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Optimal Asymmetric Encryption Padding

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

Optimal Asymmetric Encryption Padding (略称りゃくしょうOAEPためしやく:「最適さいてき非対称ひたいしょう暗号あんごうパディング」)は、暗号あんごう理論りろんにおいて特殊とくしゅ確定かくていてき暗号あんごうけい (としづけ部分ぶぶん領域りょういき一方いっぽう向性こうせい置換ちかん) を安全あんぜん利用りようするための平文へいぶんパディング手法しゅほうひとつである。ミヒル・ベラーレ英語えいごばんフィリップ・ロガウェイ英語えいごばんによって1994ねん考案こうあんされ[1]のちPKCS1英語えいごばんRFC 2437において標準ひょうじゅんされた。この手法しゅほうもちいた暗号あんごうけいはランダムオラクルモデルで適応てきおうてき選択せんたく暗号あんごうぶん攻撃こうげきした暗号あんごうぶん識別しきべつ不可能ふかのうせい英語えいごばん (IND-CCA2安全あんぜんせい) をつ。RSA暗号あんごうわせて使つかわれることがおおく、その場合ばあいはRSA-OAEPとばれる。

概要がいよう

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OAEPのアルゴリズムはFeistel構造こうぞう一種いっしゅであり、非対称ひたいしょう暗号あんごう先立さきだってふたつのランダムオラクルもちいて平文へいぶん加工かこうする。この結果けっかなんらかの安全あんぜんとし一方いっぽう向性こうせい関数かんすう英語えいごばん わせれば、選択せんたく平文へいぶん攻撃こうげきたいしてランダムオラクルモデルでつよ秘匿ひとくせいつ(IND-CPA)。また、あるしゅとし置換ちかんたとえばRSA)ととも実装じっそうされた場合ばあいは、OAEPは選択せんたく暗号あんごうぶん攻撃こうげきたいしても安全あんぜんであることが証明しょうめいされている。OAEPはAONT英語えいごばん構築こうちくするのに使つかうこともできる。

OAEPはつぎふたつの性質せいしつたす:

  1. ランダムネス要素ようそっており、確定かくていてき暗号あんごう英語えいごばん方式ほうしきたとえば古典こてんてきなRSA暗号あんごうなど)をかくりつてき暗号あんごう英語えいごばん方式ほうしき変換へんかんする用途ようと使つかえる。
  2. 攻撃こうげきしゃ所与しょよとし一方いっぽう向性こうせい関数かんすう ぎゃく関数かんすう構成こうせいできないかぎり、暗号あんごうぶん部分ぶぶんてき解読かいどく(またはその情報じょうほう漏洩ろうえい)が不可能ふかのうであることを保証ほしょうする。

歴史れきし

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OAEPの初期しょきバージョン(Bellare/Rogaway, 1994)は、ランダムオラクルモデルで任意にんいとし置換ちかんわせると"plaintext awareness英語えいごばん"をち、これにより選択せんたく暗号あんごうぶん攻撃こうげきたいする識別しきべつ不可能ふかのうせいIND-CCA1安全あんぜんせい)をつとされた。また当初とうしょ適応てきおうてき選択せんたく暗号あんごうぶん攻撃こうげきたいしても識別しきべつ不可能ふかのうせいIND-CCA2安全あんぜんせい)をつとかんがえられていた。しかし2001ねんビクター・シュープ英語えいごばんがIND-CCA2ではないことをしめし、改良かいりょうばんとしてOAEP+を提案ていあんした[2]どう時期じきダン・ボウネイ英語えいごばんもSAEPおよびSAEP+を提案ていあんした[3]ただし、もとのOAEPもランダムオラクルモデルで標準ひょうじゅんてき暗号あんごう指数しすうもちいたRSA置換ちかんわせた場合ばあいは、たまたま(おもにOAEPではなくRSA関数かんすう代数だいすうてき性質せいしつにより)IND-CCA2になる。すなわち、藤崎ふじさき岡本おかもと、Pointcheval、Sternの4にんは、OAEPはもととなる暗号あんごうけい部分ぶぶん領域りょういき一方いっぽう向性こうせい置換ちかんであるならばランダムオラクルモデルでIND-CCA2であること、およびRSA関数かんすうかんしては一方いっぽう向性こうせい部分ぶぶん領域りょういき一方いっぽう向性こうせいが(多項式たこうしき時間じかん帰着きちゃくしたで)等価とうかであることをしめした。結果けっか、RSA-OAEPはランダムオラクルモデルでRSA仮定かていからIND-CCA2安全あんぜんせい[4]

近年きんねんでは、標準ひょうじゅんモデル(すなわち、ハッシュ関数かんすうがランダムオラクルではないモデル)においては、RSA問題もんだい困難こんなんせい現在げんざい推測すいそくされている程度ていどだと仮定かていした場合ばあい、RSA-OAEPのIND-CCA2安全あんぜんせい証明しょうめいすることは不可能ふかのうであることがしめされた[5][6]。また、OAEPをふくむパディング方式ほうしき全般ぜんぱん理想りそうてきとし置換ちかんわせについて、標準ひょうじゅんモデルでは安全あんぜんせい証明しょうめい不可能ふかのうとする結果けっかられている[7]

OAEPの動作どうさ概念がいねん

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OAEPの動作どうさ概念がいねん

ちゅうあらわれる記号きごう意味いみつぎとおり。

  • n はRSAのほうなどのビットすう
  • k0 と k1 はプロトコルがさだめる整数せいすう
  • m は平文へいぶんメッセージであり、n - k0 - k1ひとしいビットすうつとする
  • G と H はランダムオラクルまたはプロトコルがさだめるなんらかの暗号あんごうがくてきハッシュ関数かんすう
  • r はランダムなビット列びっとれつであり、k0 ビットのながさをつとする

平文へいぶん符号ふごう手順てじゅん

  1. 平文へいぶんたいして k1 の 0 をパディングして、ながさを n - k0 ビットとする。
  2. G によって r のながさを k0 ビットから n - k0 ビットに拡張かくちょうする。
  3. m と G( r ) のあいだ排他はいたてき論理ろんりり、結果けっかとしてビット列びっとれつ X をる。
  4. H によって X のながさを n - k0 ビットから k0 ビットに縮小しゅくしょうする。
  5. r と H( X ) のあいだ排他はいたてき論理ろんりり、結果けっかとしてビット列びっとれつ Y をる。
  6. X || Y を出力しゅつりょくとする。(|| は左辺さへんビット列びっとれつ右側みぎがわ右辺うへんビット列びっとれつ連結れんけつすることをあらわす)

もと平文へいぶんへの復元ふくげん手順てじゅん

  1. Y と H( X ) のあいだ排他はいたてき論理ろんりり、結果けっかとして r をる。
  2. X と G( r ) のあいだ排他はいたてき論理ろんりり、結果けっかとして m をる。

これがAONT英語えいごばん安全あんぜんせい理由りゆうは、m を復元ふくげんするにはまず X 全体ぜんたいと Y 全体ぜんたい復元ふくげんしなければならないからである。Y から r を復元ふくげんするには X が必要ひつようであり、X から m を復元ふくげんするには r が必要ひつようである。暗号あんごうがくてきハッシュが1ビットでもわると結果けっかまったわってしまうので、X 全体ぜんたいと Y 全体ぜんたい両方りょうほうとも完全かんぜん復元ふくげんされなければならない。

参考さんこう

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参考さんこう文献ぶんけん

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  1. ^ Bellare, Mihir; Rogaway, Phillip (1995), Eurocrypt '94 Proceedings, in A. De Santis, “Optimal Asymmetric Encryption -- How to encrypt with RSA”, Lecture Notes in Computer Science (SpringerVerlag) 950, http://www-cse.ucsd.edu/users/mihir/papers/oae.pdf 
  2. ^ Shoup, Victor (2001-09-18), OAEP Reconsidered, Saumerstr. 4, 8803 Ruschlikon, Switzerland: IBM Zurich Research Lab, http://www.shoup.net/papers/oaep.pdf 
  3. ^ Boneh, Dan (2001), CRYPTO 2001, “Simplified OAEP for the RSA and Rabin functions”, LNCS (SpringerVerlag) 2139: 275-291, http://rd.springer.com/chapter/10.1007%2F3-540-44647-8_17 
  4. ^ 藤崎ふじさき, 英一郎えいいちろう; 岡本おかもと, りゅうあきら; Pointcheval, David; Stern, Jacques (2001), RSA-OAEP is secure under the RSA assumption, “Advances in Cryptology — CRYPTO 2001”, Lecture Notes in Computer Science (Springer-Verlag) 2139: 260-274, http://eprint.iacr.org/2000/061.pdf 
  5. ^ P. Paillier; J. Villar (2006), “Asiacrypt 2006”, Trading One-Wayness against Chosen-Ciphertext Security in Factoring-Based Encryption, https://www.iacr.org/archive/asiacrypt2006/42840253/42840253.pdf 
  6. ^ D. Brown, “What Hashes Make RSA-OAEP Secure?”, IACR ePrint 2006/233, http://eprint.iacr.org/2006/223 
  7. ^ E. Kiltz; K. Pietrzak (2009), EUROCRYPT 2009, “On the security of padding-based encryption schemes (Or: why we cannot prove OAEP secure in the standard model)”, LNCS 5479: 389-406, https://www.iacr.org/archive/eurocrypt2009/54790389/54790389.pdf 2014ねん7がつ24にち閲覧えつらん