「防衛拠点」に沸く戦艦大和生んだ街 空襲の記憶を語り継ぐ市民らは
防衛省が広島県呉市にある製鉄所の跡地を取得し、防衛拠点に整備する構想を計画している。戦艦大和を生んだかつての軍港都市には、第2次世界大戦で激しい空襲に遭った歴史もある。地元の人々はどう受け止めているのか。
「今後、呉地区の重要性は増大していく」。防衛省地方協力局の村井勝総務課長は3月11日、呉市議会を訪れてこう述べた。市内には海上自衛隊呉地方総監部があり、米軍佐世保・岩国基地に近く、太平洋・日本海へのアクセスが容易だと説明した。
防衛省が構想しているのは「複合防衛拠点」として、装備品の製造や訓練、港湾など多機能を備える場所だ。火薬庫の設置も検討するという。装備品の製造については民間企業も誘致するといい、「地場企業が事業を取れるよう取り組む」とも話した。
昨秋に日本製鉄瀬戸内製鉄所呉地区が事業を停止し、同社が所有する約130ヘクタールの跡地の利活用についての調査費を県や市が当初予算に盛り込む中、防衛省から防衛拠点を作りたいと申し入れた。県は「選択肢の一つ」、市は「非常に重要な選択肢」などと反応しており、防衛省や同社と4者での協議が始まっている。
地元政財界は歓迎ムードだ。中田光政市議長は「市の将来にとって大変良いこと。経済の活性化につながる」。市議会では「積極的に防衛力アップに関わりたい」(保守系会派の北川一清市議)との声が上がった。
呉商工会議所の若本祐昭会頭…
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- 興野優平
- 広島総局|県政担当
文芸、核、人口減少、ジェンダー
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