婦人ふじん (クルアーン)

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婦人ふじん
النسآء
An-Nisāʾ
アン・ニサーア
婦人ふじん
啓示けいじ マディーナ啓示けいじ
章あきら題だいの意味いみ 婦人ふじんに関かんする啓示けいじが多おおい[1]
詳細しょうさい
スーラ 第だい4章しょう
アーヤ 全ぜん176節せつ
ジュズウ 4 – 6番ばん
ルクー 24回かい
前ぜんスーラ イムラーン家か
次じスーラ 食卓しょくたく
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『婦人ふじん』(ふじん、アラビア語ご: سورة النساء‎, Sūratu an-Nisā)[2])とは、クルアーンにおける第だい4番目ばんめの章あきら（スーラ）。176の節ふし（アーヤ）から成なる[1]。

36節せつは、孤児こじ・貧者ひんじゃ・旅行りょこう者しゃなどに親切しんせつにするよう命めいじられている啓示けいじ[3]。

本章ほんしょうの題名だいめいは第だい3-4節せつや第だい127-130節せつを代表だいひょうとして本章ほんしょうを通つうじて女性じょせいに対たいして無数むすうの言及げんきゅうがなされていることに由来ゆらいする[4]。

啓示けいじの時期じき[編集へんしゅう]

本章ほんしょうはマディーナで啓示けいじされた[4]ことがAllamah Muhammad Hussain Tabatabaiによって確証かくしょうされており、彼かれによれば、本章ほんしょうの内容ないようからしてヒジュラ以降いこうに啓示けいじされたことは間違まちがいないという[5]。

『婦人ふじん』は通常つうじょうクルアーンの第だい四よんの章しょうとされるが、ネルデケによるスーラの分類ぶんるいによれば、イスラームの伝統でんとうに基もとづけば『婦人ふじん』はほぼ百ひゃく番目ばんめに啓示けいじされた章あきらであるという[6]。Amir-Aliは本章ほんしょうを94番目ばんめに啓示けいじされた章あきらだとしている一方いっぽう、Hz. OsmanとIbn`Abbasは92番目ばんめに啓示けいじされたと考かんがえている[7]。また、Ja`fer es-Sadikは本章ほんしょうを91番目ばんめの章しょうだと考かんがえている[7]。孤児こじを考慮こうりょした立法りっぽうがなされていること基もとづけば本章ほんしょうは、多おおくのムスリムが殺ころされ新あらたなムスリムの共同きょうどう体たいに多数たすうの被ひ扶養ふよう者しゃをもたらしたウフドの戦たたかいの後のちに啓示けいじされた可能かのう性せいが非常ひじょうに高たかい[8]。それゆえ啓示けいじが始はじまったのはヒジュラ暦れき3年ねんごろだが8年ねんまでに終おわることはなかった[9]。そのため、クルアーン中ちゅう二に番目ばんめに長ながい期間きかんに啓示けいじされた本章ほんしょうの各かく部分ぶぶんは最もっとも長ながい期間きかんに啓示けいじされた章あきらである第だい60章しょう『試問しもんされる女おんな』と啓示けいじされた時期じきが重かさなっている[10]。しかしながら、そうした非ひ連続れんぞく的てきで長期間ちょうきかんにわたる啓示けいじにもかかわらず、本章ほんしょうはその主題しゅだいに一貫いっかん性せいがある[11]。

さらに、クルアーンの中なかでの本章ほんしょうの位置いちと関連付かんれんづけて、ニール・ロビンソンは彼かれの言いうところのスーラの「切きり組くみ」(英えい: dovetailing)について述のべている[12]。クルアーンの構造こうぞうに関かんするこの考かんがえに基もとづけば、一ひとつのスーラの終おわりにある主題しゅだいは次つぎのスーラですぐに話題わだいに出だされるという[12]。第だい3章しょう『イムラーン家か』には章しょうの終おわり近ちかくで男性だんせいと女性じょせいについての議論ぎろんがなされている(3.195)[12]。このテーマは第だい4章しょうの冒頭ぼうとうでも続行ぞっこうされている:[12] 「人間にんげんどもよ、汝なんじらの主あるじを畏おそれまつれ。汝なんじらをただひとりの者ものから創つくり出だし、その一部いちぶから配偶はいぐう者しゃを作つくり出だし、この両人りょうにんから無数むすうの男おとこと女おんなとを(地上ちじょうに)播まき散ちらし給たまうたお方かたにましますぞ。アッラーを畏おそれまつれ。汝なんじらお互たがい同士どうしで頼たのみごとする時ときに、いつもその御名ぎょめいを引ひき合あいに出だし奉たてまつるお方かたではないか[13]。」[14] この切きり組くみ構造こうぞうはスーラを配列はいれつする際さいの複雑ふくざつな編集へんしゅう過程かていを示しめしている[15]。

内容ないようと背景はいけい[編集へんしゅう]

本章ほんしょうは許容きょようされるムスリムの行動こうどうを概説がいせつすることで新あたらしく作つくられたムスリム共同きょうどう体たいを保護ほごすることを狙ねらいとしている[16]。本章ほんしょうはクルアーンの権威けんいある法ほう源げんとしての地位ちいや共同きょうどう体たいを形作かたちづくる能力のうりょくを例証れいしょうしている[17]。本章ほんしょうはそれ以前いぜんに異教徒いきょうとのアラブ人じんたちが行おこなっていた慣習かんしゅうを根絶こんぜつすることを狙ねらいとしており、それらの慣習かんしゅうはムスリム共同きょうどう体たいではもはや道徳どうとく的てきとみなされなくなった[18]。例たとえば、本章ほんしょうのうち孤児こじの少女しょうじょを公正こうせいに扱あつかうことに関かんする部分ぶぶん(4:2-4)では、その財産ざいさんを得えるために孤児こじの少女しょうじょと結婚けっこんするというイスラーム以前いぜんのアラブの慣習かんしゅうが扱あつかわれている[19]。

主題しゅだいの内容ないように関かんして言いうと、『婦人ふじん』は女性じょせいに対たいする関心かんしんを扱あつかうだけでなく、相続そうぞく、婚姻こんいん法ほう、子供こどもや孤児こじの扱あつかい方かた、法的ほうてき実践じっせん、ジハード、ムスリム共同きょうどう体たいと啓けい典てんの民みんとの関係かんけい、戦争せんそう、キリスト教徒きりすときょうとが主張しゅちょうするような子こなる神かみというよりむしろ預言よげん者しゃとしてのイエスの地位ちいといったことも議論ぎろんされている[20]。本章ほんしょうで戦争せんそうを議論ぎろんする際さい、戦争せんそうでは弱者じゃくしゃのために戦たたかうようにムスリム共同きょうどう体たいに焚たき付つけており[19]、たとえば4:75ではこう述のべられている: 「これ、汝なんじら、何なにゆえアッラーの御ご為ためめに、またあの力ちから弱よわい男おとこや女おんなや子供こどもたちのために戦たたかおうとしないのか。みんなああして訴うったえておるではないか、『神様かみさま、どうぞ私わたしどもをこの市しから連つれ出だし給たまえ。ここの住民じゅうみんたちは不義ふぎなす徒とばかりでございます。どうぞ貴方あなた様さまの側がわから私わたしどもに誰だれか保護ほご者しゃをお立たて下ください。どうぞ貴方あなた様さまの側がわから私わたしどもに誰だれか助たすけ手しゅをお立たて下ください』と[21]。」[22] 本章ほんしょうでは初期しょきのムスリム共同きょうどう体たいが直面ちょくめんした多おおくの問題もんだいについて語かたられ、共同きょうどう体たいが直面ちょくめんした脅威きょういに対たいする応答おうとうが与あたえられている。本章ほんしょうで語かたられる多種たしゅ多様たような問題もんだいと本章ほんしょうの長ながさにより本章ほんしょうは文学ぶんがく的てき構造こうぞうに分割ぶんかつするのが困難こんなんになっている。しかし、本章ほんしょうの各かく部分ぶぶんに表あらわされたテーマの研究けんきゅうに基もとづいて、Amīn Ahsan Islāhīが本章ほんしょうを主題しゅだいの内容ないように即そくして三みっつの部分ぶぶん、つまり、社会しゃかい改革かいかく、イスラーム共同きょうどう体たいとその敵てき、結論けつろんの三みっつに分割ぶんかつしている[23]。Mathias Zahniserは本章ほんしょうの構造こうぞうを観察かんさつする別べつの方法ほうほうを発表はっぴょうしている。彼かれによれば、本章ほんしょうの中心ちゅうしん的てきなテーマはキリスト教徒きりすときょうとに説明せつめいすることにあるという。彼かれは対句ついく、反復はんぷく、円まどか環たまき論法ろんぽう（英語えいご版ばん） といった技法ぎほうに基もとづいた本章ほんしょうの構造こうぞうの考察こうさつに基もとづいてこの結論けつろんに達たっした[24]。しかし、カール・エルンストはこんな広大こうだいなスーラを理解りかいするためにはこうした構造こうぞう分析ぶんせきを施ほどこす必要ひつようのある仕事しごとがまだまだあると述のべている[24]。

『クルアーンと女性じょせい』(英えい:Qur'an and Woman)においてAmina Wadudがクルアーンの解釈かいしゃくを伝統でんとう的てき、反動はんどう的てき、全体ぜんたい論ろん的てきの三みっつのカテゴリに分類ぶんるいしている[25]。一いち種類しゅるい目めの解釈かいしゃくが本章ほんしょうに適用てきようされることでムスリム共同きょうどう体たいにおける女性じょせいの地位ちいに対たいする見方みかたに大おおきな影響えいきょうが与あたえられた。フェミニストは三さん番目ばんめの全体ぜんたい論ろん的てきな解釈かいしゃくによってクルアーンを読よむ[26]が、この解釈かいしゃくは『婦人ふじん』との関係かんけいに妥当だとうし、本章ほんしょうの解釈かいしゃくを新あらたに生うみ出だすことができる。

章句しょうくの例れい[編集へんしゅう]

マグレブ字体じたいによる13世紀せいきのクルアーン写本しゃほんの『婦人ふじん』の章あきら

以下いか、クルアーン本文ほんぶんは岩波いわなみ文庫ぶんこ版ばん、井筒いづつ俊彦としひこ訳やくを引用いんようした。

[Quran 4:3][編集へんしゅう]

وَإِنْ خِفْتُمْ أَلَّا تُقْسِطُوا فِي الْيَتَامَى فَانْكِحُوا مَا طَابَ لَكُمْ مِنَ النِّسَاءِ مَثْنَى وَثُلَاثَ وَرُبَاعَ فَإِنْ خِفْتُمْ أَلَّا تَعْدِلُوا فَوَاحِدَةً أَوْ مَا مَلَكَتْ أَيْمَانُكُمْ ذَلِكَ أَدْنَى أَلَّا تَعُولُوا
「もし汝なんじら(自分じぶんだけでは)孤児こじに公正こうせいにしてやれそうもないと思おもったら、誰だれか気きに入いった女おんなをめとるがよい、二人ふたりなり、三さん人にんなり、四よん人にんなり。だがもし(妻つまが多おおくては)公平こうへいにできないようならば一人ひとりだけにしておくか、さもなくばお前まえたちの右手みぎてが所有しょゆうしているものだけで我慢がまんしておけ。その方ほうが片手落かたておちになる心配しんぱいが少すくなくてすむ。」

イスラームの一夫多妻いっぷたさい制せいを扱あつかっている。 最初さいしょの文ぶんは自身じしんの子供こどもと平等びょうどう・公平こうへいに扱あつかえる限かぎりで孤児こじを養子ようしにすることを人々ひとびとに勧すすめている。つまりこれは結婚けっこんを超こえて孤児こじを養子ようしにすることを提案ていあんしているのである。

[Quran 4:4][編集へんしゅう]

وَآتُوا النِّسَاءَ صَدُقَاتِهِنَّ نِحْلَةً فَإِنْ طِبْنَ لَكُمْ عَنْ شَيْءٍ مِنْهُ نَفْسًا فَكُلُوهُ هَنِيئًا مَرِيئًا
「妻つまたちには贈与ぞうよ財ざいをこころよく払はらってやれよ。だが、女おんなの方ほうで汝なんじらに特とくに好意こういを示しめして、その一部いちぶを返かえしてくれた場合ばあいには、遠慮えんりょなく喜よろこんで頂戴ちょうだいするがよい。」

[Quran 4:11][編集へんしゅう]

يُوصِيكُمُ اللَّهُ فِي أَوْلَادِكُمْ لِلذَّكَرِ مِثْلُ حَظِّ الْأُنْثَيَيْنِ فَإِنْ كُنَّ نِسَاءً فَوْقَ اثْنَتَيْنِ فَلَهُنَّ ثُلُثَا مَا تَرَكَ وَإِنْ كَانَتْ وَاحِدَةً فَلَهَا النِّصْفُ وَلِأَبَوَيْهِ لِكُلِّ وَاحِدٍ مِنْهُمَا السُّدُسُ مِمَّا تَرَكَ إِنْ كَانَ لَهُ وَلَدٌ فَإِنْ لَمْ يَكُنْ لَهُ وَلَدٌ وَوَرِثَهُ أَبَوَاهُ فَلِأُمِّهِ الثُّلُثُ فَإِنْ كَانَ لَهُ إِخْوَةٌ فَلِأُمِّهِ السُّدُسُ مِنْ بَعْدِ وَصِيَّةٍ يُوصِي بِهَا أَوْ دَيْنٍ آبَاؤُكُمْ وَأَبْنَاؤُكُمْ لَا تَدْرُونَ أَيُّهُمْ أَقْرَبُ لَكُمْ نَفْعًا فَرِيضَةً مِنَ اللَّهِ إِنَّ اللَّهَ كَانَ عَلِيمًا حَكِيمًا
「汝なんじらの子供こどもに関かんしてアッラーはこうお命めいじになっておられる。男おとこの子こには女おんなの子この二人ふたり分ぶんを。」

[Quran 4:17][編集へんしゅう]

إِنَّمَا التَّوْبَةُ عَلَى اللَّهِ لِلَّذِينَ يَعْمَلُونَ السُّوءَ بِجَهَالَةٍ ثُمَّ يَتُوبُونَ مِنْ قَرِيبٍ فَأُولَئِكَ يَتُوبُ اللَّهُ عَلَيْهِمْ وَكَانَ اللَّهُ عَلِيمًا حَكِيمًا
「と言いっても(アッラーの)お許ゆるしが働はたらくのは、知しらずに悪わるい事ことをして、しかもすぐ後うしろで悔悛かいしゅんする人ひとの場合ばあいに限かぎる。そういう人ひとたちにだけは、アッラーも赦ゆるしのお顔かおを向むけ給たまう。まことアッラーは全知ぜんちにして至高しこうの智者ちしゃにおわします。」

この節ふしはアッラーの赦ゆるしについて述のべている。

[Quran 4:23][編集へんしゅう]

حُرِّمَتْ عَلَيْكُمْ أُمَّهَاتُكُمْ وَبَنَاتُكُمْ وَأَخَوَاتُكُمْ وَعَمَّاتُكُمْ وَخَالَاتُكُمْ وَبَنَاتُ الْأَخِ وَبَنَاتُ الْأُخْتِ وَأُمَّهَاتُكُمُ اللَّاتِي أَرْضَعْنَكُمْ وَأَخَوَاتُكُمْ مِنَ الرَّضَاعَةِ وَأُمَّهَاتُ نِسَائِكُمْ وَرَبَائِبُكُمُ اللَّاتِي فِي حُجُورِكُمْ مِنْ نِسَائِكُمُ اللَّاتِي دَخَلْتُمْ بِهِنَّ فَإِنْ لَمْ تَكُونُوا دَخَلْتُمْ بِهِنَّ فَلَا جُنَاحَ عَلَيْكُمْ وَحَلَائِلُ أَبْنَائِكُمُ الَّذِينَ مِنْ أَصْلَابِكُمْ وَأَنْ تَجْمَعُوا بَيْنَ الْأُخْتَيْنِ إِلَّا مَا قَدْ سَلَفَ إِنَّ اللَّهَ كَانَ غَفُورًا رَحِيمًا
「汝なんじらの娶めとってならぬ相手あいてとしては、自分じぶんの母親ははおや、娘むすめ、姉妹しまい、父方ちちかたの叔母おばに母方ははかたの叔母おば、兄弟きょうだいの娘むすめに姉妹しまいの娘むすめ、自分じぶんに乳ちちを飲のませてくれた母はは、乳ちち姉妹しまい、妻つまの母親ははおや、汝なんじらが肉体にくたい的てき交渉こうしょうをもった妻つまが(以前いぜんに)生うんで(連つれて来きた)継つぎ娘むすめで(今いまは)汝なんじらが後見こうけんしている者もの―だが勿論もちろん、まだ交渉こうしょうをもたぬうちなら(その連つれ子こを妻つまにしても)罪ざいにはならぬ―それからまた自分じぶんの腰こしから出でた息子むすこの配偶はいぐう者しゃ。姉妹しまいを二に人にん同時どうじに妻つまにすることもいけない。ただし過去かこのことは問とわない。まことにアッラーは慈悲じひ深ふかく、情深なさけぶかくおわします。

この節ふしでは結婚けっこんしてはいけない女性じょせいが詳述しょうじゅつされる。繰くり返かえしが24節せつの冒頭ぼうとう「それから(娶めとっていけないのは)正式せいしきの夫おっとを持もつ女おんな。但ただし汝なんじらの右手みぎての所有しょゆうにかかるものはそのかぎりにあらず。」まで続つづく。

[Quran 4:24][編集へんしゅう]

وَالْمُحْصَنَاتُ مِنَ النِّسَاءِ إِلَّا مَا مَلَكَتْ أَيْمَانُكُمْ كِتَابَ اللَّهِ عَلَيْكُمْ وَأُحِلَّ لَكُمْ مَا وَرَاءَ ذَلِكُمْ أَنْ تَبْتَغُوا بِأَمْوَالِكُمْ مُحْصِنِينَ غَيْرَ مُسَافِحِينَ فَمَا اسْتَمْتَعْتُمْ بِهِ مِنْهُنَّ فَآتُوهُنَّ أُجُورَهُنَّ فَرِيضَةً وَلَا جُنَاحَ عَلَيْكُمْ فِيمَا تَرَاضَيْتُمْ بِهِ مِنْ بَعْدِ الْفَرِيضَةِ إِنَّ اللَّهَ كَانَ عَلِيمًا حَكِيمًا
「それから(娶めとっていけないのは)正式せいしきの夫おっとを持もつ女おんな。但ただし汝なんじらの右手みぎての所有しょゆうにかかるものはそのかぎりにあらず。これが汝なんじらに対たいするアッラーの御ご掟おきてであるが、この掟おきての外そとであれば、己おのれが財力ざいりょくの許ゆるすかぎりで、といっても放縦ほうしょうな野合やごうはならぬが、正式せいしきに結婚けっこんして、妻つまを求もとめることは差さ支ささえない。そして、女おんなたちから快楽かいらくを得えたならば、所定しょていの報酬ほうしゅうを払はらってやること。その場合ばあい、所定しょていの報酬ほうしゅう額がく以上いじょうのことは、当事とうじ者しゃの間あいだで自由じゆうに取とりきめてよろしい。まことアッラーは全知ぜんちにして至高しこうの智者ちしゃにおわします。」

シーア派はの釈義しゃくぎによれば、この節ふしこそが「ムタア(歓よろこび)の節ふし」と呼よばれてきた[27]。

[Quran 4:34][編集へんしゅう]

الرِّجَالُ قَوَّامُونَ عَلَى النِّسَاءِ بِمَا فَضَّلَ اللَّهُ بَعْضَهُمْ عَلَى بَعْضٍ وَبِمَا أَنْفَقُوا مِنْ أَمْوَالِهِمْ فَالصَّالِحَاتُ قَانِتَاتٌ حَافِظَاتٌ لِلْغَيْبِ بِمَا حَفِظَ اللَّهُ وَاللَّاتِي تَخَافُونَ نُشُوزَهُنَّ فَعِظُوهُنَّ وَاهْجُرُوهُنَّ فِي الْمَضَاجِعِ وَاضْرِبُوهُنَّ فَإِنْ أَطَعْنَكُمْ فَلَا تَبْغُوا عَلَيْهِنَّ سَبِيلًا إِنَّ اللَّهَ كَانَ عَلِيًّا كَبِيرًا
「男おとこは女おんなの擁護ようご者しゃ（家長かちょう）である。それはアッラーが、一方いっぽうを他たよりも強つよくなされ、かれらが自分じぶんの財産ざいさんから（扶養ふようするため）、経費けいひを出だすためである。それで貞節ていせつな女おんなは従順じゅうじゅんに、アッラーの守護しゅごの下したに（夫おっとの）不ふ在中ざいちゅうを守まもる。あなたがたが、不ふ忠実ちゅうじつ、不行跡ふぎょうせきの心配しんぱいのある女おんなたちには諭さとし、それでもだめならこれを臥所ふしどに置おき去ざりにし、それでも効ききめがなければこれを打ぶて。それで言いうことを聞きくようならばかの彼女かのじょに対たいして（それ以上いじょうの）ことをしてはならない。本当ほんとうにアッラーは極きわめて高たかく偉大いだいであられる。」

[Quran 4:116][編集へんしゅう]

إِنَّ اللّهَ لاَ يَغْفِرُ أَن يُشْرَكَ بِهِ وَيَغْفِرُ مَا دُونَ ذَلِكَ لِمَن يَشَاء وَمَن يُشْرِكْ بِاللّهِ فَقَدْ ضَلَّ ضَلاَلاً بَعِيدًا

偶像ぐうぞう崇拝すうはいの禁止きんしを説とく節ふしである。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ a b 日本にっぽんムスリム情報じょうほう事務所じむしょ 聖せいクルアーン日本語にほんご訳やく
  2. ^ The Meaning of the Glorious Qur'ân,: 4. an-Nisa': Women
  3. ^ 片倉かたくらもとこ 『イスラーム世界せかい事典じてん』p.378「もてなし」
  4. ^ a b Haleem, M. A. S. Abdel. The Qur'an. New York: Oxford University Press, 2008. Print.
  5. ^ “Tafsir Al-Mizan - An Exegesis of the Holy Quran by the Late Allamah Muhammad Hussain Tabatabai.” Web. 25 Nov. 2012.
  6. ^ Robinson, Neal. Discovering the Qur'an: A Contemporary Approach to a Veiled Text. London: SCM Press LTD, 1996. Print.77.
  7. ^ a b Smith, Clay Chip. "Revelation Order of the Qur'an According to 13 Sources." A Chronological Perspective of the Qur'an. N.p.. Web. 25 Nov 2012. <http://www.Clay.Smith.name/Revelation_Order.doc>.
  8. ^ Robinson, Neal. Discovering the Qur'an: A Contemporary Approach to a Veiled Text. London: SCM Press LTD, 1996. Print. 80.
  9. ^ Qutb, Sayyid. In the Shade of the Qur'an. 3. eBook.<“アーカイブされたコピー”. 2015年ねん9月がつ11日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2012年ねん11月26日にち閲覧えつらん。>.
  10. ^ Qutb, Sayyid. In the Shade of the Qur'an. 3. eBook. <“アーカイブされたコピー”. 2015年ねん9月がつ11日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2012年ねん11月26日にち閲覧えつらん。>
  11. ^ Tafsir Al-Mizan - An Exegesis of the Holy Quran by the Late Allamah Muhammad Hussain Tabatabai.” Web. 25 Nov. 2012.
  12. ^ a b c d Robinson, Neal. Discovering the Qur'an: A Contemporary Approach to a Veiled Text. London: SCM Press LTD, 1996. Print. 266.
  13. ^ 『コーラン(上うえ)』井筒いづつ俊彦としひこ訳やく、岩波いわなみ文庫ぶんこ、p108
  14. ^ Haleem, M. A. S. Abdel. The Qur'an. New York: Oxford University Press, 2008. Print. 50
  15. ^ Robinson, Neal. Discovering the Qur'an: A Contemporary Approach to a Veiled Text. London: SCM Press LTD, 1996. Print. 270.
  16. ^ Qutb, Sayyid. In the Shade of the Qur'an. 3. eBook. <“アーカイブされたコピー”. 2015年ねん9月がつ11日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2012年ねん11月26日にち閲覧えつらん。>.
  17. ^ Ernst, Carl W. How to Read the Qur'an : A New Guide, with Select Translations. Chapel Hill: The University of North Carolina Press, 2011. Ebook Library. Web. 25 Nov. 2012.
  18. ^ Qutb, Sayyid. In the Shade of the Qur'an. 3. eBook. <“アーカイブされたコピー”. 2015年ねん9月がつ11日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2012年ねん11月26日にち閲覧えつらん。
  19. ^ a b Haleem, M. A. S. Abdel. The Qur'an. New York: Oxford University Press, 2008. Print. 50.
  20. ^ Qutb, Sayyid. In the Shade of the Qur'an. 3. eBook. <“アーカイブされたコピー”. 2015年ねん9月がつ11日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2012年ねん11月26日にち閲覧えつらん。>
  21. ^ 『コーラン(上うえ)』井筒いづつ俊彦としひこ訳やく、岩波いわなみ文庫ぶんこ、p122-123
  22. ^ Haleem, M. A. S. Abdel. The Qur'an. New York: Oxford University Press, 2008. Print. 57.
  23. ^ Boullata, Issa J. Literary Structures of Religious Meaning in the Qur'an. Richmond: Curzon Press, 2000. eBook. 29
  24. ^ a b Ernst, Carl W. How to Read the Qur'an : A New Guide, with Select Translations. Chapel Hill: The University of North Carolina Press, 2011. Ebook Library. Web. 25 Nov. 2012. 190.
  25. ^ Wadud, Amina. Qur'an and Woman: Rereading the Sacred Texts from a Woman's Perspective. New York: Oxford University Press, 1999. Print. 1.
  26. ^ Wadud, Amina. Qur'an and Woman: Rereading the Sacred Texts from a Woman's Perspective. New York: Oxford University Press, 1999. Print. 3.
  27. ^ Answering-Ansar.org Mut'ah, a comprehensive guide

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • 『コーラン(上うえ)』井筒いづつ俊彦としひこ訳やく、岩波いわなみ文庫ぶんこ、1964年ねん8月がつ16日にち改版かいはん

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

ウィキソースにAn Nisa (Qur'an)の原文げんぶんがあります。

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]

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スーラ 全ぜん114章しょう
ジュズウ （章あきら）

章あきら題だい

1〜13 （01-）
14 （15-）
15〜16 （17-）
17 （21-）
18〜25 （23-）
26〜27 （46-）
28 （58-）
29 （67-）
30 （78-）
関連かんれん項目こうもく
太字ふとじ۩の計けい14章しょう＝サジダ節ぶしあり （22「巡礼じゅんれい」のみ2節せつで計けい15）。　*の計けい29章しょう＝章あきらの冒頭ぼうとうに神秘しんぴ文字もじあり。
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