無む観客かんきゃくのクリエから生田いくた・木村きむららが歌声うたごえ届とどけた、「TOHO MUSICAL LAB.」配信はいしん

「TOHO MUSICAL LAB.」が、本日ほんじつ7月がつ11日にちにイープラスの配信はいしんサービス・Streaming+で無む観客かんきゃく配信はいしんされた。ステージナタリーでは、報道陣ほうどうじん向むけに行おこなわれたオンラインゲネプロをレポートする。なお記事きじでは演出えんしゅつやストーリーに触ふれているため、ネタバレを避さけたい読者どくしゃは注意ちゅういしてほしい。

「TOHO MUSICAL LAB.」は、シアタークリエから新作しんさくオリジナルミュージカルを届とどける新しんプロジェクト。その初回しょかいとなる今回こんかいは、短編たんぺんミュージカル「Happily Ever After」「CALL」の2本ほんが披露ひろうされた。脚本きゃくほん・演出えんしゅつを根本ねもと宗子むねこが務つとめる「Happily Ever After」には生田いくた絵梨えり花はな、海宝かいほう直人なおと、“踊おどり子こ”のrikoが、作詞さくし・脚本きゃくほん・演出えんしゅつをロロの三浦みうら直之なおゆきが務つとめる「CALL」には木村きむら達成たつなり、田村たむら芽め実み、妃ひ海風かいふう、ロロの森本もりもと華はなが出演しゅつえんした。

オンラインゲネプロではまず、「CALL」が上演じょうえんされた。シーナ、オドリバ、ミナモの3姉妹しまいがボーカルを務つとめるバンド、テルマ＆ルイーズは、人ひとのいないところを選えらんで“聴衆ちょうしゅうのいない音楽おんがく会かい”を開ひらく旅たびを続つづけていた。あるとき廃墟はいきょに迷まよい込こんだテルマ＆ルイーズは、かつて“劇場げきじょう”と呼よばれたそこで、劇場げきじょうを長ながく見みつめてきたドローン・ヒダリメと出会であう。末すえっ子このミナモは、彼かれに出会であうことで初はじめて“観客かんきゃく”や“カーテンコール”を知しり……。

「明あかり、点つけてみて」という声こえと共ともにステージの照明しょうめいが点灯てんとうすると、シアタークリエの舞台ぶたい上じょうに、3姉妹しまいと演奏えんそう者しゃ4人にんからなるバンド・テルマ＆ルイーズが姿すがたを現あらわす。物語ものがたり序盤じょばんは、3姉妹しまいの軽快けいかいな掛かけ合あいで進行しんこう。赤あかい縞しま模様もようの衣装いしょうを身みに着つけた3人にんは「静寂しじま！ 聞きこえますか！」と誰だれもいない客席きゃくせきに向むかって呼よびかけ、バンドの生なま演奏えんそうに乗のせて劇げき中歌なかうた「テルマ＆ルイーズ」を元気げんきいっぱいにパフォーマンスした。

舞台ぶたいには距離きょりを空あけてスタンドマイクや楽器がっきが設置せっちされ、キャストたちはソーシャルディスタンスを保たもちつつ、身体しんたいを大おおきく使つかったダンスでステージを盛もり上あげる。また座席ざせき列れつの両りょう端はしに座すわった2人ふたりの演者えんじゃが、列れつの真まん中なかに向むかって1席せきずつ移動いどうしていくことで、人間にんげん関係かんけいの距離きょり感かんが縮ちぢまっていく様子ようすを表あらわす、無む観客かんきゃく生せい配信はいしん公演こうえんならではの演出えんしゅつも取とり入いれられた。

木村きむらは、演劇えんげきを観みたことがないミナモに対たいして在ありし日ひのにぎやかな劇場げきじょうの思おもい出でを語かたって聞きかせるヒダリメを、寂さびしげなまなざしで演えんじた。一方いっぽう、テルマ＆ルイーズがライブを行おこなう場面ばめんでは、劇場げきじょうに演者えんじゃが戻もどってきたうれしさを表情ひょうじょうににじませ、自身じしんも力強ちからづよい歌うたや踊おどりを披露ひろうする。ミナモ役やくの田村たむらは、姉あねたちとのライブを楽たのしみつつも、誰だれかに声こえを届とどけたいと願ねがうミナモの純真じゅんしんさを、のびのびとした歌声うたごえで表現ひょうげんした。

妃ひ海うみはどこかマイペースな次女じじょ・オドリバを快活かいかつな笑顔えがおで演えんじ、彼女かのじょが誰だれもいない場所ばしょで歌うたう喜よろこびを語かたる場面ばめんでは緩急かんきゅうのついたセリフ回せりふまわしを聞きかせる。また奔放ほんぽうな長女ちょうじょ・シーナ役やくの森本もりもとも、劇げき中歌なかうた「テルマ＆ルイーズ」でラップを披露ひろうしてパフォーマンスに華はなを添そえた。

続つづく「Happily Ever After」では、夜よるを愛あいし、願ねがいを込こめて眠ねむりにつく少女しょうじょが描えがかれる。ピアノの音おとと共ともに物語ものがたりが始はじまると、ステージにはフリルが付ついた枕まくらや花はな柄がらのクッションが置おかれたベッド、白しろを基調きちょうとしたヨーロピアンデザインの机つくえと椅子いす、ランプなどが設置せっちされている。やがて些細ささいなことでい争いあらそう夫婦ふうふの声こえが聞きこえてくると、その後ごドレスをまとった少女しょうじょ（生田いくた）が姿すがたを見みせた。両親りょうしんのけんかに疲つかれた彼女かのじょが眠ねむりに入はいると、そこに“彼かれ”（海宝かいほう）が現あらわれ……。

本ほん作さくはピアノ1台だい、出演しゅつえん者しゃ2人にん、ダンサー1人にんという小しょう編成へんせいで紡つむがれる。生田いくた演えんじる少女しょうじょが、海宝かいほう演えんじる“彼かれ”を「近付ちかづいてはいけない気きがする」と押おしとどめ、“彼かれ”が「なんだよ、人ひとを菌きんみたいに！」とむきになってい返いかえすコミカルなシーンは、ソーシャルディスタンスが習慣しゅうかん付ついた人々ひとびとを連想れんそうさせた。

初はじめ2人にんは「なぜ自分じぶんの夢ゆめに他人たにんが出でてくるのか」と反発はんぱつし合あう。しかしそれぞれに現実げんじつに苦くるしみ、夢ゆめの中なかだけを楽たのしみに暮くらしていることを知しると、2人ふたりは共感きょうかんから次第しだいに打うち解とけ始はじめ、やがて互たがいを運命うんめいの人ひとだと確信かくしんする。生田いくたと海宝かいほうは、2人ふたりの心理しんり的てきな距離きょりが縮ちぢまり、相手あいてに運命うんめいを感かんじているのに触ふれ合あうことをためらい、葛藤かっとうする彼かれらの心情しんじょうを、表情ひょうじょうの変化へんかや歌声うたごえで繊細せんさいに表現ひょうげんした。

また本ほん作さくでは作詞さくし・作曲さっきょく・音楽おんがく監督かんとくを清せい竜りゅう人じんが担当たんとう。スキャットを交まじえた軽快けいかいなジャズ調ちょうの劇げき中歌なかうた「Around The World」では、少女しょうじょが“彼かれ”に心しんを開ひらいていく様子ようすが演者えんじゃ2人にんのかけ合あいで描えがかれた。少女しょうじょはベッドの上うえに、“彼かれ”は椅子いすの上うえに立たって距離きょりを保たもちながらも、声こえを合あわせて美うつくしいハーモニーを響ひびかせる。このシーンでは“踊おどり子こ”のrikoもステージを自由じゆうに動うごき回まわってしなやかなソロダンスを披露ひろうし、舞台ぶたいにロマンチックな光景こうけいを立たち上あげた。

本ほん公演こうえんのアーカイブは、Streaming+で7月がつ13日にち19:00まで観みることができる。またシアタークリエは今回こんかいの配信はいしん公演こうえんをもって営業えいぎょうを再開さいかい。7月がつ20日はつかからは小林こばやし香かおりが作さくを手てがけ、美弥みやるりからが出演しゅつえんするショー「SHOW-ISMS」の有ゆう観客かんきゃく公演こうえんが行おこなわれる。

※初出しょしゅつ時じ、本文ほんぶんに誤あやまりがありました。訂正ていせいしてお詫わびいたします。