いじゅうを余儀無よぎなくされる。温暖おんだん化かによって永久えいきゅう凍土とうどが溶とけると、永久えいきゅう凍土とうどを前提ぜんていに構築こうちくされたインフラが崩壊ほうかいし、一時いちじ的てきに居住きょじゅう者しゃが不利益ふりえきを蒙こうむることがある。

また熱帯ねったい雨林うりんが焼畑やきばた農業のうぎょうなどで失うしなわれると回復かいふくが困難こんなんとなり、そこに居住きょじゅうしている人々ひとびとも生活せいかつが困難こんなんになると考かんがえられる。さらに砂漠さばく化かによる農地のうちの消滅しょうめつや灌漑かんがい農法のうほうの結果けっか、農地のうちに塩分えんぶんが蓄積ちくせきされたりすると、そこでの居住きょじゅうが困難こんなんになり、移住いじゅうを余儀無よぎなくされる住民じゅうみんが出でると予想よそうされる。

また、地球ちきゅう全体ぜんたいの気候きこうが変化へんかすれば、世界せかいの農業のうぎょう環境かんきょうは大おおきく変かわり、世界せかい的てきな食糧しょくりょう危機ききが生しょうじるとも予想よそうされる。また、マラリアやデング熱でんぐねつなど熱帯ねったいの風土病ふうどびょうが温帯おんたいにも広ひろがる可能かのう性せいがある。

福島ふくしま第だい一いち原子力げんしりょく発電はつでん所しょ事故じこでは、多おおくの人々ひとびとが移住いじゅうしてしまった。

環境かんきょう難民なんみんは現代げんだいにおける難民なんみんの一種いっしゅというよりも、人類じんるい史しの中なかで非常ひじょうに頻繁ひんぱんに、かつ歴史れきし上じょうの重要じゅうようなイベントとして繰くり返かえし発生はっせいしてきた。例たとえば、中世ちゅうせいヨーロッパの基礎きそをつくったゲルマン人じんの大だい移動いどうもその例外れいがいではない。この移動いどうは、寒冷かんれい化かに伴ともなうユーラシア大陸たいりく規模きぼの環境かんきょう難民なんみんの一環いっかんといえ、4～6世紀せいきを「民族みんぞく移動いどうの寒かん期き」と呼よぶ研究けんきゅう者しゃもいる。

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