飾かざり職しょく人じんの秀しゅう

飾かざり職しょく人じんの秀しゅう（かざりしょくにんのひで）は、必殺ひっさつシリーズに登場とうじょうした仕事しごと人じんの一人ひとり。初はつ登場とうじょう作さくは『必殺ひっさつ仕事しごと人じん』。三田村みたむら邦彦くにひこが演えんじた。

概要がいよう・キャラクター

表おもて稼業かぎょう

名前なまえ通どおり、表ひょうの稼業かぎょうは飾かざり職しょく人じん。腕うではいいものの、気きに入いった仕事しごとしか受うけない気きまぐれな性格せいかく。その一方いっぽうで実直じっちょくで情じょうに厚あつく、困こまった人間にんげんを見過みすごせない性格せいかくが災わざわいし、何なん度ども事件じけんに巻まき込こまれた。根ねっからの子供こども好すきで、登場とうじょう当初とうしょから畷なわて左門さもん（伊吹いぶき吾郎ごろう）の娘むすめに人形にんぎょうを作つくって一緒いっしょに遊あそんだり、お菓子かしを与あたえたりと、面倒めんどう見みがとても良よい。女おんな遊あそびを好このまず、女性じょせいを寄よせ付つけず禁欲きんよく的てきに振舞ふるまっている。服ふく相しょうはジーンズの生地きじの羽織はおりを着用ちゃくようしている。棺桶かんおけの錠じょうと同おなじく武士ぶしへの嫌悪けんお感かんや不満ふまんを抱だいているのか、『必殺ひっさつ仕事しごと人じん』時代じだいにはその思おもいを直接ちょくせつ、主しゅ水みずや左ひだり門もんにぶつけていた。また、武士ぶし社会しゃかいの独自どくじの文化ぶんか（切腹せっぷくや仇かたき討うちなど）についても「一生いっしょう掛かかっても、全まったく理解りかいできない」という言動げんどうが見みられた。 他たの仕事しごと人じんとはなかなか打うち解とける事ことが出来できず畷なわて左門さもんとは裏うら稼業かぎょう以前いぜんから家族かぞくぐるみの付つき合あいがあったものの、裏うら稼業かぎょうに加くわわってからは「表ひょうではあまりなれなれしくするな」と少すこし距離きょりを置おかれた事こともあり、左門さもんも江戸えどを去さった事ことで、孤独こどくであったものの、三味線しゃみせん屋やの勇次ゆうじ（中条ちゅうじょうきよし）とは最初さいしょこそ性格せいかくが合あわずに「あんなキザ野郎やろう」と毛嫌けぎらいしていたが、次第しだいに勇次ゆうじが気持きもちを察さっする形かたちで打うち解とけて行いき、裏うら稼業かぎょうでは勇次ゆうじと息いきの合あった殺ころし技わざを披露ひろうするようになった。

天涯孤独てんがいこどくの身みの上うえであるが、『必殺ひっさつ仕事しごと人じんIV』では自分じぶんが仕事しごとした男おとこの遺児いじである少女しょうじょ お民みんを引ひき取とって育そだてていた。しかし、最終さいしゅう回かいで、自分じぶんの殺ころしを子供こどもに見みられたことで、お尋たずね者ものとなり、一旦いったんはお民みん共々ともども、江戸えどを去さる。

裏うら稼業かぎょう

晴はらせぬ恨うらみを金銭きんせんで晴はらす殺ころし屋や。背後はいごから気配けはいを隠かくして忍しのび寄より、簪かんざしを用もちいて相手あいての急所きゅうしょを刺さし殺ころす。新しん・必殺ひっさつ仕事しごと人じんの頃ころになると密偵みっていの役割やくわりも果はたしており、体からだの身軽みがるさを活いかして屋根裏やねうらに潜ひそんで偵察ていさつする事ことが多おおくなる。裏うらの仕事しごとの遂行すいこう時じは、黒装束くろしょうぞくに身みを包つつむ。初はつ仕事しごとは『新しん・必殺ひっさつ仕事しごと人じん』最終さいしゅう回かいによると、上うえ州しゅう・高崎たかさきにおける贋にせ医者いしゃ殺ごろしである。

登場とうじょう初期しょきは、若わかさゆえにしばしば感情かんじょう的てきに暴走ぼうそうしがちな熱血漢ねっけつかんで、中村なかむら主しゅ水みず（藤田ふじたまこと）、畷なわて左門さもん（伊吹いぶき吾郎ごろう）、おとわ（山田やまだ五十鈴いすず）といった落おち着ついたキャラクターとは対照たいしょう的てきな立場たちばで描えがかれていた。若わかい時ときは仕事しごと人じんの自覚じかくに欠かけ、主しゅ水みず、左門さもん、おとわから鉄拳てっけん制裁せいさいや叱責しっせきを受うける時ときもあったが、自身じしんも、後輩こうはいの西にし順じゅん之の助すけ（ひかる一平いっぺい）などに行おこない、継承けいしょうして行いくことになる。時ときを経へるごとに角かくが取とれていき、やがて主しゅ水みずとも対等たいとうに話はなせる大人おとなの男おとこへと成長せいちょうしていった。『必殺ひっさつ仕事しごと人じん・激突げきとつ!』では、夢ゆめ次じ（中村なかむら橋之助はしのすけ）を若造わかぞう、ガキ扱あつかいする台詞せりふもあった。しかし、その反面はんめんで、さだに対たいし、同おなじ仕事しごと人じんである夫おっとと娘むすめを死しなせてしまった後うしろめたさで悩なやむ一いち面めんもあった。

『仕事しごと人じんIV』の一いち件けんからしばらく経たった後のち、真砂まさご屋やに奉公ほうこうしていたおゆみと関係かんけいを持もつも逃にげられ、自暴自棄じぼうじきになりつつも、彼女かのじょの恨うらみを晴はらすために真砂まさご屋や徳次とくつぎとの激はげしい死闘しとうを繰くり広ひろげたり（映画えいが『必殺ひっさつ! III 裏うらか表ひょうか』）、神楽坂かぐらざか宗右衛門そうえもん配下はいかの仕事しごと人じんとして、吉原よしはらの遊女ゆうじょ見習みならい 若紫わかむらさきを身請みうけする金かねを稼かせぐべく奔走ほんそうしたり（『必殺ひっさつまっしぐら!』）、奉行ぶぎょう所しょを狂くるわせた奥田おくだ右みぎ京きょう亮あきらの一味いちみと闘たたかうために主しゅ水みずたちと再ふたたび組くむ（映画えいが『必殺ひっさつ4 恨うらみはらします』）など、断続だんぞく的てきに江戸えどに帰郷ききょうし、大役たいやくを果はたしている。

TVスペシャル『必殺ひっさつスペシャル・春はる 世よにも不思議ふしぎな大だい仕事しごと 主ぬし水すいと秀しゅう 香港ほんこん・マカオで大だいあばれ』では依頼いらいする女性じょせいへの想おもいから、自身じしんの意思いしで主おも水すいに協力きょうりょくを求もとめ、二人ふたりで香港ほんこんにおいて仕事しごとを組くんだ。

『必殺ひっさつ仕事しごと人じん・激突げきとつ!』で、再さいレギュラー出演しゅつえん。主しゅ水みず、お歌うた、夢ゆめ次じ、山田やまだ朝ちょう右みぎ衛門えもんと組くみ、裏うら稼業かぎょうを再開さいかい。その際さい、仕事しごと人じん仲間なかまだった男おとこの妻つまと関かかわりを持もつ。映画えいが『必殺ひっさつ!5 黄金おうごんの血ち』では裏うら稼業かぎょうから足あしを洗あらっていた政せいが地獄じごく組ぐみの悪事あくじによって死しんだ恋人こいびと お浅あさの仇かたき討うちで、裏うら稼業かぎょうへ再ふたたび足あしを踏ふみ入いれようとしたところを諭さとす。その後ご、地獄じごく組ぐみとの激戦げきせんで駆かけ付つけた政せいに外道げどうの不意打ふいうちから救すくわれたものの、その代償だいしょうで政せいは致命傷ちめいしょうを負おう。外道げどうを間一髪かんいっぱつで仕留しとめ、政せいの最期さいごを看取みとった。『仕事しごと人じん・激突げきとつ!』最終さいしゅう回かいで、最後さいごの大だい仕事しごとを終おえ、江戸えどを去さっていった。

映画えいが『必殺ひっさつ! 主しゅ水死すいしす』で、江戸城えどじょう 大奥おおおくの派閥はばつ争あらそいに巻まき込こまれ、主しゅ水みず、三味線しゃみせん屋やの勇次ゆうじ（中条ちゅうじょうきよし）、おけいとともに仕事しごとに向むかうが、主しゅ水みずが過去かこの仲間なかまとの複雑ふくざつな関係かんけいの果はてに爆発ばくはつに巻まき込こまれるのを勇次ゆうじ、おけいと共ともに目撃もくげきする。その後ご、江戸えどを去さっていった。それ以降いこうは登場とうじょうしていないが、『必殺ひっさつ仕置しおき長屋ながや 一筆いっぴつ啓上けいじょう編へん』第だい1話わでは名前なまえのみ登場とうじょうし、同どう作さくの時点じてんで存命ぞんめい中ちゅうであることが明あかされている。

殺ころし技わざ

殺ころし技わざは簪かんざしを悪人あくにんの急所きゅうしょに素早すばやく突つき刺さして、死しに至いたらしめる 身体しんたい能力のうりょくが高たかく身軽みがるで、飛とびかかって相手あいてを始末しまつする事ことも多おおい。 初期しょきの殺ころし技わざは細工ざいく用ようの鑿（のみ）を使用しようしていたが、『必殺ひっさつ仕事しごと人じん』第だい18話わで、所持しょじ品ひん検査けんさが厳きびしい場ばで仕事しごとを行おこなうために、代かわりに焼やき入いれ加工かこうした簪かんざしを用もちいた。後のちに簪かんざしが定番ていばんの武器ぶきとなり、殺ころしの他ほかに威嚇いかくとして投なげ付つけることもある。 簪かんざしは前期ぜんきと後期こうきでは形かたちが変かわっており、後期こうきになると飾かざりが多おおくなり、演えんじる三田みた村むらが殺陣さつじんの際さいに手てで回まわしやすく加工かこうされている。

出演しゅつえん作品さくひん

TVシリーズ

• 必殺ひっさつ仕事しごと人じん（1979年ねん）
• 新しん・必殺ひっさつ仕事しごと人じん（1981年ねん）
• 必殺ひっさつ仕事しごと人じんIII（1982年ねん）
• 必殺ひっさつ仕事しごと人じんIV（1983年ねん）
• 必殺ひっさつまっしぐら!（1986年ねん）
• 必殺ひっさつ仕事しごと人じん・激突げきとつ!（1991年ねん）

TVスペシャル

• 恐怖きょうふの大だい仕事しごと（1981年ねん）
• 仕事しごと人じん大だい集合しゅうごう（1982年ねん）
• (秘ひ) 必殺ひっさつ現代げんだい版ばん（1982年ねん、秀しゅうの子孫しそんとして登場とうじょう）
• 仕事しごと人じんアヘン戦争せんそうへ行いく（1983年ねん）
• 世よにも不思議ふしぎな大だい仕事しごと（1991年ねん）

舞台ぶたい

• 納涼のうりょう必殺ひっさつまつり（京都きょうと南座みなみざ）
  • 必殺ひっさつ女おんなねずみ小僧こぞう（1981年ねん）
  • 必殺ひっさつ・鳴門なるとの渦潮うずしお（1982年ねん。その前まえに名鉄めいてつホールで先行せんこうして上演じょうえんされた）
  • 必殺ひっさつぼたん燈籠どうろう（1983年ねん）

劇場げきじょう版ばん

• 必殺ひっさつ! THE HISSATSU（1984年ねん）
• 必殺ひっさつ! III 裏うらか表ひょうか（1986年ねん）
• 必殺ひっさつ4 恨うらみはらします（1987年ねん）
• 必殺ひっさつ!5 黄金おうごんの血ち（1991年ねん）
• 必殺ひっさつ! 主しゅ水死すいしす（1996年ねん）

パチンコ機き

• CR必殺ひっさつ仕事しごと人じん（2001年ねん）
• CRぱちんこ必殺ひっさつ仕事しごと人じんIII（2007年ねん）
• CRぱちんこ必殺ひっさつ仕事しごと人じんIII桜さくらバージョン（2008年ねん）
• CRぱちんこ必殺ひっさつ仕事しごと人じんIII祭さいバージョン（2009年ねん）
• CRぱちんこ必殺ひっさつ仕事しごと人じんIII竜りゅうバージョン（2010年ねん）

いずれも京きょう楽らく産業さんぎょう.から発売はつばい。秀しゅうが登場とうじょうするリーチは頻度ひんどは高たかいが、信頼しんらい度どが極きわめて低ひくい。

補足ほそく事項じこう

• 時代じだい劇げきでは珍めずらしい髷まげを結ゆわない異色いしょくのキャラクターであるが、必殺ひっさつシリーズに関かんしては『助たすけ人じん走はしる』の龍りゅう（宮内みやうち洋ひろし）、『新しん・必殺ひっさつ仕置しおき人じん・江戸えどプロフェッショナル・必殺ひっさつ商売人しょうばいにん』の正八しょうはち（火野ひの正平しょうへい）、『翔とべ! 必殺ひっさつうらごろし』の若わか（和田わだアキ子あきこ）、『必殺ひっさつ仕事しごと人じんV』『必殺ひっさつ仕事しごと人じんV・激闘げきとう編へん』『必殺ひっさつ仕事しごと人じんV・旋風せんぷう編へん』『必殺ひっさつ仕事しごと人じんV・風雲ふううん竜虎りゅうこ編へん』の政せい（村上むらかみ弘明ひろあき）、『必殺ひっさつ橋きょう掛かけ人じん』の新吉しんよし（宅麻たくま伸しん）など、髷まげを結ゆわないメンバーはほぼ（坊主ぼうず頭あたまも含ふくめれば）定番ていばんである。後ごの仕事しごと人じんシリーズで、このポジションは、花屋はなや（鍛冶屋かじや）の政せいに引ひき継つがれる。政せいとはキャラクターが被こうむるため、秀しゅうと政せいが共演きょうえんする場合ばあいは、どちらかのイメージ（服装ふくそう、髪型かみがたなど）が変かえられることになる。
• 普段ふだんの衣装いしょうは黒くろい股引ももひき、腹掛はらがけの上うえにデニム地ちの半纏はんてん、手首てくびにブレスレット。デニム地ちの半纏はんてんと殺ころし衣装いしょうの足あし回まわりは前作ぜんさく『翔とべ! 必殺ひっさつうらごろし』で、和田わだが演えんじた若わかに用意よういされた未み着用ちゃくようの衣装いしょうを流用りゅうようしたものである。『必殺ひっさつ仕事しごと人じん』の頃ころは時折ときおり、普通ふつうの着流きながし姿すがたを見みせることがあった。『必殺ひっさつ仕事しごと人じん・激突げきとつ!』第だい20話わでは、仕事しごと遂行すいこう時じも普段着ふだんぎで行おこなっている。
• 殺ころしの際さいに簪かんざしを回まわす動作どうさと効果こうか音おんは『必殺ひっさつからくり人じん』の夢ゆめ屋や時次郎ときじろうと同一どういつのものであり、三田みた村むらが尊敬そんけいする、緒形おがた拳けんにあやかって受うけ継ついだとされている。
• 本来ほんらいなら、三田みた村むらの『太陽たいようにほえろ!』の出演しゅつえん問題もんだいがあり、『新しん・必殺ひっさつ仕事しごと人じん』最終さいしゅう回かいで、他たの殺ころし屋や組織そしきとの抗こう争そうで命いのちを落おとす予定よていであったが、それを知しった女性じょせいファンからの熱烈ねつれつな助命じょめい嘆願たんがんにより、大幅おおはばに脚本きゃくほんが変更へんこうされ、最後さいごまで生いき残のこることとなり、次つぎ作さく『必殺ひっさつ仕事しごと人じんIII』に登場とうじょうした。このエピソードに表あらわされるように『仕事しごと人じん』以降いこうの後期こうき必殺ひっさつシリーズでは三味線しゃみせん屋やの勇次ゆうじと並ならび、人気にんきの高たかいキャラクターである。この後のちも、シリーズには頻繁ひんぱんに登場とうじょうし、主しゅ水みずを除のぞけば、シリーズに最もっとも多おおく出演しゅつえんしている。
• 三田みた村むらは出演しゅつえん当時とうじ「金かねをもらって人ひとを殺ころす」趣旨しゅしの時代じだい劇げきに当初とうしょから嫌悪けんお感かんを抱いだき撮影さつえい中ちゅうにストレスでじんましんを起おこし降板こうばんを申もうし出でた。これに制作せいさくスタッフがシリーズの趣旨しゅしを熱心ねっしんに説明せつめいし、さらに藤田ふじたまことから「あんた、ここで降おりたら中途半端ちゅうとはんぱな役者やくしゃとして終おわるで」と促うながされ続つづける決心けっしんをした。後のちに秀しゅうが代表だいひょう作さくとなった事ことで藤田ふじたを人生じんせいの大だい恩人おんじんとして心しんから尊敬そんけいするようになった。