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信号しんごう (電気でんき工学こうがく)

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電気でんき信号しんごうから転送てんそう

信号しんごう(しんごう・えい: signal)は、電気でんき通信つうしん信号しんごう処理しょり、さらには電気でんき工学こうがく全般ぜんぱんにおいて、時間じかん空間くうかんともなって変化へんかする任意にんいりょう意味いみする。

じつ世界せかいでは、時間じかんとも測定そくてい可能かのうりょうや、空間くうかんにおいて測定そくてい可能かのうりょう信号しんごうという。また人間にんげん社会しゃかいでは、人間にんげんはっする情報じょうほう機械きかいデータ信号しんごうとされる。そのような情報じょうほうやデータ(たとえば画面がめんじょうのドット紙上しじょうにインクでかれたテキスト、あるいはこれをんでいるひとている単語たんごれつ)はすべて、なんらかの物理ぶつりてきシステムや生体せいたいてきシステムの一部いちぶとして存在そんざいしている。

システムの形態けいたい様々さまざまだが、その入力にゅうりょく出力しゅつりょく時間じかんまたは空間くうかんともなって変化へんかするとしてあらわすことが可能かのうである。20世紀せいき後半こうはん電気でんき工学こうがくはいくつかの分野ぶんやかれ、その一部いちぶ物理ぶつりてき信号しんごうとそのシステムを設計せっけいおよび解析かいせきする方向ほうこうとくしてきた。また、一方いっぽうでは人間にんげん機械きかい複雑ふくざつなシステムの機能きのう動作どうさ概念がいねん構造こうぞうあつか分野ぶんや登場とうじょうした。これらの工学こうがく分野ぶんやは、単純たんじゅん測定そくていりょうとしての信号しんごう利用りようしたシステムの設計せっけい/研究けんきゅう/実装じっそう方法ほうほう提供ていきょうし、それによって情報じょうほう転送てんそう/格納かくのう/操作そうさあらたな手段しゅだんされてきた。

いくつかの定義ていぎ[編集へんしゅう]

情報じょうほう理論りろんにおける信号しんごうとは、符号ふごうされたメッセージであり、メッセージを符号ふごうする通信つうしん状態じょうたいならびである。通信つうしんシステムでは、送信そうしんがメッセージを符号ふごうして信号しんごうにし、伝送でんそうとおしてそれを受信じゅしんおくる。たとえば、電話でんわかって「メリーさんのひつじ」という言葉ことばはなったとする。電話でんわ送信そうしんはそのおと電気でんきてき電圧でんあつ信号しんごう変換へんかんする。その信号しんごう電話でんわせんかいしてべつ受信じゅしんよう電話でんわおくられ、受信じゅしんおと変換へんかんする。

信号しんごう分類ぶんるいには様々さまざま方法ほうほうがある。もっと典型てんけいてき分類ぶんるいは、その信号しんごう定義ていぎいき離散りさん空間くうかん連続れんぞく空間くうかんかで分類ぶんるいするもので、たとえば離散りさん時間じかん連続れんぞく時間じかんのような分類ぶんるいがある。離散りさん時間じかん信号しんごうは、分野ぶんやによってはどき系列けいれつともばれる。連続れんぞく時間じかん信号しんごうは、数学すうがくてきには連続れんぞくでなくとも連続れんぞく信号しんごうばれ、たとえば矩形くけいがある。

だい重要じゅうよう分類ぶんるいは、離散りさん連続れんぞくかである。デジタル信号しんごう離散りさんをとるが、連続れんぞくをとる物理ぶつりてきプロセスにもとづいていることがおおい。

離散りさん時間じかん信号しんごう連続れんぞく時間じかん信号しんごう[編集へんしゅう]

信号しんごう離散りさんてき(ばらばらな)時間じかんについてのみ定義ていぎされている場合ばあい、これを離散りさん時間じかん信号しんごうという。離散りさん時間じかん実数じっすう(または複素数ふくそすう信号しんごうは、整数せいすう集合しゅうごうから実数じっすう(または複素数ふくそすう)の集合しゅうごうへの関数かんすうることができる。

一方いっぽう連続れんぞく時間じかん実数じっすう(または複素数ふくそすう信号しんごうは、ある区間くかん通常つうじょう無限むげん区間くかん)におけるすべての時間じかん t について定義ていぎされている実数じっすう(または複素ふくそ数値すうち関数かんすう (数学すうがく)ということができる。

アナログ信号しんごうとデジタル信号しんごう[編集へんしゅう]

上述じょうじゅつのような理論りろんてき分類ぶんるいくらべると形式けいしきてきではないが、一般いっぱん信号しんごうアナログ信号しんごうデジタル信号しんごう分類ぶんるいされる。そのちがいは、デジタル信号しんごうほうが(後述こうじゅつのように)離散りさんされ量子りょうしされているてんにある。アナログ信号しんごうにはどちらもほどこされていない。

離散りさん[編集へんしゅう]

信号しんごう基本きほんてき分類ぶんるいの1つに、連続れんぞく時間じかん離散りさん時間じかんかという分類ぶんるいがある。数学すうがくてき抽象ちゅうしょうでは、連続れんぞく時間じかん信号しんごう定義ていぎいき実数じっすう集合しゅうごう(あるいはそのなかのある区間くかん)であり、離散りさん時間じかん信号しんごう定義ていぎいき整数せいすう集合しゅうごう(あるいはそのなかのある区間くかん)である。その整数せいすうなにあらわすか(単位たんいなにか)は信号しんごう性質せいしつによってことなる。

離散りさん時間じかん信号しんごうは、連続れんぞく時間じかん信号しんごう標本ひょうほんによって生成せいせいされることがおおい。たとえば、センサ連続れんぞくてきにデータを生成せいせいすることがおおいが、連続れんぞくなデータを記録きろくするのはむずかしいため、近似きんじてき離散りさん時間じかん信号しんごうとして記録きろくされる。コンピュータなどのデジタル機器きき離散りさん時間じかんしかあつかえない。

量子りょうし[編集へんしゅう]

信号しんごう数値すうちれつあらわされるとき、コンピュータなどは個々ここ数値すうち任意にんい精度せいどあつかうことはできず、それぞれ固定こていされた有限ゆうげん有効ゆうこう数字すうじあらわ必要ひつようがある。結果けっかとして、そのような信号しんごう有限ゆうげん集合しゅうごうもととなるよう制限せいげんされる。いいかえれば、量子りょうしされる。

信号しんごうれい[編集へんしゅう]

運動うんどう[編集へんしゅう]

粒子りゅうし空間くうかんにおける運動うんどう信号しんごうなすことができる(あるいは信号しんごうあらわしている)。運動うんどう信号しんごう定義ていぎいきは1次元じげん時間じかん)であり、値域ちいき一般いっぱんに3次元じげんである。つまり粒子りゅうし位置いちが3次元じげんベクトル信号しんごうである。位置いちうごいている方向ほうこうなら6次元じげんベクトルの信号しんごうである。

おと[編集へんしゅう]

おとなんらかの媒質ばいしつ空気くうきなど)の振動しんどうであり、おと信号しんごう時間じかんおよびさん次元じげんのあらゆる方向ほうこうについての圧力あつりょく変化へんかである。マイクロフォンはその地点ちてん音圧おんあつ時間じかんてき変化へんかとらえ、それを電気でんき信号しんごうあらわす。

コンパクトディスクにはおとあらわす(1秒間びょうかんに44,100かい標本ひょうほんをされた)離散りさん信号しんごう格納かくのうされている。かく標本ひょうほんには左右さゆう2つのチャンネルのデータがふくまれ、次元じげんベクトル信号しんごうえる(つまり、ステレオ録音ろくおんされている)。

静止せいし[編集へんしゅう]

静止せいしでは、そのかくてんいろあらわ対応たいおうする。そのようなてん平面へいめん構成こうせいしているので、定義ていぎいき次元じげんとなる。絵画かいがのような物理ぶつりてき画像がぞう連続れんぞく信号しんごうである。デジタル画像がぞうでは離散りさん信号しんごうとなる。いろさん原色げんしょくつよさの総和そうわとしてあらわすことがおおく、そうすることで信号しんごうとしてはさん次元じげんベクトルとなる。

動画どうが[編集へんしゅう]

動画どうが時間じかんとも変化へんかする画像がぞうれつである。動画どうがぞうないいちてん次元じげん位置いちとその画像がぞう時間じかんあらわされる。したがって、動画どうが信号しんごう定義ていぎいきさん次元じげんである。アナログビデオの定義ていぎいきいち次元じげんの(走査そうさせん沿った)連続れんぞく次元じげん離散りさん(フレームとライン)であらわされる。

空間くうかん情報じょうほう[編集へんしゅう]

LiDARセンサにみた、レーザーとその反射はんしゃ信号しんごうとしてとらえる。

生物せいぶつまく電位でんい[編集へんしゅう]

その信号しんごう電位でんい電圧でんあつ)そのものである。定義ていぎいきさだめるのはややむずかしい。細胞さいぼう細胞さいぼうしょう器官きかんによっては全体ぜんたいおなまく電位でんいだが、神経しんけい細胞さいぼう一般いっぱん場所ばしょによってまく電位でんいことなる。このような信号しんごう非常ひじょうていエネルギーだが、神経しんけいけいはたらくには十分じゅうぶんである。その測定そくていには電気でんき生理学せいりがく技法ぎほう必要ひつようとなる。

薄膜うすまく電位でんい[編集へんしゅう]

ガラス表面ひょうめん電極でんきょく蒸着じょうちゃくさせた表示ひょうじディスプレイに、ヒトのゆびれることで、その電位でんい増幅ぞうふくさせて信号しんごうとする。

周波数しゅうはすう解析かいせき[編集へんしゅう]

信号しんごう周波数しゅうはすうスペクトル使つかって解析かいせきされモデルされることがおおい。周波数しゅうはすう領域りょういき技法ぎほうはあらゆる信号しんごう適用てきよう可能かのうであり、連続れんぞく時間じかん離散りさん時間じかんかをわない。信号しんごうLTIシステム入力にゅうりょくされたとき、その出力しゅつりょく信号しんごう周波数しゅうはすうスペクトルは、入力にゅうりょく信号しんごう周波数しゅうはすうスペクトルとシステムの周波数しゅうはすう応答おうとうによって決定けっていされる。

エントロピー[編集へんしゅう]

信号しんごうとく統計とうけいてき意味いみでの信号しんごう)における重要じゅうよう属性ぞくせいとして、エントロピー情報じょうほうりょう)がある。

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]