(Translated by https://www.hiragana.jp/)
プラット・アンド・ホイットニー F100 - Wikipedia コンテンツにスキップ

プラット・アンド・ホイットニー F100

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ジョージアしゅうロビンス空軍くうぐん基地きちでテストちゅうのF100

F100アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくプラット・アンド・ホイットニー開発かいはつした航空機こうくうきようアフターバーナーターボファンエンジンである。F-15戦闘せんとうF-16戦闘せんとう搭載とうさいされている。

開発かいはつ背景はいけい

[編集へんしゅう]

1967ねんアメリカ海軍かいぐんアメリカ空軍くうぐん当時とうじ開発かいはつちゅうF-14とF-15ようのエンジン提案ていあん共同きょうどう要求ようきゅうした。この共同きょうどう計画けいかくは「Advanced Turbine Engine Gas Generator(ATEGG)」とばれ、推力すいりょく増大ぞうだい軽量けいりょうによって推力すいりょく重量じゅうりょう9を達成たっせいすることが目標もくひょうだった。

1970ねん、プラット・アンド・ホイットニーが空軍くうぐんけのF100-PW-100と海軍かいぐんけのF401-PW-400の開発かいはつをアメリカ空軍くうぐん契約けいやくした。のちに海軍かいぐん要求ようきゅうをキャンセルし、F-14にはF-111TF30搭載とうさいされることになった[1]

かく型式けいしき

[編集へんしゅう]
バージニア航空こうくう宇宙うちゅうセンター英語えいごばん展示てんじちゅうのF100-PW-100

1972ねんにF100-PW-100を搭載とうさいしたF-15がはつ飛行ひこうおこなったが、初期しょきから多数たすう問題もんだい発生はっせいしてF-15の導入どうにゅう遅延ちえん一因いちいんとなった。とくアフターバーナー起因きいんするスタグネーション・ストール問題もんだい重大じゅうだいであった。固定こていしき空気くうきこう採用さいようしたF-16での発生はっせい頻度ひんどひくく、複雑ふくざつ衝撃波しょうげきは制御せいぎょおこな可動かどうしき空気くうきこう採用さいようしたF-15とのわせに起因きいんする問題もんだいだとかんがえられた。

スタグネーション・ストールとは、リヒート点火てんかショックがバイパスダクトを伝搬でんぱんしてコンプレッサーを失速しっそくさせ、スロットルを操作そうさしても回転かいてんすう変化へんかせずにファンタービンくち温度おんど上昇じょうしょうする現象げんしょうである。一旦いったんエンジンを停止ていしし、規定きてい温度おんどないがったところでさい点火てんかする必要ひつようがある。コアモジュールの過熱かねつから火災かさいいたることもあるため迅速じんそく再始動さいしどうようするが、この操作そうさはエンジン停止ていしによる推力すいりょく消滅しょうめつとあいまって戦闘せんとうにとっては致命ちめいてき弱点じゃくてんとなる。

こう高度こうどかつていたい速度そくど、アイドルにちかてい回転かいてんすうでの飛行ひこうちゅうパイロット操作そうさによるきゅうアフターバーナー点火てんかおこなわれると、点火てんか圧力あつりょくがバイパスダクトからファンにまで伝搬でんぱんし、コンプレッサーを失速しっそくさせることにより発生はっせいする。対策たいさくとしてコアりゅうとバイパスりゅう分岐ぶんきさせるスプリッタベーンを前方ぜんぽう延長えんちょうする一方いっぽう該当がいとう条件下じょうけんかでのスロットル操作そうさにMIL位置いち一旦いったんめて燃焼ねんしょう安定あんていはかってからリヒートさせるという運用うんようじょう対策たいさくもなされた。エンジンコントロールユニットの制御せいぎょそく変更へんこうまたは追加ついかおこなわれた可能かのうせいもあるが、このような改善かいぜんつねおこなわれており、対策たいさくえるような変更へんこうであったかどうかははっきりしない。対策たいさく現在げんざいいたるまでにスタグネーションストールの発生はっせい報告ほうこくされておらず、航空こうくう自衛隊じえいたいける墜落ついらく事故じこ一時いちじはその発生はっせいうたがわれたものの、べつ原因げんいんによるものとあきらかになった。

スタグネーションストールはごく初期しょき発生はっせいした問題もんだいであり、とく神経質しんけいしつなエンジンであるともわれていない。

推力すいりょくは23,930 lbf (106 kN)。

日本にっぽんでは石川島播磨重工業いしかわじまはりまじゅうこうぎょうげんIHI)でのライセンス生産せいさんおこなわれており、F-15J/DJに搭載とうさいされている(F100-IHI-100)。

F-16はF100-PW-100とほぼおな仕様しようの、F100-PW-200を搭載とうさいして就役しゅうえきした。その、F-16のぞうつぶさともない、運行うんこうリスクの削減さくげん目指めざ空軍くうぐん1984ねんにエンジンをじゅうソースするAlternative Fighter Engine(AFE)計画けいかく開始かいしし、競争きょうそういたエンジンを契約けいやくすることになった。

F-16C/D Block30/32はF100とGEF110のどちらでも搭載とうさい可能かのう共通きょうつうのエンジンベイを採用さいようした最初さいしょ機体きたいであった。

F100-PW-220/220E

[編集へんしゅう]
F-15Jに装着そうちゃくされたF100-IHI-220E

F100-PW-220/220Eには、精度せいど管理かんりやデジタル電子でんしエンジン制御せいぎょ(DEEC)によるたか整備せいびせい耐久たいきゅうせい向上こうじょう信頼しんらいせいたか冶金やきん技術ぎじゅつねつ伝導でんどうせいなど、利用りよう可能かのう最先端さいせんたん技術ぎじゅつれられ、アメリカ空軍くうぐん史上しじょうもっとたか安全あんぜんせい任務にんむ達成たっせいりつ確立かくりつした。

このモデルは1986ねんから導入どうにゅうされ、F-15とF-16の両方りょうほう搭載とうさいすることが可能かのうである。ほんエンジンはノズルが可変かへんするさいに、独特どくとくおとてる。推力すいりょくはドライで64.9 kN (14,600 lbf)、最大さいだい105.7 kN (23,800 lbf)。

F100-IHI-100とおなじく、日本にっぽんでは石川島播磨重工業いしかわじまはりまじゅうこうぎょうがライセンス生産せいさんしている(F100-IHI-220E)。2017ねん12月18にちには米国べいこく国内こくない業者ぎょうしゃ撤退てったいとうともなうアメリカでの供給きょうきゅう不足ふそくから、日本にっぽんでライセンス生産せいさんしたプレートなどよんてん部品ぶひんのライセンスもとへの移転いてん国家こっか安全あんぜん保障ほしょう会議かいぎ(NSC)で決定けっていした[2][3]

F100-PW-220U

[編集へんしゅう]

F100-PW-220Uは、F100-PW-220Eの派生はせいがたX-47B搭載とうさいされる。71.2 kN (16,000 lbf)の推力すいりょくゆうする[4]

F100-PW-229/229A/229EEP

[編集へんしゅう]

F100-PW-229は、220EをもとFADEC搭載とうさい、ファンと圧縮あっしゅくだん改善かいぜん構成こうせい部品ぶひん寿命じゅみょう延長えんちょうなどにより、メンテナンスが簡素かんそされている。229は1989ねん飛行ひこうし、ドライで17,800 lbf (79.2 kN)、最大さいだい29,160 lbf (130 kN)の推力すいりょくゆうする。

F100-PW-229A[5]にはF-22ようF119や、F-35ようF135開発かいはつによってられた技術ぎじゅつ投入とうにゅうされており、最新さいしん素材そざいのタービンが組込くみこまれ、温度おんど管理かんり技術ぎじゅつやコンプレッサーのそらりょく設計せっけい電子でんし制御せいぎょなどがあたらしくなっている。なお、229Aはもと寸法すんぽう維持いじするためアフターバーナーが229とくら若干じゃっかんみじかくなっている。推力すいりょく29,100 lbf (129 kN)[6]

F100-PW-229EEP[7]は、リアルタイム監視かんしシステムの装備そうび、デジタル電子でんしエンジン制御せいぎょ(DEEC)システムのアップグレードとうにより、従来じゅうらいの4,300メンテナンスサイクルから6,000メンテナンスサイクルに改善かいぜんされメンテナンス費用ひよう削減さくげんはかられている[8]

229はおもF-15Eとその派生はせいがた搭載とうさいされている。なお、-229けいのうちF-15 ACTIVE搭載とうさいされたものにはさん次元じげん推力すいりょく偏向へんこうノズルが搭載とうさいされている。

F100-PW-229のさらなる推力すいりょく強化きょうかがたいまのところ量産りょうさんされていない(採用さいようした機種きしゅにF-16E/F Block62があるが、実機じっきつくられていない)。推力すいりょくは32,500 lbf (145 kN)とされている[9]

XFV-12ようのF401エンジン

F401はF-14B搭載とうさいされるため開発かいはつされた型式けいしきで、F100とおなじくJTF22をもと設計せっけいされている。F100とのちがいはファンとアフターバーナーがF100よりちいさいこととファンの後方こうほう余分よぶん圧縮あっしゅくだんっていることぼうしお対策たいさくなどがほどこされていることがあげられる。

ほん搭載とうさいしての最初さいしょ飛行ひこうは1973ねん9がつ9にちおこなわれた。しかし、開発かいはつちゅう技術ぎじゅつてき不具合ふぐあいったこと、F401エンジンを搭載とうさいしたF-14のテスト結果けっか満足まんぞくのいくものでなかったことによる開発かいはつ延滞えんたいでコストがかさみ、くわえて搭載とうさいのF-14自体じたい機体きたい価格かかくたかさから生産せいさんそのものを問題もんだいされ、これ以上いじょう予算よさん獲得かくとく困難こんなんとなったためF401の開発かいはつ計画けいかく中止ちゅうしされた。

搭載とうさい

[編集へんしゅう]

仕様しよう

[編集へんしゅう]
F-15に搭載とうさいされたF100
F100-PW-220/220E/220U/229[10]
一般いっぱんてき特性とくせい
形式けいしき アフターバーナーきターボファンエンジン
全長ぜんちょう 191in (4.8514m)
直径ちょっけい 入口いりくち直径ちょっけい:34.8in (0.884m)
最大さいだい直径ちょっけい:46.5in (1.181m)
乾燥かんそう重量じゅうりょう 3,740lbs (1,696kg)
構成こうせい要素ようそ
圧縮あっしゅく ファン3まい・10だんじくりゅう圧縮あっしゅく
バイパス 0.36:1
タービン 2だん低圧ていあつ・2だんだかあつタービン
性能せいのう
推力すいりょく 23,770-29,160lbf (105.73-129.71kN)
ぜん圧縮あっしゅく 32:1
燃料ねんりょう消費しょうひりつ ミリタリースラスト:0.76lbs/(lbf·h) (77.5kg/(kN·h))
フルアフターバーナー:1.94lbs/(lbf·h) (197.8kg/(kN·h))
推力すいりょく重量じゅうりょう 6.357-7.799:1 (62.34-76.48N/kg)

関連かんれん項目こうもく

[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう

[編集へんしゅう]
  1. ^ Davies, Steve. Combat Legend, F-15 Eagle and Strike Eagle. London: Airlife Publishing, Ltd., 2002. ISBN 1-84037-377-6.
  2. ^ 防衛ぼうえい装備そうび海外かいがい移転いてんみとることを確認かくにんしました~F100エンジン部品ぶひん米国べいこくへの移転いてんについて~
  3. ^ F100エンジン部品ぶひん米国べいこくへの移転いてん
  4. ^ F100-PW-220U Powered X-47B
  5. ^ 当初とうしょ名前なまえはF100-229-IPE。IPEはInprove Performance Engineりゃく
  6. ^ Dubai 2007: Temporary problems leave Eagle’s bright prospects undimmed
  7. ^ EEPはEnhanced Engine Packageのりゃく
  8. ^ F100-PW-229 Engine Enhancement Package” (PDF). 2014ねん7がつ4にち閲覧えつらん
  9. ^ Fighter engine boasts P&W engineering”. Flightglobal (2000ねん2がつ25にち). 2014ねん7がつ4にち閲覧えつらん
  10. ^ F100 ENGINE Pratt & Whitney

外部がいぶリンク

[編集へんしゅう]