ゼネラル・エレクトリック F110

F110はゼネラル・エレクトリックが開発かいはつした航空機こうくうき用ようアフターバーナー付つきターボファンエンジンである。

なお、この項目こうもくではF110のアフターバーナー非ひ搭載とうさい型がたであるF118についても述のべる。

概要がいよう[編集へんしゅう]

GE F101の発展はってん型がたで、エンジンコアの設計せっけいを共有きょうゆうしている。特徴とくちょうとして同どうクラスのアフターバーナー付つきターボファンエンジンであるP&W F100と比較ひかくした場合ばあい^[1]に高こう高度こうどでの推進すいしん力りょくは殆ほとんど差さはない^[1]が、低てい高度こうどでは3割わり強きょう出力しゅつりょくが高たかい^[1]。

1973年ねんにF-14はP&W TF30エンジンを搭載とうさいして就役しゅうえきしたが、その10年ねん後ごまでに多おおくの問題もんだいが発生はっせいした（同様どうようの問題もんだいがF100エンジンを搭載とうさいしたF-15やF-16でも発生はっせいしている）。これを受うけ、国防総省こくぼうそうしょうは改良かいりょう型がたのTF30-P-414Aの調達ちょうたつを開始かいしした。その後ご1979年ねんにF101の派生はせい型がたであるF101-XがF-14のエンジンに採用さいようされ、後のちにF110-GE-400となった。

F110-GE-400とF110-GE-100の一番いちばんの違ちがいは長ながさで、-400型がたはF-14の機体きたいに合あわせるためアフターバーナー後部こうぶを50インチ（≒1.27m）延長えんちょうしている。

新あたらしいエンジンは23,100lbf/103kN（最大さいだいで27,600lbf/123kN）の出力しゅつりょくを持もち、以前いぜんのTF30エンジン（推力すいりょく20,900lbf/93kN）と比較ひかくして強力きょうりょくになっている。

F110によってアップグレードされたF-14はF-14Bとして知しられている。またF110は同機どうきの最終さいしゅう型がたであるF-14Dにも採用さいようされた。

F-16、F-2[編集へんしゅう]

F-16は当初とうしょプラット・アンド・ホイットニー F100エンジンを採用さいようして就役しゅうえきした。1984年ねん、アメリカ空軍くうぐんはF-16の運行うんこうリスク削減さくげんを目的もくてきにエンジンを二に重じゅうソース化かするAlternative Fighter Engine（AFE）計画けいかくを開始かいしし、プラット・アンド・ホイットニー社しゃのF100とゼネラル・エレクトリック社しゃのF110のうち、競争きょうそうに勝かち抜ぬいたエンジンを契約けいやくすることとした。そのため、F-16C/D Block30/32はP&WのF100とGEのF110のどちらでも搭載とうさい可能かのうな共通きょうつうのエンジンベイを採用さいようした最初さいしょの機体きたいとなった。F110は現在げんざい、アメリカ空軍くうぐんのF-16C/Dのうち86％に搭載とうさいされている。

F110-GE-100の出力しゅつりょくはF100-PW-200よりも約やく4,000lbf（17.8kN）大おおきいため、より多おおくの空気くうきを必要ひつようとする。そのため初期しょきはカタログスペック通どおりの出力しゅつりょくが得えられず、Block40以降いこうのF110搭載とうさい機きはインテークが大型おおがた化かされた（MCID、通称つうしょう『ビッグマウス』）。

F-16用ようのF110にはF110-GE-100（推力すいりょく28,000lbf/125 kN Block30/40用よう）、F110-GE-129（推力すいりょく29,400lbf/131 kN Block50シリーズ用よう）、F110-GE-132（推力すいりょく32,000lbf/142 kN Block60用よう）がある。後者こうしゃになるほど新型しんがたであり、より出力しゅつりょくも大おおきくなっている。

日本にっぽんでも、F-16をもとに開発かいはつされたF-2に、IHI（旧きゅう・石川島播磨重工業いしかわじまはりまじゅうこうぎょう）がライセンス生産せいさんしたF110-IHI-129が採用さいようされている。

F-15E[編集へんしゅう]

F-15EはAFE計画けいかくによってF100-PW-229およびF110-GE-129に対応たいおうしたエンジンベイを持もつ。F-15Eの韓国かんこく向むけであるF-15Kは、F110-GE-129をサムスンテックウィン（現げん・ハンファテックウィン）がライセンス生産せいさんしたF110-STW-129を採用さいようし、2005年ねんから配備はいびされている。

またシンガポール向むけのF-15SGは信頼しんらい性せいを向上こうじょうさせたF110-GE-129Cを採用さいようし、2008年ねんにロールアウトした。サウジアラビアが運用うんようしているF-15SもF110-GE-129Cを換かわ装用そうように調達ちょうたつしている。

型式けいしき[編集へんしゅう]

F110-GE-400

F-14B/Dに搭載とうさいされたもの。推力すいりょく27,600lbf/123kN。

F110-GE-100

F-16C/D Block30/40に搭載とうさいされている。推力すいりょく28,000lbf/125 kN。

F110-GE-129

F-16C/D Block50に搭載とうさいされている。推力すいりょく29,400lbf/131 kN、推力すいりょく重量じゅうりょう比ひ7.5:1。

F110-GE-129A

F110-GE-129にCFM56-7の3次元じげん空そら力りょく技術ぎじゅつをフィードバックし、燃焼ねんしょう室しつ・高こう圧あつタービンを改良かいりょうしたもの。飛行ひこう時間じかんあたりのコストが25%削減さくげんされている。F-15Eに搭載とうさいした場合ばあい23,500lbの空そら対地たいち兵へい装そうを搭載とうさい可能かのうとなる^[2]。

F110-IHI-129: F110-GE-129AをIHIがライセンス生産せいさんしたもの。F-2A/Bに搭載とうさいされている。
F110-STW-129: F110-GE-129Aをサムスンテックウィン（現げん・ハンファテックウィン）がライセンス生産せいさんしたもの。F-15Kに搭載とうさいされている。

F110-GE-129B: 129Aに運用うんよう寿命じゅみょう延長えんちょう（SLEP）ハードウェアを適応てきおうした改良かいりょう型がた。トルコ空軍くうぐんのF-16C/Dが採用さいようしたほか、アメリカ空軍くうぐんも340機きのF-16C/Dに対たいして改修かいしゅうを行おこなっている^[3]。
F110-GE-129C: 信頼しんらい性せいを向上こうじょうさせた改良かいりょう型がた。シンガポール空軍くうぐんのF-15SGのほか、サウジアラビア空軍くうぐんもF-15Sの換かわ装用そうようとして調達ちょうたつしている。
F110-GE-129D: 改良かいりょう型がた。メンテナンスサイクルを40%延長えんちょうし6,000サイクルに改善かいぜんすることでメンテナンス費用ひようの削減さくげんを図はかっている。オマーン空軍くうぐんのF-16 Block 50が採用さいようした^[4]^[5]。

F110-GE-132: 改良かいりょう型がた。わずかだがバイパス比ひが0.76から0.68へと下さげ流量りゅうりょうを270lb./secから275lb./secに増加ぞうか、推力すいりょくは32,000lbf/142kNに増強ぞうきょうされた。F-16E/F Block 60が搭載とうさいしている。
F118: F110のアフターバーナー非ひ搭載とうさい型がた。

F118-GE-100: B-2 ステルス爆ばく撃げき機きに搭載とうさい。
F118-GE-101: U-2S 偵察ていさつ機きに搭載とうさい。

仕様しよう[編集へんしゅう]

F110-100/-400[編集へんしゅう]

一般いっぱん的てき特性とくせい

形式けいしき: アフターバーナー付つきターボファンエンジン
全長ぜんちょう: 182.3 - 232.3 in (463 - 590 cm)
直径ちょっけい: 46.5 in (118 cm)
乾燥かんそう重量じゅうりょう: 3,920 - 4,400 lb (1,778 - 1,996 kg)

構成こうせい要素ようそ

圧縮あっしゅく機き: ファン3枚まい・9段だん軸じく流りゅう圧縮あっしゅく機き
燃焼ねんしょう器き: アニュラ型がた
タービン: 2段だん低圧ていあつ・1段だん高だか圧あつタービン

性能せいのう

推力すいりょく: 27,000 - 28,000 lbf (120 - 125 kN)
全ぜん圧縮あっしゅく比ひ（英語えいご版ばん）: 29.9:1 - 30.4:1
タービン入口いりくち温度おんど: 2,750F (1,510C)
推力すいりょく重量じゅうりょう比ひ: 6.36:1

出典しゅってん：^[6]

F110-GE-129[編集へんしゅう]

全長ぜんちょう: 182.3 in (463 cm)

乾燥かんそう重量じゅうりょう: 3,980 lb (1,805 kg)

バイパス比ひ: 0.76

出典しゅってん：^[7]^[8]

F110-GE-132[編集へんしゅう]

全長ぜんちょう: 181.9 in (462 cm)

乾燥かんそう重量じゅうりょう: 4,050 lb (1,837 kg)

バイパス比ひ: 0.68

出典しゅってん：^[9]^[10]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

^ ^a ^b ^c 『航空こうくうファン』Vol.38 No.5、1989年ねん、70頁ぺーじ
^ Dubai 2007: Temporary problems leave Eagle’s bright prospects undimmed
^ New Applications and Service Offerings Expand F110, F404 and F414 Engines Presence
^ F110-GE-129D Engines to Power Oman F-16C/D Block 50 Aircraft
^ Royal Air Force of Oman Purchased F110-GE-129D Engines
^ “F−14 TF30−P−414 TO F110−GE−400 ENGINE UPGRADE TECHNICAL COMPARISON”. 2010年ねん6月がつ15日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2014年ねん7月がつ2日にち閲覧えつらん。GE Aviation F110-100/-400
^ GE Aviation F110-GE-129
^ F110-GE-129 turbofan engines
^ F110-GE-132 turbofan engines
^ F110-GE-132

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]

GE Aviation - The F110 Engine Family
Aircraft Engine Historical Society - F110-GE-100 Gallery
F110-GE-129 turbofan engine (PDF) - GE・アビエーション公式こうしき資料しりょう（英語えいご）
F110-GE-129 Service Life Extension Program (SLEP) (PDF) - GE・アビエーション公式こうしき資料しりょう（英語えいご）
F110-GE-132 turbofan engine (PDF) - GE・アビエーション公式こうしき資料しりょう（英語えいご）
Global Security - F110
F110 - MTU Aero Engines - MTU(ステージ2および3の低圧ていあつ圧縮あっしゅく機きディスクを製造せいぞう)

[KF198905P70-1] 『航空こうくうファン』Vol.38 No.5、1989年ねん、70頁ぺーじ

[2] Dubai 2007: Temporary problems leave Eagle’s bright prospects undimmed

[3] New Applications and Service Offerings Expand F110, F404 and F414 Engines Presence

[4] F110-GE-129D Engines to Power Oman F-16C/D Block 50 Aircraft

[5] Royal Air Force of Oman Purchased F110-GE-129D Engines

[6] “F−14 TF30−P−414 TO F110−GE−400 ENGINE UPGRADE TECHNICAL COMPARISON”. 2010年ねん6月がつ15日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2014年ねん7月がつ2日にち閲覧えつらん。GE Aviation F110-100/-400

[7] GE Aviation F110-GE-129

[8] F110-GE-129 turbofan engines

[9] F110-GE-132 turbofan engines

[10] F110-GE-132

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表ひょう話はなし編へん歴れきアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくの軍用ぐんよう機き用ようガスタービンエンジン
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