軌道きどうちかくから天体てんたい排除はいじょ

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太陽系たいようけい天体てんたい分類ぶんるい
恒星こうせい太陽たいよう
太陽たいよう
まわりを
まわ
天体てんたい
惑星わくせい 地球ちきゅうがた惑星わくせい
木星もくせいがた惑星わくせい
天王星てんのうせいがた惑星わくせい
じゅん惑星わくせい
小惑星しょうわくせいたいにあるもの
ケレスのみ)
冥王星めいおうせいがた天体てんたい
太陽系たいようけい
しょう天体てんたい
冥王星めいおうせいがた天体てんたい以外いがい
太陽系たいようけい外縁がいえん天体てんたい
小惑星しょうわくせい
彗星すいせい
惑星わくせいあいだちり
太陽たいよう以外いがい
天体てんたいまわりを
まわ天体てんたい
衛星えいせい未定義みていぎ
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軌道きどうちかくから天体てんたい排除はいじょ[1][2][3] (きどうちかくからほかのてんたいをはいじょ、えい: Clearing the neighbourhood around its orbit) とは、国際こくさい天文学てんもんがく連合れんごう (IAU) が2006ねん決定けっていした太陽系たいようけい惑星わくせい定義ていぎにおいて、太陽系たいようけいうち天体てんたい惑星わくせいとみなされるためにたしている必要ひつようがある3つの基準きじゅんのうちのひとつである[4]のこりの2つの基準きじゅんは、「太陽たいようまわりをまわっていること」と、「ほぼ球形きゅうけい重力じゅうりょく平衡へいこう状態じょうたいになるための十分じゅうぶん質量しつりょうっていること」である[1][4]

惑星わくせい形成けいせい最終さいしゅう段階だんかいにおいて、惑星わくせいはその軌道きどう領域りょういきから「天体てんたい排除はいじょ」、すなわちその領域りょういきにおいて重力じゅうりょくてき支配しはいてき存在そんざいとなる。その結果けっかとして、自身じしん衛星えいせいやその重力じゅうりょくてき影響えいきょういているもの、および一時いちじてき軌道きどうつものをのぞいて、どう程度ていどおおきさを天体てんたい軌道きどう領域りょういきには存在そんざいしなくなる[2]太陽系たいようけいないおおきな天体てんたいのうち、惑星わくせい定義ていぎのその2つはたしているが軌道きどうちかくから天体てんたい排除はいじょしていないものは、じゅん惑星わくせい分類ぶんるいされる[4]冥王星めいおうせいがこの分類ぶんるいふくまれ、その軌道きどう海王星かいおうせい重力じゅうりょく影響えいきょうにあり、なおかつ多数たすうエッジワース・カイパーベルト天体てんたい軌道きどう領域りょういき共有きょうゆうしている。IAU の定義ていぎではこの基準きじゅんたいして明確めいかく数値すうち方程式ほうていしきあたえられていないものの、IAU によって認定にんていされた惑星わくせいすべて、いかなるじゅん惑星わくせいやその候補こうほ天体てんたいよりもはるかにその軌道きどう周辺しゅうへん天体てんたい排除はいじょしているとえる[2]。この「天体てんたい排除はいじょしている」という曖昧あいまい条件じょうけんを、物理ぶつりりょう数式すうしきもちいて定量ていりょうてき厳密げんみつしようという研究けんきゅうおこなわれている[5][6][7]

この表現ひょうげんは、惑星わくせい科学かがくしゃアラン・スターン英語えいごばんハロルド・レビソン英語えいごばんによって2000ねんの IAU 総会そうかい提出ていしゅつされた論文ろんぶん由来ゆらいするものである。かれらは、恒星こうせい公転こうてんする天体てんたいがその質量しつりょう軌道きどう周期しゅうきもとづいてほろ惑星わくせいを「軌道きどうちかくから天体てんたい排除はいじょ」する可能かのうせいたかいかどうかを判断はんだんするための理論りろんてき基準きじゅん考案こうあんするさいに、いくつかの表現ひょうげんもちいた[5]一方いっぽう天文学てんもんがくしゃSteven Soter は "dynamical dominance"[ちゅう 1] という表現ひょうげんもちいており[6]Jean-Luc Margot はこちらの表現ひょうげんほうが「天体てんたい排除はいじょ」という表現ひょうげんよりも誤解ごかいされる余地よちすくないだろうと指摘してきしている[7]

2006ねん以前いぜんは、なんじゅうねんにもわたってあたらしい惑星わくせい発見はっけんされてこなかったため IAU は惑星わくせい命名めいめいかんして明確めいかく規則きそくっていなかった[1][8]。その一方いっぽうで、小惑星しょうわくせい彗星すいせいといったおおくのあたらしく発見はっけんされたしょう天体てんたいたいしては確立かくりつされた命名めいめい規則きそく存在そんざいした。2005ねん発見はっけん報告ほうこくされたエリスは、おおきさが冥王星めいおうせいどう程度ていどであったため命名めいめいのプロセスが発見はっけん報告ほうこくとどこおり、正式せいしき命名めいめい手続てつづきをおこなうのは IAU 総会そうかい惑星わくせい定義ていぎについての投票とうひょう結果けっかのちとされた[9]

2015ねんには、この定義ていぎ観測かんそくによって決定けっていすることが容易よういもとづいて定量ていりょうできるような改良かいりょうおこない、太陽系たいようけいがい惑星わくせい拡張かくちょうするための提案ていあんについての論文ろんぶん発表はっぴょうされた[7]

定量ていりょうてき基準きじゅん[編集へんしゅう]

このフレーズは、公転こうてんする天体てんたい (惑星わくせい原始げんし惑星わくせい) が周囲しゅういにあるちいさい天体てんたい重力じゅうりょくてき相互そうご作用さようすることにより、時間じかんとともにその軌道きどう周辺しゅうへん領域りょういきから天体てんたいを「一掃いっそうする」ことをす。おおきな天体てんたい軌道きどうなんしゅうもするあいだに、しょう天体てんたい自身じしん降着こうちゃくしたり、軌道きどうへとみだしたり、あるいは衛星えいせい共鳴きょうめい軌道きどうへの捕獲ほかくおこなったりする。その結果けっかとして、自身じしん衛星えいせい重力じゅうりょくてき影響えいきょういているその天体てんたいのぞくと、おおきな天体てんたいはその軌道きどう領域りょういきをそのおおきな天体てんたい共有きょうゆうすることはなくなる[5]重力じゅうりょくてき影響えいきょういている天体てんたいというのは、軌道きどう交差こうさする可能かのうせいがあるものの軌道きどう共鳴きょうめいのため衝突しょうとつする可能かのうせいいものをし、れいとしては木星もくせい木星もくせいのトロヤぐん天体てんたい地球ちきゅうクルースン海王星かいおうせい冥王星めいおうせいぞく天体てんたいげられる[5][ちゅう 2]軌道きどうから天体てんたい排除はいじょする必要ひつよう度合どあいにかんしては、Jean-Luc Margot は「重力じゅうりょく放射ほうしゃによるちからによって小惑星しょうわくせい彗星すいせい軌道きどう惑星わくせい交差こうさする軌道きどうへとみだされつづけるため、惑星わくせいがその軌道きどう領域りょういき完全かんぜん排除はいじょすることはけっしてい」と強調きょうちょうしたうえで、IAU は軌道きどう領域りょういきからの完全かんぜん排除はいじょという不可能ふかのう基準きじゅん意図いとしたわけではなかったとべている[7]

IAU が太陽系たいようけい惑星わくせい定義ていぎおこなまえから現在げんざいいたるまで、おおきな天体てんたいがその軌道きどうちかくから天体てんたい排除はいじょすることにかんして定量ていりょうてき評価ひょうかするこころみがおこなわれてきた。ここではそれらの基準きじゅんについて概説がいせつする。

スターンとレビソンによる Λらむだ[編集へんしゅう]

アラン・スターンとハロルド・レビソンによる2002ねん論文ろんぶんでは、惑星わくせいがその周辺しゅうへん領域りょういき支配しはいしているかどうかを決定けっていするためのアルゴリズムの探索たんさくおこなわれた[5]かれらは、ある天体てんたい宇宙うちゅう年齢ねんれい (ハッブル時間じかん) とおな期間きかんあいだにその軌道きどう領域りょういきからしょう天体てんたい散乱さんらんする能力のうりょくあらわ指標しひょうとして、定義ていぎした。以下いかしき定義ていぎされる次元じげんりょうである。

ここで はある天体てんたい質量しつりょう天体てんたい軌道きどうちょう半径はんけい散乱さんらんされているしょう天体てんたい軌道きどう要素ようそ関数かんすうであり、しょう天体てんたい散乱さんらんされる度合どあいをしめりょうである。太陽系たいようけい惑星わくせい存在そんざいしている領域りょういきでは、太陽たいようから特定とくてい距離きょりにあるしょう天体てんたい平均へいきんにはほとんどちがいは[6]

場合ばあい天体てんたいはその軌道きどう領域りょういきからしょう天体てんたい排除はいじょしている可能かのうせいたかい。スターンとレビソンはこの判別はんべつしきもちいて、太陽たいよう公転こうてんしている静水せいすいあつ平衡へいこうにある天体てんたいを、「周囲しゅういにあるほろ惑星わくせい排除はいじょするのに十分じゅうぶんなほど力学りきがくてき重要じゅうよう」である überplanets と、そうでない unterplanets分割ぶんかつした。ここで überplanets は太陽たいよう公転こうてんする8つのおも天体てんたい (すなわち IAU が定義ていぎした惑星わくせい)、unterplanets はそれ以外いがい (そのの IAU の定義ていぎにおけるじゅん惑星わくせい) に相当そうとうする[5]。ただしこの基準きじゅんはある天体てんたい惑星わくせいかを判断はんだんするためのものではなく、惑星わくせいをその力学りきがくてき性質せいしつもとづいた下位かいカテゴリーに分類ぶんるいするさい基準きじゅんとして提案ていあんされたものであることに注意ちゅうい必要ひつようである[5]かれらの論文ろんぶんちゅうでは惑星わくせい天体てんたい (planetary body) としての条件じょうけん質量しつりょうのみが提案ていあんされており、内部ないぶかく融合ゆうごう過去かこ現在げんざいこせないほどてい質量しつりょうで、天体てんたい形状けいじょうおも重力じゅうりょくによってまっている、つまり静水せいすいあつ平衡へいこう状態じょうたい到達とうたつできる程度ていど質量しつりょうがあることの2つが惑星わくせい天体てんたいであるための条件じょうけんとして提案ていあんされている[5]

Soter による µ[編集へんしゅう]

Steven Soter は2006ねん論文ろんぶんで、恒星こうせい公転こうてんする天体てんたい惑星わくせい惑星わくせい以外いがいけるため、観測かんそくもとづいた指標しひょうである 定義ていぎしてこれを "planetary discriminant" とんだ[6]かれ以下いかのように定義ていぎした。

ここで 次元じげんパラメータであり、惑星わくせい候補こうほ質量しつりょう軌道きどう領域りょういき共有きょうゆうするそのすべての天体てんたい質量しつりょうである。ここで後者こうしゃは、惑星わくせい候補こうほおな恒星こうせいからの軌道きどう距離きょり交差こうさし、軌道きどう周期しゅうきちがいがいちけた未満みまん共鳴きょうめい状態じょうたいにはすべての天体てんたい[6]

対象たいしょうとするしょう天体てんたいとの軌道きどう周期しゅうきちがいがいちけた未満みまんであるという条件じょうけん計算けいさんから彗星すいせい除外じょがいするためのものであるが、彗星すいせい合計ごうけい質量しつりょうはその太陽系たいようけいしょう天体てんたい比較ひかくして無視むしできる程度ていどでしかないため、これらをふくめたとしても結果けっかにはほとんど影響えいきょうおよぼさない。惑星わくせい候補こうほ天体てんたい質量しつりょうをその天体てんたい軌道きどう領域りょういき共有きょうゆうするその天体てんたいそう質量しつりょうることで られる。これは、軌道きどう領域りょういきからしょう天体てんたいがどれだけ排除はいじょされているかをしめ実際じっさい度合どあいである。Soter は であった場合ばあい、その天体てんたい惑星わくせいとみなすことを提案ていあんした[6]。すなわち、ある天体てんたい自身じしん軌道きどう領域りょういき存在そんざいするその天体てんたいそう質量しつりょうの100ばいえる質量しつりょうっている場合ばあい、その天体てんたい惑星わくせいとみなすということを意味いみする[6][7]

Margot による Πぱい[編集へんしゅう]

天文学てんもんがくしゃJean-Luc Margot は、天体てんたい質量しつりょう軌道きどうちょう半径はんけいしゅほし質量しつりょうのみにもとづいて分類ぶんるいけをおこなうことの出来でき判別はんべつしきとして、 (ギリシア文字もじΠぱい) を提案ていあんした[7]。スターンとレビソンの 同様どうように、天体てんたい自身じしん軌道きどうじょう一掃いっそうする能力のうりょくしめすものである。しかし ことなるのは、純粋じゅんすい理論りろんにのみもとづいており、太陽系たいようけい経験けいけんてきなデータは使用しようしていないというてんである。また Soter の 計算けいさんするためにはその天体てんたい存在そんざいする軌道きどう領域りょういきにおける正確せいかく天体てんたいすう情報じょうほう必要ひつようだが、太陽系たいようけいがい天体てんたいたいしても決定けってい可能かのう要素ようそもとづいている[7]。Margot は、ある惑星わくせい候補こうほ天体てんたいがその軌道きどう領域りょういきから天体てんたい排除はいじょするために必要ひつよう質量しつりょうを、以下いかのように導出みちびきだした。

ここで 惑星わくせい候補こうほ天体てんたい質量しつりょう地球ちきゅう質量しつりょうしゅほし質量しつりょう太陽たいよう質量しつりょう天体てんたい軌道きどうちょう半径はんけいである。また はその天体てんたい軌道きどうじょうほか天体てんたい排除はいじょしている領域りょういきひろさをしめりょうであり、天体てんたいヒル半径はんけいなんばいかでまる次元じげんりょうである。なおこのしきではしゅほししゅ系列けいれつ段階だんかい寿命じゅみょうは100おくねんであることが仮定かていされている。そのうえで、Margot は

定義ていぎした。天体てんたいがその軌道きどう領域りょういきから天体てんたい排除はいじょするために必要ひつよう質量しつりょうで、1番目ばんめしき右辺うへん相当そうとうする。惑星わくせい候補こうほ天体てんたい質量しつりょう地球ちきゅう質量しつりょう単位たんいとしてあらわしたものである。この判別はんべつしきにおいて、天体てんたい が1をえているものが惑星わくせいであるとした[7]。また としては 、つまり天体てんたい排除はいじょしている領域りょういきひろがりは最低限さいていげんその天体てんたいのヒル半径はんけい ばい必要ひつようであるとしている。これは、惑星わくせいは "feeding zone" とばれる一定いってい範囲はんいない固体こたい物質ぶっしつ惑星わくせい降着こうちゃくしているはずという要請ようせいもとづくものである[7][10][11]

は、ある候補こうほ天体てんたい近傍きんぼう軌道きどうにあるちいさな天体てんたい十分じゅうぶんなエネルギーをあたえ、一定いってい軌道きどう範囲はんいからしょう天体てんたい排除はいじょするために必要ひつよう周回しゅうかいすう計算けいさんもとづく指標しひょうである[7]一方いっぽう小惑星しょうわくせいたいにおける小惑星しょうわくせい排除はいじょされるのに必要ひつよう平均へいきんてき時間じかんもちいており[5]太陽系たいようけいないのその領域りょういきのバイアスがかっているというてんことなるものである。

なお、ここで定義ていぎされている 惑星わくせい円軌道えんきどうにあることを仮定かていしている。軌道きどう領域りょういきから天体てんたい排除はいじょする時間じかんスケールが惑星わくせい軌道きどうはなれしんりつにどう依存いぞんするかについては追求ついきゅうされておらず、Margot の論文ろんぶんでは将来しょうらいてき課題かだいであるとべられている。ただし惑星わくせい近傍きんぼうほか天体てんたい軌道きどう重力じゅうりょくによって変化へんかさせることにかんしてははなれしんりつによらないため、はなれしんりつによらず判別はんべつしき適用てきよう可能かのうだろうとの見解けんかいべている[7]

具体ぐたいてき数値すうち[編集へんしゅう]

天体てんたい軌道きどう領域りょういきほか天体てんたい排除はいじょしているかどうかの定量ていりょうてき指標しひょうについて、太陽系たいようけいない惑星わくせいじゅん惑星わくせい具体ぐたいてき数値すうちげたものがしたひょうである。国際こくさい天文学てんもんがく連合れんごうさだめている8つの惑星わくせいすべて、 は1よりもすうけたおおきなとなる一方いっぽうすべてのじゅん惑星わくせいは1をすうけた下回したまわとなる[7] についても、8つの惑星わくせいはそれぞれの基準きじゅん ( は 1、 は 100) をすうけた上回うわまわつが、じゅん惑星わくせいやそのしょう天体てんたいすうけた下回したまわ[5][6]

順位じゅんい 天体てんたいめい Πぱい (Margot) μみゅー (Soter) Λらむだ (スターン・
レビソン)
質量しつりょう (kg) 天体てんたい種類しゅるい
1 木星もくせい 4.0×104 6.25×105 1.3×109 1.8986×1027 だい5惑星わくせい
2 土星どせい 6.1×103 1.9×105 4.7×107 5.6846×1026 だい6惑星わくせい
3 金星かなぼし 9.5×102 1.3×106 1.7×105 4.8685×1024 だい2惑星わくせい
4 地球ちきゅう 8.1×102 1.7×106 1.5×105 5.9736×1024 だい3惑星わくせい
5 天王星てんのうせい 4.2×102 2.9×104 3.8×105 8.6832×1025 だい7惑星わくせい
6 海王星かいおうせい 3.0×102 2.4×104 2.7×105 1.0243×1026 だい8惑星わくせい
7 水星すいせい 1.3×102 9.1×104 1.9×103 3.3022×1023 だい1惑星わくせい
8 火星かせい 5.4×101 5.1×103 9.3×102 6.4185×1023 だい4惑星わくせい
9 ケレス 4.0×10−2 0.33 1.3×10−3 9.43×1020 じゅん惑星わくせい
10 冥王星めいおうせい 2.8×10−2 0.08 3.0×10−3 1.29×1022 じゅん惑星わくせい
11 エリス 2.0×10−2 0.10 2.0×10−3 1.67×1022 じゅん惑星わくせい
12 ハウメア 7.8×10−3[ちゅう 3] 0.02[ちゅう 4] - 4.0×1021 じゅん惑星わくせい
13 マケマケ 7.3×10−3[ちゅう 3] 0.02[ちゅう 4] - ~4.0×1021 じゅん惑星わくせい

数値すうちについて注釈ちゅうしゃくのないものは、Πぱい は Margot の論文ろんぶん[7]Λらむだμみゅー は Soter の論文ろんぶん出典しゅってんである[6]

水星すいせい冥王星めいおうせい質量しつりょうが25ばい程度ていどしかちがわないが には 106 ばいものちがいがある。そのためこれはたん天体てんたい質量しつりょうのみを反映はんえいしているわけではなく、完全かんぜん降着こうちゃくして形成けいせいされた惑星わくせいと、そうではない天体てんたいとのあいだ明確めいかくちがいをしめしているものであるとかんがえられる[6]。また、天体てんたい質量しつりょうとその周囲しゅういしょう天体てんたいそう質量しつりょう比較ひかくから導出みちびきだされた と、天体てんたい天体てんたい散乱さんらんする時間じかんスケールにもとづいて導出みちびきだされた および 基準きじゅんことなるものの、やはり惑星わくせいとそれ以外いがいではすうけた明確めいかくちがいがしょうじる[6]

先述せんじゅつとおり、スターンとレビソンによる 太陽系たいようけいない観測かんそく依存いぞんし、Soter による はその天体てんたい周辺しゅうへんほか天体てんたい総数そうすうという精密せいみつ観測かんそく要求ようきゅうされるりょう依存いぞんするが、Margot による はそれらには依存いぞんしない形式けいしきとなっている。これをもとに Margot は太陽系たいようけいがい惑星わくせいへもこの判別はんべつしき適用てきようし、2015ねん時点じてん恒星こうせい惑星わくせい特性とくせい判明はんめいしているすべてのけいがい惑星わくせいとその候補こうほ天体てんたいは、パルサー惑星わくせいふくすべてが惑星わくせい基準きじゅんたすとした[7]。さらに、国際こくさい天文学てんもんがく連合れんごうによってさだめられた太陽系たいようけい惑星わくせい定義ていぎを、この指標しひょうもちいて太陽系たいようけいがい惑星わくせいへも拡張かくちょうすることを提案ていあんしている[7]

論争ろんそう[編集へんしゅう]

エッジワース・カイパーベルトにある天体てんたいの、おおまかな距離きょり軌道きどう傾斜けいしゃかくしめしたグラフ。赤色あかいろしめされた天体てんたい海王星かいおうせい軌道きどう共鳴きょうめいこしており、冥王星めいおうせい (もっとおおきなあかまる) は 2:3 共鳴きょうめいにある冥王星めいおうせいぞく天体てんたいの「スパイク」じょう分布ぶんぷなか位置いちしている。

NASA冥王星めいおうせい探査たんさニュー・ホライズンズ計画けいかくひきいるアラン・スターンは、軌道きどうちかくから天体てんたい排除はいじょできていないことにもとづいて冥王星めいおうせいさい分類ぶんるいすることには同意どういしないとの意見いけん表明ひょうめいしている[13]。スターンの主張しゅちょうによると、国際こくさい天文学てんもんがく連合れんごう定義ていぎのいいまわしは曖昧あいまいなものであり、また冥王星めいおうせい同様どうように、地球ちきゅう火星かせい木星もくせい海王星かいおうせいもその軌道きどう周辺しゅうへん天体てんたい排除はいじょしていない[14]実際じっさい地球ちきゅう軌道きどう領域りょういきには10000もの地球ちきゅう近傍きんぼう小惑星しょうわくせい存在そんざいしており、木星もくせいはその軌道きどうじょうに10まんものトロヤぐん小惑星しょうわくせいっている[14]。またスターンは「もし海王星かいおうせいがその領域りょういき排除はいじょしたならば、冥王星めいおうせいはそこに存在そんざいしなかっただろう」ともべている[15]

なおスターン自身じしんも、天体てんたい天体てんたい排除はいじょしているかどうかの定量ていりょうてき基準きじゅんをレビソンととも考案こうあんしている (上記じょうき)[5]。この論文ろんぶんは2006ねん国際こくさい天文学てんもんがく連合れんごうによる惑星わくせい定義ていぎ以前いぜんのものであり、論文ろんぶんちゅうべられているとおり、恒星こうせい公転こうてんする惑星わくせいを、周囲しゅういほか天体てんたい排除はいじょするほどに力学りきがくてき重要じゅうよう存在そんざいである überplanets と、そうではない "unterplanet" に定量ていりょうてき分類ぶんるいすることを目的もくてきとしている[5]。スターンとレビソンが提案ていあんした指標しひょうである はあくまで惑星わくせい力学りきがくてき分類ぶんるいするためだけのものであり、スターンはこの力学りきがくてき特徴とくちょうという天体てんたい本質ほんしつてき属性ぞくせいではない指標しひょうを「惑星わくせいとはなにか」の定義ていぎけにもちいるのではなく、静水せいすいあつ平衡へいこうたもつことの出来でき適度てきど質量しつりょうといった天体てんたい本質ほんしつてき属性ぞくせいもちいるべきだと提唱ていしょうしている[5][16]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ 直訳ちょくやくで「力学りきがくてき支配しはい
  2. ^ それぞれ前者ぜんしゃ軌道きどう領域りょういきにおいて重力じゅうりょくてき支配しはいてき天体てんたい後者こうしゃ前者ぜんしゃ重力じゅうりょくてき支配しはいにある天体てんたいである。
  3. ^ a b Margot (2015) しき (9) をもと推定すいてい
  4. ^ a b エッジワース・カイパーベルト質量しつりょう推定すいてい0.033地球ちきゅう質量しつりょう[12]天体てんたい推定すいてい質量しつりょう、および Soter (2006) のしきもと推定すいてい

出典しゅってん[編集へんしゅう]

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  3. ^ 2015ねん冥王星めいおうせい注目ちゅうもく! ガラリとわった太陽系たいようけい姿すがたすこあきらかになる | ナショナルジオグラフィック日本にっぽんばんサイト”. ナショナルジオグラフィック. 2020ねん3がつ19にち閲覧えつらん
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  15. ^ Paul Rincon (2006ねん8がつ25にち). “BBC NEWS | Science/Nature | Pluto vote 'hijacked' in revolt”. BBC News. 2020ねん4がつ13にち閲覧えつらん
  16. ^ Mike Wall (2011ねん8がつ24にち). “Pluto's Planet Title Defender: Q & A With Planetary Scientist Alan Stern | Space”. Space.com. 2020ねん4がつ15にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]