(Translated by https://www.hiragana.jp/)
12ポンドナポレオン砲 - Wikipedia コンテンツにスキップ

12ポンドナポレオンほう

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
12ポンドナポレオンほう
Canon obusier de campagne de 12
パリオテル・デ・ザンヴァリッド展示てんじされている12ポンドナポレオンほう
種類しゅるい 野砲やほう
はら開発かいはつこく フランスの旗 フランスだい帝政ていせい
運用うんよう
配備はいびさき フランスだい帝政ていせいアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくアメリカ連合れんごうこく
関連かんれん戦争せんそう紛争ふんそう クリミア戦争せんそう南北戦争なんぼくせんそう
開発かいはつ
開発かいはつ期間きかん 1853ねん
製造せいぞうすう フランス: ?
きたぐん:1,100もんみなみぐん:600もん
しょもと
重量じゅうりょう 626 kg、ほう砲車ほうしゃふくむ:1,200 kg
全長ぜんちょう 1.91 m

砲弾ほうだん 4.1 kg(榴弾りゅうだん実体じったいだんキャニスターだん
口径こうけい 121 mm
初速しょそく 439 m/s
有効ゆうこう射程しゃてい 仰角ぎょうかく5°で1,480 m
テンプレートを表示ひょうじ

12ポンドナポレオンほうふつ:Canon obusier de campagne de 12 cm, modèle 1853、べい:12-pounder Napoleon)は、1853ねんにフランスで開発かいはつされた野砲やほうフランス語ふらんすご直訳ちょくやくすると、1853ねんがた12cm榴弾りゅうだん野砲やほう[1]であるが、南北戦争なんぼくせんそうひろ使用しようされ、12ポンドナポレオンほうばれるようになった。「ナポレオン」は「ナポレオン3せい」を意味いみする。なお、幕末ばくまつ日本にっぽんでは、このほうではなく、よんきん山砲さんぽうをナポレオンほうんでいた[2]

特徴とくちょう

[編集へんしゅう]
12ポンドナポレオンほう

12ポンドナポレオンほうは、ぜんそうしきすべり腔砲であり、榴弾りゅうだん実体じったいだんキャニスターだんぶどうだん使用しようでき、それ以前いぜん実体じったいだんのみを使用しようするグリボーバル・システム比較ひかくし、おおきな改良かいりょうがなされている。英語えいごでは「12ポンドほう(12-pounder)」とばれるが、実際じっさいには12という数字すうじ砲弾ほうだん重量じゅうりょうではなく、「口径こうけい12cm」を意味いみする。砲弾ほうだん重量じゅうりょうは4.1kg、すなわち9ポンドであった。

この新兵しんぺいは、「革命かくめいてき野戦やせん兵器へいきであった。ナポレオンほううま牽引けんいんして急速きゅうそく移動いどうできるようじゅうふん軽量けいりょうであり、野戦やせん築城ちくじょうをほとんど1マイル遠方えんぽうから破壊はかいできるに十分じゅうぶん砲弾ほうだん重量じゅうりょうがあった。また、実体じったいだん榴弾りゅうだん、キャニスターだん発射はっしゃでき、多目的たもくてき使用しようできた。」[3]

フランス陸軍りくぐんは、このほうを1853ねん制式せいしき採用さいようした。

アメリカでの使用しよう

[編集へんしゅう]

12ポンドナポレオンほうは、南北戦争なんぼくせんそうもっとひろ使用しようされたぜんそうしきすべり腔砲であった[4]北部ほくぶでは1100もん南部なんぶでは600もんのナポレオンほう製造せいぞうされた。ゲティスバーグのたたかにおいては、きたぐんの360もん大砲たいほうちゅう、142もん(36%)がナポレポンほうであった。

ナポレオンほうは、安全あんぜんせい信頼しんらいせいとく近距離きんきょりでの殺傷さっしょうりょくについてたか評価ひょうかていた。きたぐん銃砲じゅうほうマニュアルにはだい重量じゅうりょうちょう砲身ほうしんの12ポンドほう野戦やせんではほとんど使用しようされなかった)と区別くべつするために、「けい12ポンドほう」と記載きさいされている[5]。アメリカにまれたのは1857ねんであり(このため、M1857とばれる)、アメリカ陸軍りくぐん使用しようした最後さいご青銅せいどうほう[6]であった。きたぐんバージョンは、砲身ほうしん前部ぜんぶがややふとくなっている(muzzle-swell、隆起りゅうき砲身ほうしん)ために区別くべつすることができる。しかしながら、くらべてややおもく、荒地あれちでの移動いどうには困難こんなんともなった。

みなみぐんのナポレオンほうにはすくなくとも6つのバリエーションがあったが、ほとんどはぐな砲身ほうしん使用しようした。しかし、戦後せんごのこった133もんちゅう8もんはmuzzle-swellがたであったことが記録きろくされている。くわえてバージニアしゅうリッチモンドのトリディガー鉄工てっこうしょTredegar Iron Works)で製造せいぞうされた推定すいてい125もん鉄製てつせいナポレオンほうのうち、4もん戦後せんご鹵獲ろかくされている[7]。1863ねん初頭しょとうロバート・E・リー将軍しょうぐんは、12ポンドナポレオンほう改鋳かいちゅうするために、きたバージニアぐんほとんすべての青銅せいどうせい6ポンドほうをトリディガーにおくった[8]青銅せいどう鋳造ちゅうぞうするためのどう不足ふそくは、戦争せんそう期間きかんちゅうつうじてアメリカ連合れんごうこくがわ問題もんだいであったが、チャタヌーガ近郊きんこうのダックタウンどう鉱山こうざんが1863ねん11月にきたぐん占領せんりょうされて以降いこうは、緊急きんきゅう問題もんだいとなった。結局けっきょく1864ねん1がつでトリディガーにおける青銅せいどうせいナポレオンほう製造せいぞう中止ちゅうしされ、わって鉄製てつせいナポレオンほう製造せいぞうされた[9]

その

[編集へんしゅう]
From 1858ねんから、ナポレオン3せい現存げんそんするすべり腔砲をライット・システムしたがって、ぜんそうしきほどこせじょうほう改造かいぞうするようにめいじた。このようなほう日本にっぽん戊辰戦争ぼしんせんそう使用しようされ、ナポレオンほうばれた。写真しゃしん京都きょうと幕末ばくまつ維新いしんミュージアム 霊山れいざん歴史れきしかん展示てんじされているよんきん山砲さんぽう砲弾ほうだん

アントワーヌ・トゥルイユ・ド・ボーリュー射程しゃてい射撃しゃげき精度せいど上回うわまわほどこせじょうほう開発かいはつし、1858ねんライット・システムにそれがれられると、12ポンドナポレオンほうのようなすべり腔砲は時代遅じだいおくれとなった[10]。ナポレオン3せいは、12ポンドナポレオンほうのような現存げんそんしていたすべり腔砲を、ライット・システムにじゅんじてほどこせじょうほう改造かいぞうするようにめいじた。このような改造かいぞうほうは1870年代ねんだいまで使用しようされた[11]

関連かんれん項目こうもく

[編集へんしゅう]

ウィキメディア・コモンズには、12ポンドナポレオンほうかんするカテゴリがあります。

脚注きゃくちゅう

[編集へんしゅう]
  1. ^ 榴弾りゅうだん野砲やほう名付なづけられているのは、こう初速しょそく直射ちょくしゃほう(Canon、またはGun)で榴弾りゅうだん使用しようできるようになったのは、このほうはじめてだからである。それまでは榴弾りゅうだん初速しょそくおそ曲射きょくしゃおこなう「榴弾りゅうだんほう」または「臼砲きゅうほう」でしか使用しようできなかった。
  2. ^ 幕末ばくまつ軍事ぐんじ研究けんきゅうかい(2008ねん)、90-91ぺーじ
  3. ^ "The Napoleon" National Park Service U.S. Department of the Interior Archived 2008ねん12月7にち, at the Wayback Machine.
  4. ^ The Mitrailleuse by Dr. Patrick Marder Military History Online
  5. ^ Hazlett, p. 88.
  6. ^ 青銅せいどうどうすず合金ごうきんすことがおおいが、とく大砲たいほう材料ざいりょうとして使つかわれる場合ばあいは、真鍮しんちゅうどう亜鉛あえん合金ごうきん)、砲金ほうきん(ガンメタル、どうすず亜鉛あえん合金ごうきんせいのものもふく青銅せいどう(ブロンズ)ほうばれた。
  7. ^ Hazlett, pp. 100-109.
  8. ^ Daniel & Gunter, p 12
  9. ^ Daniel & Gunter, p 15
  10. ^ Dr. Patrick Marder: The Mitrailleuse 「...1858ねんのフランス陸軍りくぐんによるボーリュー4ポンドほどこせ条野じょうのほう導入どうにゅう:この新型しんがたほうは、それがえたすべり腔榴だんほう南北戦争なんぼくせんそうにおけるもっとひろ使用しようされた大砲たいほうであった)にくらべて命中めいちゅう精度せいど射程しゃていにおいて優越ゆうえつしたが、対人たいじんようキャニスターだんフランス語ふらんすごでmitraille)にはてきしていなかった。」Military History Online
  11. ^ Jennings Cropper Wise, Gary W. Gallagher p.30 [1]

参考さんこう資料しりょう

[編集へんしゅう]
  • 幕末ばくまつ軍事ぐんじ研究けんきゅうかい武器ぶき防具ぼうぐ 幕末ばくまつへんしん紀元きげんしゃ、2008ねん
  • Hazlett, James C., Edwin Olmstead, and M. Hume Parks: Field Artillery Weapons of the American Civil War, rev. ed., Urbana: University of Illinois Press, 1983. ISBN 0-252-07210-3.
  • Daniel, Larry J. and Gunter, Riley W.: Confederate Cannon Foundries, Union City, Tennessee: Pioneer Press, 1977.
  • Jennings Cropper Wise, Gary W. Gallagher: The Long Arm of Lee; The History of the Artillery of the Army of Northern Virginia, Oxford University Press (1959). ISBN 978-1135804404
  • Patrick Marder: Military History Online