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類推るいすい

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

類推るいすい(るいすい)または類比るいひ(るいひ)、アナロジー(analogy)とは、特定とくてい事物じぶつもとづく情報じょうほうを、特定とくてい事物じぶつへ、それらのあいだなんらかの類似るいじもとづいて適用てきようする認知にんち過程かていである。古代こだいギリシャで「比例ひれい」を意味いみする ἀναλογία アナロギアーといった概念がいねん由来ゆらいし、広義こうぎにおいてこれはロゴス含有がんゆうする。

類推るいすいは、問題もんだい解決かいけつ意思いし決定けってい記憶きおく説明せつめいメタファーなどの修辞しゅうじ技法ぎほう)、科学かがく理論りろん形成けいせい芸術げいじゅついえ創意そうい創造そうぞう作業さぎょうなどにおいて重要じゅうよう過程かていであるが、論理ろんりてき誤謬ごびゅう排除はいじょむずかしい場合ばあいおおく、脆弱ぜいじゃく論証ろんしょう方法ほうほうである。科学かがくてきしん概念がいねん形成けいせい過程かていは、チャールズ・パースによるアブダクション理論りろんとして区別くべつされることもある。

ことなる事象じしょうたい類推るいすいすることで、共通きょうつうせい見出みいだ言語げんごてき作業さぎょう比喩ひゆである。 言語げんごがくでは、言語げんご自体じたいたいする類推るいすい言語げんご変化へんかおおきな要因よういんとされる。

アナロジズム

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自然しぜん客体かくたいし、その属性ぞくせいちから人体じんたいなどのべつ客体かくたい照応しょうおうさせて類推るいすいする自然しぜんかんを、フィリップ・デスコラはアナロジズムとんだ[1]。デスコラは「アナロジズムてき存在そんざいろんは、しょ存在そんざい特異とくいせいかえ経験けいけんするなかで、執拗しつよう照応しょうおう関係かんけいもちいることで、多様たようなものの増殖ぞうしょくから無秩序むちつじょ感覚かんかくやわらげようとする[1]」とべ、アナロジズムは歴史れきしじょうしょ文明ぶんめいにさまざまなかたちられるかんがかた指摘してきしている。たとえば、マクロコスモスとミクロコスモス照応しょうおううらな中国ちゅうごく山水さんすい基本きほんてきかんがかたであり、ストア哲学てつがくしんプラトン主義しゅぎ哲学てつがくてきアイデアをあたえている[1]

自然しぜん科学かがく

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物理ぶつりがくでは、あらたな理論りろん形成けいせいされるさいに、理論りろんからの類推るいすいおおきな役割やくわりたしたれいられる。たとえば、ファラデー電磁気でんじきがく研究けんきゅうにおいて流体りゅうたい力学りきがくからの類推るいすいもちい、マクスウェル方程式ほうていしきみちびかれた。

量子力学りょうしりきがく創成そうせい前期ぜんき量子りょうしろん)においては、ボーア惑星わくせい運動うんどうからの類推るいすい量子りょうし条件じょうけんくわえることで、原子げんし構造こうぞう説明せつめいした。またかつてなみかんがえられていたひかり粒子りゅうしとしての性質せいしつ光量子こうりょうし)があることがあきらかとなり、さらにひかり物質ぶっしつ運動うんどうとのあいだ類似るいじ原理げんりへんぶん原理げんり)があることから類推るいすいして、ルイ・ド・ブロイ物質ぶっしつにもなみ性質せいしつ物質ぶっしつ)があるとかんがえ、これがシュレーディンガー方程式ほうていしき発見はっけんにつながった。

移動いどう現象げんしょうろんにおいては、運動うんどうりょうねつ物質ぶっしつりょう移動いどうかんして、アナロジーをもちいて、おながた微分びぶん方程式ほうていしきろんじることが可能かのうとなっている。

言語げんごにおける類推るいすい

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言語げんご表現ひょうげんにおいて、表現ひょうげんされる事物じぶつかんしての類推るいすいもとづいた表現ひょうげん方法ほうほう比喩ひゆという。これはおおきく、類推るいすいであることを明示めいじする直喩ちょくゆと、明示めいじせずにべつの(文字通もじどおりにはべつ意味いみにとれる)表現ひょうげんえる隠喩いんゆ(メタファー)とにけられる。

一方いっぽう言語げんごがくでは、言語げんご自体じたいたいする類推るいすい言語げんご変化へんかおおきな要因よういんとされる。これらは変化へんかする時点じてんでは誤用ごようのことがおおいが、時代じだい推移すいいとともに定着ていちゃくするものがてくる。たとえば動詞どうしぬ」は本来ほんらいぎょう変格活用へんかくかつよう連体れんたいがた口語体こうごたい終止しゅうしがたは「ぬる」:一部いちぶ方言ほうげんにはのこっている)であったが、だん活用かつようからの類推るいすいだん活用かつよう変化へんかした。このように不規則ふきそく変化へんか類推るいすいにより規則きそく変化へんか移行いこうしたれいは、英語えいご過去かこかたち過去かこ分詞ぶんし語尾ごび-edなど、おおくの言語げんごられる。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b c 箭内やないただし『イメージの人類じんるいがく』 せりか書房しょぼう 2018ねん ISBN 978-4-7967-0373-4 pp.165-168.

関連かんれん項目こうもく

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