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キャラ (コミュニケーション)

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キャラとは、キャラクターえい: character性格せいかく人格じんかく)を省略しょうりゃくした若者わかもの言葉ことばで、コミュニケーションにおける振舞ふるまかたかんする類型るいけいてき役割やくわり意味いみする[1]。その具体ぐたいてき役割やくわりおうじて、たとえば「まじめキャラ」「バカキャラ」「へたれキャラ」「やしキャラ」のようにさまざまなものが存在そんざいする[2]

この用法ようほうの「キャラ」というかたり発祥はっしょうさだかではないが、1999ねんの『現代げんだい用語ようご基礎きそ知識ちしき』や新聞しんぶん記事きじでの使用しよう確認かくにんされているため、そのころから日本にっぽん若者わかものあいだ浸透しんとうした表現ひょうげんだとかんがえられる(漫画まんがゲームなどのキャラクターの省略形しょうりゃくけいとしての「キャラ」はそれより以前いぜんからの使用しよう確認かくにんされている)[3]

ほんこう説明せつめいしている「キャラ」は、省略しょうりゃくされることなく「キャラクター」といわれることもあり[4]実質じっしつてきには和製わせい英語えいごといえる[5]。もともと「キャラクター」という言葉ことばには「物語ものがたり登場とうじょう人物じんぶつ」という意味いみがあるが、この意味いみでの「物語ものがたり」を「ちいさな共同きょうどうたい(コミュニティ)」とえ、「コミュニティないでの個人こじん位置いち(イメージ)」という意味いみで「キャラ/キャラクター」という言葉ことば使つかうような思考しこう形式けいしきまれていったのだとかんがえられる[6]

キャラによるコミュニケーション

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現代げんだい日本にっぽん若者わかものあいだでは、「キャラ」とばれる類型るいけいてき役割やくわりおうじて振舞ふるまうというコミュニケーション作法さほう浸透しんとうしており、このような現象げんしょう状況じょうきょうキャラキャラてきコミュニケーションキャラてき人間にんげん関係かんけいキャラゲームキャラ戦争せんそうなどと表現ひょうげんされる[ちゅう 1]たとえば学校がっこうではクラスがたような傾向けいこうったひとあつまるこまかいいくつかのグループにかれる現象げんしょうがみられるが[ちゅう 2]、この細分さいぶんされた各々おのおのしょう集団しゅうだん内部ないぶでさらに個人こじんたいして「天然てんねんキャラ」「いじられキャラ」などの具体ぐたいてき役割やくわりられていくことになる[10]。グループないにおける各自かくじのキャラは自身じしん本来ほんらい性格せいかくというより普段ふだん行動こうどうをともにしているグループのリーダーやほかのメンバーといった他者たしゃからあるいは自然しぜん発生はっせいてきあたえられることがおおく、空気くうきによる圧力あつりょくとして本人ほんにん意図いととは無関係むかんけい強制きょうせいされることもある[11][12][13]ったいきおいで羽目はめはずして卑猥ひわい発言はつげんをしたのがきっかけで「エロキャラ」あつかいされるようになるというように、なんらかの具体ぐたいてき事件じけんをきっかけにキャラが設定せっていされることもあれば、交遊こうゆうふかめていくなかでいつからともなく自然しぜんにキャラが確立かくりつされていくこともある[14]

個人こじんあたえられる役割やくわり分担ぶんたんという意味いみでは、人類じんるい狩猟しゅりょう採集さいしゅうなどで生活せいかつしていた時代じだいから現代げんだいいたるまでずっと分業ぶんぎょうおこなっていたともいえるが、社会しゃかい学者がくしゃもり真一しんいちによれば「キャラ」は(生活せいかつ仕事しごとりたせるためではなく)たのしくコミュニケーションをげるためにてられるというてんことなるという[15]法学ほうがくしゃ白田しろたしげるあきら表現ひょうげんりれば、若者わかものたちがえんじるキャラ(仮想かそうてきキャラ)は、大人おとな世界せかいで「上司じょうし」「教師きょうし」のように社会しゃかいてき文脈ぶんみゃくによってあたえられる規範きはん社会しゃかいてきキャラ)とちがって社会しゃかいてき要素ようそ欠如けつじょしているといえる[13]

キャラてきコミュニケーションのほかに若者わかものあいだ人間にんげん関係かんけい存在そんざいする暗黙あんもく規範きはんとしては、摩擦まさつ回避かいひするために仲間なかまないでは上下じょうげ関係かんけいをなるべくつけないという「対等たいとうせい原則げんそく」がある[16]。その意味いみ若者わかものたちのキャラは、実際じっさいには存在そんざいしている上下じょうげ関係かんけいを、(たとえば「いじりキャラ」と「いじられキャラ」のようなかたちで)表面ひょうめんてきにはフラットな関係かんけいえることによって隠蔽いんぺいするという側面そくめんがあるといえる[17]

キャラと演技えんぎせい

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周囲しゅういからあたえられるキャラにそくしたいをするという意味いみではキャラてきなコミュニケーションは演技えんぎせいびたものであるといえる。もっとも、人間にんげん日常にちじょう生活せいかつをおくるじょうでも無意識むいしき演技えんぎえをおこなっているということは以前いぜんから社会しゃかい学者がくしゃアーヴィング・ゴッフマン指摘してきしていることである[18]

ただし、実際じっさい若者わかもの対象たいしょうとした調査ちょうさではかならずしも意識いしきてきにキャラをえんじているとこたえるもの多数たすうということではない。2009ねんから2010ねん神奈川かながわけん公立こうりつ中学校ちゅうがっこう生徒せいと2874めいたいして実施じっしされたアンケート調査ちょうさ[19] では、「自分じぶん気持きもちとちがっていても、ひともとめるキャラをえんじてしまう」という質問しつもんたいする肯定こうていてき回答かいとうはほぼ1/3である。この調査ちょうさおこなった教育きょういく学者がくしゃ本田ほんだ由紀ゆきは、少数しょうすうでない割合わりあいとはいえ6わり以上いじょうはキャラをつくらずにコミュニケーションをおこなっていることになるため若者わかもののキャラ演出えんしゅつという現象げんしょう過剰かじょう重視じゅうしすべきではないだろうとべている。もとわら芸人げいにん研究けんきゅうしゃである瀬沼せぬまぶんあきらによる若者わかものへのインタビュー調査ちょうさでも、キャラをえんじている意識いしきがあるのは58にんちゅう10にん少数しょうすうであった[20]

キャラによるコミュニケーションといってもきょうざめするほど演技えんぎせいいてしまうのはきらわれる傾向けいこうもある[21]。そのため、集団しゅうだんたいしてった瀬沼せぬまぶんあきらのインタビュー調査ちょうさでは周囲しゅうい他者たしゃ配慮はいりょして演技えんぎしていないとこたえたものおおかったともかんがえられる[22]演技えんぎせいいニュートラルな状態じょうたい若者わかもの言葉ことばもと(す)といわれるが、実際じっさいには「もとという演技えんぎしない状態じょうたい演技えんぎしている」[23] あるいは「(キャラともとをはっきりと使つかけるというより)両者りょうしゃ配分はいぶんのバランスを調整ちょうせいしながらコミュニケーションをとっている」[24] というめんがあるともいえる。社会しゃかい学者がくしゃ太田おおた省一しょういちによると、キャラをめぐる遊戯ゆうぎてきなコミュニケーション(キャラゲーム)においてはキャラの演技えんぎ完遂かんすいできずにもと露呈ろていすることはみであり、演技えんぎ破綻はたんによって結果けっかてき当人とうにんもと人間にんげんせい確認かくにんされるというかたち共同きょうどうたいへの帰属きぞく意識いしき強化きょうかされるというような効果こうかがあるのだとしている[25]

メリット・デメリット

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キャラをえんじることのメリットとして、実際じっさい本人ほんにん性格せいかくがどうあれその設定せっていされている単純たんじゅんなコードにわせて振舞ふるまうことによって予定よてい調和ちょうわてきなコミュニケーションを円滑えんかつさせ、またそれにより親密しんみつさをかんじることができるというてんがある[26]瀬沼せぬまぶんあきらは、「ケチキャラ」「おやじキャラ」のような一見いっけんすればネガティブな属性ぞくせいであっても、それをキャラとしてとらえてツッコミをいれてわら昇華しょうかすることができるなど、たがいがきずつかずにコミュニケーションがとれるという利点りてん指摘してきしている[27]。さらにべつ側面そくめんとしては、それが虚構きょこうてきなキャラにずきないということをみで演技えんぎてき振舞ふるまうことにより、「本当ほんとう自分じぶん」の存在そんざい裏付うらづけられる感覚かんかくることもできる[28]

他方たほうで、人間にんげん関係かんけい流動りゅうどうせいひく学校がっこう空間くうかんでは、特定とくていのキャラを強制きょうせいする同調どうちょう圧力あつりょく暴走ぼうそうして(いじられキャラがいじめられキャラになるなど)いじめにつながるなどの弊害へいがいがあるほか(後述こうじゅつ)、キャラてき人間にんげん関係かんけいへの適応てきおう困難こんなんきこもり関係かんけいしているといった指摘してきもある(後述こうじゅつ)。また、たのしむことや衝突しょうとつ回避かいひ重視じゅうしするキャラをかいした人間にんげん関係かんけい希薄きはく脆弱ぜいじゃくなものにぎないともいわれる[29]

哲学てつがくしゃ鷲田わしだ清一せいいちは、ディスコミュニケーション(コミュニケーションけん同士どうし断絶だんぜつ)のすす現代げんだい社会しゃかいにおいて「キャラ同士どうし」ではなく「ひと同士どうし」がコミュニケーションをとりあう用意よういするべきであるとし、キャラてき人間にんげん関係かんけいたいして否定ひていてき見解けんかいしめしている[30]評論ひょうろん宇野うのつねひろし同様どうよう現代げんだい社会しゃかいにおける閉鎖へいさてきなトライブあいだでのコミュニケーションの分断ぶんだん指摘してきしているが、キャラてき人間にんげん関係かんけい[ちゅう 3] については、人々ひとびとはそれが顕在けんざいした時代じだい是非ぜひについて極端きょくたん反応はんのうをしがちであるとし、その長所ちょうしょ短所たんしょをふまえたうえでコミュニケーションがすべてを決定けっていする社会しゃかいをうまく克服こくふくしていくべきだとべている[31]

キャラとアイデンティティ

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キャラによるコミュニケーションの特色とくしょくは、そのおうじてえんじられるキャラはわりうるという部分ぶぶんにある。宇野うのつねひろしは、個人こじんのコミュニケーションの結果けっかおうじて漸次ぜんじ上書うわがきされていくような(しばしばケータイ小説しょうせつにみられる)現実げんじつ世界せかいでのアイデンティティのありかた断片だんぺんがたキャラクターてき実存じつぞんび、(ライトノベルなどでみられる)一貫いっかんした自己じこぞうたもつづけようとするぜん人格じんかくがたキャラクターてき実存じつぞん対比たいひしている[32][33][ちゅう 4]同様どうように、評論ひょうろんおぎじょうチキは、一貫いっかんした自己じこぞうにもとづいて成長せいちょうしていこうというアイデンティティがた自己じこモデルではなく、臨機応変りんきおうへん適応てきおうスタイルを選択せんたくするキャラがた自己じこモデル現代げんだい社会しゃかいにはてきしていると整理せいりしている[36]おぎじょうチキによれば、個人こじん趣味しゅみ所属しょぞくする部活ぶかつ職業しょくぎょう学歴がくれきなど様々さまざま要素ようそ関係かんけいしたキャラをあらかじめ複数ふくすうストックしており、そのなかから適当てきとうないくつかを「仕事しごとでのわせ」「プライベートでの友人ゆうじんとの交遊こうゆう」といった文脈ぶんみゃくおうじて適宜てきぎしてコミュニケーションをおこなうという「キャラけニーズ」がたかまっているのだという[37]

社会しゃかい学者がくしゃ土井どい隆義たかよしは、キャラを自分じぶん自身じしんなかのゆるぎない自己じこイメージとしてのうちキャラと、周囲しゅうい状況じょうきょう空気くうき)に適応てきおうするかたち演技えんぎてき振舞ふるまそとキャラの2つにわけてろんじている[ちゅう 5]。それによれば、「おおきな物語ものがたり」「超越ちょうえつてき他者たしゃ」といったものが消失しょうしつして人生じんせいどころとすべき価値かちかん理想りそうぞう不透明ふとうめいになった現代げんだい社会しゃかいポストモダン)では、アイデンティティの不安ふあん無効むこうするためにけっして相対そうたいされることのない準拠じゅんきょてんとしてうちキャラが必要ひつようとされる一方いっぽう、(全体ぜんたい共有きょうゆうされるような「おおきな空気くうき」はすでに崩壊ほうかいしているため)状況じょうきょうおうじて様々さまざまことなる「空気くうき」に対応たいおうする必要ひつようせいがあり、そのためには一貫いっかんせいのあるアイデンティティは邪魔じゃまになるのでそとキャラを用意よういすることになるのだという。つまり、そとキャラは他者たしゃうため、うちキャラは自己じこうためのものといえる[38]

キャラが所属しょぞく集団しゅうだんといった文脈ぶんみゃくによって使つかけられるということと、前述ぜんじゅつしたようにキャラが「コミュニケーションをたのしむ」ためにもちいられていることをかんがえると、キャラとは(「共同きょうどう社会しゃかい」にたいする)「利益りえき社会しゃかい[ちゅう 6]あらわしているともいえる[15]。「共同きょうどう社会しゃかい」とは(古代こだい氏族しぞく社会しゃかいのように)血縁けつえん地縁ちえんにより人々ひとびとぜん人格じんかくてき結合けつごうされ、個人こじん所属しょぞくする集団しゅうだん自由じゆう選択せんたくできない社会しゃかい意味いみし、それにたいする「利益りえき社会しゃかい」は仕事しごと達成たっせいなどによる利益りえき共有きょうゆうというような紐帯ちゅうたいにより人々ひとびと断片だんぺんてきむすけられ、個人こじん所属しょぞくする集団しゅうだん自由じゆう選択せんたく可能かのう流動りゅうどうせいたか社会しゃかい意味いみする。つまり、キャラてき人間にんげん関係かんけいとは「たのしさ」「おもづくり」といったことを目的もくてきとした利益りえき共有きょうゆうによる紐帯ちゅうたいむすぼうとする利益りえき社会しゃかいかんがえることができるのである[39]

アーヴィング・ゴッフマンはアイデンティティを「社会しゃかいてきアイデンティティ」(社会しゃかいてき地位ちいかんする属性ぞくせいなど)と「個人こじんてきアイデンティティ」(したしい間柄あいだがらでのみ了解りょうかいされうるもの)の2つにけてろんじているが、若者わかものえんじるキャラは社会しゃかいてき文脈ぶんみゃくによってあたえられるものではないということをかんがえれば、「個人こじんてきアイデンティティ」のほう相当そうとうすることになる[40]他方たほうで、土井どい隆義たかよしうちキャラとんだような自分じぶんらしさの信念しんねんとしてのキャラには、社会しゃかいてきみとめられる存在そんざいになりたいという願望がんぼうもみられるといえる[41]

精神せいしん斎藤さいとうたまきは、キャラの使つかけの現象げんしょう解離かいりせい同一どういつせい障害しょうがい患者かんじゃにおける交代こうたい人格じんかくのようなものだとべている[42]解離かいりせい同一どういつせい障害しょうがい発祥はっしょう事例じれい自体じたいは、欧米おうべい比較ひかくして日本にっぽんではひくいとされているが、斎藤さいとうはこれを「キャラすることによって病理びょうりからのがれている」と解釈かいしゃくできるとべている[43]。その一方いっぽう日本にっぽんにおけるキャラ文化ぶんかべつ問題もんだいこすこともあるとして、きこもりげている[43]斎藤さいとうは、1990年代ねんだいすえった若者わかもの対象たいしょうとしたインタビュー調査ちょうささいにそのメンタリティを「きこもりけい原宿はらじゅくけいコミュニケーション能力のうりょくひくいが自己じこイメージは安定あんていしている」と「自分じぶんさがけい渋谷しぶやけい(コミュニケーション能力のうりょくたかいが自己じこイメージが不安定ふあんてい)」に大別たいべつしたが、自己じこイメージが明確めいかくであるぶんキャラを自在じざいあやつるのは「自分じぶんさがけい」のもの得意とくいとするものであり、「きこもりけい」のものはキャラのコントロールをうまくできないと整理せいりできる[44][45]。キャラの使つかけときこもりとの関係かんけいについては、もり真一しんいちもキャラてき人間にんげん関係かんけい特有とくゆう役割やくわりえんじて周囲しゅういわせる(空気くうきむ)ということにうしろめたさをかんじることが優等生ゆうとうせいてききこもりにつながるとべている[46]

若者わかものえんじるキャラは、批評ひひょうあずまひろし提示ていじした「データベース消費しょうひ」「動物どうぶつ」といったキーワードと関連付かんれんづけて言及げんきゅうされることがある。あずまひろしは、おも日本にっぽんライトノベル美少女びしょうじょゲームなどのオタクけい文化ぶんかでのメディアミックス創作そうさく興隆こうりゅう注目ちゅうもくしながら、その文化ぶんかけんにおける様々さまざま情報じょうほう集積しゅうせきした「データベース」から適当てきとうにいくつかの個別こべつてき要素ようそわせるかたちでキャラクターが生成せいせいされ、それらの登場とうじょうする作品さくひん自体じたい消費しょうひしているようでいて実際じっさいにはその背後はいごにあるデータベース(の要素ようそ)が消費しょうひ対象たいしょうになっているとろんじ、さらにオタクがデータベースからされた記号きごうてき要素ようそに「」という脊髄せきずい反射はんしゃてき反応はんのうしめすように他者たしゃ媒介ばいかいした欲望よくぼううしなって自己じこ完結かんけつてき欲求よっきゅうのみをもとめるような傾向けいこう動物どうぶつんだ。あずまひろし自身じしんは、「キャラをえんじる」と表現ひょうげんされるのが(ほんこうべているような)擬似ぎじ人格じんかくとしてのキャラであり、「キャラをてる」というかたり表現ひょうげんされるのが要素ようそわせによってしょうじる偽者にせもののアイデンティティとしてのキャラだと整理せいりしているが[47]白田しろたしげるあきらによれば若者わかものえんじる社会しゃかいてき文脈ぶんみゃく依拠いきょしない「仮想かそうてきキャラ」も、このデータベース消費しょうひろんでいわれているように漫画まんがアニメなどのサブカルチャーにおいて蓄積ちくせきされたキャラクター類型るいけい参考さんこうにしそこから適当てきとうなものをすようなかたち生成せいせいされているという[13]社会しゃかい学者がくしゃ鈴木すずき謙介けんすけは、そのえんじるキャラをめるために対人たいじん関係かんけいのデータベースを参照さんしょうしているという意味いみでは、キャラの使つかけも(「対人たいじん関係かんけいへの嗜癖」ではなく)データベースと自己じこ往復おうふくするだけの「自己じこへの嗜癖」であるとべている[48]他方たほう太田おおた省一しょういちは、他者たしゃとの関係かんけいともなわない個人こじんてき欲求よっきゅうしかたないという意味いみで、動物どうぶつした主体しゅたいはキャラゲームからの離脱りだつしゃであるとべている[49]。ただし、かれらがこのむコンテンツを消費しょうひするなかでは、個人こじんてき範囲はんいでキャラの操作そうさ構築こうちくおこなわれており、キャラゲームが他者たしゃとの媒介ばいかいふくむレベルではなく個人こじんのレベルに変化へんかしたともいえるという。

キャラとキャラクター

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漫画まんが評論ひょうろん伊藤いとうつよしは、漫画まんが・アニメなどの物語ものがたり虚構きょこう)の登場とうじょう人物じんぶつという意味いみでのキャラクターをろんじるさいに、「キャラクター」と「キャラ」を区別くべつすることを提唱ていしょうした[ちゅう 7]具体ぐたいてきには、物語ものがたりなか独自どくじ個性こせい存在そんざいかんってえがかれるものを「キャラクター」とし、単純たんじゅん線画せんがえがかれことなる文脈ぶんみゃくへの越境えっきょう可能かのうせいった(たとえば創作そうさくつうじてべつ環境かんきょう移植いしょくされても同一どういつせいうしなわない)ものを「キャラ」とんでいる。対人たいじん関係かんけいよう仮想かそう人格じんかくとしてのキャラについてろんじられるときも、この伊藤いとうのキャラクターろんむすびつけて言及げんきゅうされることがある。

斎藤さいとうたまきは、スクールカーストものかぞえられる小説しょうせつりはめより100ばいおそろしい』の解説かいせつにおいて、作中さくちゅう登場とうじょうする様々さまざまな(ほんこう解説かいせつしている意味いみでの)「○○キャラ」のなか伊藤いとうつよしがいう意味いみでの「キャラ」と「キャラクター」の両方りょうほう存在そんざいすることを指摘してきしている。具体ぐたいてきには、作中さくちゅうにおいて「いじり」[ちゅう 8]対象たいしょう流動的りゅうどうてきわる描写びょうしゃかんがえれば「いじられキャラ」は「キャラ」であり、隠蔽いんぺいしていたもとオタクであるという過去かこられたとたんに対等たいとう人間にんげん関係かんけいから疎外そがいされるという描写びょうしゃかんがえれば「オタクキャラ」は「キャラクター」である、というようになる[50]

評論ひょうろん海老原えびはらゆたかは、「キャラ」と「キャラクター」の成立せいりつ順序じゅんじょ注目ちゅうもくしている。虚構きょこう人物じんぶつについてのキャラクターろんでは成立せいりつ順序じゅんじょが「キャラ」→「キャラクター」となる(まず線画せんがとしてのキャラがえがかれ、それが作品さくひん完結かんけつとともに独自どくじせいあたえられる)が、若者わかもののキャラろんにおいては成立せいりつ順序じゅんじょが「キャラクター」→「キャラ」になる(まず生身なまみ身体しんたいとしての「キャラクター」があり、そこからのずれとして「キャラ」がりあたられる)のだという[51]

土井どい隆義たかよしは、たとえば人形にんぎょうリカちゃんが(本来ほんらいあたえられていた家庭かてい環境かんきょうなどの設定せってい物語ものがたり忘却ぼうきゃくして)ミッキーマウスなどのべつのキャラクターをえんじるようになった(キャラクターのキャラ進行しんこう)ことは、現代げんだいじんが「おおきな物語ものがたり[ちゅう 9]うしな周囲しゅうい状況じょうきょうそくして臨機応変りんきおうへんそとキャラをえんじるようになったことを暗示あんじしているようにおもえるとべている[52]

キャラによるコミュニケーションがみられる空間くうかん

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キャラをもちいたコミュニケーションが顕著けんちょあらわれている空間くうかんとして学校がっこう(の教室きょうしつ)がある。教室きょうしつないかく生徒せいとられるキャラは、そこでの人気にんき序列じょれつあらわスクールカースト如実にょじつ影響えいきょうおよぼし、印象いんしょうわるいキャラをあたえられることはカーストのさい底辺ていへんまれること、さらにはいじめ場合ばあいによってはネットいじめ)の対象たいしょうとなる危険きけんせいをも意味いみすることになる[ちゅう 10][53]。また、教室きょうしつない設定せっていされるキャラがしばしば固定こていてきであることは、スクールカーストの固定こていせいとも関係かんけいしている。教室きょうしつない様々さまざまなキャラが発生はっせいする背景はいけいには、携帯けいたい電話でんわやパソコンによるインターネット環境かんきょう普及ふきゅうがあり、オンラインじょうでのコミュニケーションはオフラインでの人間にんげん関係かんけいにも影響えいきょうあたえている[54]

アイドルわら芸人げいにんらが出演しゅつえんするテレビバラエティ番組ばんぐみわら番組ばんぐみトーク番組ばんぐみも、キャラの確立かくりつ重要じゅうようされる空間くうかんである。ジャニーズ事務所じむしょ所属しょぞく男性だんせいアイドルからAKB48[ちゅう 11]などの女性じょせいアイドルグループまでアイドル分野ぶんやでも、(容姿ようし・スタイルや歌唱かしょうりょく演技えんぎりょくといったスキルの巧拙こうせつよりもむしろ)「キャラ」の確立かくりつ成否せいひ人気にんき維持いじするじょう重大じゅうだい要素ようそとなっている[57][58]とくに、なんらかの架空かくうほしからやってきた、というような現実離げんじつばなれしたキャラ設定せっていをアイドルがもちいる手法しゅほうは1990年代ねんだいからのアイドル声優せいゆうのブームから定着ていちゃくしたものである[59][60]。また、若者わかもののコミュニケーション作法さほう自体じたいが、おわら芸人げいにんのそれを模倣もほうしているめんがあり[61]ゼロ年代ねんだい以降いこうわら芸人げいにんひなだん芸人げいにん競争きょうそうにおいては「いかにユニークなキャラをてるか」ということが名前なまえじょう重要じゅうようされている[62]。おわらい(とく漫才まんざい)の作法さほうとしては、「フリ→ボケ(→ツッコミ)[ちゅう 12]」というわらいをすための定式ていしきされた一連いちれんのやりとりがあるが、キャラという観点かんてんからみれば「フリ」のがわ相手あいてのキャラを把握はあくしたうえでそれをかせるようなボケに接続せつぞくするきっかけをあたえる役目やくめのことであり、「ツッコミ」はボケのキャラの演技えんぎくずしたり、えんじれきれずにもと露呈ろていしてしまったときにそのこと自体じたいわらいにして軌道きどう修正しゅうせいするという役目やくめびていることになる[63]。また、キャラ設定せってい自体じたい一種いっしゅの「フリ」になっていると解釈かいしゃくすることも可能かのうであり、たとえば「遅刻ちこくキャラ」であればそのキャラ設定せってい自体じたい一種いっしゅの「フリ」であって、かれまたは彼女かのじょ実際じっさい遅刻ちこくをすれば「やっぱり遅刻ちこくした」というかたちでパターンされたわらいがまれることになり、さらにかり遅刻ちこくをしなかったとしても図式ずしきからの意外いがいなズレという意味いみでそれがわらいに転化てんかする可能かのうせいがある[64]

インターネット空間くうかんブログチャット電子でんしメールなど)でも現実げんじつ人格じんかくとはかならずしも一致いっちしない仮想かそう人格じんかく(キャラ)によるコミュニケーションがおこなわれているめんつよく、性別せいべついつわって振舞ふるまう「ネカマネナベ」の存在そんざい自己じこ分身ぶんしんとしてのキャラクターを意味いみするアバターはその象徴しょうちょうであるといえる[13][65]おぎじょうチキも、インターネット技術ぎじゅつ発展はってん前述ぜんじゅつの「キャラけニーズ」を補助ほじょするものであるとしており、さらに若者わかもの自身じしんのキャラを調整ちょうせい・プロデュースするじょう重要じゅうよう役割やくわりたしているものとして携帯けいたい電話でんわげている。たとえばストラップをつけたりラインストーンシールなどで装飾そうしょくほどこしたり[ちゅう 13] することは(工業こうぎょう製品せいひんとして大量たいりょう生産せいさんされた)携帯けいたい電話でんわ個性こせいたせて自身じしんのキャラをアピールする意味いみがあり、プロフかおちぇき!といったモバイルサイト駆使くしして自分じぶん自身じしん演出えんしゅつしたいキャラの設定せってい明確めいかくにすることもできる。女児じょじけアニメ『ふたりはプリキュア』でヒロインの少女しょうじょ変身へんしんするためのキーアイテムとして携帯けいたい電話でんわしたキャラクターが採用さいようされていることはその象徴しょうちょうといえる[66]

これら以外いがいにも、キャラによるコミュニケーションは合同ごうどうコンパ[67]家庭かてい会社かいしゃなど大人おとな世代せだいにもひろ浸透しんとうしている[13][68]

漫画まんがアニメなどの創作そうさくぶつなかにも、現実げんじつ世界せかいでのキャラてき人間にんげん関係かんけい反映はんえいした描写びょうしゃがみられることがある。スクールカーストものといわれる一連いちれん作品さくひんぐんにおいてスクールカーストと関連かんれんしてキャラの確立かくりつをめぐるきがえがかれているほか、少女しょうじょ漫画まんがの『しゅごキャラ!』や(前述ぜんじゅつプリキュアシリーズのひとつである)『ハートキャッチプリキュア!』において「キャラチェンジ」というコンセプトがされている[69][70]

類似るいじする概念がいねん

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ペルソナ
他者たしゃとのコミュニケーションのために使つかけられるインターフェイスという意味いみで、ユング心理しんりがくでいうペルソナとキャラは類似るいじした概念がいねんであるといえる。しかし斎藤さいとうたまきによると、欧米おうべいがたのペルソナモデルでは背後はいごに「欠如けつじょした単一たんいつ主体しゅたい」が想定そうていされその欠如けつじょゆえに複数ふくすうのペルソナを所有しょゆうすることになるが(主体しゅたいとペルソナの関係かんけいは「一対多いちたいた」となる)、日本にっぽんがたのキャラモデル[ちゅう 14]場合ばあいはキャラは単一たんいつ主体しゅたいつものではなく、主体しゅたい複数ふくすうせい背景はいけいとして各々おのおの主体しゅたいがその人格じんかくるための生成せいせいてき記号きごうとして機能きのうしている(主体しゅたいとキャラの関係かんけいが「たい」となる)というてんことなると指摘してきしている[71]
仮面かめん
古代こだいからまつり儀式ぎしきもちいられる仮面かめんは、遊戯ゆうぎてきになにかをえんじるツールという意味いみではキャラと類似るいじしたものであるといえる。しかし、思想家しそうかロジェ・カイヨワによるあそびの4要素ようそである「競争きょうそう」「偶然ぐうぜん」「模擬もぎ」「眩暈げんうん[ちゅう 15]じく比較ひかくすると、仮面かめんは「模擬もぎ」と「眩暈げんうん」を結合けつごうするものであるのにたいし、キャラゲームでは「模擬もぎ」の要素ようそはあっても「眩暈げんうん」の要素ようそいといえる。すなわち、仮面かめんをつけることは他者たしゃえんじることによって(眩暈げんうんこすほどの陶酔とうすいともなうような)「自我じが忘却ぼうきゃく」の状態じょうたいることになるが、キャラは他者たしゃえんじるのではなく自分じぶん自身じしんえんじるというめんがあるため、「眩暈げんうん」の要素ようそけているのである[72]
けい
若者わかもの言葉ことばで、前述ぜんじゅつしたようなおな傾向けいこうったひとたちからなるグループを「~けい」という。まず教室きょうしつ空間くうかんが(オタクけいギャルけいといったように)「~けい」というかたちでいくつかのグループに分断ぶんだんし、さらにそのグループのなかで「~キャラ」があたえられるという構造こうぞうになる。ただし、この言葉ことば用法ようほうにはらぎがあり、実際じっさいには「~けい」が「~キャラ」とほぼおな意味いみ使用しようされることもある[73]
「~けい」という若者わかもの言葉ことば興隆こうりゅうまえには(たけぞくクリスタルぞくのような)「~ぞく」という言葉ことば乱造らんぞうされていたが、社会しゃかい学者がくしゃ難波なんばいさおは「社会しゃかいがある若者わかもの集団しゅうだんたいしてあたえた呼称こしょう」から「若者わかもの同士どうし自他じた若者わかもの集団しゅうだんあたえた呼称こしょう」への変化へんかとらえており[74]、これはキャラ世代せだい心性しんせいとも符合ふごうするものといえる[75]

関連かんれん用語ようご表現ひょうげん

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キャラリング
前述ぜんじゅつしたようにそのそのおうじてキャラを使つかけること[13]
キャラがかぶる
「かぶる」とは、若者わかもの言葉ことば重複じゅうふくすることを意味いみし、「キャラがかぶる」とはグループない同一どういつの(あるいは類似るいじした)キャラのもの複数ふくすう存在そんざいすることをいう(キャラかぶりということもある[76])。キャラの重複じゅうふく当事とうじしゃあいだでの競争きょうそうまねいて敗者はいしゃがそのグループから排斥はいせきされる可能かのうせいもあり、タブーとされる[77][78]
これはテレビ番組ばんぐみでのキャスティングのときから日常にちじょう生活せいかつまでひろ使用しようされる表現ひょうげんで、鷲田わしだ清一せいいち一般いっぱん視聴しちょうしゃ番組ばんぐみ制作せいさくするディレクターのような視点してんはじめたのだとべている。さらに、「自分じぶん居場所いばしょい」「自分じぶん居場所いばしょさがす」というようないいまわしをするときの「居場所いばしょ」とは、キャラがかぶっていない場所ばしょなのかもしれないとしている[79]
実際じっさい瀬沼せぬまぶんあきら若者わかものたいしてったアンケート調査ちょうさでは過半数かはんすうが「キャラがかぶっても抵抗ていこうい」とこたえている。ただし、そもそもグループないではキャラがかぶらないように発生はっせいしていくものであって実際じっさいにキャラがかぶることはすくない(キャラがかぶったことを経験けいけんしているひとすくない)から、「抵抗ていこうがある」とこたえるひとすくなかったともかんがえられる[80]
キャラがうすい/
キャラがうすいとは、存在そんざいかんがない(キャラが十分じゅうぶん確立かくりつされていない)こと[79]。キャラがいはそのぎゃくで、前述ぜんじゅつの(どういちグループないにおける)「キャラかぶり」が発生はっせいしたさいにはかぶった相手あいてよりもいキャラになるという対処たいしょほうかんがえられる[81]
キャラチェンジ
一度いちど設定せっていされたキャラを変更へんこうすること。学校がっこうないでのキャラ設定せってい固定こていせいつよいため「いじられキャラ」「いじめられキャラ」などに設定せっていされてしまった場合ばあい挽回ばんかいむずかしいとされる[82]スクールカーストものといわれる物語ものがたりぐんなかでいえば、どうしいの『りはめより100ばいおそろしい』では中学ちゅうがく時代じだいに「いじられキャラ」だった少年しょうねん高校こうこうでキャラを変更へんこうして人気にんきしゃになろうとするさまがえがかれ、白岩しらいわげんの『ブタ。をプロデュース』ではいじめをけている状態じょうたい少年しょうねんテレビドラマはんでは少女しょうじょ)を、べつ少年しょうねんが(深刻しんこくないじめとの対象たいしょうにはならない範囲はんいでの)「いじめられキャラ(いじられキャラ)」としてプロデュースしなおそうとするところから物語ものがたりがスタートする[83]。さらに省略しょうりゃくしてキャラチェンあるいはキャラとも[76]
自己じこ啓発けいはつ一環いっかんとしてネガティヴなキャラからポジティブなキャラへ変更へんこうすることが推奨すいしょうされることもある[84]
キャラ
「キャラがつ」とは個性こせい際立きわだっているという意味いみ若者わかものあいだでは肯定こうていてき使つかわれている。テレビ番組ばんぐみ製作せいさく業界ぎょうかい使つかわれていた専門せんもん用語ようご由来ゆらいし、とく演技えんぎとして意図いとてき構築こうちくされた性格せいかくではなく、もとのままの性格せいかくというニュアンスがある[85]
2007ねん9がつ自由民主党じゆうみんしゅとう総裁そうさい選挙せんきょでも麻生あそう太郎たろう自分じぶん自身じしんについて「キャラがっている」という表現ひょうげん使用しようしている[86]
他者たしゃから自分じぶんらしさを確立かくりつするという意味いみで「キャラをてる」という表現ひょうげんをすることもある[87]
キャラ・かげキャラ・ちゅうキャラ
陽気ようき性格せいかくひとを「キャラ」とび、陰気いんき性格せいかくひとを「かげキャラ」と[88]、それのなかあいだてきひとを「ちゅうキャラ」とう。それぞれ「キャ」「かげキャ」「ちゅうキャ」とりゃくすことがある[88]スクールカーストでは、基本きほんてきキャラが上位じょういぞくし、かげキャラが下位かいぞくすとされる。スクールカーストをにしすぎるのはかげキャラともわれる[89]かげキャは、思案じあん内気うちき性格せいかくひと意味いみする[90]キャは性格せいかくあかるく、ひとづきあいが得意とくいである[91]。ポジティブで人見知ひとみしりをせず、流行りゅうこうやおしゃれにもをつかえるひとおおいのも特徴とくちょうである[92]
1980年代ねんだいから1990年代ねんだいなかごろ使つかわれていたネアカネクラちか言葉ことばである[93]

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ これらの表現ひょうげんじゅん瀬沼せぬまぶんあきら相原あいはら博之ひろゆきもり真一しんいち太田おおた省一しょういちおぎじょうチキ使用しようしている。
  2. ^ 社会しゃかい学者がくしゃ宮台みやのだい真司しんじはこれをしま宇宙うちゅうんだ[7]おな傾向けいこうった友人ゆうじん同士どうしは「るいとも」といわれ[8]社会しゃかい心理しんりがくものエーリヒ・フロムがいう「社会しゃかいてき性格せいかく」に相当そうとうするとかんがえられる[9]
  3. ^ かれ言葉ことばでは、後述こうじゅつする「モバイルてき実存じつぞん」または「断片だんぺんがたキャラクターてき実存じつぞん」となる。
  4. ^ 宇野うのはもともとこれをモバイルてき実存じつぞんキャラクターてき実存じつぞんんでいたが[34]のちTwitterうえであまりうまくない命名めいめいであったとべてあらためた[35]
  5. ^ この意味いみではほん記事きじろんじられているのは基本きほんてきにはそとキャラで、#メリット・デメリットべた「本当ほんとう自分じぶん」がうちキャラに相当そうとうする。
  6. ^ 共同きょうどうたい#ゲマインシャフトとゲゼルシャフト参照さんしょう。ここでいう「利益りえき社会しゃかい」「共同きょうどう社会しゃかい」はそれぞれ「ゲゼルシャフト」「ゲマインシャフト」に相当そうとうする。
  7. ^ キャラクター#キャラとキャラクター参照さんしょう
  8. ^ 特定とくてい個人こじんたいして道化どうけのようないを強制きょうせいするようなコミュニケーション関与かんよのこと。広義こうぎいじめ(コミュニケーション操作そうさがたいじめ)に相当そうとうする。
  9. ^ 社会しゃかい共有きょうゆうされる規範きはん枠組わくぐみのこと。ポストモダン到来とうらいはこれがうしなわれたことだとろんじられる。
  10. ^ スクールカースト#いじめとの関係かんけいスクールカースト#「キャラ」との関係かんけい参照さんしょう
  11. ^ 選抜せんばつそう選挙せんきょ人気にんき投票とうひょう)」というシステムの導入どうにゅうや「いにけるアイドル」という直接的ちょくせつてき交流こうりゅう重視じゅうししたコンセプトによって効率こうりつてき個々ここのメンバーのキャラ(すべりキャラの高橋たかはしみなみ、ボーイッシュキャラの宮澤みやざわたすくこうなど)を確立かくりつさせてファンに消費しょうひさせていることが斎藤さいとうたまき[55]宇野うのつねひろし[56] から指摘してきされている。詳細しょうさいAKB48#キャラクター消費しょうひ参照さんしょう
  12. ^ ここでいう「フリ」とは相手あいてにボケのきっかけをあたえる行為こういのことで、それがうまく「ボケ」に連結れんけつされるとわらいにつながる。さらにそのボケに対応たいおうしてそのおかしさや間違まちがいなどを常識じょうしきてき観点かんてんから指摘してきするのが「ツッコミ」である。
  13. ^ デコレーション携帯けいたい電話でんわ参照さんしょう
  14. ^ 斎藤さいとうたまきはこれを「CPM(Characterized Psychoanalytic Matrix)モデル」とんでいる。
  15. ^ あそび#「あそび」の類型るいけい参照さんしょう

出典しゅってん

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参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん項目こうもく

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