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藤原ふじわら在ざい衡

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藤原ふじわら在ざい衡
「教導きょうどう立志りっし基もと」より『藤原ふじわら在ざい衡』大だい蘇そ芳年よしとし筆ふで
時代じだい 平安へいあん時代じだい前期ぜんき - 中期ちゅうき
生誕せいたん 寛平かんぺい4年ねん（892年ねん）
死没しぼつ 天てん禄ろく元年がんねん10月がつ10日とおか（970年ねん11月11日にち）
別名べつめい 粟田あわた左大臣さだいじん、萬里小路まりこうじ左大臣さだいじん
官位かんい 従したがえ二に位い、左大臣さだいじん、贈おく従したがえ一いち位い
主君しゅくん 醍醐天皇だいごてんのう→朱雀すざく天皇てんのう→村上むらかみ天皇てんのう→冷泉れいせん天皇てんのう→円融天皇えんゆうてんのう
氏族しぞく 藤原ふじわら北きた家か魚さかな名流めいりゅう
父母ちちはは 父ちち：如無、母はは：良りょう峰みね高見たかみの娘むすめ
養父ようふ：藤原ふじわら有ゆう頼よりゆき、養母ようぼ：高向たこう公こう輔女おんな
妻つま 清原きよはら高峯たかみねの娘むすめ、他た
子こ 国光くにみつ、博ひろし古いにしえ、惟信いしん、忠実ちゅうじつ、正妃せいひ（村上むらかみ天皇てんのう更衣ころもがえ）、左京さきょう大夫たいふ行正ゆきまさ室しつ
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藤原ふじわら 在ざい衡（ふじわら の ありひら）は、平安へいあん時代じだい中期ちゅうきの公卿くぎょう。藤原ふじわら北きた家か魚さかな名めい流ながれ、中納言ちゅうなごん・藤原ふじわら山蔭やまかげの孫まご。大だい僧都そうず・如無の子こ、叔父おじの但馬たじま介かい・藤原ふじわら有ゆう頼よりゆきの養子ようし。官位かんいは従したがえ二に位い・左大臣さだいじん、贈おく従したがえ一いち位い。粟田あわた左大臣さだいじん、あるいは万里小路まりこうじ大臣だいじんと称しょうす。

経歴けいれき

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延喜えんぎ13年ねん（913年ねん）22歳さいで文章ぶんしょう生せいとなる。延喜えんぎ17年ねん（917年ねん）備前びぜん掾じょうを経へて、延のべ暦れき18年ねん12月（919年ねん1月がつ）対策たいさくに及第きゅうだいし、明あけて延のべ暦れき19年ねん（919年ねん）正月しょうがつに少しょう内記ないきに任にんぜられ六ろく位い蔵人くろうども兼かねる。延長えんちょう2年ねん（924年ねん）従したがえ五ご位い下かに叙爵じょしゃく。のち醍醐だいご朝あさでは、刑部おさかべ少しょう輔・大学だいがく頭あたま・侍従じじゅう・式部しきぶ権けん少しょう輔・五ご位い蔵人くろうどを歴任れきにんした。

延長えんちょう8年ねん（930年ねん）朱雀すざく天皇てんのうの即位そくい後ごまもなく従したがえ五ご位い上じょう・式部しきぶ少しょう輔に叙任じょにんされ、承うけたまわ平ひらた2年ねん（932年ねん）左ひだり少しょう弁べんに転てんじると、承うけたまわ平ひら3年ねん（933年ねん）右みぎ中ちゅう弁わきまえ、承うけたまわ平ひら6年ねん（936年ねん）正せい五ご位い下か、承うけたまわ平ひら7年ねん（937年ねん）左ひだり中ちゅう弁わきまえ、承うけたまわ平ひら8年ねん（938年ねん）従したがえ四よん位い下かと、朱雀すざく朝あさにおいて弁べん官かんを務つとめながら順調じゅんちょうに昇進しょうしんし、天てん慶けい4年ねん（941年ねん）参議さんぎ兼けん右みぎ大だい弁べんに任にんぜられ50歳さいにして公卿くぎょうに列れつした。また、議ぎ政官せいかんとして左右さゆう大だい弁べんに式部しきぶ大輔だいすけを兼帯けんたいしている。

天てん暦れき元年がんねん（947年ねん）先任せんにんの参議さんぎ4人にん（源みなもと兼明かねあきら・藤原ふじわら忠文ただふみ・伴ばん保たもつ平たいら・源みなもと庶明）を越こえて、従したがえ三さん位い・権けん中納言ちゅうなごんに任にんぜられると、天てん暦れき2年ねん（948年ねん）中納言ちゅうなごん、天てん暦れき9年ねん（955年ねん）正せい三さん位いと村上むらかみ朝あさでも昇進しょうしんを重かさねる。天てん暦れき7年ねん（953年ねん）に大納言だいなごん・藤原ふじわら元方もとかたが薨去こうきょすると中納言ちゅうなごん以上いじょうでは在ざい衡が最さい高齢こうれいとなったが、天徳てんとく4年ねん（960年ねん）10歳さい以上いじょう年下とししたの右大臣うだいじん・藤原ふじわら師し輔の薨去こうきょに伴ともなって大納言だいなごんに昇進しょうしんし、安和やすかず2年ねん（969年ねん）には安和あわの変へんによって失脚しっきゃくした左大臣さだいじん・源みなもと高明こうめいの後のちを受うけて右大臣うだいじんに任にんぜられ、78歳さいにして遂ついに大臣だいじんの官職かんしょくに至いたった。同年どうねんの20歳さい以上いじょう年下とししたの左大臣さだいじん・藤原ふじわら師し尹いんの薨去こうきょに伴ともない、翌よく天てん禄ろく元年がんねん（970年ねん）には左大臣さだいじんに任にんぜられるが、同年どうねん10月がつ10日とおかに致仕ちし・出家しゅっけし同日どうじつ薨去こうきょ。享年きょうねん79。同月どうげつ20日にちに出家しゅっけ人じんながら従したがえ一いち位いの位階いかいを贈位ぞういされた。

逸話いつわ・説話せつわ

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安和やすかず2年ねん（969年ねん）に発生はっせいした安和あわの変へんを受うけて右大臣うだいじんに昇進しょうしんしたが、既すでに高齢こうれいであったこと、および変へんの10日とおか前まえに自みずから所有しょゆうする粟田あわた山荘さんそうに学者がくしゃや文人ぶんじんを招まねいて尚歯しょうし会かいを開ひらいていることから、在ざい衡は変へんに関与かんよしていないと考かんがえられている。実際じっさいに、左大臣さだいじん・源みなもと高明こうめいの失脚しっきゃくの情報じょうほうを聞きいた在ざい衡の家人かじんが、大臣だいじんの座ざが空席くうせきになったため自分じぶんの主人しゅじんが大臣だいじんになれると喜よろこんだところ、在ざい衡は怒おこってその家人かじんを追放ついほうした。また、大臣だいじん任官にんかんの定例ていれいの祝宴しゅくえんも開催かいさいしなかったと言いわれている。

僧侶そうりょの子息しそくで五ご位いの諸しょ大夫たいふの養子ようしという、その出自しゅつじに比ひして異例いれいの出世しゅっせを遂とげたこともあり、数々かずかずの説話せつわに彩いろどられた人物じんぶつである。若年じゃくねん時じに鞍馬あんば寺てらにおいて天童てんどうから大臣だいじんへの昇進しょうしんと長命ちょうめいの予言よげんを受うけたという話はなし[1]や、天皇てんのうの下問かもんには周到しゅうとうな準備じゅんびをもって的確てきかくに答こたえ、しかも風雨ふううを厭いとわず参勤さんきんした話はなし[2]などが、『古事ふるごと談だん』に収おさめられている。

尚歯しょうし会かいの際さいに詠よまれた漢詩かんしが『粟田あわた左府さふ尚歯しょうし会かい詩し』[3]に残のこされている。在ざい衡が主催しゅさいした尚歯しょうし会かいの七なな叟は、在ざい衡本人じん・菅かん原文げんぶん時じ・橘たちばな好古よしふる・高階たかしな良りょう臣しん・菅原すがわら雅まさ規ただし・十じゅう市有しゆう象ぞう（中原なかはら有ゆう象ぞう）・橘たちばな雅文まさふみだった[4]。

官かん歴れき

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『公卿くぎょう補任ほにん』による。

系譜けいふ

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  • 父ちち：如無
  • 母はは：良りょう峰みね高見たかみの女おんな
  • 養父ようふ：藤原ふじわら有ゆう頼よりゆき
  • 養母ようぼ：高向たこう公こう輔の女おんな

後世こうせいにおいてその末裔まつえいを称しょうするものに安達あだち氏しなどがある。

脚注きゃくちゅう

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[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]
  1. ^ 『古事ふるごと談だん』第だい五ご 神社じんじゃ仏寺ぶつじ,『在ざい衡、鞍馬あんばにて宣せん託たくを蒙こうむる事こと』
  2. ^ 『古事ふるごと談だん』第だい六ろく 亭ちん宅たく諸道しょどう,『藤原ふじわら在ざい衡、儒業格かく勤つとむの事こと』
  3. ^ 『群ぐん書しょ類従るいじゅう』所収しょしゅう
  4. ^ 野尻のじり, 忠ただし「［資料しりょう紹介しょうかい］ 奈良なら国立こくりつ博物館はくぶつかん所蔵しょぞう『明月めいげつ記き』断簡だんかん」『鹿しか園えん雜ざつ集しゅう：奈良なら国立こくりつ博物館はくぶつかん研究けんきゅう紀要きよう』第だい9巻かん、2007年ねん、105–111頁ぺーじ、doi:10.24737/00000101、ISSN 13466402。  閲覧は自由. p. 111.
  5. ^ 或あるいは20日はつか

参考さんこう文献ぶんけん

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官職かんしょく
先代せんだい
藤原ふじわら師し尹いん 		左大臣さだいじん
970 		次代じだい
源みなもと兼明かねあきら
先代せんだい
藤原ふじわら師し尹いん 		右大臣うだいじん
969 - 970 		次代じだい
藤原ふじわら伊い尹いん
先代せんだい
源みなもと清きよし蔭かげ 		陸奥むつ出羽でわ按察使し
948 - 953 		次代じだい
藤原ふじわら顕あらわ忠ちゅう
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