ロールス・ロイス・チュルボメカアドーア

RT.172 アドーア（RT.172 Adour ）は、イギリスのロールス・ロイス・ホールディングスとフランスのチュルボメカの合弁ごうべん会社かいしゃであるロールス・ロイス・チュルボメカによって開発かいはつ、生産せいさんされた2軸じく式しきのターボファンエンジンである。このエンジンの名称めいしょうはフランス南西なんせい部ぶを流ながれるアドゥール川がわに由来ゆらいする^[1]^{[注ちゅう 1]}。

歴史れきし

アドーアは当初とうしょ、イギリスとフランスの共同きょうどう開発かいはつによるジャギュア攻撃こうげき機き用ように開発かいはつされたエンジンで1968年ねんに最初さいしょの運転うんてんに成功せいこうした。当初とうしょアフターバーナーは搭載とうさいしていなかった。

2009年ねん7月がつの時点じてんで19種類しゅるいに及およぶ2,800基き以上いじょうのアドーアが生産せいさんされ、総そう飛行ひこう時間じかんは2009年ねん12月に800万まん時じ間あいだに達たっした^[2]。アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくではこのエンジンをF405-RR-401（ベース型がた：アドーア Mk 871）として現在げんざいでもアメリカ海軍かいぐんでボーイング / BAEシステムズ T-45 ゴスホーク練習れんしゅう機きで使用しようしており、そのさらに改良かいりょう型がたとしてF405-RR-402（ベース型がた：アドーア Mk 951）が開発かいはつされている。開発かいはつ当初とうしょサージングの問題もんだいがあり、対策たいさくがとられた。

世界せかい初はつの3軸じく式しきターボファンエンジン、ロールス・ロイス RB.203のコアエンジンにも転用てんようされ、その基礎きそ研究けんきゅうはRB.207を経へてRB.211で具現ぐげん化かすることになった。

日本にっぽんでは三菱みつびし T-2/F-1に石川島播磨重工業いしかわじまはりまじゅうこうぎょう（現げん・IHI）がライセンス生産せいさんした「TF40-IHI-801A」（ベース型がた：アドーア Mk 102、派生はせい型がた：アドーア Mk 801）が採用さいようされている。なお、IHIはこのライセンス契約けいやくを締結ていけつする以前いぜんに、FMS形式けいしきで防衛庁ぼうえいちょう（当時とうじ）が輸入ゆにゅうした先行せんこう量産りょうさん型がたのアドーアを元もとに、「IHI801X」を製造せいぞうしている。

派生はせい機種きしゅ

地上ちじょう試験しけん用ようエンジン: 10基きの試作しさくエンジンが試験しけんのためにロールス・ロイスとチュルボメカによって製造せいぞうされた^[3]。

飛行ひこう試験しけん用ようエンジン: ジャギュア試作しさく機きのために25基きが製造せいぞうされた^[3]。

アフターバーナー搭載とうさい型がた

アドーア Mk 101

ジャギュア用ように最初さいしょに生産せいさんされた派生はせい機種きしゅで40基きが生産せいさんされた^[3]。

アドーア Mk 102

アフターバーナーを備そなえた2次じ生産せいさん機種きしゅ^[3]。

アドーア Mk 104
アドーア Mk 106

Mk 871を基もとに開発かいはつされたジャギュアのMk 104エンジンを換かわ装そうするためのエンジンでアフターバーナー部ぶを持もつ。イギリス空軍くうぐんは改良かいりょう型がたのGR3を再さい換かわ装そうした。2007年ねん5月がつ、コニングスビー空軍くうぐん基地きち（英語えいご版ばん）を拠点きょてんとする第だい6飛行ひこう隊たい（英語えいご版ばん）の最後さいごの16機きのジャギュアの退役たいえきに伴ともない、イギリス空軍くうぐんでのアドーア Mk 106の運用うんようは全すべて終了しゅうりょうした^[4]。

アドーア Mk 801

三菱みつびしF-1とT-2用よう。石川島播磨重工業いしかわじまはりまじゅうこうぎょうによりTF40-IHI-801Aとしてライセンス生産せいさんされた。

アドーア Mk 804

インド空軍くうぐんのジャギュア-フェイズ2用ようにヒンドスタン航空機こうくうきでライセンス生産せいさんされた。

アドーア Mk 811

インド空軍くうぐんのジャギュア-フェイズ3から6用ようにヒンドスタン航空機こうくうきでライセンス生産せいさんされた。

アドーア Mk 821

Mk 804とMk 811エンジンの改良かいりょう型がたでインド空軍くうぐんのジャギュアの近代きんだい化か改修かいしゅう用ようであり、2009年ねん6月がつ16日にちに地上ちじょう試験しけんのためにイギリス空軍くうぐんのジャギュアに装備そうびされた。関連かんれんする機体きたい変更へんこうが必要ひつようないため搭載とうさいはスムーズに行いき、インド空軍くうぐんの性能せいのう目標もくひょうを満みたしたが^[5]、2011年ねんにアップグレードの競争きょうそうから撤退てったいした^[6]。リヒート時どきの推力すいりょくで9,500ポンド（42.1kN）であった^[7]。

アフターバーナー非ひ搭載とうさい型がた

アドーア Mk 151
アドーア Mk 151A

レッドアローズで使用しようされる。発煙はつえん機きのためにジェットパイプが改良かいりょうされた。

アドーア Mk 851
アドーア Mk 861

BAe ホーク60で使用しようされる^[8]。

アドーア Mk 871

BAe ホーク200で使用しようされる^[8]。

F405-RR-401

T-45 ゴスホーク向むけのMk 871。

アドーア Mk 951

最新さいしん型がたのBAe ホークとBAE タラニス（英語えいご版ばん）とダッソー nEUROn UCAV技術ぎじゅつ実証じっしょう機きの動力どうりょくとして設計せっけいされた。アドーア Mk 951はアドーアMk 106を再さい設計せっけいすることにより性能せいのうを向上こうじょう（推力すいりょく6,500 lbf (29,000 N)）して寿命じゅみょうがMk 871の2倍ばいになった。ファンと燃焼ねんしょう器き、高こう圧あつ、低圧ていあつタービンが新あたらしくなり、完全かんぜんデジタルエンジン制御せいぎょ（FADEC）が導入どうにゅうされた事ことが特徴とくちょうである。Mk 951は2005年ねんに認証にんしょうを取得しゅとくした。

F405-RR-402

F405-RR-401にMk 951の技術ぎじゅつが導入どうにゅうした改良かいりょう型がた。2008年ねんに認証にんしょう取得しゅとく。資金しきん問題もんだいから運用うんように入はいっていない。

搭載とうさい機き

仕様しよう（アドーア Mk 106、Mk 871のリヒート搭載とうさい版ばん）

一般いっぱん的てき特性とくせい

形式けいしき: ターボファンエンジン
全長ぜんちょう: 114 インチ (2.90 m)
直径ちょっけい: 22.3 インチ (0.57 m)
乾燥かんそう重量じゅうりょう: 1,784 lb (809 kg)

構成こうせい要素ようそ

圧縮あっしゅく機き: 低圧ていあつ2段だん、高こう圧あつ5段だん
タービン: 低圧ていあつ1段だん、高こう圧あつ1段だん

性能せいのう

推力すいりょく: 27 kN (6,070 lbf) / 37.5 kN (8,430 lbf) アフターバーナー使用しよう時じ
全ぜん圧縮あっしゅく比ひ（英語えいご版ばん）: 10.4
燃料ねんりょう消費しょうひ率りつ: Mk811型かたでアフターバーナー不ふ使用しよう時じ 0.81(lb/hr/lb) & 0.75(lb/hr/lb)
推力すいりょく重量じゅうりょう比ひ: 4.725:1

出典しゅってん: Rolls-Royce^[9]

脚注きゃくちゅう

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

注釈ちゅうしゃく

^ 河川かせんの名前なまえを愛称あいしょうとして命名めいめいするのはウェランド以来いらいロールス・ロイスの伝統でんとうによるものだが、基本きほん的てきにイングランドを流ながれる河川かせん名めいであった。本ほん機種きしゅでは英えい仏ふつ合弁ごうべんであることからフランスの河川かせん名めいとなった。

出典しゅってん

^ Gunston 1989, p.155.
^ Rolls-Royce PLC -Adour product page Retrieved: 21 July 2009
^ ^a ^b ^c ^d “Development of the Adour”. Flight International: 649–650. (1973-04-26).
^ “RAF Jaguar GR3/GR3A”. Royal Air Force, Dated: May 2007 (2007年ねん). 2008年ねん5月がつ10日とおか閲覧えつらん。
^ Rolls-Royce engine test proves Adour MK 821 is fit for Indian Jaguar requirement
^ Rolls-Royce Pulls Out Of Jaguar Engine Contest
^ Adour
^ ^a ^b Hawk Trainer Aircraft, BAE Systems, United Kingdom
^ Adour

外部がいぶリンク

[2] 河川かせんの名前なまえを愛称あいしょうとして命名めいめいするのはウェランド以来いらいロールス・ロイスの伝統でんとうによるものだが、基本きほん的てきにイングランドを流ながれる河川かせん名めいであった。本ほん機種きしゅでは英えい仏ふつ合弁ごうべんであることからフランスの河川かせん名めいとなった。

[1] Gunston 1989, p.155.

[3] Rolls-Royce PLC -Adour product page Retrieved: 21 July 2009

[FI73-4] “Development of the Adour”. Flight International: 649–650. (1973-04-26).

[5] “RAF Jaguar GR3/GR3A”. Royal Air Force, Dated: May 2007 (2007年ねん). 2008年ねん5月がつ10日とおか閲覧えつらん。

[6] Rolls-Royce engine test proves Adour MK 821 is fit for Indian Jaguar requirement

[7] Rolls-Royce Pulls Out Of Jaguar Engine Contest

[8] Adour

[aft-9] Hawk Trainer Aircraft, BAE Systems, United Kingdom

[10] Adour

[1]

[注ちゅう 1]

[2]

[3]

[4]

[5]

[6]

[7]

[8]

[9]

表ひょう話はなし編へん歴れきアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくの軍用ぐんよう機き用ようガスタービンエンジン
ターボジェット	J30 J31 J32（英語えいご版ばん） J33 J34（英語えいご版ばん） J35 J36 J37（英語えいご版ばん） J39（英語えいご版ばん） J40（英語えいご版ばん） J41（英語えいご版ばん） J42 J43 J44（英語えいご版ばん） J45（英語えいご版ばん） J46（英語えいご版ばん） J47 J48 J49（英語えいご版ばん） J51 J52（英語えいご版ばん） J53（英語えいご版ばん） J54 J55（英語えいご版ばん） J56（英語えいご版ばん） J57 J58 J59 J60 J61 J63 J65 J67 J69 J71（英語えいご版ばん） J73 J75（英語えいご版ばん） J79 J81（英語えいご版ばん） J83 J85 J87（英語えいご版ばん） J89（英語えいご版ばん） J91（英語えいご版ばん） YJ93 J95 J97（英語えいご版ばん） J99 J100（英語えいご版ばん） YJ101 J102（英語えいご版ばん） J400 J401 J402（英語えいご版ばん） J403（英語えいご版ばん） J700
ターボプロップ/ ターボシャフト	T30 T31 T33（英語えいご版ばん） T34 T35（英語えいご版ばん） T36（英語えいご版ばん） T37（英語えいご版ばん） T38（英語えいご版ばん） T39（英語えいご版ばん） T40（英語えいご版ばん） T41 T42 T43（英語えいご版ばん） T44（英語えいご版ばん） T45 T46（英語えいご版ばん） T47 T48 T49 T50 T51 T52 T53 T54（英語えいご版ばん） T55 T56 T57 T58 T60（英語えいご版ばん） T61 T62（英語えいご版ばん） T63 T64 T65 T66（英語えいご版ばん） T67 T68 T69 T70 T71 T72 T73 T74 T76 T78 T80 T100 T101 T400 T405 T406 T407 T408 T700 T701 T702（英語えいご版ばん） T703 T706 T708 T800
ターボファン	TF30 TF33 TF34 TF35（英語えいご版ばん） TF37 TF39 TF41 F100 F101 F102 F103 F104 F105 F106（英語えいご版ばん） F107（英語えいご版ばん） F108 F109（英語えいご版ばん） F110 F112（英語えいご版ばん） F113 F117 F118 F119 YF120 F121（英語えいご版ばん） F122 F124 F125 F126 F127 F128 F129（英語えいご版ばん） F135 F136 F137 F138 F400 F401 F402 F404 F405 F408 F412 F414 F415