秋月あきづき種実たねざね

凡例はんれい 秋月あきづき 種実たねざね
時代じだい	戦国せんごく時代じだい末期まっき - 安土あづち桃山ももやま時代じだい前期ぜんき
生誕せいたん	天文てんもん17年ねん（1548年ねん）?
死没しぼつ	慶長けいちょう元年がんねん9月26日にち（1596年ねん11月16日にち）
改名かいめい	黒くろ法師ほうし（幼名ようみょう）→種実たねざね→宗そう闇やみ（法号ほうごう）
戒名かいみょう	西林にしばやし院いん殿どの笑わらい翁おう宗はじめ誾大居士こじ
墓所はかしょ	宮崎みやざき県けん串間くしま市し西林にしばやし院いん
官位かんい	左ひだり兵衛ひょうえ尉じょう、修理しゅうり大夫たいふ
主君しゅくん	毛利もうり隆たかし元もと→大友おおとも宗麟そうりん→島津しまつ義久よしひさ
氏族しぞく	秋月あきづき氏し
父母ちちはは	父ちち：秋月あきづき文ぶん種しゅ
兄弟きょうだい	晴はれ種たね、種実たねざね、高橋たかはし種たね冬ふゆ、長野ながの種信たねのぶ、原田はらだ親ちかし種しゅ室しつ
妻つま	正室せいしつ：田原たはら親ちかし宏ひろし長女ちょうじょ
子こ	種たね長ちょう、高橋たかはし元種もとだね、種たね至いたり、 竜子りゅうこ（城井しろい朝房ともふさのち相良さがら頼房よりふさ正室せいしつ）、 加藤かとう正方せいほう室しつ、長野ながの助じょ盛もり室しつ、板波いたば長常ながつね室しつ、 秋月あきづき直正なおまさ室しつ

秋月あきづき 種実たねざね（あきづき たねざね）は、戦国せんごく時代じだい末期まっきから安土あづち桃山ももやま時代じだい前期ぜんきにかけての武将ぶしょう・戦国せんごく大名だいみょう。秋月あきづき氏し16代だい当主とうしゅ。

生涯しょうがい

大友おおとも家かとの抗こう争そう

天文てんもん17年ねん（1548年ねん）、筑前ちくぜん国こくの国人くにびとである秋月あきづき氏し15代だい当主とうしゅ・秋月あきづき文ぶん種しゅ（種たね方かた）の次男じなんとして誕生たんじょうしたといわれる。

弘治こうじ3年ねん（1557年ねん）、大内おおうち氏しの内紛ないふんを好機こうきとみた毛利もうり元就もとなりは、大内おおうち氏しの当主とうしゅ・義長よしながを討うって、大内おおうち氏しを滅亡めつぼうに追おい込こんだ。これにより毛利もうり元就もとなりは、九州きゅうしゅうを除のぞく大内おおうち氏しの旧領きゅうりょうの大半たいはんを手中しゅちゅうに収おさめることに成功せいこうした（防ぼう長ちょう経略けいりゃく）。

同おなじく弘治こうじ3年ねん（1557年ねん）、秋月あきづき氏しでは、毛利もうり元就もとなりの調しらべ略りゃくに応おうじて大友おおとも氏しに反旗はんきを翻ひるがえし、父ちち・文ぶん種しゅや長兄ちょうけい・晴はれ種たねが大友おおとも宗麟そうりんの猛攻もうこうを受うけて自害じがいしたが、種実たねざねは家臣かしんに連つれられて古処山こしょさん城じょうの落城らくじょう寸前すんぜんに脱出だっしゅつし、毛利もうり氏しを頼たよって周防すおう国こく山口やまぐちに逃走とうそうした。

永えい禄ろく2年ねん（1559年ねん）1月がつ、秋月あきづき氏しの旧臣きゅうしん・深江ふかえ美濃みの守まもるは毛利もうり氏しの支援しえんを得えて、種実たねざねを居城きょじょうに迎むかえると、古処山こしょさん城じょうを占拠せんきょしていた大だい友軍ゆうぐんを破やぶり、秋月あきづき氏しの旧領きゅうりょうをほぼ回復かいふくした。種実たねざねの弟おとうと・種たね冬ふゆは高橋たかはし鑑あきら種しゅの養子ようしとして豊前ぶぜん国こく小倉こくら城じょうに入はいり、種信たねのぶは長野ながの氏しを継ついで豊前ぶぜん馬うまヶ岳だけ城じょう主おもとなり、元種もとだねは香春岳かわらだけ城じょう主おもとなり、それぞれ大友おおとも氏しに対抗たいこうした。秋月あきづき氏しの名なが史上しじょうもっとも現あらわれるのは、この種実たねざねの代だいからである。

大友おおとも氏しは1559年ねんに幕府ばくふより筑前ちくぜん守護しゅごに任にんじられた。

永えい禄ろく10年ねん（1567年ねん）、高橋たかはし鑑あきら種しゅが大友おおとも氏しに反旗はんきを翻ひるがえすと種実たねざねも挙兵きょへいし、秋月あきづき氏しは9月3日にちの休きゅう松まつの戦たたかいで夜襲やしゅうを敢行かんこうした。9月4日にちの夜半やはん、風雨ふううの強つよまる中なか、秋月あきづき種実たねざねは夜襲やしゅうを決行けっこうする。2,000の兵へいを率ひきいて、臼杵うすき鑑あきら速そく、吉よし弘ひろし鑑かん理り（高橋たかはし紹運の父ちち）の陣じんに突撃とつげきした。秋月しゅうげつ勢ぜいの夜襲やしゅうで混乱こんらん状態じょうたいに陥おちいり敗走はいそうする鑑かん理り・鑑かん速そくの兵へいが、戸次とつぎ鑑かん連れん（立花たちばな道みち雪ゆき）の陣じんへと逃にげ込こんだ。鑑かん連れんはぬかりなく夜襲やしゅうに備そなえていたが、なだれ込こんできた敗走はいそう兵へいとの同士討どうしうちが始はじまってしまう。鑑かん連れんは同士討どうしうちを演えんじる味方みかたに怒いかり、同士討どうしうちを収拾しゅうしゅうし、友軍ゆうぐんの敗走はいそうを助たすけて追おっ手ての秋月しゅうげつ勢ぜいと戦たたかったが甚大じんだいな被害ひがいを受うけ、全ぜん軍ぐんに後退こうたいを命めいじた先さきが山隈やまぐま城じょう（花立山はなたてやま）であった。

この戦たたかいで戸次とつぎ一族いちぞくは打撃だげきを受うけ、戸次とつぎ鑑かん連れん（立花たちばな道みち雪ゆき）の弟おとうと・鑑かん方かたらが討死うちじにした。これにより毛利もうり元就もとなりの九州きゅうしゅう侵攻しんこうも始はじまり、永えい禄ろく11年ねん（1568年ねん）には立花たちばな鑑あきら載のが大友おおとも氏しに反旗はんきを翻ひるがえすなど、一時いちじは反はん大友おおとも勢力せいりょくが優勢ゆうせいだったが、7月がつ23日にちに立花たちばな山城やましろが大だい友軍ゆうぐんによって陥落かんらくし、永えい禄ろく12年ねん（1569年ねん）5月がつ28日にちに毛利もうり軍ぐんも多々良たたら浜はまの戦たたかいで大だい友軍ゆうぐんに敗やぶれたため、8月がつに種実たねざねは大友おおとも宗麟そうりんに降伏ごうぶくした。

最盛さいせい期き

天正てんしょう6年ねん（1578年ねん）に耳川みみがわの戦たたかいによる大敗たいはいで大友おおとも氏しが衰退すいたいすると、秋月あきづき種実たねざねは大友おおとも氏しに再度さいど反抗はんこう、龍造寺りゅうぞうじ隆信たかのぶや筑紫つくし広ひろ門もんらと手てを結むすんだ。さらに大友おおとも宗麟そうりんの「暴悪ぼうあく十じゅうヶ条かじょう」を掲かかげて筑前ちくぜんとその周辺しゅうへん諸国しょこくへ触ふれ廻まわり、大友おおともに背そむく者もの同士どうしで連判れんばんし合あった。

大友おおとも家か家臣かしん・筑後ちくご国こく長岩ながいわ城しろ城主じょうしゅ、問とい註所統すべ景けいは、耳川みみがわの戦たたかいで大友おおとも氏しが大敗たいはいして影響えいきょう力りょくを弱よわめ、代かわりに肥前ひぜん国こくの龍造寺りゅうぞうじ氏しが筑後ちくごで勢力せいりょくを伸のばし諸しょ勢力せいりょくの殆ほとんどが大友おおとも氏しから龍造寺りゅうぞうじ氏しに次々つぎつぎと寝返ねがえった後のちも、五条ごじょう鎮定ちんていと共ともに大友おおとも氏しに筋すじを通とおし筑前ちくぜん国こくの秋月あきづき氏しらの監視かんしに当あたった。

天正てんしょう8年ねん（1580年ねん）2月がつ28日にちに、秋月あきづき氏しは豊前ぶぜんの猪いのしし膝ひざにて大友おおとも方かたの首級しゅきゅう800を討うち取とるなどした。しかし、種実たねざねの侵攻しんこうは立花たちばな道みち雪ゆきと高橋たかはし紹運によって退しりぞけられてしまう。

天正てんしょう12年ねん（1584年ねん）に龍造寺りゅうぞうじ隆信たかのぶが沖田おきた畷なわての戦たたかいで敗はい死しすると、種実たねざねは代かわって勢力せいりょくを伸のばしてきた島津しまつ義久よしひさに従属じゅうぞくする。種実たねざねは大だい友軍ゆうぐんの立花たちばな道みち雪ゆきが島津しまつ氏しと龍造寺りゅうぞうじ氏しを挟撃きょうげきしようという使者ししゃを出だす前まえに、いち早はやく龍造寺りゅうぞうじと島津しまつの和睦わぼく交渉こうしょうの橋渡はしわたし役やくとなり、なおも大友おおとも氏しに反抗はんこう。島津しまつ氏しと龍造寺りゅうぞうじ氏しの争あらそいを回避かいひし、島津しまつ氏しが大友おおとも攻略こうりゃくに戦力せんりょくを絞しぼる役割やくわりを果はたした。

天正てんしょう12年ねん（1584年ねん）8月がつ、立花たちばな道みち雪ゆき・高橋たかはし紹運は大友おおとも氏しの筑後ちくご奪回だっかい戦せんに参さん陣じん。紹運の子こ・立花たちばな宗茂むねしげは道みち雪ゆき出陣しゅつじん後ご、1,000程ほどの兵力へいりょくとともに立花たちばな山城やましろの留守るすを預あずかる事こととなった。この時とき、立花たちばな山城やましろに種実たねざね率ひきいる8,000の兵へいが攻せめ寄よせて来きたが、宗そう茂しげるはこれを撃破げきはし、更さらに西にしの早良さわら郡ぐんの曲淵まがりぶち房ぼう助すけや副島そえじま放ひ牛うしが拠よる飯盛めしもり城じょうなど龍造寺りゅうぞうじ氏しの城砦じょうさいを襲撃しゅうげきした。そして種実たねざねは、島津しまつ氏しと大友おおとも氏しの争あらそいの中なかで大友おおとも領りょうを侵食しんしょくしてゆき、最終さいしゅう的てきには筑前ちくぜん、豊前ぶぜん、筑後ちくご国こく北部ほくぶに36万まん石せきにも及およぶ勢力せいりょく範囲はんいを有ゆうし、秋月あきづき氏しの最盛さいせい期きをき上ずきあげる。

天正てんしょう14年ねん（1586年ねん）に、種実たねざねは島津しまつ氏しの大友おおとも領りょう侵攻しんこうに従したがって岩屋いわや城じょうを攻せめた（岩屋いわや城じょうの戦たたかい）。

日向ひなたへ移うつり封ふう

天正てんしょう15年ねん（1587年ねん）に豊臣とよとみ秀吉ひでよしの九州きゅうしゅう平定へいていの軍勢ぐんぜいが九州きゅうしゅうへ進軍しんぐんした際さいに種実たねざねは、講和こうわの使つかいと称しょうして敵情てきじょうを探さぐらせるべく、重臣じゅうしん・恵利えり暢とおる堯を秀吉ひでよしの許もとへ派遣はけんする。秀吉ひでよしは圧倒的あっとうてきな富とみと物資ぶっし動員どういん力りょくに支ささえられた自軍じぐんの威容いようを見みせつけると恵利えりへ「降伏ごうぶくすれば種実たねざねへ筑前ちくぜん・筑後ちくごの二に国こくを与あたえ、恵利えりにも3万まん石せきを与あたえる」とした。

復命ふくめいした恵利えりは、時代じだいの流ながれを悟さとって秀吉ひでよしに従したがうように諫言したが種実たねざねは恵利えりを面罵めんばして退場たいじょうを命めいじ、島津しまつ家かとの義ぎ盟めいに従したがい秀吉ひでよしとの抗戦こうせんを宣告せんこくした。これを思おもい留とめさせるべく恵利えりは諌死かんしに及およんだが種実たねざねは応おうじず、島津しまつ方かたに与くみして秀吉ひでよし率ひきいる豊臣とよとみ勢ぜいと戦たたかい、敗北はいぼくした。そして籠城ろうじょう中ちゅうに秀吉ひでよし得意とくいの一夜いちや城しろ作戦さくせん（益えき富とみ城じょう）により、秀吉ひでよし軍ぐんの実力じつりょくを明確めいかくに思おもい知しらされることとなり、完全かんぜんに戦意せんいを喪失そうしつして降伏ごうぶくすることとなった。

このとき種実たねざねは剃髪ていはつし、楢なら柴しば肩かた衝と国くに俊しゅんの刀かたなを秀吉ひでよしに献上けんじょうし、娘むすめの竜子りゅうこを人質ひとじちに出だしたことにより秋月あきづき氏しは存続そんぞくを許ゆるされたが、秀吉ひでよしの命令めいれいで日向ひなた国こく財部たからべ（後ごの高鍋たかなべ）3万まん石せきに減げん移うつり封ふうされた。種実たねざねはその際さい、「10石せきでもいいから秋月しゅうげつに居いたい」と嘆なげいたとする。失意しついの種実たねざねは、家督かとくを嫡男ちゃくなんの種たね長ちょうに譲ゆずって隠居いんきょした。

慶長けいちょう元年がんねん（1596年ねん）9月がつ26日にち、高鍋たかなべで死去しきょ。享年きょうねん49。

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