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RecA

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
recAバクテリアDNAタンパク質たんぱくしつ
RecAタンパク質たんぱくしつとrecA DNAのふく合体がったい結晶けっしょう構造こうぞうPDB ID: 3cmt.[1]
識別子しきべつし
略号りゃくごう RecA
Pfam PF00154
Pfam clan CL0023
InterPro IPR013765
PROSITE PDOC00131
SCOP 2reb
SUPERFAMILY 2reb
利用りよう可能かのう蛋白質たんぱくしつ構造こうぞう:
Pfam structures
PDB RCSB PDB; PDBe; PDBj
PDBsum structure summary
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RecADNAでの維持いじ修復しゅうふく重要じゅうような38kDaタンパク質たんぱくしつである[2]。RecAの構造こうぞうてき機能きのうてきあいどうからだDNA修復しゅうふくタンパク質たんぱくしつ発見はっけんされているすべてのたねからつかっている。あいどうタンパク質たんぱくしつかく生物せいぶつではRad51細菌さいきんではRadAとばれている[3][4]

RecAにはおおくの活性かっせいがあるが、そのすべてがDNA修復しゅうふくかんするものである。細菌さいきんSOS応答おうとう英語えいごばんでリプレッサーLex Aとリプレッサー λらむだ英語えいごばん触媒しょくばいひらききれにおいて[5]プロテアーゼ活性かっせい促進そくしんする機能きのう[6]

RecAとDNAの会合かいごうおおくはあいどうくみ英語えいごばん)によってこる。RecAタンパク質たんぱくしつはssDNA(一本いっぽんくさりDNA)にながいクラスターのかたちつよ結合けつごうしてかくタンパク質たんぱくしつタンパク繊維せんい英語えいごばんつくる。そのタンパク質たんぱくしつは1つ以上いじょうのDNA結合けつごう部位ぶいをもち、一本いっぽんくさりDNAとほんくさりDNAを両方りょうほうかかむことができる。これによりDNAのじゅうらせんと一本いっぽんくさり相補そうほ部位ぶいたいごう (生物せいぶつがく)英語えいごばん反応はんのう触媒しょくばいできるようになる。RecAとssDNAの繊維せんい配列はいれつしょう同性どうせい英語えいごばんじゅうらせんDNAをさがす。その探索たんさくプロセスによりDNAのじゅうらせんがばされ、相補そうほてき配列はいれつ認識にんしきいたる。このプロセスははい選択せんたくばれる[7][8]反応はんのうによって2つのDNAのらせんのくみえがはじまる。たいごうわると、ヘテロほんくさり英語えいごばん領域りょういき分岐ぶんきてん移動いどうという反応はんのうはじまる。分岐ぶんきてん移動いどうたいになっていない領域りょういき一本いっぽんくさりDNAがたいになっている領域りょういき片方かたがた塩基えんきくさりえ、全体ぜんたい塩基えんきすうえることなく分岐ぶんきてんのみをうごかす反応はんのうである。この変化へんか自発じはつてきこるが、両方向りょうほうこうたいしてひとしくすすむため、効率こうりつよくえているとはいがたい。RecAタンパク質たんぱくしつ一方向いちほうこうへの分岐ぶんきてん移動いどう触媒しょくばいし、すうせん塩基えんきたいにもおよじゅうらせんDNAの完全かんぜんえを可能かのうにする。

RecAはDNAに依存いぞんするATPアーゼであるため、RecAにはATP加水かすい分解ぶんかいする部位ぶいふくまれている。RecAはATPと結合けつごうしているとき、ADP結合けつごうしているときよりDNAとよりつよ結合けつごうする

大腸菌だいちょうきんでは、DNA複製ふくせいのち姉妹しまい染色せんしょくぶんからだがまだちか段階だんかいでRecAをかいしてあいどうくみえがこる。RecAはあいどうたいごうあいどうくみえ、はなされた姉妹しまい染色せんしょくぶんたい片方かたがたのDNAの切断せつだん修復しゅうふくすべてを仲介ちゅうかいする[9]

RecAが欠損けっそんしている大腸だいちょう菌株きんしゅ分子生物学ぶんしせいぶつがくでのクローニング英語えいごばん有用ゆうようである。大腸だいちょう菌株きんしゅに、遺伝子いでんし操作そうさによりrecA突然変異とつぜんへんいかた遺伝子いでんし導入どうにゅうされると、プラスミドとしてられる染色せんしょく体外たいがいDNA安定あんていされる。形質けいしつ転換てんかんばれるプロセスにおいては、プラスミドDNAが様々さまざま状況じょうきょうでバクテリアにまれる。遺伝子いでんしがいのプラスミドをりこんだバクテリアは形質けいしつ転換てんかんたいばれる。形質けいしつ転換てんかんたいは、回復かいふくしてのことに使つかえるように細胞さいぼう分裂ぶんれつあいだずっとプラスミドを保持ほじする。RecAタンパク質たんぱくしつ機能きのうがない場合ばあい遺伝子いでんしがいのプラスミドDNAはバクテリアによる変化へんかけない。細胞さいぼう培養ばいようからのプラスミドの精製せいせいによりPCRによってられたプラスミドの忠実ちゅうじつ増幅ぞうふく可能かのうになる。

くすりのターゲットとしての可能かのうせい

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ノースカロライナ大学だいがくのウィグル(Wigle)とシングルトン(Singleton)は細胞さいぼうないでRecAの機能きのう阻害そがいするちいさな分子ぶんしあたらしい抗生こうせい物質ぶっしつ合成ごうせい有用ゆうようである可能かのうせいしめした[10]おおくの抗生こうせい物質ぶっしつがDNAにダメージをあたえ、すべてのバクテリアはそのダメージの修復しゅうふくをRecAに依存いぞんしていることから、RecAの阻害そがいざいはバクテリアへの細胞さいぼう毒性どくせい強化きょうか寄与きよする可能かのうせいがある。さらにRecAの活動かつどうたいせいきん進化しんか同時どうじこることから、RecAの阻害そがいざいたいせいきん出現しゅつげんおさえる、もしくはおくらせる効果こうかがある可能かのうせいがある。

自然しぜんかいでの形質けいしつ転換てんかんにおけるRecAの役割やくわり

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RecAのシステムにおける分子ぶんし性質せいしつ分析ぶんせきから、コックス(Cox)はそのデータが”RecAタンパク質たんぱくしつもっと重要じゅうよう役割やくわりDNA修復しゅうふくにある”と結論けつろんづけた[11]。RecAについてのさらなる分析ぶんせきから、コックスはそのデータが”RecAタンパク質たんぱくしつがDNA修復しゅうふくシステムにおける中心ちゅうしんてき要素ようそとして遺伝子いでんし多様たようせい副産物ふくさんぶつとして進化しんかしてきた"とした[12]

天然てんねんがたバクテリアの形質けいしつ転換てんかんには、あるバクテリア(おおくは同種どうしゅあいだのDNA伝播でんぱと、RecAタンパク質たんぱくしつ仲介ちゅうかいするドナーのDNAとレシピエントの染色せんしょくたいあいどうくみえがかかわっている。RecAが中心ちゅうしんてき役割やくわりたす形質けいしつ転換てんかんがこのプロセスを実行じっこうするために特徴とくちょうてき相互そうご作用さようするおおくの遺伝子いでんし生成せいせいぶつれい:枯草かれくさきん場合ばあいやく40しゅ)に依存いぞんすることは、DNA伝播でんぱ適応てきおうするように進化しんかしていることをしめしている。枯草かれくさきん場合ばあい伝播でんぱしたDNAながさは1/3にもなり、染色せんしょくたいながさに匹敵ひってきするほどにもなりうる[13][14]。バクテリアの染色せんしょくたい外部がいぶのDNAを場合ばあい、まず最初さいしょきんDNAをめる状態じょうたいにしなければならない。形質けいしつ転換てんかん原核げんかく生物せいぶつではよくこることであり、これまでに67たね生物せいぶつ形質けいしつ転換てんかんこしうることがられている[15]

形質けいしつ転換てんかんもっと研究けんきゅうされている生物せいぶつひとつが枯草かれくさきんである。このバクテリアでは、RecAタンパク質たんぱくしつあらたにはい一本いっぽんくさりDNA(ssDNA)と相互そうご作用さようし、繊維せんい構造こうぞうつく[16]。これらのRecA/ssDNA繊維せんいはコンピテント機構きこうち、細胞さいぼうしつ基質きしつまでひろがる細胞さいぼうきょくから生成せいせいする。RecA/ssDNA繊維せんいは、染色せんしょくたい存在そんざいし、あいどうてき領域りょういきみとるヌクレオフィラメントであるとかんがえられている。このプロセスによってあたらしくはいったDNAが枯草かれくさきん染色せんしょく体内たいないでなじみ、遺伝子いでんし情報じょうほうえが発生はっせいする。

ミショッド(Michod)らは、RecAが仲介ちゅうかいする形質けいしつ転換てんかん枯草かれくさきん同様どうよう淋菌りんきんインフルエンザきん肺炎はいえんレンサ球菌きゅうきんミュータンスきんなどでもDNA修復しゅうふくのためのあいどうくみえへの適応てきおうであるということの根拠こんきょしめした[17]。ヒトにとっての病原菌びょうげんきん場合ばあい、これらは宿主しゅくしゅによる酸化さんかてき防御ぼうぎょからまもらなければならないため、RecAが仲介ちゅうかいするDNAダメージの修復しゅうふく細菌さいきんおおきな利益りえきをもたらしているとかんがえられている。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ Chen, Z.; Yang, H.; Pavletich, N. P. (2008). “Mechanism of homologous recombination from the RecA–ssDNA/dsDNA structures”. ネイチャー 453 (7194): 489–4. doi:10.1038/nature06971. PMID 18497818. 
  2. ^ Horii T.; Ogawa T.; Ogawa H. (1980). “Organization of the recA gene of Escherichia coli.”. 米国べいこく科学かがくアカデミー紀要きよう 77 (1): 313–317. doi:10.1073/pnas.77.1.313. PMC 348260. PMID 6244554. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC348260/. 
  3. ^ Shinohara, Akira; Ogawa, Hideyuki; Ogawa, Tomoko. “Rad51 protein involved in repair and recombination in S. cerevisiae is a RecA-like protein”. セル 69 (3): 457–470. doi:10.1016/0092-8674(92)90447-k. https://doi.org/10.1016/0092-8674(92)90447-K. (著者ちょしゃ:篠原しのはらあきら小川おがわ英行ひでゆき小川おがわ智子さとこ大阪大学おおさかだいがく蛋白質たんぱくしつ研究所けんきゅうじょ))
  4. ^ Seitz, Erica M.; Brockman, Joel P.; Sandler, Steven J.; Clark, A. John; Kowalczykowski, Stephen C. (1998-05-01). “RadA protein is an archaeal RecA protein homolog that catalyzes DNA strand exchange” (英語えいご). ジーンズ・アンド・ディベロップメント 12 (9): 1248–1253. doi:10.1101/gad.12.9.1248. ISSN 0890-9369. PMC 316774. PMID 9573041. http://genesdev.cshlp.org/content/12/9/1248. 
  5. ^ Little JW (1984). “Autodigestion of lexA and phage lambda repressors”. 米国べいこく科学かがくアカデミー紀要きよう 81 (5): 1375–1379. doi:10.1073/pnas.81.5.1375. PMC 344836. PMID 6231641. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC344836/. 
  6. ^ Horii T.; Ogawa T.; Nakatani T.; Hase T.; Matsubara H.; Ogawa H. (1981). “Regulation of SOS functions: Purification of E. coli LexA protein and determination of its specific site cleaved by the RecA protein.”. セル 27 (3): 515–522. doi:10.1016/0092-8674(81)90393-7. PMID 6101204. http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/0092867481903937. 
  7. ^ “RecA-mediated homology search as a nearly optimal signal detection system”. Molecular Cell英語えいごばん 40 (3): 388–96. (2010). doi:10.1016/j.molcel.2010.10.020. PMID 21070965. 
  8. ^ “Mechanism of Homology Recognition in DNA Recombination from Dual-Molecule Experiments”. Molecular Cell 46 (5): 616–624. (2012). doi:10.1016/j.molcel.2012.03.029. PMID 22560720. http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1097276512002675. 
  9. ^ “RecA bundles mediate homology pairing between distant sisters during DNA break repair”. ネイチャー 506 (7487): 249–53. (2014). PMC 3925069. PMID 24362571. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3925069/. 
  10. ^ “Directed molecular screening for RecA ATPase inhibitors”. Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters英語えいごばん 17 (12): 3249–53. (June 2007). doi:10.1016/j.bmcl.2007.04.013. PMC 1933586. PMID 17499507. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1933586/. 
  11. ^ Cox MM (June 1991). “The RecA protein as a recombinational repair system”. Molecular Microbiology英語えいごばん 5 (6): 1295–9. doi:10.1111/j.1365-2958.1991.tb00775.x. PMID 1787786. 
  12. ^ Cox MM (September 1993). “Relating biochemistry to biology: how the recombinational repair function of RecA protein is manifested in its molecular properties”. BioEssays英語えいごばん 15 (9): 617–23. doi:10.1002/bies.950150908. PMID 8240315. 
  13. ^ “Incorporation of the whole chromosomal DNA in protoplast lysates into competent cells of Bacillus subtilis”. Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry 65 (4): 823–9. (April 2001). doi:10.1271/bbb.65.823. PMID 11388459. 
  14. ^ “Fate of transforming bacterial genome following incorporation into competent cells of Bacillus subtilis: a continuous length of incorporated DNA”. Journal of Bioscience and Bioengineering英語えいごばん 101 (3): 257–62. (March 2006). doi:10.1263/jbb.101.257. PMID 16716928. 
  15. ^ “Natural genetic transformation: prevalence, mechanisms and function”. Research in Microbiology 158 (10): 767–78. (December 2007). doi:10.1016/j.resmic.2007.09.004. PMID 17997281. 
  16. ^ “Intracellular protein and DNA dynamics in competent Bacillus subtilis cells”. セル 122 (1): 73–84. (July 2005). doi:10.1016/j.cell.2005.04.036. PMID 16009134. http://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S0092-8674(05)00551-9. 
  17. ^ “Adaptive value of sex in microbial pathogens”. Infection, Genetics and Evolution英語えいごばん 8 (3): 267–85. (May 2008). doi:10.1016/j.meegid.2008.01.002. PMID 18295550. http://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S1567-1348(08)00004-X. 

参考さんこう文献ぶんけん

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