蟻あり (クルアーン)

蟻あり
سورة النمل
An-Naml
アン・ ナムル

蟻あり
啓示けいじ	マッカ啓示けいじ
章あきら題だいの意味いみ	第だい18節せつに蟻ありのことが述のべられる
詳細しょうさい
スーラ	第だい27章しょう
アーヤ	全ぜん93節せつ
ルクー	7回かい
サジダ節ぶし	1回かい（第だい26章しょう）
神秘しんぴ文字もじ	طس
前ぜんスーラ	詩人しじんたち
次じスーラ	物語ものがたり

『蟻あり』とは、クルアーンにおける第だい27番目ばんめの章あきら（スーラ）。93の節ふし（アーヤ）から成なる。

章あきらの冒頭ぼうとうに神秘しんぴ文字もじ（Muqatta'at）が置おかれているもの（計けい29スーラ）のうちの一ひとつ。

バスマラ（Basmala）が、冒頭ぼうとう（第だい9章しょうを除のぞく他ほかのすべての章しょうと同様どうよう）以外いがいに、第だい30節せつにも登場とうじょうしている。

内容ないよう

1．ター・スィーン(信仰しんこうの道みち)。クルアーンの印しるし、啓けい典てんの印しるし。

2．導みちびき、信者しんじゃへの吉報きっぽう。

3．礼拝れいはい。喜捨きしゃ。そして、来世らいせへ。

4．来世らいせを信しんじない者ものは外見がいけんを取とり繕つくろう。立派りっぱな外見がいけん、行おこない。しかし、これは幻覚げんかく。

5．彼かれらには懲罰ちょうばつ。重おもい懲罰ちょうばつ。彼かれらこそ最大さいだいの失敗しっぱい者しゃ。

6．このクルアーンは、あなた自身じしんへの賜物たまもの。アッラーからの賜物たまもの。

7．これはムーサーの見みた火ひ。ムーサーの見みた火種ひだね、あなた方かたはこれによって暖あたためられる。

8．この火ひの中なかにいる者もの、そして、周まわりの者ものに祝福しゅくふくあれ。

9．そして、アッラーの声こえ。

10．さあ、あなたの杖つえを投なげよ。その律りつ法ほうの杖つえを投なげよ。それは蛇へびとなり、動うごきまわる。あなたは逃にげてはならない。わが前まえを恐おそれてはならない。

11．わが前まえから恐おそれて逃にげるのは悪あくを行おこなった者もの。しかし、その悪あくを悔くい改あらためて善ぜんを行おこなうならば、わたしは赦ゆるすであろう。わたしは寛容かんようにして慈悲じひ深ふかい。

12．さあ、あなたの手てを懐ふところに入いれよ。すなわち、あなたの胸中きょうちゅうの思おもいを行動こうどうとして示しめせ。それは白しろくなる。世よの権威けんい･権力けんりょくを恐おそれてはならない。彼かれらは、わたしを差さし置おいて、自みずから高位こういに上のぼり、自みずからの思おもいを定さだめごととなす。彼かれらはわが掟おきてに背そむく者ものたちである。

13．聞きけ、彼かれらの目めにはこれは魔術まじゅつ。

14．道理どうりを知しり、心しんの中なかではこれを認みとめる。しかし、不義ふぎと高慢こうまんからこれを否定ひていする。これが悪あくである。悪あくを行おこなう者ものの最後さいごがどうなるのか見みるがよい。

15．これは、ダーウードとスライマーンに授さづけられた知識ちしき。

16．スライマーンはダーウードの後のちを継つぐ。彼かれは鳥とりの声こえを聞きく。鳥とりは天てんの導みちびき、天使てんし。

17．スライマーンの部隊ぶたいは、ジンと人ひとと鳥とり。

18．蟻ありたちよ。自分じぶんの住処すみかに帰かえれ。スライマーンとその軍勢ぐんぜいがそれと知しらずあなた方かたを踏ふみ散ちらかす前まえに。

19．あなたは蟻ありか。それとも、スライマーンの軍勢ぐんぜいの一いち人にんか。蟻ありならば、おとなしく巣す穴あなに戻もどれ。

20．スライマーンは鳥とりの検閲けんえつ、天使てんしの検閲けんえつ。ヤツガシラは欠席けっせきか。

21．無断むだんで欠席けっせきするならば、その処罰しょばつは厳きびしい。

22．ヤツガシラは、情報じょうほうをもたらす。サバアからの情報じょうほう。

23．サバアに一人ひとりの女王じょおうあり。彼女かのじょは全すべてを授さづけられ玉座ぎょくざに着つく。

24．しかし、彼女かのじょはアッラーではなく太陽たいようを拝おがむ。悪魔あくまが彼女かのじょを正道せいどうから退しりぞけるゆえ、自分じぶんたちは正まさしく信仰しんこうし、立派りっぱであると思おもっている。

25．これゆえ、天地てんちの隠かくされたことを知しらない。彼女かのじょが見みているのは、表面ひょうめんのみ。

26．アッラー、彼かれのほかに神かみはなく、彼かれこそ荘厳そうごんな玉座ぎょくざの主あるじ。

27．人にんよ、あなたは、形かたちだけの信仰しんこうをする嘘うそつきの徒とか、それとも真しんにアッラーを拝はいする者ものなのか。

28．さあ、この手紙てがみを御覧ごらんなさい。

29．長老ちょうろうたちよ。尊とうとい手紙てがみがもたらされる。

30．それは、慈悲じひあまねく慈悲じひ深ふかきアッラーの御名ぎょめいにより。

31．それはこう語かたる。「わたしに対たいしあなた方かたは高慢こうまんであってはならない。わたしに服従ふくじゅうし、わたしの許もとに来きなさい。」

32．長老ちょうろうたちよ。あなた方かたはどう考かんがえるのか。

33．人にんの多おおいのを頼たのみとするのか。武勇ぶゆうに勝まさるのを頼たのみとするのか。いや、全すべての決定けっていはあなた自身じしんにかかっている。

34．世せいの習ならいでは、帝王ていおうが町まちに入はいれば、町まち々は荒廃こうはいし、身分みぶんの高たかいものが低ひくくされる。あなたはアッラーを世よの帝王ていおうの如ごときものと見みるのか。

35．ならば、贈おくり物ものを携たずさえて、その返答へんとうを待まて。

36．アッラーの返答へんとうは、「それは、あなた方かたの自己じこ満足まんぞくに過すぎない。」

37．彼かれらの立たち向むかえない軍勢ぐんぜいで、彼かれらに臨のぞまれ、彼かれらは面目めんぼくを失うしない、その地位ちいを追おわれる。

38．女王じょおう(人ひと)の玉座ぎょくざは、人ひとの服従ふくじゅうを待またずして、彼かれのもとへ。

39．ジンの大物おおものが名乗なのりを上あげるが、

40．啓けい典てんの知識ちしきを持もつ者ものが、それをなす。一瞬いっしゅんの間あいだに。人ひとの玉座ぎょくざは試こころみの玉座ぎょくざ。試こころみに負まける者ものは、恩おんを知しらず。自みずから高たかぶり、自みずから滅ほろぶ。

41．玉座ぎょくざの装よそおいは変かえられる。本質ほんしつを知しるものは、それを玉座ぎょくざと見みるが、表面ひょうめんを見みる者ものは、別べつの物ものと見みる。

42．そして、この玉座ぎょくざは女王じょおうの前まえへ。女王じょおうは《これはわたしの玉座ぎょくざ》と答こたえる。人ひとよ、知しれ。スライマーンは唯ただ、ただ、アッラーに導みちびかれた。

43．女王じょおうは、導みちびくものを見失みうしない、他たのものにそれを求もとめた。信仰しんこうの善よし悪あしは、この一いち点てんのみ。

44．女王じょおうはアッラーの宮殿きゅうでんに導みちびかれる。これらを水みず(人ひとの思考しこう)と見みる故ゆえに、自みずからの行動こうどうでこれを導みちびこうとする(両足りょうあしをあらわす)。しかし、これはガラス(定さだまったもの)。彼女かのじょが自みずからの行動こうどうで変かえる事ことは出来できない。かえって、彼女かのじょ自身じしんがこの上うえに乗のるだけ。これが、アッラーに服従ふくじゅう・帰依きえすると言いう事ことなのだ。

45．アッラーに仕つかえるとは、こういう事ことでもある。アッラーは、サムードの民みんにその兄弟きょうだいのサーリフを御お遣つかわしになられた。彼かれらは二に派はに分わかれてい争いあらそった。

46．サーリフは、「わたしの人々ひとびとよ、あなた方かたは善よい事ことを差さし置おいて、なぜ悪事あくじを急いそぐのか。なぜ、アッラーの御ご赦ゆるしを請こわないのか。そこに必かならず御ご恵めぐみがあるのに。」と語かたり、

47．彼かれらは、「あなたと、あなたの仲間なかまは凶きょうと出でた。」と答こたえる。

48．これは何なにを意味いみするのか。人ひとは九ここのつの境地きょうちを行いき来きする。その九きゅう界かいにより判断はんだんを下くだし、アッラーの一いち界かいと争あらそう。

49．彼かれらは、アッラーをも九きゅう界かいの内うちに求もとめ、アッラーの一いち界かいをアッラーの名なにかけて殺ころしてしまおうとしているのだ。

50．人にんの九きゅう界かいの策さくと、アッラーの一いち界かいの策さく。

51．人にんが持もてるすべてを結集けっしゅうしても、アッラーの一いち界かいと争あらそえば、すべて滅ほろびに手渡てわたされる。

52．そこに残のこるのは、不義ふぎを行おこなったために廃墟はいきょと化かした彼かれらの住居じゅうきょ跡あとのみ。知識ちしきのある者ものは、この印しるしを解とくが良よい。

53．信仰しんこうして、アッラーを畏おそれる者ものは救すくわれる。

54．ルート。彼かれの民みんは、精神せいしんを重おもんじ、生命せいめいを軽かるんじた。人ひとの生命せいめい、そして、自みずからの生命せいめいを軽かるんじる故ゆえに、忌いむべき事ことを行おこない続つづけた。

55．彼かれらを突とっき動うごかすのは精神せいしん論ろん。精神せいしんを重おもんじる故ゆえに生命せいめいを軽かるんじる。アッラーは彼かれらを無知むちの民みんとされる。

56．彼かれらは自みずからを間違まちがいとはしない。虐殺ぎゃくさつ、暴力ぼうりょく。これによって、多おおくの人々ひとびとの生命せいめいを奪うばう。ルートの命いのちも。

57．このような者ものたちに立たち向むかう者ものには、肉にくなる命いのちは保障ほしょうされない。しかし、真しんの救すくいが彼かれらにもたらされる。

58．火ひ獄ごくが火ひの雨あめとなり彼かれらを襲おそう。彼かれらにはどこにも逃にげ場ばはない。その時とき、ルートは逃のがれ場じょうを得える。

59．アッラーに讃たたえあれ。平安へいあんは、アッラーの選えらばれる僕ぼくの上うえにある。アッラーの名なを唱となえながら、平安へいあんの上うえにない者ものは、アッラーではなく、アッラーと名付なづけた 他ほかの神かみ々を拝おがむ者ものである。アッラーが好このましいのか。それとも、彼かれらの語かたる神かみ々が好このましいのか。

60．天地てんちの創造そうぞう主ぬしは誰だれか。誰だれがあなたのために慈雨じうを降ふらせられるのか。その慈雨じうにより、果樹かじゅは生おい茂しげり、美うつくしい果樹かじゅ園えんとなる。見みてご覧らん。あなたがアッラーと呼よぶものがなした事ことを。そこでは樹木じゅもくは成長せいちょうするか。否いな。あなた方かたの呼よぶアッラーと言いう名なの神かみ々は全すべてを荒廃こうはいさせる。あなた方かたは導みちびかれた民みんではなく外はずれた民みんなのだ。

61．アッラーは大地だいちを不動ふどうの地ちとされる。そこに川かわ(人ひとの思考しこう)を設もうけ、そこに山々やまやま(数々かずかずの宗教しゅうきょう)を置おいて安定あんていさせ、二ふたつの海うみ(アッラーの思考しこうと人々ひとびとの思考しこうと言いう二ふたつの思考しこう)の間あいだを仕切しきらせる。彼かれらの呼よぶアッラーや他たの神かみ々にこのような事ことができるであろうか。いや、彼かれらはこれを知しらないから、アッラーではないものをアッラーと呼よぶのだ。

62．苦難くなんに遭あう時ときに、その苦難くなんをよく除のぞき、あなた方かたにこの地ちを継つがせられるのは誰だれか。人々ひとびとを苦難くなんに陥おとしいれ、言いいわけにい訳いわけを重かさね、自みずからを正当せいとう化かする者ものたちよ。汝なんじらの呼よぶアッラーがアッラーなのか。汝なんじらの呼よぶ神かみがアッラーなのか。彼かれらは《苦難くなんをよく除のぞく》と言いう事ことに少すこしも留意りゅういする事ことがない。

63．陸りくと海うみの暗黒あんこくの中なかであなた方かたを導みちびく事ことができる者ものは誰だれか。また、慈悲じひの前兆ぜんちょうとして風かぜをおくられるのは誰だれか。暗黒あんこくの陸りくや海うみをつくる者ものたちよ。アッラーは、あなた方かたの呼よぶアッラーと言いう名なの偶像ぐうぞうの上うえに高たかくおわします。

64．創造そうぞう主ぬしは誰だれか。創造そうぞうを繰くり返かえし、人々ひとびとを扶養ふようされる方ほうは誰だれなのか。アッラーの名なを唱となえながら、人々ひとびとの扶養ふようの糧かてを奪うばう者ものよ、あなた方かたはそれでも、自みずからをアッラーの僕ぼくと語かたるのか。あなた方かたの呼よぶアッラーが、真実しんじつのアッラーであると言いう証拠しょうこを出だしてご覧らん。

65．あなた方かたは、《わたしはアッラーを信仰しんこうする故ゆえに裁さばかれない》と語かたるつもりか。だが、このような事ことはあなた方かたには分わからない。あなた方かた自身じしん、どこに振ふり分わけられるのかも知しらないではないか。

66．あなた方かたの知識ちしきは来世らいせにも及およばない。いや、それにすらも疑問ぎもんを抱だいている。このような輩やからを盲目もうもくの徒とと呼よぶのだ。

67．不信ふしんの徒とは言いう。「わたしたちや、わたしたちの祖先そせんが、泥どろに返かえってから、本当ほんとうに甦よみがえらせられるのだろうか。

68．このような話はなしを、先祖せんぞも約束やくそくされたと言いっている。だが、誰だれもこれを見みたものはいない。これは、我々われわれを脅おどすための昔むかしからの技法ぎほうのひとつに過すぎない。」

69．ならば、地上ちじょうを旅たびして、罪深つみぶかい者ものの残のこしたものと、信仰しんこう深ふかい者ものの残のこしたものを見比みくらべよ。罪深つみぶかい者ものが、どのような最後さいごを迎むかえるのかよく見みてご覧らん。

70．あなたが、このような輩やからについて悲観ひかんする必要ひつようもなければ、彼かれらの策謀さくぼうに心しんを痛いためる必要ひつようもない。

71．彼かれらはこのように語かたる。「これが真実しんじつだと言いうのならば、いつ起おこるのか。」と。

72．語かたれ。「あなた方かたが求もとめる事ことのいくつかは、あなた方かたの身近みぢかに迫せまっているのも知しれない。」

73．あなたの主あるじは人間にんげんに恩恵おんけいをもたらす御方おかたであられる。だが、ほとんどの人ひとは感謝かんしゃすらしない。

74．そして、あなたの主あるじは人ひとが胸むねに隠かくすことも、現あらわす事こともすべて御存ごぞんじなのだ。

75．数々かずかずの啓けい典てんがある。天てんと地ちの隠かくされた事ことは、すべて明瞭めいりょうにこれらの書冊しょさつの中なかに記しるされている。

76．そして、このクルアーンは、イスラエルの子孫しそんに、彼かれらが論議ろんぎしている最もっとも大おおきな課題かだいについて語かたるものである。

77．その課題かだいとは、《信仰しんこうの道みちとは何なにか》というものである。真しんの信仰しんこう者しゃにはこれは導みちびきとなり、慈悲じひとなる。

78．アッラーは、御ご自分じぶんの叡智えいちで彼かれらの間あいだを裁定さいていされよう。彼かれは偉力いりょく並ならびなく全知ぜんちであられる。

79．《アッラーにお任まかせする》ならば、人ひとは明確めいかくな真理しんりの上うえにいる。

80．だが、これに背せを向むける者ものは、アッラーの道みちに於おいて死しんでいる。あなたは死者ししゃに者ものを聞きかせる事ことができようか。また、多おおくの者ものは、アッラーが彼かれらの耳みみを塞ふさがれている。あなたは聞きこえぬ者ものに聞きかせる事ことができようか。

81．また、多おおくの者ものは盲人もうじんである。どうして、あなたが見みえない者ものを、迷まよいから救すくい出だせようか。結局けっきょく、あなたに出来できる事ことは、アッラーの印しるしを真しんに信しんじる者ものに聞きか せる事ことだけである。服従ふくじゅう・帰依きえすべき者ものは、服従ふくじゅう・帰依きえする。

82．彼かれらに対たいし御ご言葉ことばが実現じつげんされる時ときが来くる。アッラーは大地だいちより獣ししを現あらわされ、人間にんげんたちがアッラーの印しるしを信しんじなかった事ことを告つげさせられよう。

83．その日ひアッラーは、それぞれの民族みんぞくから、アッラーの印しるしを虚偽きょぎとした一群いちぐんを集あつめられ、彼かれらを隊列たいれつに並ならばされる。

84．彼かれらは、審判しんぱんの席せきにまで引ひいてこられる。その時ときアッラーはこう仰おおせられよう。「あなた方かたは自分じぶんの知識ちしきではわたしの印しるしを理解りかい出来できなかったではないか。それなのに、自分じぶんの知識ちしきを先さきにし、わたしの印しるしをあとにした。結局けっきょく、あなた方かたはわたしの印しるしを嘘うそであるとして信しんじなかったのだ。あなた方かたは、いったい何なにをしてきたのか。」

85．アッラーの御ご言葉ことばが彼かれらの上うえに下くだる。彼かれらは自分じぶんたちの行おこなった悪行あくぎょうゆえに一言ひとことも語かたれないであろう。

86．アッラーは彼かれらの憩いこいのために夜よるを設もうけられ、よく見みえるために昼ひるを定さだめられた。しかし、彼かれらは見みえない夜よるに《見みえる》と叫さけび人々ひとびとの憩いこいを奪うばい取とり、見みる べき昼ひるに《平安へいあん》と語かたり、人々ひとびとの見みる眼めを奪うばってきた。

87．ラッパが吹ふかれる日ひ、天てんにあるものも地ちにあるものも畏おそれおののき、皆みな、背せなかを丸まるめ、目めを伏ふせアッラーの前まえにまかり出でる。アッラーが自みずからお選えらびになられるお好このみの者もの以外いがいは。

88．あなたは山々やまやまを見みて堅固けんごであると思おもい、その山々やまやまに身みを寄よせる。しかし、あなたが身みを寄よせるその山々やまやまは雲くもの如ごときもの。それは全すべてを完成かんせいさせられるアッラーの御ご業ぎょうの一ひとつに過すぎない。アッラーはあなた方かたが何なにを行おこなうのかも熟知じゅくちしていらっしゃる。

89．善事ぜんじを携たずさえてくる者ものは、それよりも善よいものを与あたえられる。その日ひ、恐おそれから解とき放はなたれるであろう。

90．悪事あくじを携たずさえてくる者ものは、顔かおから先さきに火ひ獄ごくに投なげ込こまれるであろう。結局けっきょく、あなた方かたは自分じぶんの行おこなった事ことの報むくいを自分じぶんで受うけなくてはならない。

91．わたしムハンマドは、聖域せいいきとされたこの町まち(イスラーム)の主おも、アッラーだけに仕つかえなさいと命めいじられた。すべての有ゆうは、アッラーに属ぞくする。わたしは服従ふくじゅう・帰依きえする者ものの一人ひとりであるように命めいじられ、

92．また、クルアーンを読誦とくしょうするようにとあなた方かたに遣つかわされた者ものである。結局けっきょく、導みちびきを受うける者ものは、わたしがそうであるように、自分じぶん自身じしんのために導みちびかれるのだ。わたしムハンマドは、あなた方かたにとって何なになのか。《わたしは警告けいこく者しゃの一人ひとりに過すぎない》のだ。

93．《アッラーのみを讃たたえよ》アッラーはあなた自身じしんに数々かずかずの印しるしを示しめされる。そして、あなた方かたも、それを知しる事こととなるであろう。主あるじは、あなた方かた一いち人にんひとりの行おこなう事ことを、疎おろかにされる事ことはない。

外部がいぶリンク

• 日本にっぽんムスリム情報じょうほう事務所じむしょ 聖せいクルアーン日本語にほんご訳やく