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証明しょうめい (数学すうがく)

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
原論げんろんにおける最初さいしょ命題めいだい証明しょうめい(オリヴァー・バーン編纂へんさんによる英語えいごばん)。ただし原論げんろんではえんまじわることが保証ほしょうされていないため[1]厳密げんみつには適当てきとう連続れんぞくせい公理こうり必要ひつようとなる。

数学すうがくにおける証明しょうめい (しょうめい、英語えいご: Mathematical proof) とは、ある命題めいだいただしいことを主張しゅちょうするための一連いちれん演繹えんえきのこと。証明しょうめいかく段階だんかいにおいては、前提ぜんてい公理こうり定理ていりひとしみとめられた事実じじつ)や仮定かていから推論すいろん規則きそくによってあらたな命題めいだいみちびくという形態けいたいをとる。ある証明しょうめいなか導入どうにゅうされた仮定かていは、証明しょうめいべつ部分ぶぶん証明しょうめいされるか、その証明しょうめいなか否定ひていされなければならない(背理法はいりほう)。

命題めいだい P を証明しょうめいしたいとき、P をそのまま証明しょうめいすることを直接ちょくせつ証明しょうめいという。それにたいして P がしんであることを直接ちょくせつ証明しょうめいするわりに、P と同値どうちべつ命題めいだいしんであることを証明しょうめいする方法ほうほう間接かんせつ証明しょうめいという(これらはあくまで直観ちょっかんてき分類ぶんるいぎず、数学すうがくてき定義ていぎがあるわけではない)。

代表だいひょうてき方法ほうほう

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証明しょうめい代表だいひょうてきなテクニックを以下いかしめす。

対偶たいぐうほう
命題めいだい P⇒Q を証明しょうめいするわりに、これと同値どうちな ¬Q⇒¬P を証明しょうめいする方法ほうほう(¬は否定ひてい)。[2]
背理法はいりほう帰謬法きびゅうほう
命題めいだい P を証明しょうめいするわりに、¬P がにせであることを証明しょうめいする方法ほうほう(¬P がにせであることを証明しょうめいするには、¬P を仮定かていして矛盾むじゅんみちびけばよい)。[3]
反例はんれい
命題めいだいすべてのxがP(x)をたす」 がにせであることをしめすには、 P(x) をたさない x をひとつあげればよいというもの。¬∀x, P(x) と ∃x, ¬P(x) が同値どうちであることを利用りようする(∀はすべての」、∃は存在そんざいする」)。[4]
転換てんかんほう
すべての状況じょうきょうが P, Q, R のいずれかに分類ぶんるいでき、A, B, C が独立どくりつであるとする。いま「P⇒A」「Q⇒B」「R⇒C」が証明しょうめいできていたとする。このとき、それらのぎゃく「A⇒P」「B⇒Q」「C⇒R」も成立せいりつする。
どう一法いっぽう
A ⇒ B がち、B をたすものがただひとつであれば、B ⇒ A がつ。
ディリクレのはこ論法ろんぽうばと原理げんり
n+1 以上いじょうのボールのそれぞれが n はこのいずれかにはいっているとする。このとき、すくなくとも1個いっこはこには2以上いじょうのボールがはいっている。[5]
数学すうがくてき帰納きのうほう
自然しぜんすうかんする命題めいだい P(n) がすべての n にたいして成立せいりつすることをしめ論法ろんぽう。まず P(1) が成立せいりつすることをしめし、つぎに P(n) が成立せいりつすれば P(n+1) が成立せいりつすることをしめす。[6]

背理法はいりほうによるれい

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素数そすう無限むげん存在そんざいする」という命題めいだい証明しょうめい以下いかのようになされる。

証明しょうめい : 素数そすう個数こすう有限ゆうげんであると仮定かていする。すべての素数そすうわせたかずに1をしたものはどの素数そすうっても1あまり、れない。すなわちそれ自体じたい素数そすうであるか、ここで想定そうていした最大さいだい素数そすうよりもおおきい素数そすうでしかれないことを意味いみする。いずれにしても、すべての素数そすう以外いがい素数そすう存在そんざいすることになり仮定かてい矛盾むじゅんする。よって仮定かてい間違まちがっており、素数そすう無限むげん存在そんざいすることがしめされた。

その用語ようご

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  • 存在そんざい証明しょうめい - かい存在そんざいすることをしめ行為こうい
  • 一意いちいせい証明しょうめい - (かいがもし存在そんざいすれば)かいかずは1つであることをしめ行為こうい

証明しょうめい形式けいしきてき定義ていぎ

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数学すうがくにおける命題めいだい証明しょうめいにおいては、通常つうじょう、そのただしさの確認かくにん証明しょうめい作成さくせいしゃ読者どくしゃゆだねられている。証明しょうめい概念がいねん形式けいしきすることによって、そのただしさを機械きかいてき判定はんていしたり、証明しょうめいそのものを数学すうがく研究けんきゅう対象たいしょうとすることもできる。

  • 有限ゆうげん集合しゅうごうを1つ固定こていし、その有限ゆうげん集合しゅうごうもとアルファベットという。
  • アルファベットの有限ゆうげんれつかたりという。
  • かたり集合しゅうごう言語げんごという。
  • 言語げんごを1つ固定こていし、その言語げんごぞくするかたり命題めいだいという。
  • 命題めいだい集合しゅうごうを1つ固定こていし、その集合しゅうごうぞくする命題めいだい事前じぜんみとめられた仮定かていとして採用さいようし、それを公理こうりぶ。
  • 命題めいだい有限ゆうげんくみがどのような条件じょうけんたせば、それらの命題めいだいからべつ命題めいだいみちびけるのかをめたルールのくみめ、それらのルールを推論すいろん規則きそくという。
  • 公理こうり集合しゅうごう推論すいろん規則きそく集合しゅうごうくみ公理系こうりけいぶ。

Aを公理系こうりけいとし、(P1,...,Pn) を命題めいだいれつとする。

任意にんいの i≦n にたいし Pi

  • Pi公理こうりである
  • Pi は、P1,..., Pi-1 から、ゆるされた推論すいろん規則きそくによってみちびくことができる

のいずれかをたすとき、(P1,...,Pn) を Pn の(公理系こうりけい A における)証明しょうめいう。

ある (P1,...,Pn) があって、(P1,...,Pn) が Pn証明しょうめいであるとき、Pn は(公理系こうりけい A において)証明しょうめい可能かのうである、もしくは Pn定理ていりであるという。

記述きじゅつ習慣しゅうかん

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証明しょうめい記述きじゅつするさいには、証明しょうめいとそれ以外いがい部分ぶぶんをはっきりわけて可読かどくせいをあげるため、証明しょうめいはじめとわりを明確めいかくしめ習慣しゅうかんがあり、とく初等しょとう中等ちゅうとう教育きょういくなどではじめて証明しょうめい記述きじゅつまなものたいしてはきびしく指導しどうされる。

はじめやわりをしめ記号きごうひとこのみによりさまざまであるが、証明しょうめいはじめには「proof」「prf.」「pf.」「[証明しょうめい]」「【あかし】」や、まるかこんだ「∵」などが使つかわれる。

証明しょうめいわりには「Q.E.D.」「/証明しょうめいわり」「[証明しょうめいおわり]」「【あかしおわり】」「(おわり)」「□」「■」「∥」や、スラッシュとかさねた「⌋」などがもちいられる。学生がくせいのノートやレポートでは、中空なかぞら正方形せいほうけいハッチングったものが使つかわれることがおおい。

一般いっぱんに、ひとつの内容ないよういちぎょうおさめ、うえくだりからじゅんしたくだりうつるにしたがって、論証ろんしょうすすむようにかれ、その理由りゆうもちいた定理ていりまるカッコ()でくくってえることがおおい。複数ふくすうくだりかれた内容ないよう使つかってつぎくだりられるときは、複数ふくすうくだりちゅうカッコ{、}でくくるか、行末ゆくすえに....〇のまるなか数字すうじれたタグをけ、つぎ行頭ぎょうとうに「①,②より」などと、説明せつめいながれをあきらかにする文言もんごんえる。

脚注きゃくちゅう

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出典しゅってん

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関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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