消けし臭しゅう剤ざい

消けし臭しゅう剤ざい（しょうしゅうざい）は、特定とくていの悪臭あくしゅうを除去じょきょするための薬剤やくざい。業務ぎょうむ用ようや家庭かてい用ようがあるが、一般いっぱんには居間いまやトイレ、衣類いるいの汗あせなど日常にちじょうでの悪臭あくしゅうを消けすために用もちいられる家庭かてい用よう消けし臭しゅう剤ざいを指さすことが多おおい。なお、芳香ほうこう剤ざいも生活せいかつでの消けし臭しゅう目的もくてきに用もちいられるものが多おおいため、一般いっぱんに芳香ほうこう・消けし臭しゅう剤ざいとして一いち括くくりにされることが多おおい。静岡しずおか県けんの実業じつぎょう家かである松浦まつうら令れい一いちによって命名めいめいされた^{[要よう出典しゅってん]}。似にたような薬剤やくざいである脱臭だっしゅう剤ざい、防臭ぼうしゅう剤ざいについても、ここで説明せつめいする。

消けし臭しゅう剤ざい・防臭ぼうしゅう剤ざい・脱臭だっしゅう剤ざいの違ちがい[編集へんしゅう]

厚生こうせい労働省ろうどうしょうは、それぞれの違ちがいを以下いかの様ように定義ていぎしている^[1]。

消けし臭しゅう剤ざい - 臭気しゅうきを化学かがく的てき・生物せいぶつ的てき作用さよう等とうで除去じょきょ又または緩和かんわするもの
脱臭だっしゅう剤ざい - 臭気しゅうきを物理ぶつり的てき作用さよう等とうで除去じょきょ又または緩和かんわするもの
防臭ぼうしゅう剤ざい - 臭気しゅうきを他たの香かおり等とうでマスキングするもの

なお、芳香ほうこう剤ざいは、空間くうかんに芳香ほうこうを付与ふよするものと定義ていぎしている。

容器ようき、形かたちの種類しゅるい[編集へんしゅう]

部屋へや用よう消けし臭しゅう剤ざいは大おおきく分わけると

置おき型がた部屋へや用よう消けし臭しゅう剤ざい
スプレー式しき部屋へや用よう消けし臭しゅう剤ざい

の2つに分類ぶんるいされる^[2]。一般いっぱん的てきに、置おき型がたは普段ふだんのにおいを取とり除のぞく効果こうかがあり、スプレー式しきは一時いちじ的てきに発生はっせいしたにおいを取とる目的もくてきで使用しようされる。

悪臭あくしゅうの原因げんいん[編集へんしゅう]

悪臭あくしゅうには大おおきく分わけて三みっつのタイプがある。これを日常にちじょう生活せいかつに投影とうえいすると、トイレ、台所だいどころ、タバコ、排水溝はいすいこう、ゴミ箱ごみばこ（特とくに台所だいどころ）、下駄箱げたばこなどが対象たいしょうとなる。

脂肪酸しぼうさん系けい（体臭たいしゅう、汗あせなど）
窒素ちっそ化合かごう物ぶつ系けい（腐敗ふはいした尿にょう、生臭なまぐささなど）
硫黄いおう化合かごう物ぶつ系けい（糞便ふんべんなど）

消けし臭しゅうのメカニズム[編集へんしゅう]

消けし臭しゅう剤ざいにおけるメカニズムは大おおきく分わけて4種類しゅるいある。

化学かがく的てき消けし臭しゅう法ほう[編集へんしゅう]

悪臭あくしゅうの元もととなる成分せいぶんを消きえ臭しゅう剤ざいの成分せいぶんと化学かがく反応はんのうさせ、無臭むしゅうの成分せいぶんにしてしまう方法ほうほう。直接ちょくせつ化学かがく反応はんのうさせる中和ちゅうわ反応はんのうと酸化さんか物ぶつを消きえ臭しゅう成分せいぶんに入いれ、悪臭あくしゅう成分せいぶんを無臭むしゅうの酸化さんか物ぶつに変かえる酸化さんか反応はんのうがある。中和ちゅうわ反応はんのうにおいては、以下いかのメリットとデメリットをあげることが出来できる。

メリット: 選択せんたく性せいの高たかい消けし臭しゅう（狙ねらった悪臭あくしゅう原因げんいん物質ぶっしつに的まとを絞しぼった消けし臭しゅう）が可能かのう。消けし臭しゅう容量ようりょう（吸着きゅうちゃく容量ようりょう）が比較的ひかくてき大おおきい。悪臭あくしゅう原因げんいん物質ぶっしつの再さい放出ほうしゅつが非常ひじょうに起おきにくい。
デメリット: 一ひとつの消けし臭しゅう剤ざいで、複数ふくすうの悪臭あくしゅう原因げんいん物質ぶっしつ（特とくに極性きょくせいの異ことなるもの）の消けし臭しゅうを同時どうじに行おこなうことが比較的ひかくてき困難こんなん。

物理ぶつり的てき消けし臭しゅう法ほう[編集へんしゅう]

悪臭あくしゅうの元もととなる成分せいぶんを抑おさえ込こんだり、包つつみ込こんだりしてしまう物質ぶっしつを用もちいる消けし臭しゅう法ほう。悪臭あくしゅう成分せいぶんを抑おさえ込こんだり、包つつみ込こんだりして、臭においを発生はっせいさせないようにする方法ほうほうである。そのタイプによって吸着きゅうちゃく、包摂ほうせつといった種類しゅるいがある。物理ぶつり的てき消けし臭しゅう法ほうについては、以下いかのメリットとデメリットをあげることが出来できる。

メリット: 一ひとつの消けし臭しゅう剤ざいで、複数ふくすうの悪臭あくしゅう原因げんいん物質ぶっしつの消けし臭しゅうを同時どうじに行おこなうことが、比較的ひかくてき容易ようい。
デメリット: 選択せんたく性せいの高たかい消けし臭しゅう（狙ねらった悪臭あくしゅう原因げんいん物質ぶっしつに的まとを絞しぼった消けし臭しゅう）が比較的ひかくてき困難こんなん。消けし臭しゅう容量ようりょう（吸着きゅうちゃく容量ようりょう）が、比較的ひかくてき小ちいさい。悪臭あくしゅう原因げんいん物質ぶっしつの再さい放出ほうしゅつが起おき易やすい。

生物せいぶつ的てき消けし臭しゅう法ほう[編集へんしゅう]

生なまゴミなどバクテリアの繁殖はんしょくによる悪臭あくしゅうを消けす方法ほうほう。抗菌こうきん剤ざいなどを用もちいて繁殖はんしょくを抑止よくしする方法ほうほうや微生物びせいぶつを用もちいて、バクテリアを分解ぶんかいしてしまう方法ほうほうなどがある。

感覚かんかく的てき消けし臭しゅう法ほう[編集へんしゅう]

悪臭あくしゅうを芳香ほうこう成分せいぶんで包つつみ込こんでしまう方法ほうほう。芳香ほうこう成分せいぶんを強つよくして、悪臭あくしゅうをごまかしてしまうマスキングという方法ほうほうと、悪臭あくしゅうの元もととなる化学かがく成分せいぶんを良よい香かおりの元もととなる構成こうせい成分せいぶんに取とり込こんでしまうペアリングという方法ほうほうがある。効果こうかが高たかいのは後者こうしゃである。有害ゆうがいな悪臭あくしゅう原因げんいん物質ぶっしつの消けし臭しゅうという観点かんてんから見みた場合ばあいは、効果こうかを得えることは出来できない。

芳香ほうこう剤ざい[編集へんしゅう]

芳香ほうこう剤ざいは果物くだものや花卉かき、樹木じゅもくなどの匂においで悪臭あくしゅうをマスキングする、また単純たんじゅんに香かおりを付つけるものである。基本きほん的てきに消きえ臭しゅう成分せいぶんは入はいっていない。かつては化学かがく合成ごうせいによる香料こうりょうが中心ちゅうしんだったが、今日きょうでは純粋じゅんすいな天然てんねん成分せいぶんを用もちいたものも多おおい。

また、消けし臭しゅう剤ざいにも大抵たいてい芳香ほうこう成分せいぶんが入はいっている。芳香ほうこうとして好このまれるものはラベンダー、バラなどの花木はなき、りんご、レモン、桃ももなどの果物くだもの、石鹸せっけんなどであるが、近年きんねんは樹木じゅもくの香かおりや素材そざいそのものの消けし臭しゅう成分せいぶんを生いかした緑茶りょくちゃ、竹たけ、木炭もくたんといったものもある。