1908ねんのメジャーリーグベースボール

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以下いかは、メジャーリーグベースボール(MLB)における1908ねんのできごとをしるす。

1908ねん4がつ14にち開幕かいまく10月14にちぜん日程にっていえ、ナショナルリーグシカゴ・カブスが3ねん連続れんぞく9度目どめのリーグ優勝ゆうしょうをし、アメリカンリーグデトロイト・タイガースが2ねん連続れんぞく2度目どめのリーグ優勝ゆうしょうであった。

ワールドシリーズ前年ぜんねん覇者はしゃのシカゴ・カブスがデトロイト・タイガースを4しょう1はいやぶり、シリーズを2連覇れんぱした。

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できごと[編集へんしゅう]

アメリカンリーグは、デトロイト・タイガースがクリーブランド・ナップスとシカゴ・ホワイトソックスとのどもえあらそいから最後さいごはナップスとのデッドヒートのすえ最終さいしゅうせん優勝ゆうしょうめ、アメリカンリーグ連覇れんぱとなった。タイ・カッブとサム・クロフォードの3・4ばんコンビは強力きょうりょくで、タイ・カッブは打率だりつ.324で打点だてん108、最多さいた安打あんだ188で、前年ぜんねん最多さいた得点とくてんだったサム・クロフォードはこのとし本塁打ほんるいだ7ほん最多さいた本塁打ほんるいだすうであり、チーム打率だりつはリーグ1の.264であった。

シカゴ・カブスは、ニューヨーク・ジャイアンツにシーズンまつならび、さい試合しあいとなった最終さいしゅうせんでニューヨーク・ジャイアンツをやぶってのリーグ3連覇れんぱであった。ジャイアンツはおもわぬところでミスがた。

ワールドシリーズは4しょう1はいふたたびシカゴ・カブスがデトロイト・タイガースをやぶり、シリーズ2連覇れんぱとなった。モーデカイ・ブラウンとオービィ・オーバーオールがかく2しょうし、後半こうはん2試合しあい2人ふたり完封かんぷうしてターガース打線だせんをまたおさんだ。しかしカブスはそのリーグ優勝ゆうしょうはあるが、ふたたびワールドシリーズを制覇せいはしたのは、このとしから108ねんの2016ねんである。

  • クリスティ・マシューソン
    • ニューヨーク・ジャイアンツのクリスティ・マシューソン投手とうしゅは、このとし最多さいたかち37しょう最多さいただつ三振さんしん259、最優秀さいゆうしゅう防御ぼうぎょりつ1.43を記録きろくして、1905ねん以来いらい投手とうしゅさんかんとなった。マシューソンにとっては4かいの30しょうラインでこの37しょうは1901ねん以降いこうではナショナルリーグのシーズン最高さいこう勝利しょうりすうである。ただしアメリカンリーグでは1904ねんジャック・チェスブロの41しょうとこのとしエド・ウォルシュ の40しょうがある。
  • エド・ウォルシュ
    • シカゴ・ホワイトソックスのエド・ウォルシュ投手とうしゅは、このとし最多さいたかち40しょう最多さいただつ三振さんしん269で、しくも防御ぼうぎょりつが1.42でエイドリアン・ジョスの1.16におよばなかった。この40しょうは1901ねん以降いこうでは史上しじょう2で40しょうラインにたっしたのはジャック・チェスブロエド・ウォルシュだけである。しかも通算つうさん防御ぼうぎょりつ1.82は1901ねん以降いこうでは最高さいこう記録きろくである。1905ねんとこの1908ねんにダブルヘッダーで連投れんとうして2しょうしたこともあった。(1946ねん殿堂でんどうり)

マークル事件じけん[編集へんしゅう]

このとし9がつ23にち、ペナントレース最終さいしゅうばん首位しゅいのジャイアンツは本拠地ほんきょちポロ・グラウンズでシカゴ・カブスをむかえた。この時点じてんのこり4試合しあいでジャイアンツが2カブスにてばのこり3試合しあいはBクラスに低迷ていめいするボストン・ダブズ(ブレーブス)で、ほぼジャイアンツが優勝ゆうしょう確実かくじつにできる大事だいじ試合しあいで、メジャーリーグ史上しじょうのこ事件じけんこった。1たい1で9かいうらにジャイアンツは二死にしいち三塁さんるいのチャンスをむかえ、一塁いちるい走者そうしゃフレッド・マークルで、このときにアル・ブリドウェルがセンターまえにヒットをち、歓喜かんきなか三塁さんるい走者そうしゃのムース・マコーミックがホームインして2たい1でジャイアンツがサヨナラちした。しかし、一塁いちるい走者そうしゃのフレッド・マークルは二塁にるいすすむるいするはずが二塁にるいむのをわすれたままもどり、それをざとくつけたシカゴ・カブスのジョニー・エバース二塁手にるいしゅたまって二塁にるいみ、審判しんぱんはフォースアウトを宣告せんこくして、三塁さんるい走者そうしゃのホームインはされた。このとき歓喜かんきしたファンがグラウンドにながんでいたため、収拾しゅうしゅうがつかず、審判しんぱんいんたちは日没にちぼつけとしたが、ナショナル・リーグはこの9月23にち試合しあい無効むこうとしてあらためて10がつ8にち最終さいしゅうさい試合しあいおこなうこととなった。

そして予定よていしていた試合しあいわって、ジャイアンツとカブスは98しょう55はいともならび、このさい試合しあい最終さいしゅうせん優勝ゆうしょう決定けっていせんになった。ポロ・グラウンズにそれまででもっとおおやく3まんにん観衆かんしゅうあつめたこの最終さいしゅうせんにジャイアンツはやぶれ、シカゴ・カブスの優勝ゆうしょうまりナショナル・リーグ3連覇れんぱとなった。この試合しあいのちに「マークルのちょうボーンヘッド」として球史きゅうしかたられることになったが、ジョン・マグロー監督かんとくはまだわかかったマークルを擁護ようごし、マークルを使つかつづけた。のちにマグローは「あのとしてた試合しあいは1ダースもあった。そのうち1しょうしていれば優勝ゆうしょうできた。それを棚上たなあげしてマークルをめるのは見当けんとうちがいだ」とべている。そしてマークルは1910ねん以降いこう、ジャイアンツのレギュラー一塁いちるいしゅとして活躍かつやくするようになった。

野球やきゅうれてって[編集へんしゅう]

このとしのある、ニューヨークの地下鉄ちかてつえきで、たまたまニューヨーク・ジャイアンツの試合しあい広告こうこくおとこが、きゅうかび、作詩さくしして、それを友人ゆうじん(アルバート・フォン・ティルツァー)に作曲さっきょくたのみ、やがてかれおくさんがうたってたちまち全米ぜんべいのヒットソングとなった。面白おもしろいのはこの歌詞かしつくうたったボードビリアンのジャック・ノーフォースと夫人ふじん(ノーラ・ベイス)はそれまでいち野球やきゅうたことがなかったそうである。やがてこのきょく映画えいがでもうたわれ、100ねん以上いじょうとき現在げんざいでもどのメジャーリーグの試合しあいでも7かいの「セブン・イニング・ストレッチ」には球場きゅうじょう全体ぜんたいうたわれるきょくとして日本にっぽんでも有名ゆうめいうたになった。

・・・野球やきゅうれてって 人混ひとごみのなか ピーナッツとクラッカージャックをってよ かえれなくてもかまわない ホームチームの応援おうえんだ けたらやささ それ ワン・ツー・スリー ストライク まいっただろう オールド・ボール・ゲーム・・・

規則きそく改訂かいてい[編集へんしゅう]

  • 投手とうしゅ捕手ほしゅおよ野手やしゅあたらしいボールに故意こいきずをつけたり、よごしたりして、打者だしゃ不利ふり状態じょうたいにする行為こうい厳重げんじゅう禁止きんしされた。ただしこの行為こうい通常つうじょうわれる(スピットボール)ではなく、これとはべつ投手とうしゅゆびやボールにツバやクリームなどをつけたりしてげることがスピットボールで、こちらの行為こういは1920ねん禁止きんしされるまで不正ふせい行為こういとはなされていない。
  • 犠牲ぎせいフライのルールが導入どうにゅうされる。打者だしゃったフライで走者そうしゃ得点とくてんした場合ばあい、その打席だせき打数だすうからはずされるようになった。
  • ワールドシリーズを4めい審判しんぱんいん運用うんようするようになった。当時とうじは2めいずつの時間じかん交代こうたいせいであった。

記録きろく[編集へんしゅう]

  • 10月2にち、クリーブランド・ナップスのエイドリアン・ジョス投手とうしゅたいシカゴ・ホワイトソックスせん史上しじょう4にん完全かんぜん試合しあい達成たっせいした。このとし最優秀さいゆうしゅう防御ぼうぎょりつ1.16だったエイドリアン・ジョスは1910ねんにもシカゴ・ホワイトソックスを相手あいてにノーヒットノーランを記録きろくしている。しかしよく1911ねんに31さい死去しきょした。通算つうさん159しょう通算つうさん防御ぼうぎょりつ1.89。この通算つうさん防御ぼうぎょりつが1てんだいなのはこのとし最多さいたしょう(40しょう)のエド・ウォルシュとジョスの2にんしかいない。(1978ねん殿堂でんどうり)
  • デトロイト・タイガースのサム・クロフォードはこのとし最多さいた本塁打ほんるいだ7ほん記録きろくしたが、1901ねんにシンシナティ・レッズ時代じだい最多さいた本塁打ほんるいだ16ほん記録きろくしており、ナショナルリーグとアメリカンリーグの両方りょうほう本塁打ほんるいだおうとなった。(1957ねん殿堂でんどうり)

その[編集へんしゅう]

  • 1908ねんのメジャーリーグ観客かんきゃく動員どういんすう    712まん3,474にん(アメリカンリーグ・ナショナルリーグ合計ごうけい)    出典しゅってん:アメリカ・プロ野球やきゅう 80P 鈴木すずきたけしじゅ ちょ  さんいち書房しょぼう
  • 前年ぜんねん5度目どめ首位しゅい打者だしゃとなったピッツバーグ・パイレーツのホーナス・ワグナーは、はるのキャンプからシーズンにはいって最初さいしょの4日間にちかん犠牲ぎせいにしての年俸ねんぽうのアップをもとめた闘争とうそうおこない、球団きゅうだんから1まんドルの回答かいとう試合しあいもどり、史上しじょうはつの1まんドル選手せんしゅ誕生たんじょうした。この当時とうじニューヨーク・ジャイアンツのクリスティ・マシューソン投手とうしゅ年俸ねんぽう6000ドルであり、シカゴ・ホワイトソックスのエド・ウォルシュ投手とうしゅ年俸ねんぽう5000ドルであった。

最終さいしゅう成績せいせき[編集へんしゅう]

レギュラーシーズン[編集へんしゅう]

アメリカンリーグ[編集へんしゅう]

じゅん チーム 勝利しょうり 敗戦はいせん 勝率しょうりつ G
1 デトロイト・タイガース 90 63 .588 --
2 クリーブランド・ナップス 90 64 .584 0.5
3 シカゴ・ホワイトソックス 88 64 .579 1.5
4 セントルイス・ブラウンズ 83 69 .546 6.5
5 ボストン・レッドソックス 75 79 .487 15.5
6 フィラデルフィア・アスレチックス 68 85 .444 22.0
7 ワシントン・セネタース 67 85 .441 22.5
8 ニューヨーク・ハイランダース 51 103 .331 39.5

ナショナルリーグ[編集へんしゅう]

じゅん チーム 勝利しょうり 敗戦はいせん 勝率しょうりつ G
1 シカゴ・カブス 99 55 .643 --
2 ニューヨーク・ジャイアンツ 98 56 .636 1.0
3 ピッツバーグ・パイレーツ 98 56 .636 1.0
4 フィラデルフィア・フィリーズ 83 71 .539 16.0
5 シンシナティ・レッズ 73 81 .474 26.0
6 ボストン・ダブズ 63 91 .409 36.0
7 ブルックリン・スーパーバス 53 101 .344 46.0
8 セントルイス・カージナルス 49 105 .318 50.0

ワールドシリーズ[編集へんしゅう]

  • カブス 4 - 1 タイガース
10/10 – カブス 10 - 6 タイガース
10/11 – タイガース 1 - 6 カブス
10/12 – タイガース 8 - 3 カブス
10/13 – カブス 3 - 0 タイガース
10/14 – カブス 2 - 0 タイガース

個人こじんタイトル[編集へんしゅう]

アメリカンリーグ[編集へんしゅう]

打者だしゃ成績せいせき[編集へんしゅう]

項目こうもく 選手せんしゅ 記録きろく
打率だりつ タイ・カッブ (DET) .324
本塁打ほんるいだ サム・クロフォード (DET) 7
打点だてん タイ・カッブ (DET) 108
得点とくてん マーティ・マッキンタイル (DET) 105
安打あんだ タイ・カッブ (DET) 188
盗塁とうるい パッシー・ドーガーティ (CWS) 47

投手とうしゅ成績せいせき[編集へんしゅう]

項目こうもく 選手せんしゅ 記録きろく
勝利しょうり エド・ウォルシュ (CWS) 40
敗戦はいせん ジョー・レイク (NYY) 22
防御ぼうぎょりつ アディ・ジョス (CLE) 1.16
だつ三振さんしん エド・ウォルシュ (CWS) 269
投球とうきゅうかい エド・ウォルシュ (CWS) 464
セーブ エド・ウォルシュ (CWS) 6

ナショナルリーグ[編集へんしゅう]

打者だしゃ成績せいせき[編集へんしゅう]

項目こうもく 選手せんしゅ 記録きろく
打率だりつ ホーナス・ワグナー (PIT) .354
本塁打ほんるいだ ティム・ジョーダン (BRO) 12
打点だてん ホーナス・ワグナー (PIT) 109
得点とくてん フレッド・テニー (NYG) 101
安打あんだ ホーナス・ワグナー (PIT) 201
盗塁とうるい ホーナス・ワグナー (PIT) 53

投手とうしゅ成績せいせき[編集へんしゅう]

項目こうもく 選手せんしゅ 記録きろく
勝利しょうり クリスティ・マシューソン (NYG) 37
敗戦はいせん バグス・レイモンド (STL) 25
防御ぼうぎょりつ クリスティ・マシューソン (NYG) 1.43
だつ三振さんしん クリスティ・マシューソン (NYG) 259
投球とうきゅうかい クリスティ・マシューソン (NYG) 390⅔
セーブ モーデカイ・ブラウン (CHC) 5
クリスティ・マシューソン (NYG)
ジョー・マクギニティ (NYG)

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  • 『アメリカ・プロ野球やきゅう』≪だい2しょう だいリーグの対立たいりつ≫ 72-73P・77P参照さんしょう  鈴木すずきたけしじゅ ちょ  1971ねん9がつ発行はっこう  さんいち書房しょぼう
  • べいだいリーグ かがやける1世紀せいき~その歴史れきしとスター選手せんしゅ~』≪1908ねん≫ 48P参照さんしょう 週刊しゅうかんベースボール 1978ねん6がつ25にち増刊ぞうかんごう ベースボールマガジンしゃ
  • 『オールタイム だいリーグめい選手せんしゅ 101にん』≪クリスティ・マシューソン≫ 18-19P参照さんしょう 1997ねん10がつ発行はっこう 日本にっぽんスポーツ出版しゅっぱんしゃ 
  • べいだいリーグ かがやける1世紀せいき~その歴史れきしとスター選手せんしゅ~』≪ジョン・マグロー≫ 46P参照さんしょう
  • べいだいリーグ かがやける1世紀せいき~その歴史れきしとスター選手せんしゅ~』≪サム・クロフォード≫ 49P参照さんしょう
  • べいだいリーグ かがやける1世紀せいき~その歴史れきしとスター選手せんしゅ~』≪アドリアン・ジョス≫ 49P参照さんしょう
  • べいだいリーグ かがやける1世紀せいき~その歴史れきしとスター選手せんしゅ~』≪エド・ウオルシュ≫ 55P参照さんしょう
  • 『メジャーリーグ ワールドシリーズ伝説でんせつ』 1905-2000 (1908ねん)   上田うえだりゅう ちょ 87P参照さんしょう 2001ねん10がつ発行はっこう ベースボールマガジンしゃ
  • だいリーグへの招待しょうたい』≪野球やきゅう規則きそく変遷へんせん≫ 89P参照さんしょう  池井いけいゆう ちょ  1977ねん4がつ発行はっこう  平凡社へいぼんしゃ
  • 野球やきゅう言葉ことばのスポーツ』≪野球やきゅううたと≫ 164P参照さんしょう 伊東いとう一雄かずお馬立うまたてかち 共著きょうちょ 1991ねん4がつ発行はっこう 中公新書ちゅうこうしんしょ

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]