BAe ホーク

BAe ホーク

イギリス空軍くうぐんのホーク T.1

• 用途ようと：練習れんしゅう機き・攻撃こうげき機き
• 製造せいぞう者しゃ：ホーカー・シドレー→BAe→BAEシステムズ
• 運用うんよう者しゃ
  
  • イギリス（イギリス空軍くうぐん・海軍かいぐん）
  • フィンランド（フィンランド空軍くうぐん）
  • アラブ首長しゅちょう国こく連邦れんぽう（アラブ首長しゅちょう国こく連邦れんぽう空軍くうぐん）
  • オーストラリア（オーストラリア空軍くうぐん）他た
• 初はつ飛行ひこう：1974年ねん8月がつ21日にち
• 生産せいさん数すう：900機き+
• 運用うんよう状じょう況きょう：現役げんえき
• 派生はせい型がた：T-45 ゴスホーク

BAe ホーク（British Aerospace Hawk）は、ホーカー・シドレー社しゃが開発かいはつした単発たんぱつジェット練習れんしゅう機き。軽けい攻撃こうげき機きとしての使用しようも可能かのうである。ホークの製造せいぞうと販売はんばいは、1977年ねんにホーカー・シドレーからブリティッシュ・エアロスペース (BAe) に移うつり、BAeは1999年ねんにBAEシステムズとなった。総そう生産せいさん機き数すうは900機き以上いじょうで、40年ねん以上いじょうに渡わたって生産せいさんされている。

概要がいよう

開発かいはつ経緯けいい

イギリス空軍くうぐんは、1964年ねんより練習れんしゅう機きフォーランド ナットやホーカー ハンターの後継こうけい機きを求もとめていた。当初とうしょはフランスと共同きょうどう開発かいはつした攻撃こうげき機き兼用けんようの超ちょう音速おんそく機きSEPECAT ジャギュアを充あてる計画けいかくでいたが、練習れんしゅう機きとして使用しようするには性能せいのう過か大だいかつ高価こうかなものとなったため、より経済けいざい性せいの高たかい機体きたいを開発かいはつすることとなった。

1970年ねん末すえに発行はっこうされた要求ようきゅう仕様しようASR397に、アルファジェット社しゃ、ホーカー・シドレー社しゃ、BAC社しゃの3社しゃが応おうじた。このうち1968年ねんより検討けんとうしていたホーカー・シドレー社しゃの亜あ音速おんそく練習れんしゅう機きHS.1182モデルが1971年ねん10月に採用さいようされ、1973年ねんに「ホーク」の名称めいしょうが与あたえられた。徹底てっていしたコスト削減さくげんのため、ホーカー・シドレー社しゃには試作しさく機きを製造せいぞうせず量産りょうさんを始はじめることが提案ていあんされ、初期しょき量産りょうさん機きのうち5機きが運用うんよう試験しけんに使つかわれた。1974年ねん8月がつ21日にちにダンカン・シンプソン氏しの操縦そうじゅうする初号しょごう機きが初はつ飛行ひこうを実施じっしし、同年どうねんのファーンボロ航空こうくうショーで一般いっぱんに公開こうかいされた。

1976年ねん1月がつ4日にちにイギリス空軍くうぐんの訓練くんれん学校がっこうに引ひき渡わたされ、1977年ねんから兵器へいき訓練くんれんのため同どう空軍くうぐんの戦術せんじゅつ兵器へいき部隊ぶたい (TWU) での使用しようが開始かいしされている。曲技きょくぎ飛行ひこう隊たいレッドアローズが使用しようしていたナットも1979年ねんからホークへの交代こうたいが始はじまり、1980年ねんからホークでパフォーマンスを披露ひろうするようになった。レッドアローズ所属しょぞく機きは胴体どうたい下部かぶにオイルや染料せんりょうを入いれるタンクが備そなえられ、3つの管かんから放出ほうしゅつできる。一部いちぶの機体きたいはT.1Aへと改装かいそうされ、戦時せんじには局地きょくち防衛ぼうえいに投入とうにゅうすることを想定そうていしている。

特徴とくちょう

曲技きょくぎ飛行ひこうを披露ひろうするレッドアローズのホーク T.1

双発そうはつジェットエンジンの超ちょう音速おんそく機きジャギュアに対たいして、本ほん機きは単発たんぱつジェットの亜あ音速おんそく機きである。ゆるい後退こうたい角かくを持もつ主翼しゅよくを低てい翼つばさ配置はいちとする機体きたいとなっており、着陸ちゃくりくの容易たやすさを狙ねらって主しゅ脚あしの間隔かんかくは広ひろく取とられている。乗員じょういんは2名めいで、座席ざせきはタンデム配置はいち。大型おおがたのキャノピーによって視界しかいが広ひろく取とられており、また前後ぜんごの座席ざせきの高低こうてい差さもあるため、後こう席せきの視界しかいも良好りょうこうである。パイロンは主翼しゅよく各かく2箇所かしょと胴体どうたい中央ちゅうおうの計けい5箇所かしょにあり、有事ゆうじには爆弾ばくだんもしくは機銃きじゅうポッドを搭載とうさいできる。T.1A以降いこうはAIM-9L サイドワインダー空そら対空たいくうミサイルが搭載とうさいできるようになった。

その後ごも改良かいりょうが続つづけられ、エンジンを換かわ装そうし電子でんし機器ききや対地たいち・対空たいくう攻撃こうげき能力のうりょくを強化きょうかしたホーク100や、単座たんざの軽けい戦闘せんとう攻撃こうげき機きとして再さい設計せっけいされたホーク200が登場とうじょうしており、現在げんざいも生産せいさん中ちゅうである。

その保守ほしゅ的てきで簡素かんそだが堅実けんじつな設計せっけいが評価ひょうかされ、本ほん機きは派生はせい型がたを含ふくめると各国かっこくへの輸出ゆしゅつも好調こうちょうを維持いじしている。90年代ねんだいにも米こめボーイング社しゃによる改あらため設計せっけいを経へてT-45 ゴスホークの名称めいしょうでアメリカ海軍かいぐんに艦上かんじょう練習れんしゅう機きとして採用さいようされたほか、2010年代ねんだいにはT-38練習れんしゅう機きの後継こうけいを必要ひつようとしている空軍くうぐんにもホーク100をベースとしたタイプが提案ていあんされていた。

派生はせい型がた

フィンランド空軍くうぐんのホーク Mk.51

T.1

初期しょき生産せいさん型がた。イギリスで使用しようしている練習れんしゅう機き型がたである。176機き製造せいぞう。エンジンはアドーアMk.151。

T.1A

T.1を改装かいそうし、サイドワインダー空そら対空たいくうミサイルを搭載とうさいできるようにしたもの。88機き改装かいそう。

ホーク50系列けいれつ

エンジンをアドーアMk.851に換かわ装そうした輸出ゆしゅつ型がた。

Mk.51/51A

フィンランド向むけ（57機き）。

Mk.52

ケニア向むけ（12機き）。

Mk.53

インドネシア向むけ（20機き）。

韓国かんこく空軍くうぐんのホーク Mk.67

ホーク60

エンジンをアドーアMk.861に換かわ装そう。

Mk.60/60A

ジンバブエ向むけ（13機き）。

Mk.61/63

アラブ首長しゅちょう国こく連邦れんぽう向むけ（29機き）。

Mk.62

ベネズエラ向むけ（計画けいかくのみ）。

Mk.64

クウェート向むけ（12機き）。

Mk.65/65A

サウジアラビア向むけ（30機き）。

Mk.66

スイス向むけ（20機き）。

Mk.67

韓国かんこく向むけ（20機き）。ホーク100のように機首きしゅが延長えんちょうされている。

イギリス空軍くうぐんのホーク T.2(Mk.128)

ホーク100

エンジンをアドーアMk.871（推力すいりょく6,000ポンド）に換かわ装そう。機首きしゅを延長えんちょうし、FLIRやレーザーセンサーをオプションで装備そうび可能かのうに。翼つばさ端はしに空そら対空たいくうミサイルを搭載とうさいできる『コンバット・ウイング』に主翼しゅよくを改あらため設計せっけい。グラスコックピットを導入どうにゅうし電子でんし機器ききも近代きんだい化か。

Mk.102

アラブ首長しゅちょう国こく連邦れんぽう向むけ（13機き）。

Mk.103

オマーン向むけ（5機き）。

Mk.108

マレーシア向むけ（13機き）。

Mk.109

インドネシア向むけ（7機き）。

Mk.115

カナダ向むけ（19機き）。カナダではCT-155と呼称こしょう。

Mk.127

オーストラリア向むけ（33機き）。

Mk.129

バーレーン向むけ（6機き）。

Mk.132

インド向むけ（81機き）。旧称きゅうしょうMk.115Y。

ホークLIFT

LIFTは『戦闘せんとう機き前ぜん段階だんかい訓練くんれん機き』の略りゃくであり、上級じょうきゅう高等こうとう練習れんしゅう機きの一種いっしゅをさす。ホーク100をベースに、エンジンをアドーアMk.951（推力すいりょく6,500ポンド）に換かわ装そう。

Mk.120

南みなみアフリカ共和きょうわ国こく向むけ（24機き）。

ホークAJT

最新さいしん型がた。AJTは『高等こうとうジェット練習れんしゅう機き』の略りゃくであり、ホークLIFTをベースにレーダー操作そうさ・兵へい装そう発射はっしゃのシミュレーション機能きのうなど新型しんがたのアビオニクスを導入どうにゅう。

Mk.128

イギリス向むけ（28機き）。ホーク T.2の名称めいしょうで採用さいよう。

Mk.165

サウジアラビア向むけ（22機き）。

Mk.166

オマーン向むけ（8機き）。

Mk.167

カタール向むけ。

マレーシア空軍くうぐんのホーク Mk.208

ホーク200

詳細しょうさいは「BAe ホーク200」を参照さんしょう

ホーク100をベースにした単座たんざ戦闘せんとう攻撃こうげき機き型かた。機首きしゅを再さい設計せっけいし、AN/APG-66Hレーダーと固定こてい機関きかん砲ほうを装備そうび。ただし実際じっさいにレーダーを搭載とうさいした機体きたいは量産りょうさんされなかった。構想こうそうでは防空ぼうくう戦闘せんとう任務にんむを念頭ねんとうに置おいていたものの、レーダーを備そなえていないことから実際じっさいには軽けい攻撃こうげき機きとして使用しようされている。

Mk.203

オマーン向むけ（11機き）。

Mk.205

サウジアラビア向むけ（計画けいかくのみ）。

Mk.208

マレーシア向むけ（13機き）。

Mk.209

インドネシア向むけ（11機き）。

T-45ゴスホーク

アメリカ海軍かいぐん向むけの練習れんしゅう機きであるが、採用さいようにあたってマクドネル・ダグラス社しゃによる改あらため設計せっけいが施ほどこされた。航空こうくう母艦ぼかんでの運用うんようを想定そうていしているため、尾翼びよくの拡大かくだいや着陸ちゃくりく脚あしの強化きょうかなどが行おこなわれている。

詳細しょうさいは「T-45 (航空機こうくうき)」を参照さんしょう

採用さいよう国こく

ホークの採用さいよう国こく

運用うんよう中ちゅう

• イギリス - 訓練くんれん部隊ぶたいはT.2への転換てんかんを終おえており、T.1はレッドアローズとアグレッサー部隊ぶたいの第だい100飛行ひこう隊たいのみで運用うんようされている。
• アラブ首長しゅちょう国こく連邦れんぽう
• オーストラリア
• バーレーン
• フィンランド
• ケニア
• クウェート
• インドネシア
• インド
• マレーシア
• オマーン
• カタール
  • カタール空軍くうぐん - 2023年ねん時点じてんで、5機きのホークMk.167を保有ほゆうしている。
• サウジアラビア
• アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく
• 南みなみアフリカ共和きょうわ国こく

退役たいえき

• スイス - ピラタス PC-21と交代こうたいして退役たいえき。退役たいえきした機体きたいはフィンランドが購入こうにゅうしている。
• ヨルダン
• 韓国かんこく - T-50の配備はいびに伴ともない退役たいえき。
• ジンバブエ - ムガベ政権せいけんに対たいする欧米おうべい諸国しょこくの経済けいざい制裁せいさいによりスペア部品ぶひんの不足ふそくに陥おちいり、BAe社しゃのサポートも不可能ふかのうとなった事ことから退役たいえきしたとみられる。後継こうけいとして中国ちゅうごく製せいのJL-8を導入どうにゅうした。
• カナダ - 2024年ねん3月がつ8日にちに退役たいえき。後継こうけい機きはまだ決きまっておらず、当面とうめんは海外かいがいへの派遣はけんでパイロット訓練くんれんを行おこなう方針ほうしん。

そのほか、1980年代ねんだいにおいてイギリス政府せいふはホーク練習れんしゅう機きを63機きほどイラクに売却ばいきゃくすることを検討けんとうしていたが、売却ばいきゃくは当時とうじの外務がいむ大臣だいじんであるジョン・メージャーによって阻止そしされた。

仕様しよう(T.1A)

• 乗員じょういん：2名めい
• 全長ぜんちょう：11.86 m
• 全幅ぜんぷく：9.40 m
• 全高ぜんこう：3.99 m
• 翼つばさ面積めんせき：16.72 m²
• 運用うんよう空虚くうきょ重量じゅうりょう：3,635 kg
• 最大さいだい離陸りりく重量じゅうりょう：8,342 kg
• 最大さいだい着陸ちゃくりく重量じゅうりょう：7,711 kg
• 動力どうりょく：ロールス・ロイス/チュルボメカ アドーア Mk 151 ターボファンエンジン × 1
• 推力すいりょく：23.13 kN
• 最大さいだい速度そくど：1,059 km/h
• 航続こうぞく距離きょり：3,148 km
• 上昇じょうしょう限度げんど：15,240 m
• 上昇じょうしょう率りつ：2,835 m/min
• 武装ぶそう
  • 機銃きじゅう：30mm ADEN機関きかん砲ほう（機銃きじゅうポッドに搭載とうさい）
  • 爆ばく弾だん：最大さいだい 3t
  • ミサイル：IR-AAM を最大さいだい2発はつ

登場とうじょう作品さくひん

『エースコンバット5 ジ・アンサング・ウォー』

プレイヤー機きとして使用しよう可能かのう。

本ほん作さくの開発かいはつスタッフが「BAEシステムズが宣伝せんでんしたいのでゲームで使つかってほしい、とお願ねがいしたので採用さいようした」と発言はつげんしている。

外部がいぶリンク

• 日本にっぽん周辺しゅうへん国こくの兵器へいき T-59練習れんしゅう機き (ホークMk67)（韓国かんこく）
• Royal Air Force - Hawk T1/T2（英語えいご）
• BAE SYSTEMS - Hawk Advanced Jet Trainer（英語えいご）