プロトタイプ

プロトタイプ（英えい: prototype）は、原型げんけい。最初さいしょの、形かたちにしたもの。それを土台どだいにしてさまざまなパターンを生うみ出だしてゆくための、最初さいしょのもの。試ためし作品さくひん。

概要がいよう

prototypeの接頭せっとう辞じ「proto- プロト」の意味いみは「最初さいしょの」である。

日本語にほんごでは試作しさく品ひんともいう。機械きかい分野ぶんやや航空機こうくうき分野ぶんやでは「試作しさく機き」「試験しけん機き」「実験じっけん機き」などとも言いう。車くるまの業界ぎょうかいでは「試作しさく車しゃ」とも。分野ぶんやによっては「仮かり組くみ」と呼よぶこともある。「仮かりに組くんでみるもの」だからである。

まずはプロトタイプを1個いっこ作つくってみることで、ようやく新あたらしい技術ぎじゅつや新あたらしい機構きこうの検証けんしょうや試験しけんを行おこなうことができ、大量たいりょう生産せいさんに入はいってしまう前まえに問題もんだい点てんの洗あらい出だしができ、それを判断はんだん材料ざいりょうにして改良かいりょうしたものをまた1個いっこ、あるいは改良かいりょうの方向ほうこう性せいの違ちがう試ためし作品さくひんを数種類すうしゅるいほど作つくり、それをまた検証けんしょうや試験しけんしてみてまた改良かいりょうしたものをつくり...ということを何なん回かいか繰くり返かえし、もし納得なっとくできるレベルに到達とうたつすれば、ようやく試作しさく段階だんかいが終了しゅうりょうしたと見みなすことができ、完成かんせい品ひんの設計せっけい図ずを描えがき、それをもとに必要ひつような部品ぶひんを大量たいりょう発注はっちゅうし、工場こうじょうのラインでの大量たいりょう生産せいさん（「本ほん生産せいさん」）の段階だんかいに入はいってゆく。納得なっとくが行いくレベルに到達とうたつしなければ、プロトタイプのままで終おわるということになる。そうなったものを《試作しさく止とまり》という。開発かいはつをしている側がわの人間にんげんから見みると、《試作しさく止とまり》になるもののほうが数かずが多おおく、実際じっさいに製品せいひん化かされるのは一部いちぶである。

工業こうぎょう分野ぶんやで何なにか新あたらしい技術ぎじゅつを活用かつようした部品ぶひんや製品せいひんを作つくったりする際さい、頭あたまの中なかにあるイメージだけをもとに完璧かんぺきな設計せっけいを行おこなう事ことは難むずかしく、その図面ずめん通とおりにいきなり生産せいさんラインに乗のせて大量たいりょう生産せいさんを行おこなうということはできない。通常つうじょうは試ためしに1個いっこないしは数すう個こ、手作業てさぎょうでよいので、とりあえずアイディアや図面ずめんの一部分いちぶぶん、あるいはアイディアを簡素かんそ化かしたものでよいから、とりあえず実体じったい化か（物体ぶったい化か）したものを作つくってみて、まずはそれに手てで触ふれてみたりそれを動うごかしてみたりして、それが心しんで思おもい描えがいていた通とおりに動うごくのか（期待きたいした性能せいのう値ちをはじき出だすのか）、あるいは逆ぎゃくに実物じつぶつとして触さわってみると使つかい勝手がってが悪わるいものなのか（期待きたいした性能せいのう値ちが出でないのか）、まずは実物じつぶつ化かしたもので確たしかめてみる、ということを行おこなう。そのようにして、最初さいしょに作つくるものがプロトタイプである。そのため実用じつよう性せいやデザインは考かんがえず基盤きばんや内部ないぶ機構きこうがむき出だしで、武たけ骨ほねな見みた目めの事ことも多おおい。これには改良かいりょうや改造かいぞうで手てを加くわえやすいと言いうメリットもある。

なお、大量たいりょう生産せいさんするものでなくても試作しさくの段階だんかいのものは「プロトタイプ」という。たとえば競技きょうぎに参加さんかする場合ばあい、本番ほんばんで使つかうことになる実機じっきは1台だいだけの場合ばあいでも、その完成かんせい度どの高たかい、本番ほんばん用ようの1台だい（あるいは予備よび機きも含ふくめた2〜3台だい）にたどり着つくための原型げんけいとしてまず作つくるものは「プロトタイプ」である。

またプロトタイプの「プロト」の意味いみは「最初さいしょの」だが、これは相対そうたい的てき、比喩ひゆ的てきに言いっており、2番ばんめの試作しさく品ひんや3番目ばんめの試作しさく品ひんもプロトタイプと言いう。（本ほん生産せいさんに入はいる前まえに、検証けんしょうのために作つくっているものであれば「プロトタイプ」という。）

プロトタイプを活用かつようすることでより良よい製品せいひんを生うみ出だす手法しゅほうや開発かいはつの効率こうりつを高たかめる手法しゅほうはプロトタイピングという。

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  スピットファイヤーのプロトタイプ
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  Ferrari 250 GTOのプロトタイプ
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  ゲーム機き Atari 2600のプロトタイプ（米国べいこく計算けいさん機き歴史れきし博物館はくぶつかん展示てんじ品ひん）
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  試作しさく車しゃが数すう台だい製作せいさくされたものの、結果けっか的てきに市販しはん化かされなかったスバル1500
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  省しょうエネ競技きょうぎ車しゃのプロトタイプ。もともと大量たいりょう生産せいさんする予定よていが無ないもののプロトタイプの例れい。
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  M3A1軽けい戦車せんしゃのプロトタイプ
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  電子でんし回路かいろのプロトタイプ（試作しさく用ようの基板きばんブレッドボードで作つくったもの）

エレクトロニクス

エレクトロニクス製品せいひんも、まずはプロトタイプを作つくる。

電子でんし回路かいろに関かんしては、試作しさく基板きばん（ブレッドボード）で回路かいろを実際じっさいに試ためしに組くんでみる。いきなりプリント基板きばんを大量たいりょう発注はっちゅうするということは行おこなわない。近年きんねんではソフトウェアの回路かいろシミュレータがあるので、ものによっては、まずはソフトウェアで電子でんし回路かいろのシミュレーションを行おこなって、大丈夫だいじょうぶそうなら次つぎにプロトタイプをブレッドボードなどで組くんでみて、それでも大丈夫だいじょうぶそうならプリント基板きばんを発注はっちゅうするという手順てじゅんを踏ふむ場合ばあいもある。

なお電子でんし回路かいろにおいては、プロトタイプ品ひんと量産りょうさん品ひんで性能せいのうに違ちがいが出でてしまうことがある。これは部品ぶひんの数かずや違ちがい・プリント基板きばんのパターン引ひき回まわしの違ちがい・空中くうちゅう配線はいせん部品ぶひんを使つかったかどうかなど、様々さまざまな要因よういんで起おきる。特とくに高周波こうしゅうは回路かいろではわずかな違ちがいが原因げんいんで性能せいのうに差さが出でてしまう。

コンピュータ

ハードウェア

コンピュータのハードウェア製造せいぞうする場合ばあいも、まずはプロトタイプを作つくる。特とくに大量たいりょう生産せいさんする計画けいかくがあるならば、まずはプロトタイプをつくる。

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  ダグラス・エンゲルバートが作つくり1968年ねんに公表こうひょうしたマウスのプロトタイプ。手作てづくり、木製もくせい。
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  Talking Electronics Computer TEC-1のプロトタイプ
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  Apple社しゃの初期しょきのMacintoshのプロトタイプ。（米国べいこく計算けいさん機き歴史れきし博物館はくぶつかん展示てんじ品ひん）
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  PalmPilotというPDAタイプのコンピュータのプロトタイプ。後うしろの大おおきな緑みどりの基板きばん。まだ手てのひらサイズにできていない段階だんかい。（米国べいこく計算けいさん機き歴史れきし博物館はくぶつかん展示てんじ品ひん）

ソフトウェア

コンピュータのソフトウェアに関かんしても、プロトタイプは活用かつようされる。

C言語げんごには関数かんすうプロトタイプ宣言せんげんというものがあるが、これは関数かんすう・サブルーチンの引数ひきすうと返がえり値ちの値ねを宣言せんげんするものである。外部がいぶとのやりとりを示しめす「宣言せんげん」に対たいし、中身なかみを示しめすものを「定義ていぎ」と言いう。

プロトタイプベースのオブジェクト指向しこうプログラミングでは、プロトタイプは「クローンとしての新あたらしいオブジェクト」を作つくることができるオブジェクト、のことである。逆ぎゃくにそのクローンの側がわから見みると、自分じぶんがクローンとして作つくり出だされる元もととなったオブジェクトがプロトタイプである。

プロトタイプ・プログラムを日本語にほんごでは「試作しさくプログラムなどと呼よぶ。

Adobe_Directorなどのツールを使つかうと、通常つうじょうの開発かいはつ環境かんきょうより迅速じんそくにメニュー画面がめんなどのプロトタイプの作成さくせいが出来できる。また、実際じっさいの開発かいはつ環境かんきょうとの互換ごかん性せいが全まったく無ないため確実かくじつにプロトタイプを破棄はきできる利点りてんがある。

自動車じどうしゃ

自動車じどうしゃ業界ぎょうかいではプロトタイプは、基本きほん的てきには性能せいのうの確認かくにん、新あらたな装備そうび・機能きのうの試験しけん、社内しゃないでの各かく専門せんもん家かからの意見いけん聴取ちょうしゅなどの目的もくてきで作つくられる。

プロトタイプは、基本きほん的てきにあくまで開発かいはつのためのものであり、社内しゃないのためのものであり、基本きほん的てきには外部がいぶには見みせないものである。

エアロダイナミックス（空気くうき力学りきがく）の試験しけんのためのプロトタイプは風洞ふうどう実験じっけんができればよいので、外形がいけいだけができていればよく、走行そうこうできないものでもよい。縮尺しゅくしゃく模型もけいなど実物じつぶつ大だいではない場合ばあいもある。

公道こうどう走行そうこうで検証けんしょう・試験しけんを行おこなうためのプロトタイプは、日本にっぽんでは「試作しさく車しゃ」（輸入ゆにゅう車しゃの場合ばあいは「型式けいしき不明ふめい車しゃ」）として登録とうろくをする必要ひつようがあり、自動車じどうしゃ検査けんさ証しょうの交付こうふを受うけた状態じょうたい、もしくは臨時りんじ運行うんこう許可きょか番号ばんごう票ひょうや回送かいそう運行うんこう許可きょか番号ばんごう票ひょうを取とり付つけた状態じょうたいで公道こうどう走行そうこう試験しけんを行おこなう。

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  クライノーのあるモデルのプロトタイプ（1916年ねん)
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  全ぜん地形ちけい対応たいおう車しゃのプロトタイプ（1936年ねん、イギリス）
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  アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくワシントン州しゅうの電力でんりょく会社かいしゃ、シアトル・シティ・ライトが製作せいさくした電気でんき自動車じどうしゃのプロトタイプ RT1（1976年ねん）。1度ども量産りょうさんされることはなかった、つまり《試作しさく止とまり》となった。
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  en:Fiat Fastbackのプロトタイプ（2019年ねん）。これは製品せいひん化かに成功せいこうし2022年ねんに発売はつばいされた。

モータースポーツでは、国際こくさい自動車じどうしゃ連盟れんめい（FIA)などの用語ようごでいう「プロトタイプ」は、この用語ようごを拡大かくだい解釈かいしゃくぎみの使つかい方かたをしており、「（まだ）市販しはん段階だんかいに至いたっていない車くるま」といった程度ていどの意味いみであり、レギュレーションを定さだめることで競技きょうぎカテゴリが作つくられており、競技きょうぎ用ようのプロトタイプ車しゃが作つくられていて、プロトタイプと言いっても競技きょうぎ車しゃとしては完成かんせい度どがそれなりに高たかい車くるまが参加さんかする。

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  プロトタイプ・レーシングカー、プリンス・R380
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  2011年ねんのデイトナ・プロトタイプスの競技きょうぎ車しゃ

鉄道てつどう車両しゃりょう

新あたらしい鉄道てつどう車両しゃりょうを開発かいはつする場合ばあいも、プロトタイプを作つくる。

まずはコンセプト図ずや図面ずめんを描えがいてみるが、空気くうき力学りきがく上うえの性能せいのうを確たしかめるためにはまずは外形がいけいだけを形かたちにしたプロトタイプをつくり、風洞ふうどう実験じっけんで具体ぐたい的てきな性能せいのうの数値すうちを把握はあくする。

線路せんろ上じょうで走はしらせるプロトタイプもあり、「試作しさく車しゃ」などと呼よばれる。

プロトタイプ車しゃを用もちいた試験しけんや試験しけん運行うんこうでデータを集あつめ、改良かいりょうしたほうがよい点てんが見みつかれば、仕様しようを修正しゅうせいしたものを量産りょうさん車しゃの仕様しようとする。 プロトタイプは、通常つうじょう、廃棄はいきされるというわけではなく、試験しけん段階だんかいで改良かいりょうすべき点てんが見みつかれば、そこだけ改良かいりょうを施ほどこし、量産りょうさん化かが実現じつげんし同型どうけいの車両しゃりょうが増ふえた後のちも、そのまま実際じっさいの営業えいぎょう運転うんてんに利用りようされることが多おおい。量産りょうさん車しゃと同一どういつに改造かいぞうされる例れいも多おおいが、許容きょよう範囲はんいであれば、多少たしょう異ことなっていてもそのまま使用しようされる事例じれいも珍めずらしくない。

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  151系けいのプロトタイプ。風洞ふうどうで空気くうき力学りきがく上じょうの性能せいのうを確たしかめるためのもの。木製もくせい。
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  新幹線しんかんせんのプロトタイプ。空気くうき力学りきがく上じょうの性能せいのうを調しらべるためのもの。
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  リニアモーターカーのプロトタイプ模型もけい
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  リニアモーターカーのプロトタイプ模型もけい、別べつバージョン。
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  JR西日本にしにほん207系けい電車でんしゃ。右みぎが電気でんき連結れんけつ器きを装備そうびしていない試作しさく車しゃ。

鉄道てつどう車両しゃりょうのプロトタイプの形式けいしきは、やや特殊とくしゅである（モハ90系けい→101系けい、EF90→EF66、901系けい→209系けい）。また番台ばんだい区分くぶんが異ことなっていたり（209系けい950番台ばんだい→E231系けい900番台ばんだい）、外観がいかんや組成そせい・編成へんせいなどが量産りょうさん車しゃと異ことなる場合ばあい（300系けい新幹線しんかんせんJ1編成へんせい、700系けい新幹線しんかんせんC1編成へんせい、400系けい新幹線しんかんせんS4編成へんせい→L1編成へんせい、E3系けい新幹線しんかんせんS8編成へんせい→R1編成へんせい、207系けいF1編成へんせいなど）がある。

また、試験しけんした結果けっか 量産りょうさんが見送みおくられた場合ばあいには、プロトタイプは「1形式けいしき1両りょうのみ」（や「数すう両りょうのみ」など）の車両しゃりょうとなってしまうことがある（前者ぜんしゃでは国鉄こくてつ207系けいや713系けい、後者こうしゃではJR東日本ひがしにっぽんクハ415-1901や、日本にっぽん貨物かもつ鉄道てつどう（JR貨物かもつ）のEF500およびED500が該当がいとうする）。さらに一連いちれんの試験しけんを終了しゅうりょうした車両しゃりょうや量産りょうさんが見送みおくられた車両しゃりょうについては、共通きょうつう運用うんようが組くめない使つかい勝手がっての悪わるさなどから、車くるま齢よわいが10年ねんを満みたないうちに廃車はいしゃとなる場合ばあいもある（後者こうしゃではE331系けいなど）。また、営業えいぎょう運転うんてんはおろか試験しけんを行おこなう事ことなく廃車はいしゃされた車両しゃりょうも存在そんざいする（キハ285系けいがその例れい）。JR東海とうかいのN700系けいやN700S系けいの先行せんこう試作しさく車しゃ（9000番台ばんだい）のように、量産りょうさん車しゃ登場とうじょう後ごは営業えいぎょう運転うんてんに投入とうにゅうされず、そのまま試験しけん用ようの編成へんせいとされる例れいもある。

模型もけい

北米ほくべいの模型もけい・プラモデルの世界せかいでは、プロトタイプとは模型もけいを作つくる際さいに原型げんけいとした実物じつぶつのこと。（たとえば鉄道てつどう模型もけいのプロトタイプは実物じつぶつの鉄道てつどう車両しゃりょうであり、自動車じどうしゃ模型もけいのプロトタイプは実物じつぶつの自動車じどうしゃであり、模型もけい航空機こうくうきのプロトタイプは実物じつぶつの航空機こうくうきであり、兵器へいき模型もけいのプロトタイプは実物じつぶつの兵器へいきである）

北米ほくべい・GP38-2機関きかん車しゃの実車じっしゃ。模型もけいを製作せいさくする際さいにはこのような実車じっしゃがプロトタイプと呼よばれる。

例たとえば、アサーン社しゃがEMD GP38形かたちディーゼル機関きかん車しゃの模型もけい[1]を作つくる際さい、実物じつぶつの機関きかん車しゃのことを「プロトタイプ」と呼よぶ。

また、北米ほくべいの鉄道てつどう模型もけいマニアの間あいだでは模型もけいを製作せいさくする際さいに参考さんこうとする実物じつぶつの鉄道てつどう車両しゃりょう・鉄道てつどう施設しせつのことをプロトタイプと呼よぶ。さらに、鉄道てつどうジオラマやレイアウト、シーナリー（鉄道てつどう模型もけいにおける地形ちけいや景観けいかんの模型もけい化か）を製作せいさくする人々ひとびとにとっては、ジオラマ化か・シーナリー化かするものは全すべて、たとえば駅舎えきしゃ、周囲しゅういの建物たてもの、道路どうろ、街並まちなみ、自然しぜんの景観けいかんなども、この世よの実物じつぶつは全すべてプロトタイプである。

北米ほくべいの模型もけいの世界せかいで特とくに好このまれたプロトタイプは次つぎのものである。

• 自動車じどうしゃ（1957年ねん型がたシボレーは多おおくの模型もけいが製造せいぞうされた）
• 兵器へいき（たとえばM4シャーマン戦車せんしゃ。他ほかにも装甲車そうこうしゃ・戦艦せんかん・戦闘せんとう機きなど）
• 鉄道てつどう車両しゃりょうおよび鉄道てつどう施設しせつ
• 貨物かもつ自動車じどうしゃ、トレーラートラック
• オートバイ
• 飛行機ひこうき
• 宇宙船うちゅうせん（アポロやサターンV、ISSなど）

なお、SF作品さくひんに登場とうじょうし、本当ほんとうは実物じつぶつが存在そんざいしないもの（例たとえば、スター・ウォーズのXウイング、スタートレックのU.S.S.エンタープライズ号ごうなど）をプロトタイプと呼よんでよいかどうかは議論ぎろんがあるところである。

なお、人間にんげんや生いき物ものの形かたちをしたフィギュア（特とくにアクションフィギュア）を製作せいさくする際さいには、その人間にんげんや生いき物ものをプロトタイプとは呼よばない。彫刻ちょうこくや絵画かいがの場合ばあいと同様どうようにモデルと呼よぶ。

日本にっぽんの模型もけいの世界せかいでは、プロトタイプというと、模型もけいの中なかでも試作しさく段階だんかいの模型もけいである。個人こじんが作つくる模型もけいなら、試ためしに作つくっている段階だんかいの模型もけいである。個人こじんなので作つくられる数かずは少すくないが、譲渡じょうとされたり販売はんばいされることはある。模型もけいを製造せいぞうする企業きぎょうにとっては、社内しゃないで試作しさくしている段階だんかいの模型もけいである。また量産りょうさん段階だんかいに入はいっていないものでもあり、試ためしに少量しょうりょうだけ作つくり販売はんばい（あるいは限定げんてい配布はいふ）することがあり、そうすることでまず人々ひとびとの反応はんのうを確たしかめ仕様しようを改良かいりょうして量産りょうさんする場合ばあいもあれば、結局けっきょく、量産りょうさんしない場合ばあいもある。

フィクション中ちゅうのプロトタイプ

『機動きどう戦士せんしガンダム』では主人公しゅじんこうのアムロ・レイが偶然ぐうぜんの行いきがかりから、モビルスーツのプロトタイプ（試作しさく機き、原型げんけい機き）に搭乗とうじょうして操縦そうじゅうしたことをきっかけに物語ものがたりが繰くり広ひろげられた。以後いご、主人公しゅじんこうがプロトタイプ機きに乗のるという設定せっていを模倣もほうする作品さくひんがいくつもつくられた。

2008年ねん公開こうかいの映画えいが『アイアンマン』（第だい一いち作さく）では、トニー・スタークがテロリストに捕つかまった際さいに生命せいめい維持いじのために小型こがたアークリアクターを手作てづくりする（これが後こうの小型こがたアークリアクターの原型げんけいとなった）。そしてテロリストの巣窟そうくつから脱出だっしゅつするために、ありあわせの金属きんぞく部品ぶひんやボンベを組合くみあわせて作つくったツギハギの金属きんぞく製せいスーツは、後ごのアイアンマンスーツのプロトタイプとなった（そしてそれは「マークI」と呼よばれるようになった）。トニーは無事ぶじ生還せいかんしてからもマリブの豪邸ごうていの地下ちかの研究けんきゅう室しつでスーツの試作しさくを続つづけ、掌てのひらや足あし裏うら部分ぶぶんに推力すいりょく発生はっせい装置そうちを加くわえ、未み塗装とそうで銀色ぎんいろのプロトタイプ「マークII」を作つくったが、はしゃいで高こう高度こうどに上昇じょうしょうしたところ低温ていおんで凍結とうけつ・機能きのう停止ていし、落下らっかし「マークII」ごと死しにかける。「マークII」の低温ていおん凍結とうけつ問題もんだいを解消かいしょうし両りょう掌てのひらから「リパルサーレイ」を撃うつ機能きのうを足たし赤色あかいろと金色きんいろに塗装とそうしたものが「マークIII」で、この「マークIII」で悪あくと派手はでに闘たたかい、その後ごの記者きしゃ会見かいけんで正体しょうたいを明あかしトニーはアイアンマンとして世よに広ひろく知しられるようになった...という設定せっていのフィクションである。続編ぞくへん『アイアンマン2』以降いこうもアイアンマンスーツのプロトタイプが続々ぞくぞくと登場とうじょうする。

関連かんれん項目こうもく

• ラピッドプロトタイピング
• 概念がいねん実証じっしょう
• コンセプトカー
• プルーフ貨幣かへい
• プロトタイプ理論りろん