(Translated by https://www.hiragana.jp/)
絶滅の島 - Wikipedia コンテンツにスキップ

絶滅ぜつめつしま

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

絶滅ぜつめつしま」(ぜつめつのしま)は、藤子とうこ不二雄ふじお藤本ふじもとひろし(のちの藤子とうこ・F・不二雄ふじお)による読切よみき漫画まんが作品さくひん1978ねんとびらだけがえがかれたが、掲載けいさい予定よていだったしん創刊そうかん雑誌ざっし発売はつばい中止ちゅうしによりおぞうりに。1980ねん月刊げっかんSF映画えいが雑誌ざっしスターログ』に12ぺーじ短編たんぺんとして発表はっぴょうされた(サイレントばん)。1985ねんてんとうちゅうコミックスべつコロばん少年しょうねんSFたん編集へんしゅうだい3かん収録しゅうろくされたさい大幅おおはば加筆かひつ修正しゅうせいされ、32ぺーじ短編たんぺんとなった(単行本たんこうぼんばん)。

1990ねんから1991ねんにかけて発売はつばいされたOVAにてアニメされた。また、2000ねんには「週刊しゅうかんストーリーランドないの1さくとしてテレビアニメされた。

概要がいよう

[編集へんしゅう]

宇宙うちゅう怪物かいぶつ大量たいりょう殺戮さつりくとおして、様々さまざまもの絶滅ぜつめつさせて人類じんるいたいする皮肉ひにくめられた作品さくひんであり、藤本ふじもとぜん作品さくひんなかでももっと残酷ざんこく描写びょうしゃおお作品さくひんである。

OVAの「藤子とうこ・F・不二雄ふじお Sukoshi Fushigi 短編たんぺんシアター」だい4かんで、藤本ふじもと自身じしんがこの作品さくひんを「みどりのまもがみとまったくおなじテーマを裏返うらがえしにしたひとつの実験じっけん作品さくひん」だとかたっている。

サイレント映画えいがしたはつ出版しゅっぱんでは台詞せりふく、宇宙うちゅう怪物かいぶつ言語げんごによる字幕じまくがあり、最後さいご字幕じまく日本語にほんごやく掲載けいさいされていた。単行本たんこうぼんばんは、地球人ちきゅうじんがわ視点してんえがかれ、地球人ちきゅうじん台詞せりふ追加ついかされている。宇宙うちゅう怪物かいぶつ言語げんごについては同様どうよう最後さいご日本語にほんごやく掲載けいさいされている。

以下いか基本きほんてきに1985ねん単行本たんこうぼんばん漫画まんが沿った内容ないようについてべ、#1978年版ねんばん#サイレントばんひとしべつバージョンについては個別こべつべる。

あらすじ

[編集へんしゅう]
序盤じょばん

アンデスさんなか姿すがたあらわしたUFOの大群たいぐんはあっという五大ごだいしゅう制圧せいあつ地球人ちきゅうじん絶滅ぜつめつちか状態じょうたいいやられてしまった。シンイチとカオリら27にんとうツアーで離島りとうていたことでなんのがれた数少かずすくないのこりだった。しかしそれから2ねん、そのしまにも宇宙うちゅう怪物かいぶつ来襲らいしゅうし、人間にんげんりがはじまった。

宇宙うちゅう怪獣かいじゅう攻撃こうげきからかろうじてったのち、シンイチはカオリをもりなかかくれるようさとしてむら様子ようすくが、宇宙うちゅう怪獣かいじゅう襲来しゅうらいによりむら人間にんげんはことごとく殺戮さつりくされた。のこった仲間なかま中年ちゅうねん男性だんせいともえしたシンイチは、カオリがられたことにづく。

中盤ちゅうばん

よるやみにまぎれてカオリを救出きゅうしゅつすることにした2人ふたり焚火たきびさかなきながら男性だんせいかたる。かつて、このしまにミツユビムカシヤモリという貴重きちょうなヤモリが生息せいそくしていたものの、その黒焼くろやきが難病なんびょうくという迷信めいしんしんじた人間にんげんによる乱獲らんかく絶滅ぜつめつしてしまったこと。そして、それのみならず世界中せかいじゅう動物どうぶつ欲望よくぼうのままにってきた人間にんげんたちがられる立場たちばたされても、文句もんくえないのではないかと。

終盤しゅうばん

カオリを救出きゅうしゅつするためむらかった2人ふたりは、そこで殺害さつがいされた人間にんげんたちが串刺くしざしにされ、焚火たきびいぶされている凄惨せいさん現場げんば目撃もくげきする。ショックをけつつカオリの生死せいしたしかめるべくちかづくと、ちかくのちゅうづりにされているカオリを発見はっけん男性だんせいなわってカオリをたすした直後ちょくご宇宙船うちゅうせん内部ないぶからてきた宇宙うちゅう怪物かいぶつ大挙たいきょしておそかる。男性だんせい2人ふたりびろといいのこして宇宙うちゅう怪物かいぶつ突撃とつげきしたすえ惨殺ざんさつされてしまう。カオリはふたた宇宙うちゅう怪物かいぶつ触手しょくしゅとらえられ、シンイチはふとももを触手しょくしゅつらぬかれさかりで気絶きぜつする。

結末けつまつ

そこにべつ宇宙船うちゅうせん飛来ひらいし、ちゅうから殺戮さつりくしゃおな容姿ようし宇宙うちゅう怪物かいぶつ登場とうじょう。その宇宙うちゅう怪物かいぶつはシンイチの怪我けが治療ちりょうし、シンイチたちには理解りかいできない言葉ことばをかけてっていく。

最終さいしゅうぺーじ末尾まつび掲載けいさいされた「宇宙うちゅう怪物かいぶつ 日本語にほんごやく」により、顛末てんまつ真相しんそうかされる。おそかってきた宇宙うちゅう怪物かいぶつ密猟みつりょうしゃであり、チキュウケナシザルの黒焼くろやきは円形えんけい脱毛だつもうしょうくという迷信めいしんしんじて密猟みつりょうおこなっていたのだ。シンイチたちを丁重ていちょう保護ほごした環境省かんきょうしょう巡視じゅんしかんは、「あやうく絶滅ぜつめつさせるところだった」「ぼくたち宇宙うちゅうじん、みんな友達ともだち」とつぶやいてっていくのだった。

作中さくちゅうのパロディ

[編集へんしゅう]

作中さくちゅう登場とうじょうする「ぼくたち宇宙うちゅうじん、みんな友達ともだち」という語句ごくは、1984ねんから1985ねんコロコロコミックをはじめとした小学しょうがくかん雑誌ざっしで、緑色みどりいろドラえもん忍者にんじゃハットリくんパーマンらのキャラクターととも展開てんかいしていた「グリーンドラえもん みんなともだちキャンペーン」で使つかわれていたキャッチフレーズ「ぼくたち地球人ちきゅうじん みんなともだち」のパロディである。後述こうじゅつ#サイレントばんではべつのキャッチフレーズがパロディとして使用しようされていたが、単行本たんこうぼんばんにて変更へんこうされた。

登場とうじょう人物じんぶつ

[編集へんしゅう]
シンイチ
宇宙うちゅう怪物かいぶつ襲来しゅうらいがなければ高校生こうこうせいになっている年齢ねんれい少年しょうねん一昨年いっさくねんなつからのこった人々ひとびとともしまらしている。
カオリ
宇宙うちゅう怪物かいぶつ襲来しゅうらいがなければ高校生こうこうせいになっている年齢ねんれい少女しょうじょ
おとこ
宇宙うちゅう怪物かいぶつ襲撃しゅうげきからのこってシンイチと行動こうどうともにする男性だんせい。サイレントばんでは登場とうじょうしない。かつて人類じんるいほろぼした「ミツユビムカシヤモリ」についてシンイチにかたる。このヤモリは肺病はいびょうくという迷信めいしんから人間にんげんりつくされ絶滅ぜつめつした(現実げんじつには存在そんざいしない)。石ノ森いしのもり章太郎しょうたろうとよくかおをしている(トキワそう仲間なかまのうち、藤本ふじもと石ノ森いしのもりは1、2をあらそうSFきとしてられている)。
宇宙うちゅう怪物かいぶつ
毛深けぶかく、地球人ちきゅうじんすうばい巨体きょたいっている。すうほん触手しょくしゅ自在じざいあやつり、地球人ちきゅうじんくび正確せいかくにはじきばしたり、胴体どうたい串刺くしざしにしたりする。

1978年版ねんばん

[編集へんしゅう]

主人公しゅじんこう少年しょうねん背景はいけい巨大きょだい円盤えんばん夜空よぞらしまのジャングルとがけ配置はいちされた扉絵とびらえのみがえがかれた。のちに正式せいしきえがかれた作品さくひんとはことなり、少年しょうねん鉢巻はちまきをし、上半身じょうはんしんふくけ、竹槍たけやりにしている(のちにえがかれた作品さくひんでは)。

1978ねんあたらしく創刊そうかんされる予定よていだったビジュアルSFマガジンに『スター・ウォーズ』の日本語にほんごばんコミックとうとも掲載けいさいされる予定よていだったが、雑誌ざっし刊行かんこう中止ちゅうしによりおぞうりとなった[1][2]

サイレントばん

[編集へんしゅう]

1980ねん月刊げっかんSF映画えいが雑誌ざっしスターログ』に12ぺーじ短編たんぺんとして発表はっぴょう。サイレント映画えいがした実験じっけん漫画まんがてき作品さくひん通常つうじょう漫画まんがのコマのえがかたではなく、コマの左右さゆう黒地くろじしろ四角しかくあないたフィルム模様もようえがかれている。全編ぜんぺんにわたり台詞せりふなし、効果こうかおとなしでえがかれている。ひだりびらきの体裁ていさい

単行本たんこうぼんばんとはことなり、末尾まつび訳文やくぶんてくる病気びょうきは「イマヤノジフびょう」(ぎゃくからむと病名びょうめい由来ゆらい理解りかいできる)。訳文やくぶん最後さいごには「宇宙うちゅう生物せいぶつみな兄弟きょうだい」という文言もんごんおおきく掲載けいさいされており、当時とうじCMのキャッチフレーズとして大勢おおぜい認知にんちされていた「人類じんるいみな兄弟きょうだい」という語句ごくのパロディであることが強調きょうちょうされている。それにつづさい末尾まつびには「環境かんきょうきょく広宣ひろのぶ製作せいさく」という文言もんごんしるされており、サイレントフィルムが宇宙うちゅう怪物かいぶつ襲来しゅうらいパニック映画えいがではなくドキュメント映画えいがだったというだいオチ役割やくわりたしている。

藤子とうこ・F・不二雄ふじお Sukoshi Fushigi 短編たんぺんシアター」だい4かん収録しゅうろく

キャスト

[編集へんしゅう]

ナレーションのみで、その人物じんぶつ声優せいゆうられていない。

スタッフ

[編集へんしゅう]
  • 監督かんとく出崎でさきあきら
  • 脚本きゃくほん今泉いまいずみ俊昭としあき
  • プロデューサー:浅見あさみいさむ小学館しょうがくかん)、清松きよまつ信夫しのぶ東宝とうほう)、松崎まつざき義之よしゆきマジックバス
  • キャラクターデザイン、作画さくが監督かんとく清水しみずめぐみぞう
  • コンテ、演出えんしゅつ冨永とみなが恒雄つねお
  • 原画げんが玉腰たまこし昌樹まさき伊藤いとうたく坂本さかもと修司しゅうじ小泉こいずみ孝司たかし長森ながもりけいよう
  • 美術びじゅつ監督かんとく石垣いしがきつとむ
  • 美術びじゅつ(株)かぶしきがいしゃ石垣いしがきプロダクションひかりもと博行ひろゆき中近東ちゅうきんとう
  • 動画どうがチェック:中原なかはら清隆きよたか岩倉いわくら和憲かずのり
  • 動画どうが福井ふくい明博あきひろ澄川すみかわさとしふか遠田えんだ哲也てつや川村かわむら孝之たかゆき熊坂くまさか径子みちこ石井いしい久志ひさしみずはた健二けんじ小野澤おのざわ雅子まさこ佐藤さとう房枝ふさえかんいち動画どうが
  • 色彩しきさい設定せってい吉森よしもり良子りょうこ
  • いろ指定してい補佐ほさ永山ながやま利香りか
  • 仕上しあ検査けんさ:ジャスト、伊藤いとう弘子ひろこ市村いちむらいさむ
  • 仕上しあげ:後藤ごとう忠章ただあき坂野さかの加奈かな小松原こまつばら智子さとこ小関おぜき裕子ゆうこ後藤ごとう恵子けいこ井上いのうえ純一じゅんいち高田たかだみほ、松藤まつふじ宣江のぶえ黒岩くろいわ智子さとこ高見沢たかみざわ佐知子さちこ田崎たさき美行みゆきかんいち動画どうが
  • とく こと効果こうか熊井くまいかおるたか太田おおたただし
  • 撮影さつえい監督かんとく岡崎おかざき英夫ひでお
  • 撮影さつえい:IMG、中村なかむら昌樹まさき渡辺わたなべ奈緒子なおこ古山ふるやまみのる、Qプロ、柳田やなぎだ久次郎きゅうじろう升沢ますざわ達也たつや
  • 音響おんきょう監督かんとくあきら田川たがわすすむ
  • 音楽おんがく都留つるきょうはく
  • 録音ろくおん安藤あんどう邦夫くにお
  • 効果こうか倉橋くらはし静男しずお
  • 音響おんきょう担当たんとう三間みつま雅文まさふみ
  • 録音ろくおんスタジオ:アオイスタジオ
  • 音響おんきょう制作せいさくマジックカプセル
  • 編集へんしゅう西川にしかわ洋二ようじ国吉くによし伸幸のぶゆき、マリア・えみこ・マクガワ、渡瀬わたせ祐子ゆうこ井上いのうえ編集へんしゅうしつ
  • 現像げんぞう東京現像所とうきょうげんぞうしょ
  • タイトル:マキ・プロまきただしひろし安食あじき光弘みつひろ馬場ばば秀雄ひでお小畠おばた公和きんかず
  • 制作せいさく担当たんとう大植おおうえせんきょく
  • 協力きょうりょく藤子とうこプロコロコロコミック編集へんしゅう学習がくしゅう雑誌ざっし編集へんしゅう少年しょうねんサンデー編集へんしゅう
  • 制作せいさく協力きょうりょく綿引わたひき勝美かつみ、メモリーバンク
  • アニメーション制作せいさくマジックバス
  • 制作せいさく小学館しょうがくかん東宝とうほう
  • 発売はつばいもと小学館しょうがくかん
  • 販売元はんばいもと東宝とうほう

主題歌しゅだいか

[編集へんしゅう]

テレビアニメ

[編集へんしゅう]

2000ねん1がつ27にち日本にほんテレビ系列けいれつの「週刊しゅうかんストーリーランド」のわくない放送ほうそう。ただし内容ないようについては残酷ざんこく描写びょうしゃがカットされ、エンディングも人類じんるいがみな生還せいかんするなど大幅おおはば改変かいへんくわえられている。

キャスト

[編集へんしゅう]

スタッフ

[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう

[編集へんしゅう]
  1. ^ 藤子とうこ不二雄ふじおランド少年しょうねんSF短編たんぺん恋人こいびと製造せいぞうほう』173ぺーじ
  2. ^ 藤子とうこ・F・雄大ゆうだい全集ぜんしゅう 少年しょうねんSF短編たんぺんだい3かん446ぺーじ