簗やな田た晴はれ助すけ

凡例はんれい 簗やな田た晴はれ助すけ
時代じだい	戦国せんごく時代じだい - 安土あづち桃山ももやま時代じだい
生誕せいたん	大だい永ひさし4年ねん7月がつ24日にち（1524年ねん8月がつ23日にち）
死没しぼつ	文ぶん禄ろく3年ねん9月24日にち（1594年ねん11月6日にち）
別名べつめい	八郎はちろう、洗心せんしん斎とき（号ごう）
戒名かいみょう	道みち忠ただし
官位かんい	中務なかつかさ大輔だいすけ、河内かわうち守まもる
主君しゅくん	足利あしかが晴氏はるうじ→藤ふじ氏し→藤ふじ政まさし→義よし氏し
氏族しぞく	簗やな田でん氏し
父母ちちはは	父ちち：簗やな田高たたか助すけ、母はは：赤井あかい若狭わかさ守もり照あきら氏し娘むすめ
兄弟きょうだい	足利あしかが晴氏はるうじ正室せいしつ、晴はれ助すけ、氏朝うじとも、 助じょ縄なわ（助じょ綱つな）、助じょ清きよし、一色いっしょく直ちょく朝あさ室しつ、 多賀たが谷たに修理しゅうり亮あきら室しつ
子こ	持じ助すけ

簗やな田た 晴はれ助すけ（やなだ はるすけ）は、戦国せんごく時代じだいから安土あづち桃山ももやま時代じだいにかけての武将ぶしょう。足利あしかが氏し（古河ふるかわ公方くぼう）の家臣かしん。下総しもうさ国こく関宿せきやど城じょう主おも。

生涯しょうがい

古河ふるかわ公方くぼう家かへの後のち北条ほうじょう氏しの侵略しんりゃく

大だい永ひさし4年ねん（1524年ねん）、簗やな田高たたか助すけの子ことして誕生たんじょう。4代だい古河ふるかわ公方くぼうで義兄ぎけいにあたる足利あしかが晴氏はるうじから偏へん諱いみなを受うけ、晴はれ助すけを名乗なのる。

古河ふるかわ公方くぼう家かの筆頭ひっとう重臣じゅうしんとして仕つかえたが、晴はれ助すけの代だいには後こう北条ほうじょう氏しの勢力せいりょくは北関東きたかんとうに及および、古河ふるかわ公方くぼうもその影響えいきょう下かにあった。天文てんもん15年ねん（1546年ねん）、主君しゅくんである足利あしかが晴はる氏しは関東かんとう管領かんりょう・上杉うえすぎ憲政のりまさと共ともに北条ほうじょう氏康うじやすを攻せめたものの、河かわ越えつ城じょうの戦たたかい（河かわ越えつ夜戦やせん）で大敗たいはいする。以後いご、北条ほうじょう氏しによる古河ふるかわ公方くぼうへの政治せいじ介入かいにゅうが強つよまり、天文てんもん21年ねん（1552年ねん）には晴はれ助すけの姉あねが生うんだ晴はれ氏しの嫡男ちゃくなん・足利あしかが藤ふじ氏しが廃嫡はいちゃくとなり、氏康うじやすの妹いもうとが生うんだ末子すえこ・義よし氏しが5代だい古河ふるかわ公方くぼうとなった。天文てんもん23年ねん（1554年ねん）、晴はれ氏しが氏康うじやすに対たいして叛旗はんきを翻ひるがえした際さいにはこれを諌いさめ、北条ほうじょう軍ぐんが古河ふるかわ城しろ（古河ふるかわ御所ごしょ）を攻せめた際さいには古河ふるかわ公方くぼう家かの安泰あんたいを考かんがえてこれに参加さんかするが、案あんに相違そういして、晴はれ氏しは相模さがみ国こくに送おくられて幽閉ゆうへいされ、晴はれ助すけも公方くぼう奏者そうしゃを解任かいにんされた。

続つづいて氏康うじやすが目めを付つけたのは、晴はれ助すけの居城きょじょう・関宿せきやど城じょうである。関宿せきやどは利根川とねがわ水上みずかみ交通こうつうの要地ようちで、「舟ふね役やく」と呼よばれる通行つうこう税ぜい収入しゅうにゅうも確保かくほ出来できる事ことから経済けいざい的てきにも発展はってんしており、北関東きたかんとうへの連絡れんらく口こうでもあった。北条ほうじょう氏しにとってここを押おさえることは北関東きたかんとう制圧せいあつへの一大いちだい拠点きょてんを獲得かくとくすることを意味いみしていた。永えい禄ろく元年がんねん（1558年ねん）、氏康うじやすの保護ほご下かにあった足利あしかが義よし氏しが元服げんぷくの儀ぎを終おえて小田原おだわら城じょうから帰国きこくする事ことが決きまり、氏康うじやすは晴はれ助すけに対たいして対立たいりつ勢力せいりょくから古河ふるかわ城じょうへの圧力あつりょくを理由りゆうに、義よし氏しの古河ふるかわ城じょうと晴はれ助すけの関宿せきやど城じょうの居城きょじょう交換こうかんを提案ていあんした。氏康うじやすからの軍事ぐんじ的てき圧力あつりょくに屈くっした晴はれ助すけは一旦いったんはこれを受うけ入いれた。

上杉うえすぎ謙信けんしんの関東かんとう進出しんしゅつと第だい一いち次じ関宿せきやど合戦かっせん

永えい禄ろく3年ねん（1560年ねん）、自国じこくに亡命ぼうめいしてきた上杉うえすぎ憲政のりまさを復帰ふっきさせる名目めいもくで越後えちご国こくの長尾ながお景虎かげとら（後ごの上杉うえすぎ謙信けんしん）が関東かんとうに進出しんしゅつ（小田原おだわら城じょうの戦たたかい）すると、状況じょうきょうは一転いってんする。同年どうねんに死去しきょした足利あしかが晴はる氏しの後継こうけいの古河ふるかわ公方くぼうには嫡男ちゃくなん・足利あしかが藤ふじ氏しが就任しゅうにんすべきと考かんがえる景虎かげとらは晴はれ助すけに自軍じぐんへの参加さんかを求もとめ、景虎かげとらと晴はれ助すけは同盟どうめいを結むすんだ。これを知しった足利あしかが義よし氏しは千葉ちば胤たね富とみを頼たよって関宿せきやど城じょうを脱出だっしゅつし、空城そらじょうとなった関宿せきやど城じょうには晴はれ助すけが戻もどり、古河ふるかわ城じょうには景虎かげとらによって古河ふるかわ公方くぼうに擁立ようりつされた足利あしかが藤ふじ氏しが入はいった。続つづいて景虎かげとらは上杉うえすぎ憲政のりまさの要請ようせいを受うけて関東かんとう管領かんりょうと上杉うえすぎ氏しを相続そうぞくして上杉うえすぎ政まさし虎とらと名乗なのるが、氏康うじやすは甲かぶと相しょう同盟どうめいにより信濃しなの侵攻しんこうにおいて謙信けんしんと対峙たいじする武田たけだ信玄しんげんと交互こうごに出兵しゅっぺいし、謙信けんしんを本国ほんごく越後えちごに帰還きかんせざるを得えなくさせると反撃はんげきを開始かいしし、永えい禄ろく5年ねん（1562年ねん）には古河ふるかわ城じょうが落おとされ、足利あしかが藤ふじ氏しは捕とらえられた。

永えい禄ろく8年ねん（1565年ねん）、前年ぜんねんの第だい二に次じ国府台こうのだい合戦かっせんにおける里見さとみ氏し勢力せいりょくの衰退すいたいによって後顧こうこの憂うれいを無なくした北条ほうじょう氏康うじやすは太田おおた氏し資しと共ともに関宿せきやど城じょうを攻せめた。晴はれ助すけは巧たくみな伏兵ふくへいでこれを撃退げきたいし、上杉うえすぎ謙信けんしんと常陸ひたち国こくの佐竹さたけ義重よししげが晴はれ助じょ救援きゅうえんのために出兵しゅっぺいすると北条ほうじょう軍ぐんは撤退てったいした（第だい一いち次じ関宿せきやど合戦かっせん）。その後ご、晴はれ助すけと氏康うじやすの間あいだで講和こうわの話はなし合あいが持もたれたものの、合意ごういには至いたらなかった。

また、この頃ころに甥おい・相馬そうま整せい胤たねの治おさめる守谷もりや城しろに介入かいにゅうして整せい胤たねの義兄ぎけい・高井たかい治おさむ胤たねと共ともに親おや北条ほうじょう派はの重臣じゅうしんを排除はいじょした。だが、これに満足まんぞくしない治ち胤たねは整せい胤たねを暗殺あんさつして自みずからが相馬そうま氏しの当主とうしゅになったために、激怒げきどした晴はれ助すけはこれを攻せめたが、治ち胤たねが一転いってんして足利あしかが義よし氏しや北条ほうじょう氏しと結むすんで支援しえんを受うけたために失敗しっぱいに終おわった。

第だい二に次じおよび第だい三さん次じ関宿せきやど合戦かっせん

永えい禄ろく10年ねん（1567年ねん）、晴はれ助すけは出家しゅっけして家督かとくを子こ・持じ助すけに譲ゆずったものの依然いぜんとして家中いえじゅうの実権じっけんは握にぎっていた。

永えい禄ろく11年ねん（1568年ねん）、氏康うじやすは次男じなん・北条ほうじょう氏照うじてるに命めいじて再度さいど関宿せきやど城じょうを攻撃こうげきさせた。氏照うじてるの攻撃こうげきの前まえに関宿せきやど城じょうは落城らくじょう間近まぢかかと思おもわれたが、永えい禄ろく12年ねん（1569年ねん）には武田たけだ信玄しんげんが甲かぶと相しょう駿しゅん三さん国こく同盟どうめいを破棄はきして駿河するが侵攻しんこうを行おこなうと、氏康うじやすは上杉うえすぎ謙信けんしんとの越えつ相しょう同盟どうめいを模索もさくし、信玄しんげんはこれに対たいし北条ほうじょう方かた牽制けんせいのため西上野にしうえの衆しゅに北きた武蔵むさしの北条ほうじょう領国りょうごくへの侵攻しんこうを行おこなわせており、同年どうねん3月がつには晴はれ助すけにも書状しょじょうが送おくられている。これにより双方そうほうが関宿せきやど城じょうの現状げんじょう維持いじと足利あしかが義よし氏しの古河ふるかわ復帰ふっきが合意ごういされて、氏照うじてるは関宿せきやどから撤退てったいした（第だい二に次じ関宿せきやど合戦かっせん）。

とはいえ、里見さとみ氏しや佐竹さたけ氏しといった関東かんとうの反はん北条ほうじょう派は大名だいみょうの憤懣ふんまんは納おさまらず、晴はれ助すけは彼かれらと共ともに足利あしかが藤ふじ氏しの弟おとうとで里見さとみ氏しの許もとにいた足利あしかが藤ふじ政まさしを担かつぎ上あげて甲斐かい武田たけだ氏しと同盟どうめいを締結ていけつした。だが、皮肉ひにくにもその直後ちょくごに北条ほうじょう氏康うじやすが病死びょうしして甲かぶと相しょう同盟どうめいが復活ふっかつすることになり、結果けっか的てきに晴はれ助すけは北条ほうじょう・武田たけだ・上杉うえすぎの3氏し全すべてと敵対てきたいしてしまうのである。

天正てんしょう2年ねん（1574年ねん）、北条ほうじょう氏照うじてるが再ふたたび関宿せきやど城じょうを攻撃こうげきした。これには北条ほうじょう氏しを継ついだ兄あに・北条ほうじょう氏政うじまさの援軍えんぐんや結城ゆうき氏し・千葉ちば氏しといった同盟どうめい諸国しょこくの兵へいも含ふくまれていた。一方いっぽう、晴はれ助すけは和解わかいをした上杉うえすぎ謙信けんしんや佐竹さたけ義重よししげに援軍えんぐんを求もとめた。だが、どちらも援軍えんぐんには応おうじたものの、先年せんねんの越えつ相しょう同盟どうめいに対たいする佐竹さたけ氏し側がわの謙信けんしんへの不信ふしん感かんから、共同きょうどう作戦さくせんが取とれずに有効ゆうこうな関宿せきやど救援きゅうえん策さくは打うち出だせなかった。戦たたかいは一いち年ねん近ちかくに及およんだが、閏うるう11月がつついに北条ほうじょう軍ぐんの総そう攻撃こうげきが開始かいしされた。晴はれ助すけらは奮戦ふんせんするが、一族いちぞく・家臣かしんの裏切うらぎりや兵糧ひょうろう・弾薬だんやくが底そこを突ついたため、佐竹さたけ義重よししげの仲介ちゅうかいで遂ついに関宿せきやど城じょうを北条ほうじょう軍ぐんに明あけ渡わたすことになった。足利あしかが藤ふじ政まさしは晴はれ助じょ親子おやこの助命じょめいと引ひき換かえに自害じがいして（異説いせつあり）、晴はれ氏しは支ささえ城じょうの水海みずうみ城じょうへと追放ついほうされた（第だい三さん次じ関宿せきやど合戦かっせん）。この戦たたかいの後のち、結果けっか的てきに足利あしかが藤ふじ政まさしを見殺みごろしにした上杉うえすぎ・佐竹さたけ両氏りょうしに対たいする晴はれ助じょ親子おやこの不信ふしん感かんは高たかまり、特とくに持じ助すけは足利あしかが義よし氏しとの和睦わぼくに応おうじて義よし氏しの許もとに出仕しゅっしすることとなり、下総しもうさ進出しんしゅつを図はかる佐竹さたけ氏しと争あらそうことになった。

晩年ばんねん

天正てんしょう10年ねん（1582年ねん）、足利あしかが義よし氏しが病死びょうしして古河ふるかわ公方くぼう家かが事実じじつ上じょう滅亡めつぼうすると、北条ほうじょう氏照うじてるが古河ふるかわ城しろを管理かんりするようになり、同時どうじに関宿せきやど城じょうは先さきの戦たたかいで晴はれ助じょ親子おやこを裏切うらぎった晴はれ助すけの異母弟いぼていとされる簗やな田助たすけ縄なわに与あたえられることになった。晴はれ助じょ親子おやこと北条ほうじょう氏しの争あらそいは再ふたたび始はじまったものの、持じ助すけは天正てんしょう15年ねん（1587年ねん）に病死びょうし。このため、晴はれ助すけは北条ほうじょう氏照うじてるの仲介ちゅうかいを受うけ入いれて持じ助すけの子こ・熊くま千代丸ちよまる（のちの簗やな田でん貞助さだすけ）の成長せいちょうまで助じょ縄なわの家督かとくを認みとめることになった。

そして、天正てんしょう18年ねん（1590年ねん）豊臣とよとみ秀吉ひでよしの小田原おだわら征伐せいばつによって北条ほうじょう氏しが没落ぼつらくすると、関宿せきやど城じょうの簗やな田助たすけ縄なわも北条ほうじょう側がわに組くみしたという理由りゆうで関宿せきやど城じょうを没収ぼっしゅうされてしまい、単独たんどくで降伏ごうぶくを申もうし出でた晴はれ助すけも水海みずうみ城じょうを没収ぼっしゅうされて常陸ひたち国こくに退しりぞいた。ところが、晴はれ助すけの戦たたかいぶりを高たかく評価ひょうかした浅野あさの長政ながまさの計はからいによって、孫まごの貞助さだすけが関東かんとうの新しん領主りょうしゅとなった徳川とくがわ家康いえやすに仕つかえる事ことが許ゆるされて1,000石せきを与あたえられる事ことになったのである。

文ぶん禄ろく3年ねん（1594年ねん）、死去しきょ。