(Translated by https://www.hiragana.jp/)
電気柵 - Wikipedia コンテンツにスキップ

電気でんきしがらみ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
電気でんきしがらみ

電気でんきしがらみでんしがらみ(でんきさく・でんさく)とは、動物どうぶつれたさい電気でんきショック[よう曖昧あいまい回避かいひ]あたえる機構きこう付加ふかしたしがらみのこと。

構造こうぞう[編集へんしゅう]

木製もくせいから金属きんぞくせいのものまでさまざま。いずれもはだか電線でんせん針金はりがねに、専用せんよう電源でんげん装置そうちによって感電かんでんいたらないよう制御せいぎょされたよわ電流でんりゅうながれてショックをあたえるようになっている。

設置せっちたっては、電源でんげん装置そうちふくしがらみ設置せっち費用ひよう補修ほしゅう・メンテナンス費用ひよう電気でんきだいなどを考慮こうりょする必要ひつようがある。

目的もくてき[編集へんしゅう]

アウシュヴィッツ強制きょうせい収容しゅうようしょ設置せっちされた有刺鉄線ゆうしてっせん電気でんきしがらみ

効果こうか[編集へんしゅう]

家畜かちくは、電気でんきショックをえてまでしがらみがい逸脱いつだつする必要ひつようはないので、人為じんいてきなミス、破壊はかい破損はそんがないかぎり、ほぼ100%効果こうかられる。また、大概たいがい場合ばあい学習がくしゅう効果こうかにより、自然しぜんしがらみりつかなくなることから、常時じょうじ電流でんりゅうながさなくとも場合ばあいがある。

野生やせい動物どうぶつは、食糧しょくりょうるために集団しゅうだんしがらみ攻撃こうげきして破損はそんさせたり(いのししなど)、しがらみしたがわきやしがらみをジャンプする(鹿しかなど)、周囲しゅういからりる(さるなど)など想定そうていがい行動こうどうせることから、設置せっち当初とうしょ試行錯誤しこうさくごおこな効果こうかたかめていく必要ひつようがある。

欠点けってん[編集へんしゅう]

  • だい規模きぼ牧畜ぼくちくなどはべつとして、自給じきゅうようはたけ作物さくもつなどしょう面積めんせき保護ほご対象たいしょうぶつたいしては費用ひようたい効果こうかられないことがおおい。
  • 定期ていきてきしがらみ周囲しゅうい牧草ぼくそう雑草ざっそうらないと、びたくさしがらみれて漏電ろうでんこし電気でんきしがらみ効果こうか減少げんしょうしたり余計よけい電力でんりょく浪費ろうひしてしまう。
  • ノイズ発生はっせいさせ電波でんぱ障害しょうがいこす場合ばあいがある。そのため、たとえば米国べいこくではアマチュア無線むせんいえなどによる苦情くじょうにより、改善かいぜん命令めいれいや、場合ばあいによっては電気でんきしがらみ使用しよう停止ていし注意ちゅうい命令めいれい連邦れんぽう通信つうしん委員いいんかいによりめいじられるケースも散見さんけんされる。[注釈ちゅうしゃく 1]

日本にっぽん状況じょうきょう[編集へんしゅう]

ほう規制きせい[編集へんしゅう]

日本にっぽんでは、電気でんき設備せつび一種いっしゅとして、電気でんき事業じぎょうほう関連かんれん法令ほうれいとうにより規制きせいされている。

電気でんき設備せつびかんする技術ぎじゅつ基準きじゅんさだめる省令しょうれいでは「電気でんきさく」と表記ひょうきし、「屋外おくがいにおいてはだか電線でんせん固定こていして施設しせつしたさくであって、そのはだか電線でんせん充電じゅうでんして使用しようするもの」と定義ていぎされている(だい74じょう)。

また、下記かき場合ばあいかぎでんさくを施設しせつすることをみとめている(どうじょう)。

  • 田畑たばた牧場ぼくじょう、そのこれにるいする場所ばしょにおいて
  • 野獣やじゅう侵入しんにゅうまた家畜かちく脱出だっしゅつ防止ぼうしするために施設しせつする場合ばあいであって、
  • 絶縁ぜつえんせいがないことを考慮こうりょし、感電かんでんまた火災かさいのおそれがないように施設しせつするとき

したがって、下記かきのようなものは、いずれも施設しせつすることをみとめられない不適切ふてきせつ違法いほう電気でんきさくである。

  • 田畑たはた牧場ぼくじょうとうでない場所ばしょ施設しせつしたもの
  • 人間にんげん侵入しんにゅう脱出だっしゅつ防止ぼうしするためのもの
  • コンセントの100V電源でんげんをそのままつなぐなど感電かんでん火災かさい危険きけんがある構造こうぞうのもの

事故じこ[編集へんしゅう]

いずれのケースも市販しはん電気でんきしがらみよう電源でんげん装置そうち使用しようしない、自作じさく電気でんきしがらみによるものである。

1978ねん10月7にち東京とうきょう大田おおた会社かいしゃいん自宅じたくいけなか感電かんでんしている姿すがた発見はっけんされる。いけ周囲しゅういには錦鯉にしきごいねこからまもるため自作じさく電気でんきしがらみ(100V15A相当そうとう)がつくられており、会社かいしゃいんあしすべらせいけなかち、そのさい電線でんせんれたものとみられている[1]

2009ねん8がつ12にちにはみなみあわじ電灯でんとうせん電源でんげん直結ちょっけつした電気でんきしがらみ自作じさくした農業のうぎょうしゃ感電かんでんする事故じこ発生はっせいした。 これをけ、経済けいざい産業さんぎょうしょう原子力げんしりょく安全あんぜん保安ほあんいんおよび日本にっぽんでんさく協議きょうぎかいでは、パンフレットの作成さくせいや、農林水産省のうりんすいさんしょうたいする農業のうぎょうしゃへの周知しゅうち依頼いらい技術ぎじゅつ基準きじゅん解釈かいしゃく改正かいせい適切てきせつ電源でんげん装置そうち漏電ろうでん遮断しゃだん使用しようとう明記めいき)などの対策たいさくおこなっている[2]

2015ねん7がつ19にちには静岡しずおかけん西伊豆にしいずまち一色いっしょく仁科川にしながわ支流しりゅうで、漏電ろうでんした電気でんきしがらみ子供こどもふく男女だんじょ7にん感電かんでんする事故じこ発生はっせいし、男性だんせい2にん死亡しぼうした[3]。この電気でんきしがらみ栽培さいばいしている紫陽花あじさい鹿しかからまもるため設置せっちしゃ自作じさくしたもので、安全あんぜん装置そうちとうけられていなかったほか、変圧へんあつによって400v程度ていどまで昇圧しょうあつされていた[4]静岡しずおか県警けんけい重過失じゅうかしつ致死傷ちししょううたがいで捜査そうさしていたが、身柄みがら確保かくほはせずに設置せっちしゃはのちに自殺じさつした。

補助ほじょ制度せいど[編集へんしゅう]

2009年度ねんどまでは、電気でんきしがらみ設置せっちとう補助ほじょ制度せいどとして農林水産省のうりんすいさんしょう鳥獣ちょうじゅう被害ひがい防止ぼうし総合そうごう対策たいさく事業じぎょう存在そんざいしたが、2009ねん事業じぎょう仕分しわけ (行政ぎょうせい刷新さっしん会議かいぎ)(WG3)にはかられた。会議かいぎでは、現行げんこうどおり2めい予算よさん縮減しゅくげん2めい計上けいじょう見送みおくり1めい自治体じちたいまかせる8めいけつから「重要じゅうよう課題かだいであるということは認識にんしきしつつも、くにではない」[5]との意見いけんしめされ、2010年度ねんどからは補助ほじょきん計上けいじょうされず交付こうふきん措置そちとされた。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく
  1. ^ FCCによるAmateur Radio Service Enforcement Actionsに、そういった苦情くじょうもとにFCCが改善かいぜん命令めいれいしている文書ぶんしょなどを閲覧えつらんすることができる。
出典しゅってん

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]