カネに窮きゅうした背景はいけいには、親おやとのいざこざがあった。 「医者いしゃか教師きょうしになることを望のぞまれて、小学生しょうがくせいから勉強べんきょう三昧ざんまい。子供こどもらしく遊あそんだ記憶きおくはほとんどありません。大学だいがく受験じゅけんに失敗しっぱいし、すべり止どめで入はいった大学だいがくを中退ちゅうたいしたので、親子おやこ関係かんけいはさらに悪化あっか。月つき7万まん円えんの仕送しおくりや学費がくひ400万まん円えんを返済へんさいしろ！ と要求ようきゅうされました」 母親ははおやは過か干渉かんしょうで、実家じっかから出でることも叶かなわなかった。 「家いえにいたくないので外食がいしょくや外泊がいはくをして、二に重じゅうに生活せいかつ費ひを払はらう生活せいかつを送おくっていたら、いつのまにか消費しょうひ者しゃ金融きんゆうの借金しゃっきんが200万まん円えんに膨ふくらんでいました。受験じゅけんの失敗しっぱいさえなければ、親おやとの関係かんけいもお金かねのことも、揉もめなくて済すんだのに」 居場所いばしょを転々てんてんとする生活せいかつは初はじめてではない。30歳さいになった年とし、やっとの思おもいで実家じっかを飛とび出だして以降いこうは、大阪おおさか・西成にしなりでドヤ生活せいかつをしていた時期じきもあったという。取材しゅざいで会あったときの所持しょじ金きんは残のこり2万まん円えん。たまにパチンコの打うち子このバイトを見みつけては、数すう千せん円えんの収入しゅうにゅうを得えているというが、すぐに底そこを突つく。 「カネがなくても、楽たのしむしかないと悲観ひかんはしていません。息苦いきぐるしかった実家じっかの頃ころより、生いきている実感じっかんがあるので。ただ、これからどうやって軌道きどう修正しゅうせいするかが悩なやみです。社会しゃかい福祉ふくし士しに相談そうだんしたら、自己じこ破産はさんを申もうし立たてるのがいいと言いわれたので、それが目下もっかの目標もくひょうです」 生活せいかつが安定あんていすれば、親おやとの確執かくしつを乗のり越こえられるのか。今いまがその正念場しょうねんばかもしれない。