閏うるう日び

閏うるう日び（うるうび、じゅんじつ）とは、太陽暦たいようれきでは季き節ぶし（天動説てんどうせつでは太陽たいようの運行うんこう）と暦こよみのずれとを、太陰暦たいいんれきでは朔さく望月もちづき（月つきの運行うんこう）とのずれを補正ほせいする暦日れきじつのことである。

代表だいひょう的てきな暦法れきほうにおける閏うるう日び

西暦せいれき（ユリウス暦れきとグレゴリオ暦れき）

西暦せいれきは代表だいひょう的てきな太陽暦たいようれきである。

ユリウス暦れきでは4年ねんに1度ど、グレゴリオ暦れきでは400年ねんに97度ど、閏年うるうどしとし、2月がつの日数にっすうを1日にち増加ぞうかさせる。このとき付つけ加くわえられた日ひが閏うるう日びである。グレゴリオ暦れきでは加くわえられる日ひは2月がつ29日にちである。ユリウス暦れきからグレゴリオ暦れきに改暦かいれきした歴史れきし的てきな理由りゆうから2月がつ24日にちを閏うるう日びとする国くにもある。これについては後述こうじゅつする。

閏うるう日びを2月がつに置おくことの由来ゆらいは、初期しょきのローマ暦れきでは年始ねんしは3月1日にちとし、2月がつが年末ねんまつの月つきであって、閏月じゅんげつが2月がつの次つぎに置おかれた事ことに由来ゆらいする。その後ご、ローマ暦れきを改暦かいれきしたユリウス暦れきやグレゴリオ暦れきでも閏うるう日びを置おく月つきを2月がつとし、現在げんざいに至いたっている。

ヒジュラ暦れき（イスラム暦れき）

ヒジュラ暦れきは、代表だいひょう的てきな太陰暦たいいんれき（純粋じゅんすい太陰暦たいいんれき）であり、ズー・アル＝ヒッジャ月つき（第だい12月がつ）の30日にち目めを閏うるう日びとする。

欧州おうしゅうにおける歴史れきし

紀元前きげんぜん713年ねん、最初さいしょのローマ暦れきを改変かいへんし、閏年うるうどしでは2月がつの日数にっすうを減へらして23日にちとし、2月がつ23日にちと3月がつ1日にちの間あいだに27日間にちかんまたは28日間にちかんの閏月じゅんげつを入いれた。この規則きそくがその後ごも踏襲とうしゅうされ、2月がつ24日にちの翌日よくじつに閏月じゅんげつを入いれることが続つづいた。

最終さいしゅう期きのローマ暦れきは、平年へいねんの1年ねんの長ながさは355日にちとした。4年ねんに2度ど、22日間にちかんまたは23日間にちかんの閏月じゅんげつを交互こうごに挿入そうにゅうした。22日間にちかんの閏月じゅんげつは2月がつ23日にちの翌日よくじつから、23日間にちかんの閏月じゅんげつは2月がつ24日にちの翌日よくじつから挿入そうにゅうした。挿入そうにゅうした日ひから月末げつまつまでの27日間にちかんを閏月じゅんげつとした。

このローマ暦れきを改変かいへんしたユリウス暦れきでは、閏うるう日びの置おかれる日ひは引ひき続つづき2月がつ24日にちの翌日よくじつとした。ただし、各月かくつきの日数にっすうを従来じゅうらいの29ないし30日にちから、30ないし31日にちに増ふやして平年へいねんを365日にちとして、置おかれる閏うるう日びは1日にちとなった。ユリウス暦れきを改変かいへんしたグレゴリオ暦れきでは、閏うるう日びを置おく日ひをそのまま引ひき継つがず、2月がつ28日にちの翌日よくじつである2月がつ29日にちを閏うるう日びとした。

欧州おうしゅう連合れんごうは、閏うるう日びとしてより相応ふさわしい日ひは2000年ねん2月がつ29日にちであると決きめた。ローマ・カトリック教会きょうかいも2月がつ29日にちを閏うるう日びであると宣言せんげんした。グレゴリオ暦れきを定さだめたローマ・カトリック教会きょうかいがこの決定けっていをしたことにより、今後こんごは2月がつ29日にちが閏うるう日びとして定着ていちゃくする可能かのう性せいは高たかい。しかし、非ひカトリック（東方とうほう教会きょうかいなど）圏けんの国くにで聖名せな祝日しゅくじつの決定けっていを厳密げんみつに行おこなう国くににおいては、今後こんごも2月がつ24日にちが閏うるう日びとされる模様もようである。

2月がつ24日にちが閏うるう日びとされてきた理由りゆうはもう一ひとつある。ローマ暦れき、ユリウス暦れきでは逆ぎゃく算式さんしきで日付ひづけを数かぞえた。例たとえば、5月の末日まつじつを「5月31日にち」ではなく「6月がつ月がつ初はつの前日ぜんじつ」と数かぞえた。ユリウス暦れきでの閏うるう日びの挿入そうにゅう方法ほうほうを厳密げんみつに表あらわすと「閏年うるうどしには3月がつ1日にちの6日にち前まえと5日にち前まえの間あいだに1日間にちかんの閏うるう日びを挿入そうにゅうする」となる。閏うるう日びにあたる日ひは、bissextus（2度目どめの6日にち前まえ）と呼よんだ。当時とうじの書かき方かただと「2月がつ28日にち」は「3月がつ月がつ初はつの前日ぜんじつ」になる。ここで2月がつ28日にちの翌日よくじつに閏うるう日びを挿入そうにゅうすると、「3月がつ月がつ初はつの前日ぜんじつ」は元々もともとこの名前なまえがつけられている2月がつの第だい28番目ばんめの日ひを指さしているのか、それとも言葉ことばの意味いみどおり3月がつ1日にちの前日ぜんじつである2月がつ29日にちを指さしているのかわからなくなる。この混乱こんらんを防ふせぐための措置そちがその後ごも続つづけられた。

聖名せな祝日しゅくじつ

日本にっぽんにはなじみがないが、東欧とうおうや北欧ほくおう諸国しょこくには聖名せな祝日しゅくじつがある。これは、1月がつ1日にちから12月31日にちまでのすべての日ひに別々べつべつの名な（主おもに聖者せいじゃの名な）がついているというものである（聖人せいじん暦れき）。そしてこれは子供こどもの名前なまえをつけるときなどの重要じゅうような要素ようそにもなる。この風習ふうしゅうのある国くには、閏うるう日びを2月がつ29日にちにすることはできない。なぜなら、2月がつ29日にちを守護しゅごする聖者せいじゃはいないからである。これらの国くにの場合ばあい、2月がつ24日にちから28日にちまでの聖者せいじゃは閏年うるうどしに限かぎりそれぞれ1日にちずつあとの日ひを守護しゅごする。具体ぐたい的てきには、平年へいねんに2月がつ27日にちを守護しゅごしている聖者せいじゃは閏年うるうどしには2月がつ28日にちを守護しゅごする。閏年うるうどしの2月がつ29日にちは、平年へいねんの2月がつ28日にちの守護しゅご聖人せいじんが守護しゅごしているので心配しんぱいせずに一いち日にちを暮くらすことができる。では閏年うるうどしの2月がつ24日にちの守護しゅご聖人せいじんは誰だれかというと、どうも平年へいねんの2月がつ24日にちの守護しゅご聖人せいじんが兼かねているようである。

そして閏うるう日びは途中とちゅうで意味いみを変かえ、下記かきのイギリスの例れいのような地方ちほうの祭日さいじつの基準きじゅん日びともなった。このため、閏うるう日びを2月がつ24日にちとする措置そちはその後ごも続つづいた。

平年へいねんにおける誕生たんじょう日び

2月がつ29日にち生うまれの平年へいねんにおける年齢ねんれい計算けいさんは国くににより異ことなる。たとえば、イギリスや香港ほんこんでは3月がつ1日にちに加か齢よわいされ、日本にっぽんやニュージーランドでは2月がつ28日にちに加か齢よわいされる。

日本にっぽん

日本にっぽんでグレゴリオ暦れきを採用さいようする際さい、2月がつを閏月じゅんげつとしたが、2月がつのいずれの日ひを閏うるう日びとするかは定さだめていない（詳細しょうさいは「閏年うるうどし#日本にっぽんにおける閏年うるうどしの根拠こんきょ法ほう」を参照さんしょう）。

日本にっぽんにおいては、年齢ねんれい計算けいさんニ関せきスル法律ほうりつ（1902年ねん）により、誕生たんじょう日び前日ぜんじつの終了しゅうりょう時じ（午後ごご12時じ）をもって加か齢よわいするため、2月がつ29日にち生うまれの者ものは、平年へいねん・閏年うるうどしを問とわず、毎年まいとし2月がつ28日にち午後ごご12時じに加か齢よわいされており、平年へいねんにあっては3月がつ1日にち生うまれの者ものと同おなじである。2月29日にち生うまれの者ものは、戸籍こせき法ほう上じょう、2月がつ29日にち生うまれとして記載きさいされ、2月がつ28日にちや3月がつ1日にちと記載きさいされることはない。

なお、誕生たんじょう日びを基準きじゅんに何なにかを定さだめる場合ばあい（行政ぎょうせい手続てつづき、誕生たんじょう日び会かい等とうのイベント、割引わりびき等とうの特典とくてんなど）、平年へいねんにおいては誕生たんじょう日びが存在そんざいしないため、その前後ぜんごの日ひ（2月がつ28日にち又または3月がつ1日にち）のいずれかを「みなし誕生たんじょう日び」とする必要ひつようが生しょうじる。日本にっぽんの法律ほうりつ上じょうの資格しかくには、資格しかく者しゃの誕生たんじょう日びを基準きじゅんとして有効ゆうこう期間きかんや更新こうしん期間きかんを定さだめているものが3つあり、いずれも、手続てつづき上じょう平年へいねんの誕生たんじょう日びは2月がつ28日にちとみなすことになっている。もっとも、これらは当該とうがい行政ぎょうせい手続てつづきにおける「みなし誕生たんじょう日び」であり、一般いっぱん的てきな年齢ねんれい計算けいさんとは無関係むかんけいである。また、日常にちじょう生活せいかつにおける「みなし誕生たんじょう日び」を強制きょうせいするものでもない。日常にちじょう生活せいかつにおいては、「月つき単位たんいではあくまで2月がつ生うまれのため、（2月がつ末日まつじつという意味いみで）2月がつ28日にちとみなす」という考かんがえ方かたと、「日にち単位たんいではあくまで2月がつ28日にちの次つぎの日ひのため、（あるいは年齢ねんれい計算けいさんでは3月がつ1日にち生うまれの者ものと同おなじため）3月がつ1日にちとみなす」という考かんがえ方かたの2通とおりがある。

経済けいざい指標しひょうとの関係かんけい

閏うるう日びがあると平年へいねんより一いち日にち多おおいため、食品しょくひんや外食がいしょくなども平年へいねんより一いち日にち多おおく購入こうにゅうされる。よってGDPなどの経済けいざい指標しひょうが平年へいねんより多おおくなる。例たとえば内閣ないかく府ふが2016年ねん5月がつ18日にちに発表はっぴょうした2016年ねんの1~3月がつ期きのGDP速報そくほう値ちは前年ぜんねん比ひ0.4%増ぞう。年率ねんりつ換算かんさん1.7%増ぞうであったが、うるう年どしで増ふえた分ぶんを除のぞくと実勢じっせいは0%台たい半なかばになる。

関連かんれん項目こうもく

• 閏うるう
  • 閏年うるうどし
  • 閏月じゅんげつ
  • 閏うるう秒びょう
• 2月がつ29日にち
• 2月がつ24日にち