翁
解説 [ソースを編集 ]
能楽 界 での翁 [ソースを編集 ]
明 宿 集 における「翁 」論 [ソースを編集 ]
『
抑 翁 ノ妙 体 根源 ヲ尋 ネタテマツレバ天地開闢 ノ初 メヨリ出現 シマシマシテ人 王 ノ今 二 至 ルマデ王位 ヲ守 リ国土 ヲ利 シ人民 ヲ助 ケ給 フ事 間断 ナシ
本地 ヲ尋 ネタテマツレバ両部 越 過 ノ大日 或 ハ超 世 ノ悲願 阿弥陀如来 又 ハ応 身 尺 加 牟尼仏 法 報 応 ノ三身 一得 ニ満足 シマシマス
一得 ヲ三身 ニ分 チ給 フトコロ スナワチ翁 式 三 番 ト現 ワル垂 跡 ヲ知 レバ歴々 分明 ニマシマス
第 一 住吉 ノ大明神 ナリ或 ハ諏訪 ノ明神 トモ マタワ塩釜 ノ神 トモ現 ワレマス走 湯山 ニ示現 シテワ勅使 ニ対 シ筑波山 ニシテワ石 ノ面 ニ現 ワレテ詣 リノ衆生 ニ結縁 ス [中略 ]
深 義 ニ云 本地 垂 跡 スベテ一体 トシテ不 増 不 減 常住 不滅 ノ妙 神 一体 ニテマシマス[7]
(口語 訳 :そもそも「翁 」という神秘 的 な存在 の根源 を探究 してみると、宇宙 創造 のはじまりからすでに出現 していたものだということがわかる。そして地上 の秩序 を人間 の王 が統治 するようになった今 の時代 にいたるまで、一瞬 の途切 れもなく、王位 を守 り、国土 に富 をもたらし、人民 の暮 らしを助 けてくださっている。この「
翁 」の本体 (本地 )を探求 してみると、胎蔵界 と金剛 界 をともどもに超越 した法 身 の大日如来 であり、あるいは無限 の悲願 をこめて我 らを包摂 する報 身 の阿弥陀如来 でもあり、または人間 の世界 で教化 をおこなう応 身 の釈迦牟尼 であり、つまるところ法 身 ・報 身 ・応 身 という真理 の三 つの存在 様態 を、一身 にみたしていらっしゃるのである。
この完全 充足 した一身 を三 つの存在 様態 (三身 )に分 けてあらわすところは、猿楽 で言 うところの「翁 式三番 」の表現 となってあらわれる。こういう神 としての示現 (垂迹 )を知 れば、ますますいろいろなことがわかってくる。
第 一 は住吉 の大明神 である。あるいは諏訪 明神 としても、塩竈 の神 としても示現 をなさる。伊豆 の走 湯 権現 として示現 したときには天皇 の勅使 と直接 対面 をおこない、筑波山 では驚異 的 な岩石 の形 をもって出現 して、参詣 の人々 に深 い感銘 をあたえて結縁 しているのである。 [中略 ]神秘 的 な解釈 ではこう言 われる。本地垂迹 はすべて本体 は一 つであって、不 増 不 減 、常住 不滅 の神秘 の唯一 神 に集約 される、と[8]。)
このように『
翁 ヲ宿 神 ト申 シタテマツルコト カノ住吉 ノ御 示現 ニ符合 セリ
日月 星宿 ノ光 下 リテ昼夜 ヲ分 カチ物 ヲ生 ジ人 ニ宿 ル三光 スナワチ式 三 番 ニテマシマセバ日月 星宿 ノ儀 ヲ以テ宿 神 ト号 シタテマツル
宿 ノ字 ノ心 星 下 リテ人 ニ対 シ ヨロヅノ業 ヲナシ給 フ心 アリ イヅレノ家 ニモ呼 バレ給 フベキ星宿 ノ御 恵 ミナレド分 キテ宿 神 ト号 シタテマツル翁 ノ威徳 仰 ギテモナヲ余 リアルベシ[12]
(口語 訳 :翁 を宿 神 と申 し上 げることは、かの住吉 大神 の御 示現 なさったときの姿 と符号 している。「
太陽 と月 と諸 天体 の光 が地上 に降下 して、昼 と夜 の区別 ができ、物質 が生 まれ、またその光 は人間 に宿 ったのである。太陽 ・月 ・星 の三 つの光 は猿楽 に言 う式三番 に対応 するものであるので、太陽 ・月 ・星宿 (星宿 神 =北極星 )の意味 をこめて、宿 神 とお呼 び申 し上 げているのだ。宿 」という文字 には、星 が地上 に降下 して、人間 にたいしてあらゆる業 をおこなうという意味 がこめられている。星 の光 はあらゆる家 に降 り注 ぐ。そのようにどのような家 にも招 かれ招待 されるというのが星宿 神 たる北極星 のお恵 みではあるが、とりわけ宿 神 とお呼 び申 し上 げている「翁 」の威徳 は、どんなに畏敬 をこめて仰 ぎ見 てもあまりあるものがある[13]。)
ここで
宿 神 とシャグジの共通 点 [ソースを編集 ]
『
シャグジと
注釈 [ソースを編集 ]
出典 [ソースを編集 ]
- ^ 『
大辞泉 』 - ^
中沢 2003, p. 26. - ^ a b
中沢 2003, p. 31. - ^
中沢 2003, p. 34. - ^
中沢 2003, p. 165. - ^
中沢 2003, p. 166. - ^
金春 2007, p. 4. - ^
中沢 2003, pp. 165-166、322(巻末 付録 現代 語 訳 『明 宿 集 』). - ^ a b c
中沢 2003, p. 167. - ^
中沢 2003, p. 184. - ^
中沢 2003, p. 185. - ^
金春 2007, p. 5. - ^
中沢 2003, pp. 185-186、328-329(巻末 付録 現代 語 訳 『明 宿 集 』). - ^ a b
中沢 2003, p. 186. - ^
株式会社 日立 ソリューションズ・クリエイト 2017, p. 「宿 神 」. - ^
中沢 2003, pp. 56–57. - ^ a b c
中沢 2003, p. 57. - ^
中沢 2003, pp. 57–58. - ^ a b c d
中沢 2003, p. 58.
参考 文献 [ソースを編集 ]
株式会社 日立 ソリューションズ・クリエイト「宿 神 」『世界 大 百科 事典 第 2版 』Kotobank、2017年 。金春 ,禅竹 『明 宿 集 』野上 記念 法政大学 能楽 研究所 、2007年 。中沢 ,新一 『精霊 の王 』講談社 、2003年 。ISBN 9784062118507。- 『
日本 歴史 大 事典 1 あ-け』小学館 2000年 。ISBN 4-09-523001-0、500頁