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自明じめいせい (数学すうがく)

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

数学すうがくにおいて、形容詞けいようし自明じめい (trivial) は対象たいしょうたとえばぐん位相いそう空間くうかん)であって非常ひじょう単純たんじゅん構造こうぞうつものにたいして頻繁ひんぱん使つかわれる。名詞めいし自明じめいせい (triviality) は通常つうじょう証明しょうめい定義ていぎ単純たんじゅん技術ぎじゅつてきめんう。数学すうがく言葉ことば用語ようご起源きげん中世ちゅうせいtrivium curriculum からている。対義語たいぎご自明じめい (nontrivial) はあきらかではないまたは証明しょうめいするのがやさしくないステートメントや定理ていりしめすためにエンジニアや数学すうがくしゃによってよく使つかわれる。

自明じめいかい自明じめいかい

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数学すうがくにおいて、用語ようご:「自明じめいな」は対象たいしょうたとえばぐん位相いそう空間くうかん)であって非常ひじょう単純たんじゅん構造こうぞうつものにたいして頻繁ひんぱん使つかわれる。数学すうがくしゃにとって、それらはのより複雑ふくざつ対象たいしょうよりも視覚しかくしたり理解りかいしたりするのがむずかしいことがある[よう出典しゅってん]

つぎのようなれいがある:

自明じめい非常ひじょう単純たんじゅん構造こうぞう方程式ほうていしきかい記述きじゅつするためにも使つかうことができるが、完全かんぜんなものにするためにはぶくことはできない。これらのかい自明じめいかい (trivial solution) とばれる。たとえば、微分びぶん方程式ほうていしき

かんがえよう。ここで y = f(x) は関数かんすうであってそのしるべ関数かんすうy′ である。自明じめいかい

y = 0、れい関数かんすう英語えいごばん

であり、一方いっぽう自明じめい (nontrivial) かい(の 1 つ)は

y (x) = ex指数しすう関数かんすう

である。

境界きょうかい条件じょうけん をつけた微分びぶん方程式ほうていしき 数学すうがく物理ぶつりにおいて重要じゅうようである。たとえば量子力学りょうしりきがくにおいてはこなか粒子りゅうし記述きじゅつしたり、つるじょう定常波ていじょうは記述きじゅつしたりするときにあらわれる。それはいつもかい つ。このかいあきらかとかんがえ"自明じめいな"かいぶ。ある場合ばあいには、かい正弦せいげん)があり、"自明じめいな"かいばれる[1]

同様どうように、数学すうがくしゃフェルマーの最終さいしゅう定理ていりつぎのように主張しゅちょうするものとしてしばしば記述きじゅつする。n が 2 よりもおおきいとき、方程式ほうていしき には自明じめい整数せいすうかい存在そんざいしない。あきらかに、方程式ほうていしきかい存在そんざいするたとえば、任意にんいnたいしてかいであるが、そのようなかいはすべてあきらかであり興味きょうみがなく、したがって「自明じめい」である。

数学すうがくてき理由りゆうにおける自明じめいせい

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自明じめいはまた証明しょうめい任意にんい容易ようい場合ばあい英語えいごばんのこともうだろう。これは完全かんぜんせいのために無視むしできない。たとえば、数学すうがくてき帰納きのうほうによる証明しょうめいは2つのパートからなる。n = 0 あるいは n = 1 のような特定とくてい最初さいしょたいして定理ていりただしいことをしめす "base case" と、それから n のあるたいして定理ていりただしいならば n + 1 にたいしてもまたただしいことを証明しょうめいする inductive step である。base case がむずかしいが inductive step が自明じめい場合ばあいもあるが、base case はしばしば自明じめいでありそのようなものとして確認かくにんされる。同様どうように、ある性質せいしつがある集合しゅうごうのすべてのもとによってたれていると証明しょうめいしたいかもしれない。証明しょうめい主要しゅよう部分ぶぶんそらでない集合しゅうごう場合ばあいかんがえ、もと詳細しょうさい検査けんさするであろう。集合しゅうごうそら場合ばあいには、性質せいしつ自明じめいにすべてのもとによってたれている、なぜならばもとがないからである。(空虚くうきょしん参照さんしょう。)

数学すうがくコミュニティにおけるよくあるジョークは、「自明じめいな」(trivial) は「証明しょうめいされた」 (proved) と同義どうぎであるとうことである — つまり、任意にんい定理ていり一度いちどただしいとわかれば「自明じめいである」とかんがえることができる。べつのジョークは定理ていりについて議論ぎろんしている 2 にん数学すうがくしゃ関係かんけいする。最初さいしょ数学すうがくしゃ定理ていりが「自明じめいである」とう。もう1人ひとり説明せつめい要求ようきゅう返事へんじとしてかれは20分間ふんかん解説かいせつつづける。説明せつめいわりに、番目ばんめ数学すうがくしゃ定理ていり自明じめいであることに賛同さんどうする。これらのジョークは自明じめいせい判断はんだん主観性しゅかんせい指摘してきする。ジョークはまた最初さいしょ数学すうがくしゃ定理ていり自明じめいだとうがかれ自身じしんはそれを証明しょうめいできないときにも適用てきようする。しばしば、ジョークとして、定理ていりはこのとき「直感ちょっかんてきあきらか」(intuitively obvious) とばれる。微分びぶん積分せきぶんがく経験けいけんんだひとたとえば

という主張しゅちょう自明じめいかんがえるだろう。だが微分びぶん積分せきぶんがくはつ学者がくしゃにとってこれはまったあきらかではないだろう。

自明じめいせい文脈ぶんみゃくにも依存いぞんする。関数かんすう解析かいせきにおける証明しょうめいはおそらく、あるかずあたえられると、よりおおきいかず存在そんざい自明じめい仮定かていするだろう。だが初等しょとう整数せいすうろんにおいて自然しぜんすうについての基本きほんてき結果けっか証明しょうめいするとき、証明しょうめい任意にんい自然しぜんすうつぎかずつというリマーク(そしてこれはそれ自身じしんにおいて証明しょうめいされるあるいは公理こうりとしてられるべきである、ペアノの公理こうり参照さんしょう)にかなりるだろう。

自明じめい証明しょうめい

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いくつかのテキストでは、自明じめい証明しょうめいPQ において後件こうけん英語えいごばんすなわち Q がつねにしんであるような material implicationふくむステートメントを[2]。ここで、証明しょうめい単純たんじゅんQ がつねにしんであることに注意ちゅういすることからしたがう、なぜならば implication はこのとき前件ぜんけん英語えいごばん P真理しんりかかわらずしんであるからである[2]

関連かんれんした概念がいねん空虚くうきょしんである。これは前件ぜんけん PPQ においてつねににせである場合ばあいである[2]。ここで、implication は後件こうけん Q真理しんりかかわらずつねしんである[2]

  • 数学すうがくにおいて、整数せいすう N約数やくすうつけることはしばしば重要じゅうようである。任意にんいかず N は 4 つのあきらかな約数やくすう ±1 と ±N をもつ。これらは「自明じめい約数やくすう」とばれる。任意にんいほか約数やくすうは、存在そんざいすれば、「自明じめい」とばれる[3]
  • 行列ぎょうれつ方程式ほうていしき AX=0、ただし A は固定こていされた行列ぎょうれつで、X は未知みちのベクトルで、0 はゼロベクトルである、はあきらかなかい X=0 をもつ。これは「自明じめいかい」とばれる。それがかい X≠0 をてば、「自明じめい」とばれる[4]
  • 群論ぐんろん数学すうがくにおいて、ただ 1 つのもとだけをもつ非常ひじょう単純たんじゅんぐん存在そんざいする。これはしばしば「自明じめいぐん」とばれる。すべてのほかぐんは、より複雑ふくざつであり、「自明じめい」とばれる。
  • グラフ理論りろんにおいて自明じめいなグラフはたった 1 つの頂点ちょうてんあたりまったたないグラフである。

関連かんれん項目こうもく

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参考さんこう文献ぶんけん

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  1. ^ Introduction to partial differential equations with applications, by Zachmanoglou and Thoe, p309
  2. ^ a b c d Zhang, Gary Chartrand, Albert D. Polimeni, Ping (2008). Mathematical proofs : a transition to advanced mathematics (2nd ed. ed.). Boston: Pearson/Addison Wesley. p. 68. ISBN 978-0-3-2139053-0 
  3. ^ Number theory for computing, by Song Y. Yan, p250
  4. ^ Mathematics for engineers and scientists, by Alan Jeffrey, p502

外部がいぶリンク

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